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科学研究費 基盤研究(S):
「同位体特定による局所状態解明のための先進的メスバウアー分光法開発」

お知らせ・研究課題の活動
"平成24年度科学研究費補助金(基盤研究(S))新規課題一覧(日本学術振興会のページへリンク)

研究の背景・目的
メスバウアー分光法(無反跳核共鳴吸収分光法)では、原子核の周りの電子構造および磁性についての情報を、これらが原子核のエネルギー準位へ与える微細な影響から得ることが出来る。 メスバウアー分光法は、これまでは主として放射性同位体線源を用いて実施されてきた。これに加えて放射光を用いることで、微小試料測定、超高圧下測定や強磁場下測定などといった自由度の高い多元素選択測定が可能となる。 また、放射光のエネルギー可変性は、原子核の共鳴非弾性散乱の測定を可能とし、電子状態 だけでなくフォノン等のダイナミクスについても同位体を特定しての測定を実現する。 本研究では、このような先進的なメスバウアー・核共鳴散乱分光法の開発・確立を目的とする。そして、これらを用いて局所磁性とマクロスコピックな物性との関連などについて、この分光法の特徴を打ち出した先導的な研究を実施する。
研究の方法
多元素メスバウアー分光実現のために、放射光吸収メスバウアー分光法(図 1)を発展・確立させる。
放射光吸収メスバウアー分光法
図 1. 放射光吸収メスバウアー分光法の測定概念図

同時に、斜入射メスバウアー分光法やメスバウアーイメージング分光法等の開発も実施する。 さらに、放射光では測定が困難な同位体も視野に入れて中性子照射等による短寿命メスバウアー分光法を発展させる。 また、開発した分光法を用いて、同位体置換を積極的に活用することで表面だけなく内部の任意の部分の状態を1原子層レベルで明らかにすべく磁性薄膜の研究などを行う(図 2)。
Fe-Cr多層膜
図2. Fe層をメスバウアー効果に感度のある57Feで同位体置換を行った Fe-Cr 多層膜
期待される成果と意義 
本方法では、同位体置換を用いることで、電子系を使った方法では困難な測定が可能であるという特徴がある。 また、放射光を利用することで、斜入射測定や集光によるマイクロビームが利用出来るため、超低温・強磁場・超高圧などの極限条件下での測定も可能となる。 さらに、金属・半導体中の微量不純物、生体物質中の特定部位のフォノンを分離して測定出来る。 よって、本分光法が確立されれば、物性物理および材料開発分野における新しく強力なプローブとなるだけでなく、生命科学、地球物理分野などの分野での研究展開も期待される。

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