チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1986.4〜12)

 


86/04/29 朝日 「ソ連で原発事故か」
北欧のフィンランド、スウェーデン、ノルウェー3国、さらにデンマークにまたがる広い範囲で27日から28日にかけて、大気中から最高で平常の6倍に上る放射能が検出され、ソ連の原発で放射能漏れがあったのではないかとの見方が強まっている。

86/04/30 読売 「ソ連、最悪の原発事故」
ソ連閣僚会議は28日夜(日本時間29日未明)、国営タス通信を通じ、ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発で事故が発生、原子炉1基が破損、被災者がでたと発表した。キエフ市当局者は、事故が26日におき、多数の死傷者が出たことを確認した。事故発生から3日後の29日夜現在も同原発では炉心火災が続いている模様。

86/04/30 東京」 「死者2千人越す?」
ソ連の原発事故について、各種報道を総合すると、事故が起きたのは26日夜で、2000人以上が死亡したとの情報もある。

86/04/30 日経 「周辺の数万人避難」
モスクワの西側筋は29日、チェルノブイリ原発で発生した事故のため数万人が避難したと語った。同筋によると、原発から30km以内は「特別警戒地区」となっている。

86/04/30 朝日 「通常の百倍一時的に記録」
チェルノブイリ原発事故によって生まれた放射性物質を含む雲は南東の風に運ばれてポーランド北東部を横切り、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドに広がっている。スウェーデン東岸では29日、通常の百倍の水準に達する放射能が一時観測された。

86/05/01 読売 「建屋破壊まざまざ」
ソ連政府は30日夜に声明を発表、チェルノブイリ事故の死傷者に関し、死者数千人という一部西側報道を否定、死者が2人であることを確認するとともに、197人が病院に収容されたことを明らかにした。

86/05/01 読売 「各地で汚染相次ぐ」
スイス政府スポークスマンは30日、同国東部のダボスで通常の10倍の放射能を検出したと発表した。ユーゴスラビアのタンユグ通信は30日、同国北部の一部で通常の3?4倍の放射能を観測したと報じた。

86/05/01 朝日 「異常な放射能:オーストリアなど」
ポーランドでは29日から30日にかけて大量の放射能を含んだ雲が通過する北東部を中心に異常な放射能が検出され、一部では通常の20倍に達したという。一方、オーストリアでは、南部のケルンテン州全域で、通常の3?5倍、場所によっては17倍の放射能が測定された。

86/05/01 朝日 「上空から砂をまく」
キエフからの情報によると、チェルノブイリ原発の事故現場の上空から、砂や金属のようなものがまかれている、という。モスクワの西側専門家は、「放射能対策というより、火災を鎮火するためではないか」とみている。

86/05/01 朝日 「サミットの緊急議題に」
政府は30日、ソ連の原発事故を4日からの東京サミットの緊急議題とする方針を決めた。サミット議長国として、ソ連に事故情報の公開を求める、事故処理や今後の安全管理でソ連に対する協力の用意を表明する、IAEA(国際原子力機関)を通じた国際的な事故通報態勢の強化を進める、などを基本に参加国の意思統一を図る。

86/05/02 朝日 「重体は18人」
ソ連は1日午後、チェルノブイリ事故の被害者のうち18人が重体だ、と発表した。前日、被害者の数は197人で、そのうち49人はすでに検診を受けて退院したとしていた。また、被害者のうちに外国人はいないと伝えた。

86/05/03 朝日 「4邦人が被ばく」
科学技術庁は2日夜、ソ連・キエフ地方から帰国した日本人4人が、チェルノブイリ事故による放射能を浴びていた、と発表した。4人は32?50歳の男性で、4月22日から同28日夜まで、チェルノブイリ原発の北約300kmのモギレフに商用で滞在していた。1日夜成田空港へ帰国、2日に東大で検査したところ、体内にヨウ素131と微量のセシウム137が検出された。

86/05/04 朝日 「原因は人為ミス」
ソ連共産党のエリツィン政治局員候補は2日、西独のテレビインタビューで、チェルノブイリ事故の原因について、「人為的ミスを責めるべきだ」と語った。同氏はハンブルグで開かれているドイツ共産党大会に出席のため当地を訪れた。氏はさらに、?放射能の拡散を防止するため、ヘリコプターを使って空から砂、黒鉛、ホウ素を袋に入れて投下した?周囲30キロ四方の内側にあった4つの村落の住民を避難させた?いくつかの貯水池は汚染されたが、河川は汚染されていない、などと説明した。

86/05/05 朝日 「日本各地で異常放射能」
チェルノブイリ事故による放射能汚染が日本各地の広い範囲で確認された、と政府の放射能対策本部(本部長・河野洋平科学技術庁長官)が4日発表した。「放射能の強さは、ただちに健康へ影響を与えるものではない」としながらも、千葉市では、3日深夜から4日未明にかけて雨水1リットル当り1万3300ピコキュリーのヨウ素131の最高値を記録したのをはじめ、東京、神奈川、愛知、大阪、鳥取など15都府県で異常値を検出した。

86/05/06 朝日 「帰国者45人が汚染」
キエフ、モスクワ経由の観光旅行から5日、成田空港に日本人101人、在日外国人22人の計123人(3便)が帰国、検査の結果、体や荷物がチェルノブイリ事故による放射能で汚染されていた。科技庁放医研が同空港で帰国直後に調べたところ、体が汚染されていた人は45人、スーツケースなど86個も汚染されていた。このうち甲状腺に放射能が検出された8人は、同研究所で精密検査を受けた。

86/05/07 朝日 「停止途中で爆発」
ソ連当局は6日、チェルノブイリ原発事故についてモスクワで初めて記者会見し、政府調査委員会の調査結果などを公表、事故は4月26日午前1時23分に、原子炉を止める作業の途中で起ったことを明らかにした。原因について「原子炉の中で化学的な爆発が起こったようだ」と付け加えた。

86/05/09 朝日 「事故炉は事実上鎮火」
ソ連ウクライナ共和国のリャシコ首相は8日、チェルノブイリ事故後初めてキエフを訪れた外国人記者団と会見し?原子炉の温度は300度まで下がり事実上火災は止まった?合計8万4000人が避難した?事故の重大さがモスクワに伝えられたのは発生2日後の4月28日だった、などと述べた。

86/05/12 朝日 「ソ連・東欧の食料品80%停止に」
欧州共同体(EC)加盟国のうちイタリアを除く11カ国は11日までに、チェルノブイリ事故で放射能汚染の恐れのあるソ連・東欧7カ国からの生鮮食料品輸入を当面今月いっぱい停止することで一致し、これらの国からの生鮮食料品輸入の80%は停止状態になった。

86/05/14 朝日 「ソ連の報道は遅いが正確」
IAEAのブリックス事務局長は13日、」ウィーンで開かれている国際新聞編集者協会総会で演説、チェルノブイリ事故について、ソ連の報道体制の不備を批判した。半面、西側諸国では無責任な報道が見られたと指摘し、「ソ連の報道は遅いが間違いない」と語った。

86/05/15 朝日 「死者9人、292人入院」
ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長は14日夜、チェルノブイリ事故以来はじめて国営テレビを通して演説し、同事故とその後の対応に関し、最高指導者としての見解を表明した。同書記長は事故について、?原子炉の停止作業中に大量の蒸気が発生、水素爆発を誘発した?死者は9人、292人が入院中?発電所と隣接地域の放射能は今も人間にとって危険な水準にある、などを明らかにした。

86/05/15 朝日 「市民の多くが脱毛」
チェルノブイリ北方130kmのゴメリ市に住む女性は、モスクワの友人へのへの電話で、この数日間で頭髪が全部抜け落ちたと告げた。この女性によると、5歳の自分の子供をはじめ、人口30万人のゴメリ市民の多くの人も同じ目に遭ったという。

86/05/15 毎日 「原発事故、10万人が放射能検査」
14日付けのソ連紙ソビアツカヤ・ロシアは、これまでにチェルノブイリ原発の周辺住民を中心に10万人が放射能検査を受け、検査はまだ続いていると報じた。

86/05/19 朝日 「死者は11人に」
ソ連政府機関紙「イズベスチヤ」は18日、チェルノブイリ原発事故で消火に当たった消防士がさらに一人死亡したと報じた。これでソ連側の発表による死者数は計11人となった。米国の骨髄移植の専門家、ゲール博士は16日、同事故の被曝者の治療を終えて帰国するに当たって、13人が死亡、300人が負傷という数字を明らかにしている。

86/05/20 日本海新聞 「原乳から放射能?島根で国内最高値」
島根県は19日、県内で主に生草をえさに飼育している牛の原乳からヨウ素131を1リットル当り最高で678ピコキュリー検出した、と発表した。ソ連原発事故以来、国内で採取した原乳の放射能濃度としては最も高い値。

86/05/21 毎日 「中絶を、妊婦殺到」
ユーゴの首都ベオグラードからの報道によると、ユーゴ国内の病院では、チェルノブイリ事故の影響を心配して中絶手術を求める妊娠女性が殺到している。同国内でこれまで放射能障害の危険が報告された例はないが、当局は妊産婦に対して行っている健康状態の定期的監視態勢を当分続行するよう関係方面に指示したという。

86/05/22 毎日 「事故は実験中」
ソ連のシドレンコ国家原子力発電安全委員会副議長は21日、一部西側記者と会見し、チェルノブイリ原発4号炉が爆発したのは、専門家が同原子炉で実験をしている最中だったと述べた。しかし、実験の内容については明らかにしなかった

86/05/25 毎日 「炉と一緒に犠牲者“埋葬”」
ソ連共産党機関紙プラウダは23日、チェルノブイリ原発事故で最初に死亡した2人の犠牲者のうち1人は遺体が発見されないまま、事故炉と一緒にコンクリート詰めにされることになったと報じた。

86/05/27 日本海新聞 「海藻からも放射能」
チェルノブイリ原発から放出された放射能による汚染が、日本周辺海域にも広がっていることが、政府放射能対策本部の26日までの調査で分かった。対策本部によると、宮崎県北部の海底で採取されれたマクサから1kg当り7万ピコキュリーという高いヨウ素131が検出された。また、茨城県では、ヒジキから同989ピコキュリー、カジメから同3300ピコキュリー、神奈川県では、イソモクから同1400ピコキュリーなど。

86/05/29 朝日 「被曝患者1000人」
ノーボスチ通信は28日、チェルノブイリ原発事故の重症患者が収容されているモスクワ第6病院のグスコバ医師の話として、事故による患者は千人に達すると伝えた。ゴルバチョフ共産党書記長は14日の演説で、入院したものは約300人と述べており、千人というソ連側報道はこれがはじめて。同通信はまた「事故の4時間後には特別の医師団がモスクワから現場へ飛ぶ態勢を整えていた。さらに24時間以内に医師団は千人の中から重症者100人を選別した。第3陣として最後にモスクワに送られてきて、現在治療中の患者は避難民だ」と伝えた。

86/05/29 朝日 「ウォッカに殺到 放射線障害に効く !?」
「ウォッカは放射線障害に効く」――チェルノブイリ原発事故で放射能汚染の影響を受けているソ連のキエフ紙では、こんなうわさが広まったため、住民がウォッカに殺到、アル中追放運動で販売が制限されているウォッカが町中にはんらんしている。キエフ市では通常9ルーブルもするウォッカが4分の1以下の2ルーブルという特価で販売されている。

86/05/31 朝日 「原子力計画の変更を」
モスクワで30日、ソ連の原子力開発計画変更を求める署名運動に関連して、子供2人を含む14人が警察に連行され、3時間にわたって身柄を拘束された。署名行動を行ったのは1982年に設立された非合法組織で、ソ連最高会議に提出することを目的とした請願書には、30分で50人の署名が集まったという。

86/06/03 日経 「放射能汚染のウサギ肉廃棄」
イタリア北部のロンバルディア州の州知事は2日、チェルノブイリ原発事故の影響でコモ県内のウサギの肉から許容量の2?2.5倍のセシウムが検出されたため、食肉用に飼育しているウサギのうち、生の草をえさにしているウサギをすべて処分するように命じた。

86/06/05 読売 「27倍のセシウム検出」
スウェーデン国立食品検査研究所は4日、ストックホルム北方約170kmのゲイブル地区で捕獲したシカの肉から、許容量の約27倍のセシウムを検出したと発表した。スウェーデンの専門からは、秋の狩猟シーズンには、破局的な影響が出る恐れがあると懸念している。

86/06/06 朝日 「放出放射能は1?3%」
チェルノブイリ原発事故の原因調査や復旧対策に当たっているソ連当局者は5日午後、モスクワで記者会見し、「事故によって環境に放出された放射能は、炉に残っていた核分裂生成物の1?3%だった」と発表した。また、事故が起きたときに、「圧力管が通常ではない状態でどう働くのかの能力をみる実験をしていた」ことを明らかにした。出席したのは、レガソフ・クルチャトフ研副所長ら事故対策の責任者。

86/06/06 朝日 「放射能きょう安全宣言」
政府の放射能対策本部は6日、チェルノブイリ原発事故によるわが国への直接の影響がほとんどなくなったとして「安全宣言」を出す。5月4日に出した?雨水を直接飲む場合は木炭等でこす?野菜等は念のため十分洗浄してから食べる、などの注意呼びかけも解除する。

86/06/07 朝日 「住民2人も入院」
チェルノブイリ原発事故による患者の治療にあたっているゲール博士ら米ソの専門家は6日午後、モスクワで記者会見し、放射線障害で入院した299人の中には、原発から約3km離れたところにいた住民2人が含まれていたことを明らかにした。「1人は自転車に乗っていて、ひざの部分がやけどをしたようになった。もう1人は野菜畑で仕事をしていた女性だ」と同博士らは述べた。

86/06/16 朝日 「原発所長らを解任」
ソ連共産党機関紙プラウダは15日、チェルノブイリ原子力発電所のブリュハノフ所長とホミン主任技師が、事故の評価を誤り、その後の救助活動、復旧作業での不手際の責任を問われて解任されたと発表した。また、交代作業班の班長や最古参の職長らが事故の後、今なお身を隠していることを明らかにした。

86/06/19 毎日 「淡水魚、食用は危険」
スウェーデン国立環境研究所の専門家は17日、スウェーデン国内の淡水魚の放射能汚染度が、食用とするには危険なレベルになっていると指摘した。

86/06/30 毎日 「薬散布し“雲払い”」
29日付けの「プラウダ」によると、チェルノブイリ地域の上空ではこの一週間、航空機を使って雲を消散させる作業が専門家チームによって行われた。雨が降れば、放射能を帯びた地上のチリが地中に溶け込み、汚染が拡大するおそれがあるため。

86/07/02 朝日 「放射能汚染は東高西低」
ソ連原発事故による放射能の汚染状況を、京大工学部原子核工学科、荻野晃也助手たちがまとめた。一定条件で採取した松葉のヨウ素131、セシウム137を測定したもので、北海道、中部など東日本が高く、瀬戸内沿岸や九州が低い「東高西低」傾向が明らかになった。松葉1kg当りの放射能量は、ヨウ素が、最低の長崎県で2600、最高の青森県で43200ピコキュリー、セシウムは220(鹿児島県)から13300(宮崎県)ピコキュリーだった。

86/07/03 原産 「英、羊の販売など禁止」
英国政府は6月20日、南西カンブリア、北ウェールズの一部地域での羊の移動、販売、屠殺を3週間にわたって禁止すると発表した。何匹かの羊からkg当り4000ベクレル以上のセシウムが検出されたため。

86/07/03 原産 「75年に事故同型炉の欠陥を指摘」
1975年に、レニングラードのRBMK-1000型原子炉の設計を研究するためソ連を訪れた英国の技術者チームは、同原子炉には、英国の許可基準に照らして判断した場合、いくつかの欠陥があると結論づけている。たとえば、緊急時に炉心内を直接スプレイする冷却システムがないこと、全面的な格納構造物がないこと、黒鉛炉心が機械的に不安定であること、圧力管破損に対する防護が不十分なこと、ボイド係数がプラスであること、などである。

86/07/10 朝日 「避難住民、自宅へ」
9日付けプラウダによると、チェルノブイリ事故のため避難地域に指定されていた白ロシア共和国ゴメリ州では7つの村で放射能除去作業が完了し、住民が自宅に戻れるようになった。ゴメリ州ブラーギン地区の行政責任者が明らかにしたもので、同地区では48の村が避難対象の30km圏内に入っていた。

86/07/12 毎日 「被ばく1.3?2.6ミリレム」
科学技術庁は11日、チェルノブイリ事故による日本への放射性降下物の影響をまとめた。セシウム137の降下量は、最も大きかった石川県で、1平方km当り7ミリキュリーだった。降ってきた放射能による推定被ばく線量は5月からの1年間で、外部被ばくが1人当り平均で1.3ミリレム、内部被ばくは成人平均で2.1ミリレムと計算された。

86/07/15 毎日 「西ベルリン表土放射能汚染」
チェルノブイリ原発から約1000km離れた西ベルリンの表土は、日本の土の少なくとも50倍以上の放射能で汚染されていることを、日本国内に持ち込まれた土を分析した京都大学原子炉実験所の小出裕章助手が14日明らかにした。表土から検出された放射能は、1kg当り、ヨウ素131が6.78ベクレル、セシウム134が57.3ベクレル、セシウム137が124ベクレルなど。

86/07/16 朝日 「避難の住民に新村」
15日のモスクワ放送によると、チェルノブイリ原発の周囲30km以内の地域から避難した家族のために、隣接の白ロシア共和国のゴメリ州に新しい村を建設することがこのほど決定された。避難住民は今年冬までに一戸建て住宅もしくはアパートを新しい村で受け取る。州北部のこの村では10月1日までに4000戸の住宅が建てられる。

86/07/21 朝日 「原発事故は人為ミス」
ソ連政府は、チェルノブイリ事故の直接原因は「人為的ミス」であったことを明らかにするとともに、関係者の解任などの処分を行い、刑事責任も追及中であると発表した。また、事故により28人が死亡、直接の被害額が20億ルーブル(約4700億円)にのぼったことをはじめて公表した。「事故は労働者たちの一連の重大な原子炉運転規則違反によって引き起こされた」もの。事故が発生したとき、4号炉は計画に基づく修理作業中で、タービン発電機の運転に関する実験が同時に行われていた。

86/07/25 朝日 「運転停止後の発電を実験中」
ソ連外務省のゲラシモフ情報局長は24日の記者会見で、チェルノブイリ原発事故の引き金となった「実験」について「原子炉の運転を止めた後、40?45分間回転し続けるタービン発電機のエネルギーを利用できるかどうか調べる実験だった」と説明した。局長は、ソ連政府事故調査委員会の報告書が8月中旬にIAEAに手渡され、これは付属文書を含め数百ページに及ぶだろうと語った。

86/08/19 朝日 「斑点状に濃い死の灰:ポーランド全土」
チェルノブイリ事故によって放射能汚染されたポーランド各地に、「放射能が特別に強い地域」が多数生じていることが明らかになった。研究者たちはこの汚染の斑点を「ホットスポット」と名付け、核実験の死の灰による汚染では見られなかった現象と着目している。スポットの大きさは数10mから数100mとさまざま。

86/08/21 産経 「原因不明の火災も」
チェルノブイリ原発4号炉で、5月23日にも原因不明の火災が起きていたことを、モスクワ市共産党機関紙「レーニンスコエ・ズナーミャ」が伝えた。4号炉建屋から冷却水をくみ出していた消防隊員が5月23日未明、高さ24mの部分で煙を発見、石油貯蔵施設への延焼が心配された。放射能レベルが非常に高かったので、消防隊は数秒間ずつ高放射能区域へ突進、一日がかりのピストン消火でやっと消し止めた。

86/08/22 朝日 「設計上の備え欠いた」
ソ連当局は21日、モスクワで記者会見し、チェルノブイリ原発事故についての最終的な調査結果を発表した。その中で、?死者は31人にのぼり、現在なお3人が重体である、?安全装置を切るなど6つのミスが重なって事故が起こった、?原子炉の設計者はこうした異常な人為ミスに対する備えを考えていなかった、?放射能医学センターをキエフにつくる、などの点を明らかにした。現在まで入院した人の数は299人。そのうち放射線障害を受けたものは203人だった。チェルノブイリ原発半径30kmの危険地帯から避難した人の数は約13万5000人(うち子供4万5000人)にのぼった。また、事故のあった4号炉は「埋葬」されるが、運転を停止している1号・2号炉については「秋には操業を再開するだろう」との見通しを示した。

86/08/23 朝日 「6000人以上の早死に予測も」
ソ連がIAEA(国際原子力機関)に提出したチェルノブイリ原発事故報告書によると、事故による放射能汚染は当初考えられていたより広い地域にわたり今後、国内で6000人以上が早死にし、避難した住民は4年間も戻れないかもしれない、としている。

86/08/27 日経 「爆発直前、出力100倍に」
ウィーンのIAEA本部で開会中のソ連チェルノブイリ原発事故検討会議で26日、ソ連代表が事故の決定的瞬間を初めて公表した。それによると、4号炉が爆発する直前、炉の出力は定格出力のおよそ100倍に達した。この結果、蒸気が大爆発、核燃料が飛散した。さらに2、3秒後、可燃性ガスの爆発で2度目の爆発が起きたという。前日の討議でソ連側は、黒鉛型炉の応急の安全向上策として、?炉内に常に残しておく制御棒の数を増やす、?制御棒の先端を常に炉内に入れておく、?核燃料の濃縮度をあげる、の3点をあげた。

86/08/28 日経 「原発処理動員兵に強い不満」
チェルノブイリ原発の放射能除去作業に動員されたエストニア共和国の予備兵士の間で、健康上の不安や労働条件に対する不安が高まり、ストライキに近い手段に訴える事態も起きている。エストニアの新聞が今月上旬に伝えたもの。

86/08/28 読売 「放射能漏れは1億キュリー」
チェルノブイリ原発事故の原因、経過を検討しているIAEA専門家会議で、ソ連は27日、キセノンやクリプトンの放射性希ガス5000万キュリーが環境に放出されていたことを新たに認め、固体、希ガスを合わせた放出放射能の総量は1億キュリーとなった。この1億キュリーは、事故後10日たって放射能が大幅に減衰した5月6日時点の放射能量に換算した値で、実際の放出量は約3億キュリーと考えられる。

86/08/29 朝日 「核燃料の4%飛散」
ウィーンで開かれているIAEA専門家会議でソ連代表は28日、チェルノブイリ事故での水素爆発とその後の黒鉛火災で、核燃料の4%が飛散したと報告した。そのうち、0.3-0.5%が原発敷地内、1.5%が半径20km、2%はさらに遠くへ流れていった。黒鉛は全体の10%に相当する約250トンが燃えてなくなった。水素爆発については、西側専門家の一部から、「これも核反応によるものではないか」という意見が出たが、ソ連側は否定した。

86/09/04 朝日 「放射能漏れ今も」
ソ連共産党機関紙「プラウダ」は2日、チェルノブイリ原発4号炉からは、現在も「多量」の放射性物質が漏出していると報じた。一方、政府の事故報告書を引用しながら、原発地域から退避した13万5000人の大半は「一時的」に帰宅できようと述べている。

86/09/04 日経 「放射能汚染で初の禁漁措置」
スイス政府は3日、南東部イタリア国境の保養地ルガノ湖の漁獲を禁止する措置をとった。チェルノブイリ事故の影響とみられる異常な放射能が湖の魚から検出されたためで、8月1日以降とれた魚の販売なども禁止された。

86/09/10 デイリー東北 「ポーランドが最終報告」
チェルノブイリ事故に関するポーランド政府汚染対策委員会は8日、最終報告の骨子を発表した。最も強い放射線(ガンマ線)は4月29日、ワルシ>


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Aワポドラスカで検出された1時間当り45ミリレントゲンで、これは5月10日には同0.02ミリレントゲンにまで減少した。また放射性ヨードによる大気汚染は、4月29日、ワルシャワ北方180kmのミコワイキで1立方m当り571ベクレルに達した。

86/09/10 北海道 「ガン死、30万人以上に」
チェルノブイリ事故の放射能によるガン死者数は全世界で30万人を超す、という予測結果を、米カリフォルニア州アナハイムで開かれた米化学会で、カリフォルニア大ゴフマン教授が発表した。この予測は、ソ連政府がIAEAに提出した報告書の数値に比べはるかに大きい。

86/09/12 朝日 「日本では考えがたい」
原子力安全委員会のソ連原発事故調査特別委員会(委員長・都甲泰正東大教授)は11日、第1次報告書をまとめ、御園生原子力安全委員長に提出した。「事故の概要はかなり明らかになった」とし、「わが国では考えがたい事故であったことがほぼ明らかになった」としている。

86/09/20 日経 「原発事故で住民に補償」
ソ連のゴスチェフ蔵相は19日、チェルノブイリ事故の損害と住民に対する補償措置について記者会見した。原発周辺から避難した約11万人の住民に対し、1人の場合4000ルーブル(1ルーブル=約230円)、2人は7000ルーブル、さらに1人増すごとに1500ルーブルの見舞金を支給、置いてきた家財道具などについてもすべて国家が補償したと述べた。

86/09/20 朝日 「ソ連原発事故4600億円の被害額」
ソ連のゴスチェフ蔵相は19日の記者会見で、チェルノブイリ原発事故の被害額は、原子炉、電力、工業、農業、被災者への補償などすべてを合わせて総額20億ルーブル(約4600億円)に上ることを明らかにした。被災者への補償は国家予算から5億ルーブル、社会保険から1億ルーブルが支出され、ほかに国民の寄付による救済基金5億ルーブルと海外からの救援金150万ルーブルも救済にあてられた。

86/09/27 毎日 「事故通報など2条約を採択」
ウィーンで開かれていたIAEAの閣僚レベル特別総会は26日午後、「原子力事故早期通報条約」および「原子力事故または放射線緊急事態における援助条約」の2つの多国間条約と、特別決議を全会一致で採択し閉幕した。

86/09/30 朝日 「チェルノブイリで運転再開」
ソ連政府機関紙イズベスチヤは29日、チェルノブイリ原発の1号炉が同日、5カ月ぶりに運転を再開した、と発表した。

86/10/23 原産 「自然被曝量の1%増加」
西独の放射線防護委員会このほど、ソ連のチェルノブイリ原発事故によって最も大きな影響を受けたミュンヘン地方での被曝線量は自然被曝の年平均量の25?55%の増加をもたらすことが明らかになった、と発表した。今回の事故のフォールアウトによる積算被曝量は、自然被曝による全寿命積算被曝量の1?5%に相当するが、その他の地域の大部分では1%かそれ以下の増加。

86/10/31 産経 「事故処理作業員12人射殺さる?」
ソ連から西側に亡命したエストニア人で組織する「亡命エストニア人連帯委員会」は30日、ストックホルムで記者会見し、チェルノブイリ地区で今年6月、汚染除去作業に動員されたエストニア人300人が抗議ストを行い、うち12人が軍隊により射殺されたと語った。

86/11/06 毎日 「スウェーデンで、いま何が」
広大な北部スウェーデンの山野でとられたシカの肉から相次ぎ許容値(1キロにつき300ベクレル)をこすセシウム137が検出され食用が禁じられている。9月に入って処理された1万2900頭のうち1万預頭が穴に葬られた。ヘルシングランド湖でとれた魚は1万8300ベクレルものセシウムに汚染されていて、こちらも食用が厳禁となった。

86/11/22 読売 「北欧産粉ミルク、タイで回収命令」
タイ厚生省の食品医薬品局は(FDA)20日、デンマーク製のネスプレー、ラクトゲン両粉ミルク、オランダ製のベア印粉末離乳食など7製品から、キロ当り24?66ベクレルの放射性物質が検出された。タイ政府設定の許容基準量21ベクレルを上回っているため、FDAは即時回収命令を出した。

86/12/10 東京 「放射性物質を人力で撤去」
チェルノブイリ原発で今年9月、事故炉の封鎖作業中に人力で放射性廃棄物を撤去した兵士が英雄称号を受けた。9日付けのソ連国防省機関紙「赤い星」によると、タカラノフ少将率いる作業部隊は、事故のあった4号原子炉の屋根に堆積した数10トンの放射能廃棄物と燃料を除去する任務を与えられたが、遠隔操作のロボットが使用不能となった。このため、20キロの防護服で身を固めた志願兵5人がヘリで屋根に降り、放射能黒鉛をシャベルで4号炉の内部に戻したという。作業は1分13秒続けられ、この間兵士は3.6レントゲンの放射能を浴びた。

86/12/12 デイリー東北 「オーストリアが最悪」
国際エネルギー機関(IEA)が10日発表した資料によると、チェルノブイリ事故にともなう放射能汚染は、経済協力開発機構(OECD)加盟国中では、オーストリアが最悪で、ついで西独、フィンランドの順になっている。事故発生から1年間の放射線量推定値は、オーストリアで643マイクロシーベルト、西独で557マイクロシーベルト、フィンランドで513マイクロシーベルトなどとなっている。日本は0.2マイクロシーベルト。

86/12/15 朝日 「農業再開準備も」
ソ連共産党中央委員会と閣僚会議は14日付けのソ連各紙に声明を発表し、チェルノブイリ原発事故の緊急対策作業が完了したことを最終的に報告した。この中で、同原発から30km圏と隣接する地域の放射能汚染が「劇的に改善された」として、農業活動再開のための条件が形成されつつある、としている。事故炉は、30万立方mのコンクリート、6000トンの金属構造物で密閉され、放射能汚染源ではなくなった。1号炉と2号炉が9月末から10月にかけて運転再開した。総勢約11万6000人が疎開し、設備の整った庭付き一戸建て住宅約1万2000軒と社会・文化施設約200が建設された。

86/12/31 読売 「避難住民、1500人自宅に」
チェルノブイリ事故のため避難していた白ロシア共和国ゴメリ州グジェニ村(原発の北方30km)の住民が30日、8カ月ぶりに自宅に戻った。同村周辺のイワノフカ、リュドビノ、パセカなど計12村の住民も年内に帰村、これまでに約1500人が帰宅した。