チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1990年)

 

 


90/01/06 朝日新聞:タス通信(5日)
ウクライナ共和国政府が、キエフ、ジトミール両州の住宅地域数カ所から住民を避難させることを決定。2年以内に5500人が移住。

90/02/02 河北新聞:タス=共同
ソ連の科学者グループは、チェリノブイリ原発4号炉の「石棺」の補強法を検討中。

90/02/17 毎日新聞:モスクワ=共同
タス通信によると、ウクライナ共和国では、汚染除去のためすでに80億ルーブル(約2兆円)を投入。2005年までにあと200億ルーブルが必要。

90/02/17 毎日新聞:モスクワ=共同
白ロシアの作家、アダモビッチによると45万人の避難がさらに必要。チェルノブイリ同盟のチレスによると、事故後3年間に72人の関係者が死亡。ドキュメント映画を撮影したカメラマンのグレビニュク(42)が15日夜死亡。

90/03/06 朝日新聞:モスクワ5日=UPI共同
ウクライナ共和国最高会議は、2月17日チェリノブイリ原子力発電所を5年間閉鎖することを決議。半年以内に具体的方策を策定。

90/3/12
臨時ソ連人民代議委員大会が開催され、共産党の指導的役割を定めた憲法6条の廃止と大統領制の導入が決定される。ゴルバチョフが大統領に選出される。

90/04/04 河北新聞:ロンドン4日=共同
ポーランド、クラクフで開かれた医学の倫理に関する会議で、ミンスクの白ロシア大学教授、オレグ・ザデロ教授が、チェリノブイリ事故の結果、白ロシア、ウクライナ合わせて今後数千人の死者がでると警告。オレグ教授によると、白ロシアの住民200万人が放射線レベルの高い「汚れた領土」に住み、10万人はさらに強い放射能のなかで汚染穀物を食べている。またウクライナの代表団は、疾病や免疫不全が急増している事実を報告。

90/04/06 北海道新聞:モスクワ5日
タス通信によると、プリピャチ川下流とキエフ貯水池の上流で、ストロンチウム90やセシウム137が蓄積。汚染は深刻で、今後の水資源利用を制限する必要があると、ウクライナ共和国水生生物学研究所の部長が述べた。

90/04/09 日経新聞:モスクワ8日
ゴルバチョフ大統領は、チェリノブイリ事故の被害住民に対する援助の大統領令を発令。周辺地域の子供や青少年のために、医療・保養施設を優先配分するよう要請。またソ連閣僚会議と保健省は、事故周辺地域で働く労働者のメディカルチェックを実施する方針を打ち出した。

90/04/10 北海道新聞:モスクワ9日
ウクライナ共和国政府は9日、世界各国の政府、市民組織に対しチェリノブイリ事故の汚染除去作業への協力を求めるアピールを行った。ウクライナ共和国のかなりの地域が汚染され、1614の居住地域が危険ゾーンのなかにあると指摘。

90/04/12 朝日新聞:ハバナ10日時事
キューバ政府は、チェリノブイリ事故で障害を負った子供たちを病院に受け入れた。ハバナの病院には113人が収容されている。みな放射線被曝で甲状腺、白血球に異常が見られるという。

90/04/19 毎日新聞:ニューヨーク=タス
ユニセフの委員会で白ロシア共和国の代表団は、チェルノブイリ事故で3万7千人以上のソ連の子供達が、ガンや貧血、心臓病で苦しんでいるとし、子供達のための援助を要請。白ロシア共和国は人口220万人で、子供は約80万人。

90/4/21 読売:モスクワ=記者
ソ連のビタリー・ドグジェフ副首相は、25日の人民代議員大会で、汚染地区の住民18〜20万人を新たに1993年までに移住させる計画を報告した。

90/04/24 毎日新聞
ウクライナのヤコブレフ医師が来日、23日記者会見した。同共和国では4つの州と10の地区が厳重管理区域に指定され、居住する数百万の住民のうち、妊婦、新生児の健康調査が行われている。内臓障害などの先天障害をもった子供の出生は、1985年は1000人に22人だったが、昨年は30人に増加。甲状腺ガンの子供が2人発見されたほか、妊婦の免疫機能の低下、子供の呼吸機能や胃腸の障害、貧血が増加しているという。妊婦の妊娠中毒症は事故前の1.5倍、貧血は2.5倍、未熟児出産や死産も増加傾向。

90/04/25 毎日新聞:モスクワ=時事
23日のプラウダによると、汚染地域から今年、さらに1万4千人を避難させる計画が進められている。ウクライナ共和国の6地域、計32地区が汚染されており、そこに住む住民は20万人以上に上る。

90/04/26 毎日新聞:モスクワ=時事
ソ連最高会議のシチュルバク代議員は25日、チェルノブイリ事故による死者は公式発表より十倍多い約300人に達すると発表。ウクライナの市民組織「チェルノブイリ連盟」が算定したもの。汚染除去、避難、加療などで今後1800億〜2500億ルーブル(40〜55兆円)が必要と見込まれるという。またドグジェフ副首相は25日、ウクライナ、白ロシア、ロシア3共和国で、1993年までに18〜20万人を避難させる計画を明らかにした。

90/04/27 毎日新聞
白ロシア共和国の反原発の作家で人民代議員のアダモビッチ氏が来日、26日記者会見。チェルノブイリ事故について「死者は数万人にのぼるとみられ、白ロシアだけで200万人が正常な生活を営めない」と語った。

90/04/30 毎日新聞:シアトル=AP
チェルノブイリ事故で復旧活動を行い、白血病の症状がでたソ連人パイロットが27日、米国シアトルの病院で骨髄移植手術を受け、手術は無事終わった。生存率は25〜75%という。

90/5/1 日本海新聞:ロンドン=共同
エリツィンソ連人民代議員は、サンデータイムス紙との会見で、チェルノブイリ事故後、ソ連共産党政治局会議が、事態の重大さを隠す決定を全員一致で行っていたことを明らかにした。当時政治局員候補だったエリツィン氏自身も反対しなかったという。

90/5/9 毎日:モスクワ=時事
ソ連国家産業・原子力発電安全委員会は、チェルノブイリ原発で約150件の安全規定、基準違反を発見、欠陥が修正されない場合、11日から操業を停止することを決定。

90/5/11 朝日:ウィーン10日
IAEAは10日、10月に専門家らでつくる国際諮問委員会(委員長重松逸造)が信頼度の高い報告書をまとめる、などの行動計画を発表。各国の約100人の専門家が参加。

90/5/11 読売:モスクワ=記者
チェルノブイリから4年、国営TVの24時間の特集など、関心が盛り上がる。イズラエリ国家気象委員長は、「事故当時私は真実をリーダーたちに伝えた。しかし、テレビではうそを言った」と発言。ウクライナでは、事故後住民に危険を知らせなかったシェフチェンコ共和国最高会議幹部会議長の裁判を要求する声が噴出、「ウクライナ独立」、「レーニン主義打倒」の叫びにまで発展。

90/5/15 毎日:モスクワ=三瓶記者
パブロフ・ソ連蔵相は、議会が財政事情を無視した法案を採択しているという書簡をルキヤノフ最高会議議長に送り、強い不満を示した。チェルノブイリ救済で1993年までに160億ルーブルのほか、年金法案について。

90/5/25 朝日:モスクワ=記者
カザフ共和国の首都アルマアタで24日、日本、米国、西独など約20ヶ国から約700人が参加し、核実験禁止国際市民会議が開かれた。

90/5/26 朝日
来日中の白ロシア科学アカデミーのコレシコ教授は、白ロシアでは今年中に100万人の住民が新たに避難を迫られることになる、との衝撃的な事態を明らかにした。90/6/3

朝日:モスクワ=記者
ウクライナ共和国最高会議はこのほど、共和国政府に対してチェルノブイリ原発のすべての原子炉を閉鎖する計画づくりを進めるための特別委員会を設置するよう決議した。

90/6/4 朝日:RP=東京
ソ連西部のサラトフ州バラコボ市で1日、操業中のバラコフスカヤ原発の第2期計画に反対する集会が開かれ、原発へ至る道路が「人間の鎖」で封鎖された。反対運動を組織しているのは、バラコフ市の医療関係者と「緑の党」活動家。

90/6/15 サンケイ:ロンドン=共同
ソ連政府は14日、フィンランドの放射能防御センターの問い合わせに対し、1975年11月30日レニングラード原発で放射能漏れ事故があったことを認めた。

90/6/16 毎日:ロンドン=共同
ソ連政府はフィンランド放射能防御センターの問い合わせに対し、1975年レニングラード原発で重大な放射能漏れ事故があったことを認めた。75年11月30日1号炉で運転開始直後に燃料回路から放射能が大気中に漏れたが、住民を避難させることもなく2週間後に運転再開。100kmしか離れてない防御センターの記録では放射能の上昇は感知されていない。

90/6/18 朝日:キエフ=松本記者
キエフで17日まで3日間、チェルノブイリ被曝者第1回全ソ大会が開かれた。これまでばらばらだった組織を統一しようと各地から1000人を越す代表が集まった。大会での報告によると、除染に参加した人は合計60万人、うち4分の1が正規軍人で、残りのほとんどは、「ズボレ」と呼ばれる民間人。約5万人が重い放射線障害による病気に侵され、200〜300人に1人の割合で死亡した。最終日、「全ソ・チェルノブイリ同盟評議会」が正式に発足した。

90/6/19 朝日:キエフ=渥美・花井記者
「ゾウの足」などの写真、研究者とのインタビュー。

90/6/23 北海道:RP
モスクワ放送によると、ロシア共和国人民代議員大会は、放射能による環境汚染防止のための緊急措置に関する決議を採択、「国家計画が採択されるまで、ロシア領内に新しい原発建設を認めない」としている。

90/6/27 北海道
ソ連生物物理研チェリャビンスク支所のコセンコ臨床部長は、「日ソ放射線影響に関する講演会」で、1949年チェリャビンスクのプルトニウム生産用施設で大量の放射性廃棄物が近くの川に流れだし、住民2万8千人がひばく、という事実を明らかにした。総量で300万キュリー、平均0.4グレイのひばく、33年間に37人の白血病。

90/7/4 朝日:シアトル=AР
米フレッド・ハッチンソンがん研究センターで骨髄移植手術を受けたソ連人のヘリコプター操縦士アナトリー・グリシェンコさん(53)が、2日深夜心不全で死亡。

90/7/8 朝日:モスクワ=共同
ソ連共産党大会で、白ロシア・ゴメリ州選出の女性代議員が、新生児の死亡率が急増するなど住民の健康に大変な異常が起きていると報告。1985年と89年を比べると新生児死亡率が4.1倍、視覚障害発生率3倍、血管障害8倍など。データの出所は明らかにしなかった。

90/7/9 毎日:モスクワ=共同
白ロシア最高会議はこのほど、ソ連国防省に対し、ゴメリ、モギリョフ州などチェルノブイリ被災住民の徴兵免除と医療部隊の駐留を要請する声明を採択。

90/7/9 朝日:モスクワ=渥美記者
ミンスク大学のペトリャエフ教授によると、白ロシア汚染地帯の住民の肺の中に多量のホットパーティクルが存在。

90/7/10 朝日:キエフ=竹内・花井記者
チェルノブイリ労働者の新しい町、スラブジチ訪問記。原発から東50km、人口2万。元プリピャチ市民は850家族約2000人。周囲の松林は1平方km当たり4〜12キュリーの汚染。

90/7/12 朝日:RP=東京
白ロシア共和国最高会議は、同共和国を環境汚染地域に指定し、この決定を世界世論に通達するよう自国の国連常駐代表に指示した。また、遅くとも1992年までにチェルノブイリ原発を閉鎖することについてのウクライナ共和国の要求を支持した。

90/7/14 朝日:モスクワ=共同
ソ連共産党大会は最終日の13日、チェルノブイリ事故について、「これまでのソ連指導部は原子力産業と緊急時の住民保護に重大な誤りを犯した」と非難する決議を採択。

90/7/17 朝日:モスクワ=松本、花井記者
チェルノブイリ事故の原因は、運転員のミス以上に設計上の欠陥が大きかったことが、ソ連の国家原子力安全監視委員会の未公表文書(1990年2月15日付)で判明。制御棒に致命的な設計ミスがあり、緊急停止時に逆に核反応が促進された。この欠陥は事故の2年前に内部で指摘されていたが改善されないままだったという。

90/7/21 福井:RP=共同
白ロシア最高会議は、1平方km当り1キュリー以上の汚染地域の居住民に対し、8月1日以降、毎月15ルーブルを支給することを決定。

90/7/23 朝日:ミンスク=白井記者
白ロシア共和国のケビチ首相が20日ミンスクで記者と会見、連邦政府原子力発電省を相手取って損害賠償の提訴も辞さない、と表明。白ロシアがこうむった損害は1000億ルーブルに上り、将来もっと増えそうであるが、連邦政府がこれまでに共和国に提供したのは4年間で25億ルーブルにすぎない。一方白ロシアの財政規模は年間約110億ルーブル。

90/7/24 日経:モスクワ=共同
イズベスチヤによると、ロシア共和国スモレンスク原発で22日電気系統の火災が発生、原子炉は自動停止し放射能漏れはなかった。

90/7/30 朝日:モスクワ=ロイター
ソ連国家原子力監視委員会のA・マザロフ委員長は、チェルノブイリ原発の同型炉は安全基準を満たしていないため、6月11日から出力を70%に落として運転していると明らかにした。RBMKの主に1965年から1975年に建設された炉で、重大事故時に格納容器がないことを指摘。

90/7/31 毎日
チェルノブイリ被災地救援のため、医薬品、測定器などを送ろうと福井県内住民が「白ロシアの現状を知る会」を結成。

90/8/1 北海道:カイロ=大沼記者
エルサレムに本部をおくユダヤ教組織の招きにより、チェルノブイリ事故で被災したソ連国内のユダヤ人の子供3000人が近くイスラエル入りする。すでに第1陣200人がウクライナを出発。

90/8/3 河北:モスクワ=共同
ウクライナ共和国最高会議は1日、チェルノブイリ原発の閉鎖と共和国の将来のエネルギー計画を策定する決議を採択。賛成363、反対5。今年12月1日までに具体的計画を策定。同共和国では現在15基が運転中、建設中が3基。

90/8/4 日経
日本赤十字は4日、チェルノブイリ事故の救援として、医療機器(1400万相当)と援助金1300万円を贈ることを決定。

90/8/7 福井
広島原水禁大会に参加のキエフのイリーナ・ゴルディンコ医師によると、チェルノブイリ事故の結果、妊婦子供の被害が深刻。甲状腺異常は軽度のものも含め、妊婦で1万5千人、子供で5万人、出生直後の乳児で約3万人にのぼる。

90/8/11 朝日:RP=東京
IAEAは10日、白ロシア共和国のゴメリに事務所を開設。事務所長によると、ソ連政府の招待で17ヶ国の専門家がチェルノブイリ事故の分析をしている。

90/8/15 北海道:モスクワ=伊藤記者
笹川財団の調査団が14日モスクワで記者会見し、毎年約10億円を5年間、約50億円をチェルノブイリ被災者の医療活動に役立てると発表。

90/8/18 朝日
エストニア共和国に住むチェルノブイリ被曝者に、注射器1万本を送ろう、という運動が17日スタート。「エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金」で呼びかけ人は大石武一ら18人。

90/8/20 毎日:ウィーン=時事
IAEAの専門家グループが、チェルノブイリ原発で新たな放射能漏れが起きる可能性があると指摘。放射能と熱のためコンクリート壁が崩壊する危険。

90/8/28 日経
日本被団協は、広島・長崎の被爆者4人を、28日からキエフなどに派遣し、チェルノブイリ被災者と交流することになった。

90/8/30 朝日:特集
ソ連原子力発電省エネルギー研究所のコリャキン教授によると、チェルノブイリ事故がもたらした被害額は、最低1500億ルーブル最高2150億ルーブルの2000億ルーブル。ただしこれは15年間分。農業損害が575〜945億、原発停止・建設停止で668億、移住、除染等事故処理で350〜450億。医療関係費は入っていない。

90/9/1 日経
チェルノブイリ原発から約3kmのプリピャチの屋内で被曝した砂糖を測定した結果、学校で平均0.068グレイ、書店で0.055グレイであった。放医研の中島らがESRで測定したもの。

90/9/2 福井
チェルノブイリ原発などを視察したIPPNW日本支部の訪ソ団5人が31日帰国し記者会見。広大横路教授によると、チェルノブイリ事故処理にあたった十数万人のうち、これまでに246人が急性放射線障害などで死亡。

90/9/4 毎日
チェルノブイリ救援のため現地入りしていた「チェルノブイリ救援・中部」が帰国会見。救援物資受け入れで信頼できる団体が見つかった、とのこと。

90/9/6 毎日
中山外相とシュワルナゼ外相は日ソ外相定期協議を終え、「チェルノブイリ原発事故に関する日ソ協力の覚え書」など4文書を交換。

90/9/7 毎日
「チェルノブイリ原発事故に関する日ソ協力の覚え書」で、年内に両国の放射線医学専門家などが相互訪問することが決まった。

90/9/14 朝日:モスクワ=大野記者
カザフ共和国東部のウスチ・カメノゴルスク市にある核燃料製造工場で12日、爆発と火災が発生。爆発は、同市のウリビンスキー冶金工場にあるベリリウム生産施設の地階で発生、ベリリウムが飛散。

90/9/15 読売:モスクワ=浅見記者
コモソモリスカヤ・プラウダは14日、1954年ウラル南部で行われた核実験で付近住民が「人体実験」の対象にされた、と報道。1954年9月14日オレンブルグ市近くのトツキー地区で約10キロトンの核実験を実施。前日に地区の住民に対し家屋のすべての扉、窓、煙突を開放するよう要請、多くの住民が「爆発を直視しない」ことを条件に戸外にいることを義務づけられた。

90/9/16 読売:モスクワ=浅見記者
ミンスクの放射能治療研究所から、コンピューターディスクが盗まれ、チェルノブイリ被災者約50万人と汚染町村2万のデータが消去されてしまった、とタス通信が報じた。

90/9/20 毎日:モスクワ=石郷岡記者
カザフ共和国の東カザフスタン州議会幹部会は19日、同州を環境汚染被災地域に宣言するとともに、ウスチノカメゴルスク市周辺2カ所の核燃工場の閉鎖を決定した。

90/9/21 毎日:ニューヨーク=共同
国連のデクエヤル事務総長は19日、チェルノブイリに国連調査団を派遣すると発表、団長は欧州経済委員会のヒンテレッガー事務局長で9月中に被災地入り。

90/9/22 毎日:ウィーン=共同
「チェルノブイリ国際研究センター」の設立協定が、IAEAブリックス事務局長とソ連コノワロフ原発工業相らの間で調印された。

90/9/29 朝日:モスクワ=松本記者
チェルノブイリ事故についてソ連国家原子力安全監視委員会は28日までに、生存者などの証言から、運転員が緊急停止ボタンを押したのは原子炉を止めるための通常の行動だった、緊急停止ボタンを押してからはじめて原子炉の出力が急増した、などの事実を確認した。最終報告は年末に発表される。事故当時制御室には6人がいたがいずれも、「爆発の前に実験が終わり、そのときは何もなかった」と証言している。

90/9/30 朝日:ウィーン=竹内記者
IAEAは、ソ連東欧のソ連製旧型原発に対し、緊急の実態調査団を編成し、10月1日から総点検を始めることを決定。過去の運転、事故記録を調べる安全性評価チームと、設計条件などを点検する設計・運転システム評価チームの二つを編成する。

90/9/30 読売:モスクワ=ロイター
カザフ共和国の核燃料工場爆発事故で、すでに12万人がベリリウムガスで汚染された可能性が強いと、カザフタン州環境保護委員会議長が明らかにした。ウスチノカメノゴルスク市では6万人の市民が工場の閉鎖を訴えてデモ。

90/10/2 毎日
姉妹都市のキエフ市から寄せられた援助要請文を京都市が4カ月余りも放置していたと判明。キエフを訪れた「若狭の原発を案じる京都市民の会」のメンバーの調べでわかったもの。同じ姉妹都市、ミュンヘンはすでに援助に乗り出しているという。

90/10/2 北海道:モスクワ=共同
カザフ共和国セミパラチンスク州議会は、セミパラチンスク核実験場での実験を禁止する決議を採択。

90/10/8 河北
姉妹都市ミンスクからの代表団来仙台を前に、チェルノブイリ事故被害を紹介する写真・が8日から市役所ロビーではじまる。写真は白ロシアの対外友好協会から仙台市に送られてきたもの。

90/10/11 北海道
チェルノブイリ事故処理で被曝したエストニア・チェルノブイリ委員会のイラク氏が来日。エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金が招いたもの。広島大原医研に入院。

90/10/13 河北:モスクワ=共同
コムソモリスカヤプラウダによると、チェルノブイリ事故による汚染肉が今でもロシア共和国各地でソーセージなどに加工されて売られている。1986年6月国家農工委員会は、各地の食肉コンビナートに対し、汚染地域で飼育された家畜の肉は加工して出荷するよう勧告、その勧告は毎年延長されてきた。

90/10/18 朝日:モスクワ=時事
ソ連労組機関誌トルードは、ソ連極東近海で4年前、ソ連原潜の事故が発生、放射能汚染は海中だけでなく地上にも及んだと報じた。極東のシコトボ付近で地上部も2500平方km汚染されたという。

90/10/24 朝日:武居記者
建設中止になったクリミア原発のルポ。100万kwのPWR4基を建設するはずだったが、昨年10月6割できたところで政府が建設中止を決定。

90/10/27 朝日
広島の放影研で開かれていたWHOのチェルノブイリの健康影響に関する科学諮問会議は、オブニンスクに設立する「放射線保健問題国際センター」の活動内容について、20万人の疫学調査など六つのプログラムを決めた。疫学調査の対象は、甲状腺被曝の子供7万人、事故処理従事者4万人、汚染地区居住者4万人、避難者4万5千人。

90/11/2 毎日:モスクワ=時事
ロシア共和国最高会議幹部会と政府は1日、10月24日ノバゼムリャ島で行われた核実験を糾弾する声明を発表した。

90/11/3 毎日:ストックホルム=AP
スウェーデンで開かれた国際シンポジウムでソ連のザンゲローバ教授は、セミパラチンスクの過去40年間の核実験で周辺住民約50万人に健康障害、生まれた子供の3分の1に先天的障害と報告。セミパラチンスク地方の医学的報告は今年はじめまで機密あつかいであった。

90/11/7 朝日
「市民によるチェルノブイリ事故調査団」はこれまで未公開だったロシア共和国の汚染データを含む地図を作成。

90/11/13 日経
富山で開かれた世界テレビ映像祭に参加し、「白血病に苦しむ子供たちのため注射針を500ドル売って下さい」と訴えていたテレビプロデューサー、ソボレバさんのもとに善意の寄付が続々集まった。

90/11/14 日経
広島を訪れているカザフ共和国セミパラチンスク放射線医学研究所のグシェフ所長が記者会見。核実験場周辺の被曝住民は約50万人、他地域に比べ、ガンが40%、白血病が50%多く発生している。49〜65年にかけて200回以上の実験、ガンマ線だけで1〜160ラドの被曝と推定。被曝住民2万と別の地域2万を比較したもの。なかでも食道ガンは7倍、肝臓ガンと肺ガンは3倍。染色体分離異常は4〜7倍、乳児が免疫低下などで1才までに死亡する率は1.5〜2倍。

90/11/17 毎日:モスクワ=時事
エストニア共和国政府は15日、同共和国内での原発建設を今世紀中は全面禁止することを決定した。

90/11/22 毎日
広島訪問中のセミパラチンスク放射線医学研究所のグシェフ所長によると、セミパラチンスクでの核実験は1949年から昨年までに636回。1965年までに大気圏128回、地上138回。以降地下370回、このうち12回以上地上にガス漏れ。

90/11/27 朝日
タス通信によると、ウラル南部のチェリャビンスク州議会は22日、住民の反対で凍結していた南ウラル原発建設の再開を圧倒的多数で可決した。

90/12/1 毎日
政府は30日の閣議で決定した補正予算に、チェルノブイリ被災者対策費として26億1000万円を計上。WHOが11月22日に行ったアピールに応じたもの。

90/12/12 毎日:ヒューストン=重村記者
ベーカー国務長官とシュワルナゼ外相は11日、地下核実験制限条約と平和目的核爆発条約の批准書を交換。地下制限条約は150`d以上の実験を禁止、平和核爆発条約は定められた実験場以外での実験に関する条約。それぞれ74年と76年に調印されていたもの。