チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1993年)


 

1993/1/1 毎日:モスクワ時事
放射性廃棄物の海洋投棄を調査中のロシア政府委員会は30日声明を出し、旧ソ連時代から放射性液体廃棄物を日本海を含む極東海域へ投棄していたことを明らかにした。極東への海洋投棄が確認されたのははじめて。

1993/1/7 毎日:モスクワ時事
ロシア全土の原発で、昨年1年間に発生した事故は205件、1991年の172件より33件の増加。

1993/1/14 毎日:モスクワ・共同
チェルノブイリ原発で12日夜小規模な火災が発生。12日午後11時頃原子炉1号機と2号機の中間にある機械設備付近で火災、職員が約30分後に消火。原因は電気系統の故障。

1993/1/25 毎日:モスクワ・共同
ウクライナテレビは22日、チェルノブイリ原発1号機の発電機内に機会油が漏れ、発電が停止したと伝えた。

1993/1/28 毎日:モスクワ・石郷岡記者
ロシア政府幹部会は27日、1940-50年代に起きたウラル地方の核事故を協議し、被害の調査、対策に本格的に乗り出す決定をした。汚染事故により50万人に被害を及ぼしたとされる。

1993/2/5 毎日
G7は5日までに、旧ソ連・東欧の原発安全対策を進めるための基金設立で最終合意した。基金の規模は当初7500万ドル。

1993/2/16 毎日:モスクワ・石郷岡記者
イズベスチヤ紙は15日、ウクライナに配備されている戦略核ミサイルの安全は危機的状況にあると報じた。各地のミサイルは補修がされないまま配備されている。

1993/3/6 毎日
医療研修で広島に滞在中のセケルバエフ・カザフ放射線医学生態学研究所副所長は、5日の記者会見で、セミパラチンスク核実験場周辺住民の白血病発生率が通常の100倍以上であると発表した。

1993/3/31 毎日
宮沢首相は30日の参院予算委員会で、ロシアが日本海などに放射性廃棄物や原潜の原子炉を投棄していた問題について、投棄の即時中止と事実関係の調査をロシア側に申し入れたことを明らかにした。

1993/4/2 毎日:モスクワ時事
ロシア政府調査委員会の報告書によると、ロシア海軍太平洋艦隊は昨年4回にわたって放射性廃棄物を海洋投棄。液体が8.9キュリー、固体が15キュリー。

1993/4/5 毎日
アルメニア政府は12日、1988年の大地震後から運転を停止していたアルメニア原発を、電力不足のため運転再開する決定を行った。準備作業に約1年かかる見通し。

1993/4/6 毎日:モスクワ共同
5日のタス通信によると、セミパラチンスク核実験場のあるカザフスタンで、2億3000万トンもの放射性廃棄物が、指定された投棄場所以外に放置されていることが同国の環境調査で明らかになった。

1993/4/6 毎日:モスクワ・共同
西シベリアの閉鎖都市「トムスク7」で6日、ウラン溶液の入ったタンクが爆発、工場の屋根が吹き飛び、液が飛散。

1993/4/7 毎日:モスクワ・石郷岡記者
ロシアのヤブロコフ大統領顧問は6日、極東地域では現在も液体廃棄物の投棄が続けられ、中止する計画はない、と語った。

1993/4/7 毎日
チェルノブイリ事故で現在も高濃度に放射能汚染され、住民が強制移住させられているベラルーシのチェチェルスク地区に、旧ソ連各国から民族紛争や内戦による難民約2000人が入ってきていることが判明した。この事実を明らかにしたのは、来日中の同地区のセチカ保健局長らで、難民の数はさらに増えつつある。

1993/4/8 毎日:モスクワ・飯島、石郷岡記者
トムスクの事故に関しロシア当局は「放射能汚染地域は約200平方kmと推定される」と発表。中心地から半径4−5kmで3−4ミリレントゲン、29km地点で0.4ミリレントゲンを記録した。ロシア原子力省は事故の規模をレベル3と発表。

1993/4/9 毎日:モスクワ・石郷岡記者
トムスク7事故による汚染は、幅9km長さ20kmに広がっている。爆発の原因となった溶液にはウラン235とプルトニウム237が含まれていた。

1993/4/13 毎日
チェルノブイリ原発1号機で12日、タービン発電機の事故があり原子炉が止まったが放射能漏れはなかった。

1993/4/15 毎日:モスクワ時事
イズベスチヤ紙は15日、ウクライナの税関当局が、オデッサに近いイリイチェフスク港で80トンの核燃料が入った正体不明のコンテナを発見したと報じた。

1993/4/21 毎日
来日中のベリホフ・ロシア科学アカデミー副総裁は20日、国際シンポジウム「核兵器の廃棄とプルトニウム」で、今後は海洋投棄が行われないようにすべきである、と述べた。

1993/4/24 毎日:ジュネーブ・ロイター
WHOは23日、チェルノブイリ事故が原因でベラルーシの子どもの甲状腺ガンが24倍に増え、と発表した。

1993/4/27 毎日
日本原産会議の大会でチェルノブイリ事故の影響評価に関するシンポジウムが行われた。
蔵本広大原医研所長は、影響は実証されないとするIAEAの報告について、「データは医学的根拠を持ち信頼できる」と述べた。

1993/4/30 毎日:モスクワ共同
ロシア国家原子力監視委員会のアダムチュク部長は、今年2月のコラ原発の原子炉停止について、原子炉冷却に関する人為的ミスが主因で、あと1時間余りで重大事故になるところだったと明らかにした。

1993/5/15 毎日
ストロンチウム90の放射線源を積んだ旧ソ連のヘリコプターが1987年にサハリン東方のオホーツク海に墜落する事故のあったことを、科学技術庁が14日明らかにした。放射性廃棄物の海洋投棄に関する日ロ合同作業部会でロシア海軍が説明。放射能量は35万キュリー。

1993/5/22 毎日:モスクワ共同
ウクライナ中部のザポロジェ原発で21日午後火災が発生、1人が焼死1人が重傷。火災の原因は溶接作業の火花が、漏れた水素に引火したため。原子炉部分とは無関係。

1993/6/29 毎日:キエフ・ロイター共同
ウクライナ中部のザポロジェ原発で28日、1基の原子炉の炉内圧力が急上昇したため運転を停止した。

1993/6/30 毎日:モスクワAFP時事
イズベスチヤ紙は29日、ロシアとウクライナ両国が、ウクライナ内にある約1600発の戦略核弾頭の解体に関する取り決めに調印すると伝えた。ロシアは見返りとして、ウクライナに原子炉用の燃料を提供するとともに、解体弾頭ウランの販売利益の一部を与える。

1993/7/20 毎日:モスクワ・石郷岡記者
ロシア・チェリャビンスク郊外の核生産工場「マヤック」で17日夜、放射能汚染事故が発生。プルトニウムを抽出するタンクで化学爆発が発生。事故の規模はレベル1の見通し。

1993/8/6 毎日:モスクワ時事
インタファクス通信は5日、今年上半期にロシア国内の原発で起きたトラブルは90件にのぼると報じた。うち。「深刻な」事故は2件。

1993/8/15 毎日:モスクワ・石郷岡記者
イズベスチヤ紙は13日、原爆実験場で爆発直後の演習を行った旧ソ連軍兵士がロシア国防省を相手に損害賠償の訴えを行ったと報じた。訴えたのはソロキンさん、68歳。1954年9月、トツコエの原爆演習に参加。

1993/9/17 毎日:モスクワ支局
ロシア国防省筋は15日、ウクライナのペルボマイスク核弾頭保管貯蔵施設内部の温度と放射能値が上昇した事故に関する調査結果を発表した。事故の原因は限定された空間内に基準以上の核弾頭を集積させた結果、核物質が相互反応した、というもの。

1993/10/14 毎日
ベラルーシの子どもの甲状腺ガンが急増し、事故前に年平均1人だったのが、昨年は65人にも上っていることが判明。この8月現地を訪れた市民グループ「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」が入手した資料による。

1993/10/18 毎日
グリンピースは17日、放射性廃棄物を積載したロシア海軍専用船「TNT-27」が、日本海での液体廃棄物投棄を開始したと発表した。「グリンピース号」の乗組員が小型ボートで接近、自然状態の10〜17倍の放射線を検出。

1993/10/19 毎日:モスクワ・三瓶記者
日本海への放射性廃液投棄について、ロシア環境天然資源省の次官は、近く2回目の投棄を行うことを明らかにした。16日に行った投棄は、800トンで40億ベクレル。2回目は900トンの予定。

1993/10/23 毎日
ロシアのミハイロフ原子力相が22日来日し江田科技庁長官と会談。ミハイロフ原子力相は、「廃棄物処理を進める資金にするため、ウランを購入してほしい」と提案した。

1993/10/27 毎日
来日中のロシア原子力省のミハイロフ大臣は、科技庁で記者会見し、日本海への投棄はもう行わないと言明した。

1993/10/30 毎日:ウラジオストク・飯島記者
ロシア海軍のカサトノフ第1副総司令官は29日ウラジオストクで記者会見し、液体廃棄物の日本海投棄を今後も続けるとの方針を表明した。

1993/11/11 毎日:ロンドン・菊池記者
ロンドン条約改正のための国際会議は10日、ロンドンの国際海事機関本部で分科会を終え、低レベル放射性廃棄物の海洋投棄について、「25年ごとに見直す」との条件で全面禁止する方針を決めた。英国やフランスは反発。

1993/11/29 毎日:モスクワ時事
イズベスチヤ紙は27日、モスクワの犯罪組織が放射能を武器にして殺人を行っている疑いがあると報じた。ある企業の社長のいすに高濃度の放射性物質が長期にわたって仕掛けられ、その社長は死亡した。

1993/12/18 毎日:モスクワ・時事
放射性廃棄物の海洋投棄に関するロシア政府委員会は、海洋投棄の完全中止のため廃棄物処理施設を1994年末までに建設するとした報告書をまとめた。ロシア政府はこれを基に日本などへ建設費への協力要請をすると見られる。