チェルノブイリ新聞切り抜き帖(2003年)


 


 

03/01/09 原産新聞
ブルガリアのコズロドイ原発は2002年12月31日、1、2号炉(第1世代VVER各44万kW)を予定通り閉鎖した。最新型の5、6号炉(各100万kW)は順調に稼働中だが、3、4号炉については、EU加盟と引き替えに停止するよう圧力がかかっている。

03/01/14 毎日
ロシア・チェリャビンスク州オジョルスクのマヤク再処理工場で、放射能による環境汚染を起こした可能性のため運転を停止したとロシア国家原子力監視委員会が13日発表した。工場付近のカラチャイ湖や人口貯水池に流れ込む放射性廃液が飲料水を汚染した恐れがある。

03/02/20 原産新聞
明比道夫氏(原安協参与、富士電機顧問)はこのほどキエフで、ウクライナ・燃料エネルギー省より、原子力功労証書を受けた。明比氏は、平成7年度よりウクライナとの技術交流活動に従事し、原子力安全・環境省の科学技術センターを中心に多方面にわたる技術交流を行ってきた。

03/02/27 原産新聞
世界原子力発電事業者協会(WANO)は19日、ブルガリアのコズロドイ原発3、4号炉のピアレビューを6月2日から13日まで実施することになったと発表した。コズロドイ1、2号炉は昨年暮れに閉鎖されたが、3.4号炉については、EUが閉鎖を求めているものの、閉鎖反対の意見も根強い。

03/03/06 原産新聞
ベラルーシのルカシェンコ大統領は、同国内に原発を建設する意義を強調した。大統領は昨年5月、ロシアの原発建設計画への参加を希望していたが、今回は、国内に独自の原発を所有すべきだと述べた。

03/03/27 原産新聞
ブルガリアの原子力規制局は4日、格納容器のない旧式VVERであるためEUから早期閉鎖を求められていたコズロドイ4号炉に、新たに10年間の運転許可を発給したことを明らかにした。同原発の昨年の設備利用率は61.4%で、発電シェアは47.3%であった。

03/04 原子力学会誌4月号
カザフスタンは、ロシアの技術援助により、セミパラチンスク核実験場跡地のクルチャトフに熱核融合トカマク実験施設を建設する計画を進めている。2003年にも着工し2006年に完成する見込み。

03/04/03 原産新聞
リトアニア政府は3月19日、イグナリナ原発敷地内に使用済み燃料の中間貯蔵施設を建設する認可を正式に発給した。約8050万ユーロの総工費は「イグナリナ原発廃止措置支援基金」から賄われる。

03/04/17 原産新聞
ブルガリアの最高行政裁判所は3月28日、コズロドイ原発3、4号炉を2006年に閉鎖するとした、政府とEUとの合意は違法であるとの判断を下した。同国政府は2002年10月に2006年末までに3、4号炉を閉鎖すると発表していた。

03/05 原子力学会誌5月号
2003年2月にモスクワで開かれたロシアとカザフスタンの首脳会談で、バルハシ原発(VVER640、3基)をロシアの参加により建設することが確認された。アルマトイの北400kmのバルハシ湖岸ウルケンに64万kwのVVERを3基建設する計画。カザフスタンでは、カスピ海沿岸アクタウのシェフチェンコ原発で、高速増殖炉BN350(15万kW)が運転されていたが、1999年4月に閉鎖された。

03/05/15 原産新聞
ウクライナの国際チェルノブイリセンターによると、石棺を安全なシステムに改修するための国際プロジェクトで、今年中に請負業者の入札を開始する。98年にはじまった「シェルター実施プロジェクト(SIP)」では、欧州復興開発銀行(EBRD)の管理によるSIP基金3億ドルのうち、すでに1億2000万ドルが支出されている。

03/06/05 原産新聞
IAEAは5月22日、ハンガリー原子力委員会の要請を受けて、4月10日にレベルIIIの燃料破損事故が起きたパクシュ原発2号炉(VVER、46.8万kW)に安全調査団を送ると発表した。同発電所では、燃料洗浄用特殊タンクの中の燃料集合体30体が損傷をうけ、放射性ガスが大気中に放出された。

03/06/12 原産新聞
米国エネルギー省(DOE)は5月27日、ロシアの核兵器用プルトニウム生産炉を閉鎖するための請負業者として、WGIとレイセオンの2社を選定した。ロシアのセベルスクとジェレズノゴルスクには現在、1日半に1個の原爆製造が可能なプルトニウムを生産できる3基の原子炉が動いている。

03/07 原子力学会誌7月号
ウクライナ内閣は3月、建設が中断しているフメルニツキ2号とロブノ4号(ともにVVER1000)の完成に関する調査結果を承認した。完成費用は、前者が6億2000万ドル、後者が6億4000万ドルと見込まれている。

03/07 原子力学会誌7月号
リトアニア政府は3月、イグナリナ原発(RBMK1500、2基)のサイト内に設置する使用済み燃料中間貯蔵施設の設計と建設を承認した。2005年10月までに第1期の運用を開始し、2009年10月までに完成する。リトアニアは、EU加盟と引き替えに、1号炉を2005年に、2号炉を2009年までに閉鎖する。

03/07/03 原産新聞
川口外務大臣は6月28?29日、ロシアのウラジオストックを訪問し、日本の資金援助により原潜が解体されるズベズダ造船所を訪問した。

03/07/10 原産新聞
欧州復興開発銀行(EBRD)は6月30日、EBRDが管理する北方地域環境協力(NDEP)基金にフランスが4000万ユーロを拠出すると発表した。NDEPでは、原潜の解体によって発生した放射性廃棄物などを対象にしている。ノルウェーのベローナ財団によると、ロシア北方艦隊では、使用済み核燃料248炉心分、固体放射性廃棄物1万4000立方m、液体放射性廃棄物1万立方mを貯蔵している。

03/07/10 原産新聞
ハンガリー・パクシュ原発2号炉の燃料破損事故を調査していたIAEAチームが6月25日に報告書案を提出した。事故は、定検中に、原子炉から燃料を取り出し、洗浄タンクで洗浄中に多数の燃料が破損し、希ガス、ヨウ素が環境に放出されたもので、IAEAのレベルIIIに相当。

03/07/24 原産新聞
米国エネルギー省(DOE)は17日、ロシアとの間で、閉鎖都市を開放する協定に合意したと発表した。シベリアのセベルドルスクとゼレズノゴルスクにある3基のプルトニウム生産炉を閉鎖し、米国が石炭火力発電所を建設する。閉鎖費用は4億6600万ドル。

03/07/31 原産新聞
ロシアのルミャンツェフ原子力相は26日、退役原潜からでる放射性廃棄物の貯蔵施設をコラ半島に建設する方針を明らかにした。コラ半島セベロモルスクに司令部をおくロシア北方艦隊では、百数十隻の原潜が解体を待っている。

03/08 原子力学会誌8月号
ロシアのルミャンツェフ原子力相は4月、今後の原発開発について、建設が中断している10基の原発を完成させ、新規の建設は原則的に行わないとの方針を示した。完成を目指す原発は、カリーニン3号(VVER1000)やクルスク5号(RBMK1000)などで、進捗率はおおむね70?80%。

03/08/07 原産新聞
広島の市民団体「ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト」は、8月8日から15日まで、第6時医療支援団を現地に派遣する。カザフスタンの旧セミパラチンスク核実験場周辺住民の検診を行うほか、住民の証言を集める。

03/08/31 毎日
北極圏のバレンツ海で30日、ロシア海軍北方艦隊所属の原潜K159が水深170mの海底に沈没した。乗員は10人以上とみられ、うち1人を救出2人の遺体を収容した。ロシア海軍によると放射能漏れはない。同原潜は解体のため曳航栓にひかれて修理工場へ向かっていた。

03/09 原子力学会誌9月号
ロシア原子力省は6月、オゼルスク(旧名チェリャビンスク65)の生産合同マヤクの第1再処理工場(RT-1)の改造を承認した。RT-1は、軍事用プルトニウム抽出施設として1948年に建設され、1977年からはVVER440やBN600などの燃料を再処理できるよう改造された。今回の改造はVVER1000の燃料の再処理を可能にするもの。VVER1000の使用済み燃料は、ジェレノゴルスク(旧名クラスノヤルスク26)に建設中のRT-2で再処理する予定で、1984年に年間処理能力1000?1500トンの工場建設が開始されたが、資金難で建設が中断し、2020年頃の完成と見込まれている。

03/09 原子力学会誌9月号
ロスエネルゴアトムは、アルメニア2号機(VVER-440)用の燃料集合体103体を輸送したことを明らかにした。ロシアとアルメニアの間では、核燃料の代金が未払いとなっていることが問題となっていた。アルメニア2号機は、同国唯一動いている原発で、2002年には電力の41%を供給した。

03/09/18 原産新聞
川口外務大臣は8月31日から9月2日までウクライナを訪問し、ヤヌコビッチ首相、クチマ大統領と会談した。日本からのチェルノブイリ支援の実績についてウクライナ側は高く評価しており、さらに協力を望むとの意見が表明された。

03/09/25 原産新聞
チェルノブイリ事故被災者救援のため、日本政府は、ウクライナのキエフから約250km南東のクレメンチュク市第5病院に、500万円の寄贈を決定した。医療器材ならびにミニバスの購入にあてられる。日本政府の草の根無償資金協力の枠組みで行われるもの。

03/10 原子力学会誌10月号
ロシア原子力省は7月、解体核兵器から発生した余剰プルトニウムを利用したMOX燃料を、BN-600(FBR、60万kW)に初装荷したことを明らかにした。

03/10 原子力学会誌10月号
欧州復興開発銀行(EBRD)は7月、チェルノブイリ4号炉「石棺」を覆う新しいシェルター建設に対し8500万ドルの融資を行うと発表した。ウクライナとG7は1997年4月、新しい石棺計画(SIP)に合意している。新しい石棺の完成は2007年を予定している。

03/10 原子力学会誌10月号
アルメニア政府はこのほど、アルメニア2号炉(VVER、44万kW)の運転管理を5年間ロシアに委託すると発表した。アルメニア原発は、1号炉が1997年10月、2号炉が1980年5月に運転開始したが、1988年の大地震をきっかけに閉鎖され、2号炉のみ1995年に運転再開されている。

03/10/02 原産新聞
米国エネルギー省(DOE)は、DOEの資金協力のもと、14kgのロシア製高濃縮ウランが、ルーマニアからロシアに変換されたと発表した。高濃縮ウランはロシアの原発燃料用に再加工される。

03/11/20 原産新聞
DOEのエイブラハム長官とロシアのルミャンツェフ原子力相はモスクワで5日、ロシアの閉鎖都市で米ロの合弁事業をはじめると発表した。新事業は、ロシアの原子力科学者400名以上を雇い、医療用機器・装置の製造を行うもの。

03/12 原子力学会誌12月号
カザフスタンの国営ウラン開発公社はこのほど、ウラン転換工場の建設に向けて共同出資者を募る意向を示した。最初に建設予定のウラン転換工場は年間3000トンの生産能力をもち2006年の操業を目指す。

03/12/11 原産新聞
財団法人原子力安全研究協会(原安協)は11月24日から3日間、ウクライナのキエフ工科大学で日本の原子炉構造材料、燃料材料等に関する集中講義を実施した。原安協から5人が派遣され、約50人の学生が聴講した。

03/12/18 原産新聞
ウクライナの原発の寿命延長計画について、11月24日から5日間IAEAの専門家がキエフを訪れ、国際的な標準と助言に関する会合をもった。IAEAの団長は斉藤氏がつとめた。ウクライナでは、2基のVVER440と11基のVVER1000が運転されている。