チェルノブイリ新聞切り抜き帖(2004年)


 


 

04/01/29 原産新聞
ロシアの核兵器級高濃縮ウランを希釈して、米国の原発用燃料として用いる「メガトン・トゥー・メガワット」計画が十年目を迎え、米国の濃縮ウラン需要の約半分を供給している。ロシア・米国両政府は1993年、解体核兵器からでた約500トンの高濃縮ウランの取引に合意。これは核兵器2万個分。これまでに200トンが供給されロシア政府は40億ドル以上を受け取った。

04/02/26 原産新聞
日本政府と国連は16日、チェルノブイリ被災地区を支援するため、国連開発計画(UNDP)が実施する「チェルノブイリ被災コミュニティにおける、恐怖、問題リスク対策に向けた個人への支援」プロジェクトに、約121万ドルの支援を決めた。

04/03/04 原産新聞
ロシア製高濃縮ウラン17kgが、ブルガリアからロシアへ空輸された。この燃料は1960年代初期に、ロシアがブルガリアに建設した2MWの研究炉に供給したもの。ブルガリア当局はIAEAの協力をうけて、低濃縮ウラン研究炉の建設を検討している。

04/03/18 原産新聞
ロシアのプーチン大統領は9日、連邦機関の再編に関する大統領令に署名。原子力省(MINATOM)は、新設される「産業・エネルギー省」の下で、「連邦原子力機関(FAEA)」再編される。核兵器製造等の軍事業務は、原子力省から国防省に移管される。原子力規制機関の「原子力放射線安全国家委員会(GAN)」は、「連邦原子力監督庁」として産業・エネルギー省の下に置かれる。

04/04/08 原産新聞
3月25日のクリュエフ・ウクライナ副首相の発表によると、フメリニツキ2号炉(K2)は8月に、ロブノ4号炉(R4)は10月に運転開始の予定である。どちらもVVER-1000。K2は1985年、R4は1986年に着工したが、資金難などで完成が遅れていた。

04/04 原子力学会誌
ロシアの2003年の原子力発電量は1486億kWで過去最高を記録した。設備利用率は76.3%で、前年より4.6%増加した。

04/04 原子力学会誌
ハンガリー・パクシュ原発の2003年の発電量は、2号炉の燃料事故によって低下し、110億1300万kWと前年を大きく下回った。総発電量に原子力の占める割合は32.7%だった。2号炉の燃料事故は2003年4月、炉心から取り出した集合体が洗浄タンク内で加熱し損傷し、放射能が漏洩したもの。2号炉の運転再開の見通しはたっていない。

04/05/24 原産新聞
ロシア政府は、2010年までに極東地域の40隻を含むすべての原潜の解体を終える計画を日本側に伝えてきた。ロシア原子力省によると、旧ソ連で退役した原潜は193隻で、これまでに約半数を解体済み。原潜解体で日本政府は約200億円の拠出を表明している。

04/05 原子力学会誌
リトアニア政府は2月、イグナリーナ原発敷地の個体廃棄物中間貯蔵施設の建設を認可した。建設は1号炉の閉鎖と平行し、2007年までに操業を開始する。なお、2003年3月に承認された使用済み燃料中間貯蔵施設は現在入札中で、液体廃棄物中間貯蔵施設は現在建設中。

04/07/01 原産新聞
50年前の1954年6月26日、モスクワに近いオブニンスク市で世界最初の原発が送電網に接続されたことを記念して、同市で「原子力発電の50年と今後の50年」と題する国際会議が開かれている。IAEAが企画し、ロシア政府が主催。

04/07/08 原産新聞
ウクライナのグリシチェンコ外相が6月8日から4日間訪日した。川口外務大臣との2国間協議で、日本側は、チェルノブイリ石棺基金に対する1000万ドルの拠出について説明した。

04/07/29 原産新聞
欧州復興銀行(EBRD)は7月11日、ウクライナのフメリニツキ2号炉とロブノ4号炉の安全性向上に向けて4200万ドルの融資を行うことを承認した。ユーラトムも8300万ドルの融資をする予定。

04/07/15 原産新聞
ロシア北西部コラ半島北岸のサイド湾で10日、退役原潜の原子炉を最終解体まで保管する施設の建設が始まった。ロシアの核兵器などの廃棄を支援する「グローバル・パートナーシップ」の一環として、ドイツとロシアが合意。建設費用は1800万ユーロ。

04/07 原子力学会誌
EUは3月15日、1億ユーロの支援を提示し、メザモール2号炉(VVER440、40.7万kW)の閉鎖をアルメニア政府に求めた。メザモール1号は1989年2月に閉鎖され、2号炉も1988年の次新手運転停止されたが、1995年から運転再開している。同2号炉はアルメニアの電力の42%を供給している。

04/07 原子力学会誌
ロシア原子力省は2004年中に海上原発の建設予算を確定する。ロシア原子力公社(ロスエネルゴアトム)が計画しているもので、砕氷船用原子炉KLT-40-Cを2基搭載し、7万kW。総工費は1.5?1.8億ドル。

04/07 原子力学会誌
ロスエネルゴアトムのキリチェンコ国際部長が、カリーニン3号炉(VVER-1000、95万kW)の運転開始が9月か10月になり、今後10年間に合計10基の原発を運開させると述べた。ロスエネルゴアトムは現在、ロシアの発電設備容量の11%に相当する30基の原発(2224.2万kW)を運転中。2003年には総発電量の16.5%を供給。

04/07 原子力学会誌
EC(欧州委員会)は3月、ルーマニアで建設中のチェルナボーダ2号炉(CANDU,65.5万kW)の完成と安全向上のための資金2億2350万ユーロの融資を決定した。2号炉の工事進捗率は2003年末で54%で、2007年に運開の予定。

04/08/19 原産新聞
ウクライナのフメリニツキ2号炉(K2、VVER 100万kW)が完成し、8日に運転を開始した。K2は、1983年に建設を開始し、90年に中断、97年から建設が再開されていた。

04/08 原子力学会誌
ルーマニア国営電力会社ニュークリア・エレクトリカ社は、1984年に着工したものの建設工事が中断しているチェルナボーダ3号炉(CANDU)の建設再開に関するフィージビリティスタディをはじめる、と発表した。

04/08 原子力学会誌
ロシア・バシキール共和国政府は5月、同共和国アギデルでの原発建設計画を承認した。アギデル原発はVVER-1000が2基で、1号炉が2012年、2号炉が2014年に運開予定。バシキール共和国は南ウラルにあり、面積14.36万平方km、人口約400万人。

04/08 原子力学会誌
米国DOEとロシア原子力省は5月、現在、17カ国20基の研究炉にあるロシア国籍の高濃縮ウラン燃料の返還に関する2国間協定に調印した。米国が4億5000万ドルを拠出する。対象となるのは、ウズベキスタン、ベラルーシ、ウクライナ、ルーマニア、ポーランド、ブルガリア、中国、チェコ、北朝鮮、エジプト、旧東ドイツ、ハンガリー、カザフスタン、ラトビア、リビア、ベトナム、ユーゴスラビア。合計約500kgの高濃縮ウランが返還される見込み。

04/09/02 原産新聞
米国とロシアの共同で、余剰プルトニウム保管用施設が、チェリャビンスク郊外の「マヤック」に建設された。核兵器解体プルトニウム25トンを長期保管できる。米国はこのプロジェクトに4億ドルを投入した。

04/09/09 原産新聞
ウクライナのフメリニツキ2号炉は、8日に運開したが、技術的理由により停止し、19日に電力供給を再開した。また、ロブノ4号炉は8月20日に燃料装荷を開始した。

04/10/07 原産新聞
今年5月にEUに加盟したリトアニアとスロバキアの原発4基の廃炉を支援するため、ECは9月29日、総額10億ユーロ(1360億円)の財政支援を行うことを決めた。リトアニアのイグナリーナ原発(RBMK150万kW、2基)については、1号炉は2005年まで、2号炉は2009年末までに停止する約束。スロバキアは6基の原発のうち、ボフニチェ1号炉(VVER440)を2006年末、2号炉を2008年末までに停止する。

04/10/07 原産新聞
ロシアのコラ原発2号炉(VVER440)は9月18日、供用期間を15年間延長する近代化を完了した。1号炉は昨年完了。1号炉は1973年、2号炉は1975年の運転開始。3、4号炉の近代化は来年からの予定。

04/10/21 原産新聞
ロブノ原発で10月16日、4号炉の稼働記念式典が行われた。ウクライナでは1990年に最高会議が原発建設の凍結を決議、1993年に凍結撤回された。

04/10/28 原産新聞
核兵器に転用可能な高濃縮ウラン11kgが、ウズベキスタンからロシアへ返還輸送された。米国エネルギー省が提唱している「全世界脅威削減計画」の一環。

04/11/11 原産新聞
ウクライナのトゥールブ燃料エネルギー相は10月20日、フメリニツキ3号炉とロブノ5号炉の建設計画を発表した。建設費はそれぞれ10億ドルとされている。

04/12 原子力学会誌
ルーマニア政府は、チェルナボーダ3号炉(CANDU、70万kW)の完成を目指して、共同事業者(パートナー)を公募する。3号炉の完成には10億ドルが必要だが、将来の電力売り上げと資産を担保に、建設費の70%を調達し、2011年の運開を目指す。

04/12 原子力学会誌
ウクライナのロブノ4号炉(VVER-1000)が10月10日に送電を開始した。

04/12 原子力学会誌
ロシア議会の電力・輸送・通信委員会は10月、建設工事が中断されている高速増殖実証炉ベロヤルスク4号炉(BN-800)の建設再開を含めたエネルギー戦略を承認した。ロスエネルゴアトム社は、十分な予算が確保できれば、2010年までに運転開始が可能としている。

04/12
ロシア紙の報道によると、政府系の天然ガス企業であるガスプロム社が、原子炉メーカーであるアトムストロイエクスポルト社(ASE)の買収を計画している。ASEは、ロシア唯一の原子炉輸出企業で、中国の田湾1、2号炉(VVER-1000)、インドのクダンクラム1、2号炉(VVER-1000)、イランのブシェール1号炉(VVER-440)などを建設中。