ベラルーシ国内ニュース

2000年7−9月

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2000年7月


00/07/03
1000人以上のベラルーシ反対派代表が7月2日、来るべき国会選挙のボイコットをアピールした。Shushkevich前最高会議議長は、「国家の主権を危うくするような現在の体制の合法性をを認めることはできない」と語った。

00/07/07
第2次大戦でのベラルーシ解放56周年記念日の7月3日、ミンスクで1万5000人が参加してデモが行なわれた。ルカシェンコ大統領は、「ロシアとの連邦によって主権と独立が損なわれることはない」と演説した。

00/07/10
ロシアのORTテレビのカメラマンZavadskiiが行方不明になったと、7月7日のITAR-TASS通信が報じた。ミンスクの空港での待ち合わせに現われなかったもの。Zavadsskiiは1998年に2カ月拘留されたこともあり、政府筋は、ベラルーシ政府の評判を落とすための反対派による仕業と述べている。

00/07/11
1942年3月に起きた5000人のユダヤ人ホロコーストの記念集会が、7月11日にミンスクで開かれた。ルカシェンコ大統領は、ベラルーシは、ユダヤ人がゲットーで殺されるだけではなく侵略者と戦った唯一の国であると述べた。

00/07/11
ベラルーシの保健当局は、2000年前半での新たなHIV/AIDS患者は283人であると発表した。昨年同期に比べ30%の増加であった。

00/07/13
ベルパン通信によると、2000年前期のベラルーシのGDPは4%増加した。しかし、2000年の最初の5ヶ月間のインフレは45%で、CIS諸国ではもっとも大きかった。

00/07/14
ルカシェンコ大統領は、下院議会選挙の投票日を10月15日設定した。110の議席が小選挙区制で決定される。一方、上院選挙も年内に実施される予定。

00/07/17
中央選管議長Yarmoshynaは14日、ベラルーシは10月15日の選挙に国際監視団を招待すると発表した。OSCEは来月び態度を決定するが、ベラルーシ政府に対し、反対派との真の対話をするよう要請する決議をしている。

00/07/18
社会経済政治研究所と経済研究センターは、1500人のベラルーシ市民に対し「ルカシェンコ大統領のこの6年間の統治に満足しているか」というアンケート調査を実施した。22%が「まずまず満足」で32%「どちらかといえば不満」、45%が「部分的に満足で部分的に不満」であった。また。31%が外国への移住を希望しており、米国が10%、ドイツが9%、ロシアが3%、ポーランドが2%であった。

00/07/20
大統領府は、労働組合幹部が、政府が組合の権利を侵害していると根拠のない宣伝を、国民や外国にたいして行なっていると批判した。

00/07/24
RFE/RLベラルーシ支局は7月19日、反対派との衝突は挑発行為であったと証言し、2月辞職しポーランドに亡命していた元警察官Baturynが、ベラルーシ秘密警察によりポーランドで誘拐されミンスクに連れ戻されていた、と報じた。ベラルーシTVに7月21日、Baturynがミンスクの米国大使館のところに登場し、「RFE/RLの言ってることは真実ではない。ベラルーシ秘密警察に誘拐されたと私は言ったことはない」と述べた。

00/07/31
ルカシェンコ大統領は28日、10月15日の議会選挙に国際監視団を招待すると述べ、「彼らが来ようと来まいと、選挙は同じように実施される。選挙は、西側諸国や米国のために実施するのではなく、我々のために実施するのだ」と述べた。
 
 

2000年8月

00/08/07
ロシア・ネオナチ党ベラルーシ支部リーダーのSamoilovが8月5日、ミンスクの自宅で刺殺されているのが発見された。ロシア・ネオナチ党は1990年に結成され数千人の支持者がいる。

00/08/08
中央選挙管理委員会の定めた日程に基づき、8月6日より議会選挙候補者の指名期間に入った。110の小選挙区で1000人以上の候補者が見込まれている。候補者登録は9月4?14日で、選挙活動は9月15日?10月15日である。

00/08/09
国家財政委員会がベラルーシ労働組合連盟の銀行口座を凍結した結果、連盟の120人のスタッフに対する7月分の給料が払えなくなった。ルカシェンコ大統領は先月、労働者の権利が侵害されていると宣伝し外国からの制裁をあおっているとして組合指導者を批判していた。

00/08/10
OSCE民主人権事務所の代表が、10月15日議会選挙の状況調査のため、3日間の予定でミンスクに到着した。代表団は、選挙問題の専門家3人である。1996年11月の国民投票を、民主人権事務局の勧告に従い、OSCEは承認していない。

00/08/10
ベラルーシ人民戦線のIvashkevich副議長は、自由で民主的な選挙を求める国民投票のための署名活動を2週間以内にはじめると述べた。Lyabedzka統一市民党代表によると、署名活動は、合法的というよりむしろ政治的な意味合いをもち、仮に国民投票に必要な45万の署名を集めても政府は無視するであろうから、反対派グループは、署名活動を中央選管には登録しないであろう。

00/08/14
禁固3年間の判決をうけ控訴中のChyhir前首相は8月12日、10月15日の議会選挙にミンスク市選挙区から立候補すると発表した。Chyhir氏によると「私は自分を守る必要があり、当選すれば当局への抵抗もやりやすくなる。どこの党にも属してはいないので、選挙ボイコットを主張している反対派を阻害する行為ではない」

00/08/16
統一市民党リーダーのLyabedzka氏は15日、ベラルーシ反対派は10月15日選挙のボイコットに向けてキャンペーンを行なうと発表した。9月1日から国民投票を要求する署名活動をはじめ、10月1日には「自由行進?3」をミンスクで実施する予定。一方、Novakの世論調査によると、ベラルーシ市民の74%が10月15日の投票に参加すると答えている。

00/08/16
ベラルーシ人民戦線のIvashkevich副議長は15日、約60人の反対派政治家が10月15日の選挙に立候補するだろうと述べ、彼らの参加は反対派の分裂を意味するものではない、と付け加えた。

00/08/16
ルカシェンコ大統領は15日、9月1日までに給料未払いを解消できなければ、大臣、政府役人などの9月分の給料を剥奪すると述べた。

00/08/21
ベラルーシ共産党は19日、10月15日の国民評議会選挙において75人の候補をたてると発表した。一方、Yarmoshyna中央選管議長は前日、110の選挙区で475人の候補者登録がされ支持者署名が集められていると発表した。候補者登録は9月4日まで。

00/08/23
民主勢力評議会は22日、10月15日の選挙は、政治的、法的、道徳的に根拠のないものであり、OSCE、EU、ヨーロッパ議会などに対し、選挙監視団を送らないよう要請する手紙を発送した。手紙によると、選挙監視団の派遣は、選挙を認めることになり、ひいてはルカシェンコ体制の強化につながる。

00/08/28
Johnson駐ミンスク米国大使は、10月15日の選挙に国際監視団を派遣するのは間違いであると述べた。Johnson大使によると、ベラルーシ政府は民主的な選挙へ向けての条件を整えておらず、政治的抑圧やジャーナリストへの攻撃が続いている。

00/08/29
OSCEは30日のウィーンの会議で、10月15日の選挙に監視団を派遣するかどうか決定するものとみられている。ベラルーシ反対派連合の代表は監視団を送らないよう要請し、一方ベラルーシ政府代表は派遣を希望している。また、選挙に立候補しているChyhir前首相は、反対派市民に投票を呼びかけているがOSCEには監視団を派遣しないよう訴えている。
 
 

2000年9月

00/09/04
ルカシェンコ大統領は9月1日、10月選挙に「限定的ミッション」を派遣すると決定したヨーロッパ諸国に感謝すると述べ、監視団を派遣しないという米国の圧力に抵抗するものであると付け加えた。一方、反対派の民主勢力評議会は、ヨーロッパ諸国が正式派遣団を送ることにしたと国営メディアが歪んだ報道を行っている、と述べた。

00/09/06
当局は、Chyhir前首相に対し、1996年の首相辞任後の税金逃れの罪で法的手続きをはじめた。Chyhir氏の側は、すべての税金を納めたし、新たな嫌疑は選挙キャンペーンの妨害のためであると述べた。氏はすでに、職権濫用の罪で執行猶予3年の判決を受け現在控訴中。消息筋によると、Chyhir氏が来年の大統領選挙でルカシェンコ大統領の対抗馬となることを妨害するもの。

00/09/07
中央選管は9月6日、110の選挙区に769人の立候補登録を受け付けたと発表した。労働組織から308人、政党から306人、市民団体から334人である。反対派政党からの立候補は、ベラルーシ共産党と自由民主党だけである。

00/09/08
ベラルーシ政府スポークスマンは7日、ルカシェンコ大統領が国連ミレニアムサミットから前日帰国したのは、クリントン米国大統領のパーティーに招待されなかったことへの抗議ではなく、事前の予定通りであると語った。ロシアのマスコミは、クリントン大統領自らが招待者リストからルカシェンコ大統領の名前をけずったと報じた。

00/09/12
司法省高官は11日、選挙ボイコットを訴える行動は違法であり、2年以下の懲役として罰せられると述べた。これに対し投票ボイコットを訴えている反対派は、「当局の狙いは人々を恫喝することであり、我々の行動は合法であると確信している」と述べた。

00/09/12
ルカシェンコ大統領は、議会上院である共和国評議会の選挙を9月13日から12月13日にかけて実施する大統領令を出した。上院は、6つの州ソビエトとミンスク市ソビエトから各8名ずつと、大統領が任命する8名の計64名で構成される。

00/09/14
警察は13日、10月選挙のボイコットを訴える自由労働組合機関誌「労働者」11万2000部を没収した。新聞編集長や発行所所有者は、「ボイコット扇動の容疑」で9月18日に裁判所への出頭を命じられた。

00/09/14
ルカシェンコ大統領は13日、2001年度予算と経済発展について内閣と議論した。大統領は、2001年10月1日までに平均月給が100ドルとなるよう各大臣に課題を与え(現在は45ドル)、来年に大統領選挙があることを強調した。

00/09/14
国立銀行は14日、ベラルーシルーブルの交換レートを1ドル=1020ルーブルに設定した。これは、町中の相場と同じであるが、従来の公定レートはその5分の1であった。Bahdankevish前国立銀行総裁は、政府が赤字企業への補助金、価格統制といったことを続ければ、また複数レートが再現されると述べた。

00/09/15
ミンスク地区選管は14日、反対派である社会民主党(SPD)党首Stakevichの立候補を登録した。しかし、Stakevichは、各地区選管が16人のSPD候補者のうち2人しか登録を認めなかったことに抗議して立候補を取り下げる意向である。SPDは選挙ボイコットに方針を転じるであろう。

00/09/15
ルカシェンコ大統領は、9月1日までに給料未払いを解消せよという命令を守らなかったとして、90人の役人を首にし、「不十分で偽りの情報を流した」役人を裁くようミンスク地区検察に命令を出した。

00/09/18
OSCEは16日、ベラルーシの行方不明政治家たちの問題に言及し、ベラルーシの市民社会における信頼回復の障害であると述べた。この日で、反対派リーダーのHanchar氏とその友人Krasouki氏が行方不明になってから1年である。また、前内務大臣Zakharanka氏が1999年5月に、ロシアTVカメラマンZavadski氏が今年の7月に行方不明となっている。

00/09/19
Yamoshyna中央選管議長は18日、10月15日の選挙に、551人の候補が登録され、221人の登録を拒否したと発表した。議長によると、反対派候補の手続きの「少々の瑕疵には目をつむって」登録を行なった。Chyhir前首相とその妻Yuliyaの申請には、同じような問題があったが、登録されたのは前者だけであった。
 一方、統一市民党副党首のShlyndzikau氏は18日、同党の58人の候補者のうち登録されたのは17人だけであり、「国民は選択の権利を奪われた」と述べ、17人の候補がいるところではその候補に投票し、それ以外の選挙区ではボイコットするよう訴えた。

00/09/20
OSCEの選挙技術missionが19日、ミンスクでの活動をはじめた。団長のRasmussonは、missionの目的は、選挙の監視ではなく、選挙日以前の、選挙活動、メディアの行動、人権についての調査である。

00/09/21
ルカシェンコ大統領は、2001年の経済指標に関する大統領令を出した。それによると、2001年のGDPは、今年に比べ3−4%の増加、工業生産と農業生産は4.5−5.5%、外国貿易は2.8−3.8%、国民の実質収入は3.5−4.5%の増加となっている。

00/09/22
反対派の社会民主党本部が21−22日の夜に、ピストルをもった一団に襲撃された。賊は居合わせた人々を伏せさせ書類やパソコンディスクを破壊した。

00/09/25
大統領のホームタウン、モギリョフ州のShklouで開かれた国家収穫祭でルカシェンコ大統領は、今年の収穫は自給するに十分であると述べた。今年の穀類収穫量は490万トンで、ソビエト時代よりはかなり少ないものの、昨年の360万トンに比べ大きく増加した。

00/09/25
社会民主党党首のStakevichは22日、前日の党本部の襲撃は「特殊部隊」によるものであり、選挙妨害の国家テロであると述べた。一方、Udovikau内務省次官は、襲撃は人気取りをねらった狂言であると述べた。

00/09/28
ベラルーシ政府は26日、ガソリン価格を10%上げると発表した。8月以来4回目の値上げであり、ベラルーシのガソリンは近隣CIS諸国のなかで最も高くなる。1リットル当り0.36ドルとなるが、モルドバで0.32ドル、ウクライナで0.27ドル、ロシアで0.21ドルである。また、温水代も平均80%、アパート維持費も21%の値上げとなる。

00/09/29
国家関税委員会の副議長Goshinは、10月1日よりロシアからの輸入物品に関税検査を行なうと発表した。これは、6カ月前にロシアが同様の決定を行なったことに対する対応である。

00/09/29
ベラルーシ政府は28日、最低賃金を10月1日より月3600ルーブル(3.5ドル)に引き上げると発表した。また、国家管理委員会に給料未払いに関する国民からのホットライン電話を設置すると発表した。