ベラルーシ国内ニュース

2000年10−12月

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2000年10月





00/10/02
ミンスクで10月1日、「自由行進−3」と名づけられたデモがあり1万5000人の参加があった。デモと集会では、10月15日の選挙ボイコットが叫ばれたが、衝突や逮捕はなかった。10月8日には23の都市で同様な行動が予定されている。

00/10/04
ベラルーシ国民評議会は10月3日、2001年の国家予算案を承認した。歳入は5.7兆ルーブル(55億ドル)で、2億3800万ドル(GDPの1.5%)の歳入不足を見込んでいる。Korbut大蔵大臣によると予算の77%は社会保障関連に費やされる。ルカシェンコ大統領は、2001年の秋までに平均給与を倍増させるよう内閣に命じている。

00/10/05
警察は、裁判所への召喚状を渡すため、人民戦線リーダーVyachorkaと社会民主党リーダーShushkevichの2人を探している。最高会議員Hraznovaにはすでに手渡された。3人が「自由行進?3」のさいに選挙ボイコットを訴えたことに対し裁判所が召喚しているもの。

00/10/06
10月15日の選挙に登録しようとして拒否された民主派候補は、「チェルノブイリの子供たち」代表Hrushavy、弁護士Pahanyayla、人権活動家Volchak、経済学者Zlotnikauなどである。一方、登録された反対派候補は、Fyuduta、Chyhir、Stakevichなどである。

00/10/09
反対派は10月8日、20以上の都市で10/15選挙に抗議する集会を開き、グロードゥノで2000人、ゴメリで1500人、ブレストで1500人が集まった。最近のユーゴスラビアの情勢にデモ参加者は勢いづけられ「今日はミロセビッチ、明日はルカシェンコ」と叫んでいた。

00/10/10
ミンスク市民600人を対象に10月はじめに実施された世論調査によると、いま大統領選挙があった場合にルカシェンコを支持する人は15%であった。Chyhir前首相とBahdankevich前国立銀行総裁がそれぞれ2%であった。28%は支持する大統領候補はなく、30%は誰を支持するか決めていない。

00/10/11
10/15選挙にミンスクにいる予定のヨーロッパ委員会のBerendt代表は10日、「公式監視団」として選挙のさいにミンスクにいるわけではない、と語った。一方、ベラルーシテレビは前日、EU諸国の代表16人を「国際選挙監視団」として受け入れると発表している。

00/10/12
ベラルーシの各都市では、当局が10/15選挙の繰り上げ投票を呼びかけている。ゴメリでは、当局が国営企業を通じて「金曜までに投票しよう!」と呼びかけ労働者に便宜を図っている。ビテプスクでは大学教授が生徒に繰り上げ投票を呼びかけている。

00/10/16
OSCEのミンスク訪問代表団は16日、前日に実施されたベラルーシ国民評議会の選挙は国際的な基準をみたす民主選挙とは認められないと発表した。一方、ルカシェンコ大統領のスポークスマンによると、プーチンロシア大統領は、ベラルーシの民主的な選挙の成功を祝福した。
Yarmoshyna中央選管議長によると、ベラルーシ全国での投票率は60.6%で、110の選挙区のうち96区で選挙が成立し、そのうち46区で当選者が決まり、50区では10月29日に第2回投票が実施される。投票率が50%に達しなかった14の選挙区では3カ月以内に再選挙が実施される。
反対派によると、投票率は45%程度でありボイコットキャンペーンは成功した。14日にミンスクで開かれた反選挙集会には、約4000人が参加した。

00/10/17
米国務省は16日、その前日に実施されたベラルーシ国民評議会選挙は自由、公平さ、透明さを欠いており、米国は依然として前最高会議をベラルーシの正式議会として認めていると発表した。
一方、4週間にわったってミンスクで活動を続けてきたOSCE技術評価ミッションによると、ベラルーシ選挙の主要な問題点は、選挙委員会への当局の介入、50%におよぶ候補者登録の拒否、マスメディアの当局による独占、早期投票へ向けての当局の介入である。

00/10/18
ベラルーシ外務省は17日、「米国政府はふたたび、自由な選挙によって表明された数百万のベラルーシ国民の意思を無視した」と発表し、15日の選挙を認めない米国を非難した。発表によると「28カ国からの140人の独立系選挙監視団が選挙は自由で公正であったと認めている」

00/10/19
ルカシェンコ大統領は18日、15日の選挙はまったく民主的であり、その結果に満足していると語った。反対派に対して、もしも来年の大統領選挙まで存在したければ、当局と協力的になるべきだと付け加えた。ルカシェンコ大統領によると、来年のベラルーシ大統領選挙が、今年のユーゴスラビアのような状況に至る可能性はない。

00/10/19
NGO選挙監視委員会は18日、15日の選挙で投票率が50%に達しなかったのは、中央選管発表の13選挙区ではなく、31選挙区であったと発表した。委員会議長のHrybによると、委員会は5500人のモニターを擁している。地方選管でもっとも多かった違反は、選挙人名簿の数を減らして投票率を上げることだった。また、早期投票でも違反があった。中央選管によると、早期投票率は10%だったが、一部の選挙区では45%に達している。監視委員会によると、全体で約5000件の違反が報告されている。

00/10/20
ルカシェンコ大統領は18日、ベラルーシ反対派はこの6年間に1億1800万ドルを西側から受け取っていると語った。その詳細については「Sovetskaya Belorussiya」紙に大統領が公表することを望んでおり、そうなれば、反対派は消滅するであろう、と述べた。

00/10/23
ルカシェンコ大統領は21日、プーチンロシア大統領との「戦略的な協力関係」を強調した。ルカシェンコによると、プーチン大統領は、ベラルーシ専用のロシアでの油田提供、ベラルーシ国内を通過してのヨーロッパへの電力供給、さらにベラルーシ国内を通るヨーロッパへのガスパイプライン新設について合意した。ガスパイプラインによる収入により、全ベラルーシのガス供給をまかなうことができる。

00/10/23
ベラルーシ・ヘルシンキ委員会は、中央検察局と中央選管に対し、15日の選挙は無効であるとの申し立てを行なった。

00/10/24
第1回投票で50%以上の得票者がいなかった56の選挙区で、10月29日に第2回投票が実施される。第2回投票は、25%以上の投票率で成立する。ベラルーシNGOは、「いささかなりとも民主的な」候補が残っている選挙区でのみモニター活動を行なうが、そのような選挙区は10以下である。国際監視団はこない。

00/10/25
Chyhir前首相は、29日の第2回投票には出馬しないことになった。Chyhir氏によると、彼の選挙区の投票率は47%以下であったが、地方選挙委員会は、有権者の数を約6000人減らして投票率を上げて、選挙が成立したと中央選管に報告した。第1回投票でChyhir氏は2番目だった。

00/10/27
Yamoshyna中央選管部長は26日、NGO選挙監視団が指摘している選挙違反は、法的に無意味であると語った。NGO監視団は5000件の違反を指摘していたもの。

00/10/30
国民評議会選挙の第2次投票が29日に実施され、投票のあった56すべての選挙区で選挙が成立した。この結果110の選挙区のうち、97の議席が決まった。中央選管によると、投票率は52%であった。OSCEは選挙監視団を送っていない。

00/10/31
ベラルーシ・ヘルシンキ委員会は30日、今月実施された国民評議会選挙は、当局による虚偽であると非難した。主要な違反は、軍隊や大学における早期投票の強要、選挙人名簿の削減による投票率ごまかしであった。NGOの選挙監視グループは開票に立ち会えなかった。

2000年11月

00/11/01
ミンスクの2万人以上の先生が、給料の増額を求めるアピールに署名し、政府が年末までに要求を満たさない場合はストライキに入ると訴えている。新聞によると、ミンスクの先生の初任給は14500ルーブル(14ドル)にすぎない。

00/11/02
ルカシェンコ大統領は11月1日、リビアのトリポリでカダフィ大佐と会談した。カダフィ大佐は「両国は自由をエンジョイしており、お互いの協力に何の障害もない」と語った。

00/11/03
民主勢力調整会議は2日、先月の選挙ボイコット方針を評価する決議を採択した。社会民主党のStakevichのみが決議に反対した。調整会議は、来年の大統領選挙において、ルカシェンコ大統領の対抗馬として、民主派から統一候補をたてることを表明した。

00/11/06
ルカシェンコ大統領は11月3日、向こう10年間でベラルーシの軍隊を7万5000人-8万5000人にまで削減する意向を発表した。現在の兵員は12万2000人。

00/11/08
ベラルーシでは11月7日の10月革命記念日はきわめて平穏であった。ミンスク当局は2つの共産党政党に対しデモ行進を許可しなかった。一方、ゴメリでは、州と市当局が組織した行進に数千人が参加した。

00/11/09
ルカシェンコ大統領は8日、議会上院の編成について州知事評議会や中央選管委員長と議論した。定数64名の上院は、各州とミンスク市の代表56名と大統領指名の8名で構成される。「軍人、医師、教師、科学者、文化人から選出し、女性が3分の1以上になるようにしよう」と大統領は述べた。候補者の指名は11月14日までである。

00/11/10
9日に開かれた民主勢力評議会は、来年の大統領選挙に向けての統一候補の選出に失敗した。また、10月選挙に参加し議席を獲得できなかった社会民主党リーダーStakevichの評議会参加についての討論を行った。

00/11/13
ミンスクで12日、数百人の青年が”We want changes!”というスローガンを唱えながらデモ行進し、警官隊により約100人が検挙された。青年戦線のリーダーSevyarynetsは「嘘と暴力、詐欺と恐怖の国に青年が暮らすことはできない」と語った。同日、25の都市で集会が開かれ、グロードゥノでも逮捕者があった。

00/11/15
ルカシェンコ大統領は14日、国営企業の給料を12月に40%上げるよう指示した。また、ベラルーシ軍の戦闘能力を2001年末までに30%増強することを約束した。しかし、その具体的な内容は明らかでない。

00/11/15
今年のはじめミンスクで失踪したORTのカメラマンZavadskiの事件に関して、先週放送されたORT番組についてルカシェンコ大統領は「番組制作は政治的動機をもっている」と述べた。番組によると、Zavadskiは大統領警備隊と内務省特別部隊「アルマス」によって誘拐された。

00/11/17
統計省は16日、今年1月?10月のベラルーシのGDPは前年に比べ5%増加したと発表した。工業生産は8.6%、農業生産は5.4%の増加で、同期間のインフレは87.3%であった。
一方、経済学者のZlotnikauによると、ベラルーシ政府の経済政策はばかげたもので、ソビエト時代のゴスプランのやり方を踏襲しており、そのような単純な方法で経済をコントロールするのは不可能である。そうした政策を続ける限りインフレは止まらない。

00/11/21
いくつかのマスメディアは、行方不明のロシアTVカメラマンZavadskiと反対派政治家Hancharが大統領警護隊によって殺害されたという電子メールを受け取った。送り主はKGB将校で、KGBは5人の大統領警護隊員をふくめ9人を逮捕したという。Zavadskiの遺体はミンスク郊外に埋めたと自白した。大統領は遺体の発掘を止めさせ、警護隊の関与を隠すため、捜査主体をKGBから内務省に変更させた。

00/11/21
いくつかのマスメディアは、行方不明のロシアTVカメラマンZavadskiと反対派政治家Hancharが大統領警護隊によって殺害されたという電子メールを受け取った。送り主はKGB将校で、KGBは5人の大統領警護隊員をふくめ9人を逮捕したという。Zavadskiの遺体はミンスク郊外に埋めたと自白した。大統領は遺体の発掘を止めさせ、警護隊の関与を隠すため、捜査主体をKGBから内務省に変更させた。

00/11/27
ルカシェンコ大統領は27日、Matskevich KGB議長、Sheyman安全保障会議議長、Bazhelka検事総長を解任した。大統領警護隊長Yerynが後任のKGB議長となり、Latypau外務大臣が安全保障会議議長となる。97憲章のホームページにようると、もうひとつのクーデターである。ベラルーシ政府の主要ポストはほとんどロシア人が占めることになった。

00/11/29
ルカシェンコ大統領は28日、保安関係要人たちを解任した理由は、犯罪捜査における職務怠慢と、相互協力の欠如であると説明した。同日、前安全保障会議議長のSheymanを検事総長に任命した。

00/11/30
プーチンロシア大統領はミンスクで30日、ベラルーシとの通貨統合条約に調印するよう命令を出した。プーチン大統領は、ベラルーシとの統合を中止はしないが、急ぐ必要はない、と語った。
 


2000年12月

00/12/07
ルカシェンコ大統領は6日の閣議で、2001年10月までに平均給料を月100ドルの水準に引き上げるよう求めた9月の大統領令を繰り返した。公式データによると、現在の平均給与は月68ドルである。ルカシェンコ大統領はYarmoshyn首相に対し、市場経済へ向かわないよう警告を発した。

00/12/08
16万8000人の教師が、2001年の第1四半期中に、教師の給料を産業労働者と同じレベルに引き上げるよう要求するアピールに署名した。教育科学労働者組合のChovatava委員長によると、要求が満たされない場合はストライキの可能性があるが、組合には長期ストを支援する資金がない。

00/12/14
ルカシェンコ大統領は13日、ベラルーシテレビのレベルが低いとして国営放送の責任者を批判した。大統領によると、「ベラルーシテレビの記者やカメラマンは、ロシアのテレビに比べ10倍や20倍もレベルが低い」。

00/12/18
民主勢力調整評議会は、来年に予定されている大統領選挙において、ルカシェンコ現大統領に対抗する反対派統一候補として、3人の名前をあげた。Domash前グロードゥノ州知事、Chyhir前首相、およびHancharyk労働組合リーダーである。11月に実施された社会経済・政治独立研究所による世論調査では、ルカシェンコ大統領の再選を望まない人が41.5%で、再選を支持する人が36.1%であった。

00/12/19
内務法政委員会議長Malafeyeuは18日、Kozak米国大使がベラルーシの内政に干渉していると批判した。Malafeyeuによると、Kozak大使は16日の"Narodnaya volya"紙で、ベラルーシの議会を合法的なものとは認められないし、行政権力の合法性も認められない、と述べている。

00/12/20
ルカシェンコ大統領は19日新たに選出された上院で、国際関係と内政について広範な演説を行なった。大統領は西側に対し、共謀者に資金を出して内政干渉を行なっていると批判した。彼によると、西側は来年の大統領選挙に向け1万4000人の「闘士」を養成している。警察は毎日、ベラルーシに運び込まれる弾薬を摘発している。最近、ベラルーシ人、バルト人、ポーランド人の3人をスパイ容疑で逮捕した。また9月には、ドイツ人ひとりをスパイ容疑で逮捕した。

00/12/21
BabrouベラルーシKGB長官は20日、この18ヶ月間にKGBは、120人の外国情報機関エージェントと、その他の協力者を摘発したと発表した。

00/12/27
カトリック教会のSventek枢機卿との会談の後、ルカシェンコ大統領は、ベラルーシでの神父はベラルーシ人であることを望む、と述べた。261人のカトリック神父のうち、ベラルーシ国籍をもっていないのは149人で、その多くはポーランド人である。

00/12/29
ベラルーシ統計省は27日、平均賃金が10月の73.5ドルから11月の70ドルに減少したと発表した。

00/12/29
ニューヨークの監視団体「ジャーナリスト保護委員会」は26日、ルカシェンコ大統領に対し、7月7日に行方不明となったロシアORTテレビカメラマンZavadskyの調査を強化するよう要請した。委員会は、彼が殺されたかも知れない、と危惧している。