ベラルーシ国内ニュース

2005年1-3月


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2005年3月

05/03/01
2月28日に発表された米国人権レポートはベラルーシの状況について、いくつかの側面で悪化していると述べている。レポートによると、ベラルーシ政府は民主的な方法で政府を変える権利を否定し、反対派を法的にまた法的以外の方法で抑圧している。

05/03/02
ミンスクで1日、約6000人の小規模小売業者が、ロシアからの輸入品に対する18%の付加価値税に抗議する集会を行った。約1500人が大統領官邸に向かったが警官隊に阻止された。キオスクなどの経営者は従来から月150ドルの固定税を徴収されていたが、1月から、ロシアとの協定によりロシア製品については消費国で税金を徴収することになった。しかし、ロシアの輸出業者は税金分の値引きをしぶっている。

05/03/03
ミンスクの中央広場で2日、約300人の小売業者が前日に続いて、ロシアからの輸入品に対する18%の付加価値税に抗議する集会を行った。一方、ミンスク地区裁判所は、前日の不許可集会を組織したとして、反対派統一市民党のBahdanovichに480万ベラルーシルーブル(2224ドル)の罰金を言い渡した。

05/03/04
グロードゥノで3日、約800人の小売業者がロシア製品の付加価値税に抗議して中心通りを占拠した。警官隊が集会を排除し4人が拘留された。ミンスクでの非食料マーケットでの抗議は3日も続いたが、ゴメリでの抗議は終わった。

05/03/07
ロシア輸入品に対する付加価値税に抗議するストライキは3月6日で6日目に入った。商工組合のLapotkaによると、ミンスク以外のマーケットでは約80%が営業していないが、政府からの圧力の大きいミンスクでは約60%が仕事を再開した。小売業のグループは、ベラルーシの状況を訴える手紙をブッシュ米国大統領に送った。

05/03/09
ロシアからの輸入品への付加価値税に反対する非食品業小売業者のストライキは8日目に入り、ミンスク以外では約半分、首都では約30%の業者が参加している。ストライキ業者は、付加価値税だけでなく、(利益に関わらない)一律課税にも反対している。

05/03/10
ルカシェンコ大統領は9日、外国との人身売買、交流を規制する大統領令を発布した。結婚勧誘や人材雇用の会社は、内務相や教育省への登録を義務づけられる。また、外国への留学、養子縁組も規制される。

05/03/11
ヨーロッパ議会は10日、ベラルーシを独裁国家として強く批判する決議を採択した。ベラルーシ政府による反対派とマスコミへの弾圧を非難している。

05/03/14
米国上院議員McCainは14日、ルカシェンコ大統領に手紙を送り、横領の罪で3年半の懲役刑を受けているMarynichを即時に釈放するよう求めた。容疑は、Marynich前大使が反対派になったための報復とされ、国際アムネスティはMarynichを良心の囚人に認定している。

05/03/15
ベラルーシ国立大学の前学長Kazulinが、反対派のベラルーシ社会民主党・国民会議(BSDP-NH)に加盟した。Kazulinは、2006年の大統領選挙で、ルカシェンコに対抗する民主派統一候補の最有力者とみられている。

05/03/16
ルカシェンコ大統領は15日の憲法の日に、「わが国の憲法は人々の権利と自由を擁護し、国民が自己実現できる条件を整えている」と演説した。ベラルーシの憲法は、1994年3月15日に最高会議によって採択された。その後1996年11月に行われた問題のある国民投票で大統領に独裁的権力を認めた。さらに昨年10月の国民投票で、大統領2期に関する条項を撤廃し、ルカシェンコ大統領が2006年以降も権力に残れるようになった。

05/03/17
ロシア輸入品への付加価値税に反対する小売業者は16日、3月1日にはじまったストライキを無期限で継続することを決めた。小売業者のリーダーShumchankaは、3月2日にストを扇動した容疑で逮捕され、収監されたままである。

05/03/18
反対派でベラルーシ科学アカデミー会員のNikichankaが、チェルノブイリ汚染地域からの移住はもはやナンセンスであるというルカシェンコ大統領の意見に合意した。Nikichankaによると、放射線被曝で問題なのは外部被曝ではなく、人々が汚染食品を摂取する内部被曝である。食品中の放射能を減らすことが最大の課題である。

05/03/21
付加価値税に反対してストライキを行っている小売業者のリーダーShumchankaが18日、同僚業者への暴行容疑で再逮捕された。Shumchankaは、付加価値税に反対する不許可行動で3月1日に逮捕されたままである。

05/03/22
反対派は21日ミンスクで、政治的理由で収監されている人々の釈放を要求して、連続9日目のデモを行った。50人以上の活動家が、反対派政治家Marynich、小売業組合員Levenewski、Vasilyev、Dashkevich、Finkevichらの釈放を求めた。

05/03/23
ミンスク市当局は22日、反対派Klimawから提出された、大統領3選に反対する3月25日のミンスク市内での集会申請を拒否した。拒否の理由は「集会の広場には1000人以上は集まれないし、申請者が集会後の清掃を保証する文書を提出しなかった」からであった。「3月25日は現政権の没落がはじまる日になるだろう」とKlimawは述べた。

05/03/25
キルギスタンでの政変に関連し、反対派Klimawはルカシェンコ大統領に、2006年の大統領選挙に出馬せず辞職するよう警告した。統一市民党のLyabedzkaは、「同じことがベラルーシでも起きるだろう」と述べた。

05/03/29
ミンスクで25日、ルカシェンコ大統領3選反対の集会に約1500人が参加し、31人が逮捕された。逮捕者4人に15日間の拘留刑、その他の逮捕者に3日から10日の拘留刑が言い渡された。集会を組織した反対派政治家Klimauは逮捕を免れた。Klimauは1998年2月に逮捕され、横領、文書偽造の罪で6年の刑を受けていたが、2002年3月に釈放された。Klimauの罪状は、旧最高会議でのルカシェンコ大統領弾劾の動きに対する政治的報復と見られている。

05/03/29
ルカシェンコ大統領は28日、4月から年金を8%増額する大統領令にサインした。年金の平均は月18万7300ベラルーシルーブル(87ドル)となる。

05/03/30
ルーマニアの国連外交官Severinは29日、ベラルーシの人権状況は地域の安全と安定にとっての脅威になっていると、ベラルーシ政府を批判する報告をジュネーブの国連人権委員会に提出した。ベラルーシの国連代表Aleynikは、報告は偏ったものであるとして、報告作成者に公的な謝罪を求めた。

05/03/31
ルカシェンコ大統領は30日、さらなる改革が必要なくて効率的な医療制度の確立を訴えた。また、医学部卒業生の就職管理を厳しくし、卒業後医療に従事しない卒業生の医療免許は取り上げるべきだ、と述べた。
 



2005年2月

05/02/01
自由民主党は1月31日、2006年の大統領選挙にHaydukevich党首が立候補する準備をしていると発表した。2001年の大統領選挙にもHaydukevichは立候補し、公式には2.5%の票を集めた。反対派からはすでに、StakevichとPaznyakが立候補の意向を表明している。

05/02/02
統計分析省は1日、2004年12月の平均月給は税込みで43万4900ベラルーシルーブル(200ドル)であったと発表した。2003年12月は139ドルだった。ベラルーシルーブルの交換率は米国ドルに対し0.6%、ユーロに対し9.7%下落した。

05/02/03
ブレスト州のピンスクで約1000人の小売業者が、ロシアからの輸入品に対する18%の付加価値税に抗議するストライキを行った。

05/02/04
外務省報道官Savinykhは3日、ベラルーシの2004年の外国貿易額は40%増加し、301億ドルだったと述べた。輸出は38.3%増加し138億ドルだった。貿易赤字は26億ドルで、CIS諸国とは45億ドルの赤字でその他の国とは19億ドルの黒字だった。

05/02/07
反対派の統一市民党は6日、2006年の大統領選挙候補として党首Lyabedzkaを決定した。社会民主党も同日、党首Shushkevichを大統領候補にきめた。ベラルーシ共産党のKalyakinも出馬を表明しており、これから反対派統一候補への調整が見込まれる。

05/02/07
輸入天然ガスに対するベラルーシの負債額は、昨年に2530万ドル減少し、2005年1月1日で1億6680万ドルだった。そのうち、ロシアのガスプロムへの負債は1億5790万ドルである。

05/02/08
ベラルーシ財務省は7日、ベラルーシの国際通貨基金(IMF)に対する債務を2月1日に完済したと発表した。ベラルーシは、1993-95年に2億9460万ドルの融資をIMFから受けていた。

05/02/09
ベラルーシでのカトリックのトップであるSwiatek枢機卿は8日、ルカシェンコ大統領と会談し、パウロ2世からの私信を手渡した。「大統領はカトリックのために大きな貢献をしている」と枢機卿は述べた。ベラルーシTVによると、宗教信者の7人に1人がカトリックである。

05/02/10
ルカシェンコ大統領は9日、ミンスク・エンジン工場を訪問し、300馬力のディーゼルトラクター用エンジンと350馬力のトラックエンジンを開発するよう激励した。「トラクターやコンバインを生産している国家がエンジンを輸入することはできない」と大統領は述べた。

05/02/11
約3000人の小売業者がミンスクの政府庁舎前で19日、ロシアからの輸入品に対する18%の付加価値税に抗議した。Kabyakou副首相によると、ロシアとの協定に基づき、1月1日より付加価値税を物品の消費国で徴収することになった。

05/02/14
ベラルーシ人民戦線は12日、2006年の大統領選挙にMilinkevichを擁立することを決めた。Milinkevichは党員ではないが、グロードゥナのNGOで活動してきた。2006年の大統領選挙に向けて反対派からすでに半ダースの候補者が名乗りを上げた。

05/02/14
最高裁は11日、ベラルーシ国営テレビ・ラジオ会社(BDRTK)の元社長Rybakouに対し、汚職、横領などの罪で11年間の労働キャンプ刑を言い渡した。Rybakouは、2001年の大統領選挙にBDRTKの副社長としてルカシェンコ再選に協力し、その後社長となった。

05/02/15
民主派青年組織が14日のバレンタインデーに、「ヨーロッパ的価値」への愛のメッセージを10のヨーロッパ外交団へ送った。数10人の若者が10月広場で、ベラルーシのEU加盟を求める集会を行い、警官隊に排除された。逮捕者はなかった。

05/02/18
ルカシェンコ大統領は17日、Sidorski首相以下、内閣のメンバーに対し、ベラルーシの
カリ肥料の輸出にあたってモスクワの仲介業者を排除できないことを叱責した。世界のカリ肥料の約9%がベラルーシに埋蔵されており、その輸出により毎何8億ドルの外貨が国庫に入っている。モスクワの業者には毎年3000万ドルが支払われている。

05/02/22
これまでに明らかとなった半ダースの反対派大統領候補に加えて、民主派インテリゲンチアのグループはYakub Kolas学院校長Kolasを2006年の大統領選挙候補に推薦することを決めた。

05/02/23
ルカシェンコ大統領は22日、反対派は西側諸国にベラルーシへの経済制裁を求めていると批判した。また、西側が、「青色やらコーンフラワー革命」への支援をしていると批判した。

05/02/24
ロシア大統領府は23日、ベラルーシの反対派前国会議員Skrabetsの亡命申請を認めない、と発表した。大統領府によると、国境検問やビザのない国からの亡命を認めることはできない。

05/02/25
ブッシュ米国大統領は24日、訪問先のスロバキアで、「ベラルーシの人々も、いつか必ず民主国家の一員となるであろう」と演説した。

05/02/28
ルカシェンコ大統領は政府に対し26日、外国から反対派へのあらゆる資金源に注意を払って課税するよう述べた。「巨大な資金が様々なチャンネルから入っており、税関、内務省、KGB、軍隊は反対派への資金源の情報を通報せねばならない」と述べた。
 
 
 



2005年1月

05/01/04
ベラルーシのBeltranshazとロシアのガスプロムは12月30日、2005年のガス供給契約に調印した。ガスプロムはベラルーシへ、1000立方m当り46.68ドルの価格で191億立方mを供給する。一方、ベラルーシを通過するガスパイプラインのトランジット料金は1000立方m×100km当り0.75ドルとなる。

05/01/05
政府は4日、豚肉と牛肉を価格統制物品のリストに加えた。価格は経済省によって管理されることになる。

05/01/06
ミンスク市執行委員会は5日、思想優秀労働者コンテストを実施する準備をはじめた。1991年のソ連崩壊以来、ベラルーシではじめてのコンテストであり、企業、病院、学校などから思想優秀者が選出される。

05/01/07
外務大臣Martynauは6日、ウクライナで起きた「オレンジ革命」のようなことはベラルーシではあり得ない、と述べた。「経済は成長し、人々の収入は増加しており」、経済的、政治的にベラルーシは安定していると保証した。

05/01/10
ルカシェンコ大統領は7日、ロシア正教のクリスマスミサに参列し、ベラルーシでは革命のようなことは起きないと述べた。聖職者側からの、ベラルーシの平和と安定を求める手紙に答えたもの。「ベラルーシでは、ピンクやオレンジやバナナの革命は必要ない」と大統領は述べた。

05/01/11
ベラルーシ政府は1月1日から外国人旅行者に対しマルチビザの発給をはじめた。外務大臣Savinykhによると、EU諸国などの市民は昨年10月から招待状なしに30日間のビザを申請できる。ビザの簡素化は、日本などを対象に2003年8月から実施されている。

05/01/12
ルカシェンコ大統領は11日、ガスプロムのガス供給を例に挙げて、ロシア政府を非難した。2005年のガス価格は、2004年と同じく1000立方m当たり46.68ドルであるが、この1月からロシアの付加価値税をベラルーシで徴収することになる。「我が政府はガスプロムの支社なのか?なぜ我々はガスのトランジット価格を引き上げられないのか?」と大統領は語った。

05/01/13
情報省は12日、3つのFMラジオ局に対し、ベラルーシ音楽の放送時間について警告を出した。政府の命令により、1月1日より音楽放送時間のうち最低75%はベラルーシ音楽を放送するように定められた。

05/01/14
ヨーロッパ議会のKlichは13日、ベラルーシ情勢に関する中立的な情報提供機関の設立をECが検討している、と述べた。テレビ、ラジオ、インターネットを用いた情報センター設立の可能性をめざしている。

05/01/18
統計省によると、ベラルーシの2004年のGDP増加は11%だった。工業生産は15.6%、農業生産は12.9%の増加だった。

05/01/21
統計分析省によると、ベラルーシの人口は2004年には4万9900人減少し、2005年はじめで979.9万人であった。1999年2月に行われた国勢調査では1004.5万人だった。

05/01/24
ベラルーシ外務省は21日、青少年を堕落させる行為があったとして、チェコの外交官Krivohlavyを国外追放にした。外務省によると、Krivohlavyは青年に酒を飲ませてベッドに誘った。一方、チェコ外務省は同日、ベラルーシ外交官1名に対し国外追放処分を行った。ベラルーシとチェコの関係は、2002年11月のルカシェンコ大統領に対するNATO会議参加へのビザ拒否以来、悪化している。

05/01/25
最高裁長官Sukalaは24日、昨年ベラルーシで死刑判決を受けたのは2名であり、終身刑は12名だったと述べた。Sukalaによると、ベラルーシは死刑廃止に近づいている。

05/01/26
ベラルーシ政府チェルノブイリ委員会のTsalko委員長は25日、汚染地域の子供たちの40%しか十分な医療を受けておらず、他の子供たちの医療が不十分であると述べた。2001年以降、子供たちの甲状腺ガンは250%増加し、子供のガン発生率は2004年初期で10万人当り13.9件だったとTsalkoは述べた。

05/01/28
反対派統一市民党の活動家Vauchaninが27日、ウクライナへの政治亡命を申請した。Vauchaninによると、昨年キエフでユーシェンコ支持の運動に参加した後、ベラルーシの秘密警察からの脅しが強くなった。Vauchaninは1994年と2001年の選挙ではルカシェンコ大統領を支持したが、その後反対派になった。

05/01/31
情報大臣Ruskevichは28日、出版情報メディアに対する規制を強化すると述べた。2004年に情報省はマスメディアに対し81件の文書警告を出し、25のメディアの活動を停止させた。