ベラルーシ国内ニュース

2005年7-9月


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2005年9月
05/09/01
国際アムネスティは8月31日、ミンスクで24日に逮捕された2人のグルジア青年を「良心の囚人」に認定した。2人は、パスポートの信憑性に疑いがあるとしてベラルーシKGBに拘束され、29日に内政干渉の罪で15日の刑を宣告されている。

05/09/02
ポーランドの新聞は2日、9月中旬にポーランドからベラルーシへの、ベラルーシ語ラジオ放送がはじまると報じた。ポーランドはECに対し200万ユーロの資金提供を求めるとともに、ポーランド政府は8月に29万ドルを出資すると発表している。

05/09/06
ベラルーシ情報省は2日、民間紙“ベラルースカヤ・デラバヤ・ガゼータ”を“BDG・デラバヤ・ガゼータ”として再登録を行った。5月に出された大統領令により、「全国」および「ベラルーシ」という言葉は、民間組織には使えなくなり、9月5日までに名前を再登録するよう決められている。

05/09/07
ルカシェンコ大統領は6日、ミンスクでFradkovロシア首相と会談した後、11月に予定されているプーチン大統領との会談でロシア・ベラルーシ連邦は大きく前進するだろう、と語った。一方Fradkov首相は、統一通貨の導入は来年1月も困難だろうと述べた。

05/09/08
ミンスク市長Paulauは7日、2006年大統領選挙の反対派統一候補を選ぶ大会を禁止したことはない、と述べた。一方、反対派統一市民党のDabravolskiは、反対派大会の開催はベラルーシ中で事実上不可能となっており、ウクライナかロシアで開催することも検討している、と述べた。

05/09/09
ベラルーシ外相Yesinは8日、ベラルーシ内ポーランド人連盟(SPD)の分裂にポーランド政府が介入している、と批判した。「ある国の政府が他国のNGOに介入するようなことは理解できない」とYesinは述べた。

05/09/12
ルカシェンコ大統領は9日、2006年大統領選挙へ向けて統一候補を選出するための反対派集会に便宜を与えるよう当局側に伝えた。会場がみつからないため、反対派集会を国外で開くとの情報に対応したもの。

05/09/14
ルカシェンコ大統領は13日、今週ニューヨークで開かれる国連サミットに出席する意向を表明した。2000年の国連サミット以来の訪米となる。米国やEUはベラルーシ高官へのビザ発給を停止しているが、国連への参加は特別扱いとなる。

05/09/16
ルカシェンコ大統領が15日、ニューヨークの国連総会で演説し、ソ連の崩壊が国際バランスに不均衡をもたらし、「一極化」を招いたと述べた。旧ユーゴスラビアのミロシェビッチ大統領やイラクのフセイン大統領が拘束されているのは不当である、と述べた。

05/09/19
ミンスクで16日、約100人の人々が集まって、反対派政治家Hancharとその友人Krasouskiの失踪6年を記念する不許可集会を行った。2001年6月にマスコミは、反対派政治家の失踪に当局が関係していたという捜査官とのインタビュービデオを受け取っている。

05/09/20
ロシア・ベラルーシ連邦の憲法草案が11月にまとまると、ロシア下院議長Gryzlovが19日ミンスクでの専門家会議の後に発表した。草案によると、最高国家評議会が連邦の最高執行機関となる。共通通貨の導入は憲法採択の後になる。

05/09/21
ルカシェンコ大統領は20日、政府系労働組合(FPB)大会で演説し、平均給与を現在の月230ドルから、5年後には500ドルに引き上げると述べた。また、組合は人権擁護に向けて活動するとのKozik議長の演説に対し、人権擁護は政府の管轄であり、労働組合は組合員の問題に集中せよ、と述べた。

05/09/22
10月1-2日にミンスクで予定されている、2006年大統領選挙に向けて反対派統一候補を選ぶ大会には、約800人の代表が参加する予定である。これまでに、約120の地区集会が開かれ、代表が選出された。反対派統一候補に名乗り出ているのは、Milinkevich、Lyabedzka、Kalyakin、Shushkevichである。

05/09/23
ビテプスク市街で22日に爆発があり、約50人が負傷した。安全保障会議によると、政治的テロリストによるものではなく、フーリガンによる爆弾である。

05/09/26
ルカシェンコ大統領は23日、政府系青年組織、ベラルーシ青年連盟の大会で、新たにEUに加盟したバルト諸国やポーランドは、EU主要国から「2流国」扱いされている、と演説した。「新加盟国は、EU主要国のマーケットとなり従属させられている」と述べ、ベラルーシの路線の正しさを強調した。

09/05/27
ミンスク地区裁判所は23日、週刊紙Zhodaの編集長Karolと副編集長Zdvizhkouに対し、偽情報配布の罪で255万ベラルーシルーブル(1300ドル)の罰金刑を下した。また、ベラルーシで唯一の独立系日刊紙Narodnaya volyaの編集長Svaredzichは27日、罰金刑にともなう口座凍結のため新聞発行が困難になっていると述べた。

05/09/29
ベラルーシ反対派の代表11人が、来年の大統領選挙で協力する宣言にサインした。サインしたのは、Lyabedzka、Vaytovich、Lalyakin、Kolas、Lyavonau、Milinkevich、Parfyanovich、Statkevich、Fralou、Shushkevich、Yarashukである。社会民主党のKazulinは署名していない。

05/09/30
インドからの新任大使Tyagiが29日、ルカシェンコ大統領に信任状を提出した。「我々が孤立していると誰が言っているのだろうか。我々にはインド、中国、ロシアをはじめ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカにたくさんの友人がいる」と大統領は述べた。
 





2005年8月
05/08/01
ポーランド外務大臣Rotfeldは29日、ベラルーシ内のポーランド人組織SPB問題について、英国外務大臣やEU担当官に少数民族問題を喚起する書簡を送った。ベラルーシ当局がSPBの代表選出に介入した結果、両国間の外交問題となっている。

05/08/02
EC報道官Rynckが1日、ヨーロッパ委員会はベラルーシの独立系メディアの支援に800万ユーロを支出すると発表した。「ベラルーシの人々が独立系メディアからの情報に接するようにしたい」とRynckは述べた。

05/08/03
ベラルーシKGB高官Talstashouは2日、ポーランド議会副議長Tuskの前日のグロードゥノ訪問は内政干渉にあたる、と述べた。Tuskは、グロードゥノにあるベラルーシ内ポーランド人連盟の支援するために訪問した。

05/08/04
ポーランド議会議長の訪問の際に面会した人々が逮捕されていることに抗議して、ポーランド系住民Pisalnikが3日ハンガーストをはじめた。ECや米国も逮捕を批判しているが、ロシアはベラルーシを支持している。ベラルーシ内のポーランド系住民は50万人で、人口の約5%。

05/08/04
農業省は3日、鳥インフルエンザに関連し、ロシアのチュメニ州とアルタイ地方からの鳥肉輸入を禁止する措置をとった。ロシア当局によると、その地域のインフルエンザはH5N1型で、人に感染する恐れが大きい。

05/08/05
ベラルーシ政府の宗教民族問題委員会のBuko委員長は4日、現在のポーランド系ベラルーシ人組織の問題は、組織内部の対立によって生じたとジャーナリストに語った。

05/08/08
ベラルーシ政府高官が5日、最近のポーランドとの一連の外交問題について、交渉の席を設けることを示唆した。外務省次官Mikhnevichは、「国外追放された外交官は相互に4人ずつになったが、関係正常化が必要である」と述べた。

05/08/09
ヨーロッパ議会副議長Saryuz-Wolskiをふくむ4人のポーランド人ヨーロッパ議会議員が、ベラルーシ国境で入国を拒否された。「EUはベラルーシに対し強い手段をとるべき段階に達した」とSaryuz-Wolskiは述べた。一方、ヨーロッパ議会議長報道官は、4人のポーランド人は議会の公式派遣団ではない、と述べた。

05/08/10
ミンスク市裁判所は9日、反対派政治家Klimauの控訴を棄却した。3月の反対派デモによりミンスクの治安を乱したという罪で、労働キャンプ18カ月という判決を受けていたもの。

05/08/11
ルカシェンコ大統領は10日、8月9-10日の嵐にともなう被害から収穫を確保するよう政府に指示した。政府高官によると、建物、道路、電力網の破壊といった嵐の被害は国内の4分の1の市や町に及んでいる。

05/08/12
ポーランド系ベラルーシ人組織SPBスポークスマンでGlos znad Niemna新聞編集長のPisalnikが11日、グロードゥノ州Lidaの拘置所から釈放された。また、SPB機関誌の編集長Poczobutも同日釈放された。

05/08/15
ルカシェンコ大統領は12日、訪問先の農場で、来年の大統領選挙の後はベラルーシに反対派はいなくなるだろう、と演説した。「彼らの半分はすでに国を離れ、チェコ、ポーランド、バルト諸国、ドイツに住んでいる。来年の選挙以降、彼らは消滅する」と大統領は述べた。

05/08/17
反対派の5党はこれまでに、ルカシェンコに対抗する2006年大統領選挙の統一候補として194人をノミネートした。この2ヶ月間、100以上の地区レベル集会が開かれ4000人以上の代表が参加した。当局が施設の使用を拒否するため、集会はしばしば野外で開かれた。

05/08/18
ルカシェンコ大統領は17日、ベラルーシの組織や個人が、外国から「反憲法的な」目的で援助を受けることを禁止する大統領令を出した。大統領令はとくに、セミナー、会議、公開討論会を制限している。

05/08/22
ルカシェンコ大統領は19日、今年の穀物収穫は650万トンが必要と述べた。大統領は、私有農場の将来について疑問を投げかけ、「スラブ民族には気質的に向いていないし、私有農場に未来はないだろう」と述べた。

05/08/23
ヨーロッパ委員会は先週、ベラルーシ政府が労働組合に関するILOの基準などを満たさなければ、EU諸国との貿易優遇措置(GSP)を廃止する、と発表した。GSPは、特定の製品についての無関税を定めている。GSPが廃止されると、ベラルーシは1億ユーロ(1億2200万ドル)の損失を受ける。ベラルーシの昨年のEUへの輸出は50億ドルであった。

05/08/24
ゴメリ市のNGOメンバーが23日、米国外交官と面会しようとしたら、警官が妨害した。反対派活動家Karmeyenkaが所有しているゴメリのビルで、NGOメンバーが米国外交官と面会を予定していたら、その2時間前に警察が、不審な金属物があるといってビルから退去させた。

05/08/25
2003年のグルジア政変で重要な役割を果たした青年組織グルジアKmaraのメンバー2人が24日、ベラルーシの反対派活動家とともにミンスクで警察に拘束された。Kmaraメンバーは先週、キエフ経由でミンスクに到着した。

05/08/26
KGB当局は25日、拘留されているグルジア青年活動家2人は、内政干渉の嫌疑により強制送還される、と述べた。「彼らは、Zubr、青年戦線といった不許可組織組織と接触し、大衆を扇動した」とKGBは述べた。

05/08/29
ベラルーシ国内ポーランド人連盟(SPB)は27日大会を開き、Lucznikを新しい議長に選出した。SPBは3月の大会でBorysを議長に選出したが、ベラルーシ当局が承認を拒否していた。大会には独立系ジャーナリストやオブザーバーは参加できなかった。Borys支持のメンバーは、当局のやらせの大会であると批判した。

05/08/30
反対派ベラルーシ人民戦線(BNF)は29日、ドイツからのベラルーシ国内向けロシア語ラジオ放送に資金援助するとしたヨーロッパ委員会の決定を批判した。ベラルーシ向け放送はベラルーシ語で行うべきであり、ヨーロッパ委員会の決定はベラルーシ国内の状況を理解していない、とBNFは声明した。

08/05/31
ベラルーシの小学校1年生に対し、「私の祖国ベラルーシ」という本がルカシェンコ大統領からプレゼントされることになった。すでに10万部が印刷され、今後、他の学年や大学生向けの本も作られる。
 
 
 


2005年7月



05/07/01
駐モスクワ・ベラルーシ大使館は6月30日、プーチン大統領の諮問機関である市民社会人権推進評議会がベラルーシの主権を侵害し内政干渉をしていると非難した。評議会は先週、ベラルーシではNGOが弾圧され人権が侵害されているとして、ルカシェンコ大統領にあてた公開書簡を発表した。

05/07/07
グロードゥノ地方裁判所は6日、ポーランド系週刊誌Glos znad Niemnaの当局によるのっとりに抗議してピケットを行ったPoczobutとBancerに対し、2400ドルと250ドルの罰金刑を言い渡した。Glos znad Niemnaは5月に当局が印刷をさしとめ、その後「にせ版」が出版された。

05/07/08
治安警察部隊は7日、ミンスクで開かれたZavadski失踪5周年に集まった数10人の人々を追い散らした。ZavadskiはロシアTVのカメラマンとして働いていた2000年7月7日に行方不明となり、以降みつかっていないが、元軍人3人が彼を誘拐した罪で服役している。

05/07/11
グロードゥノ地区裁判所は8日、ポーランド語週刊誌の当局による乗っ取りに抗議する先週のピケットに参加したとして、3人のジャーナリストに罰金を言い渡した。Glos znad niemnaの編集長Pisalnikと週刊誌Salidarnastsの記者Ramanに1200ドル、もう一人の記者に240ドルの罰金となった。

05/07/12
ルカシェンコ大統領は11日、ロシアのTV局のインタビューに対し、大統領職は孤独であり自分には友人はいない、と答えた。また「必要ならば、かつてのチリのアジェンダ大統領のように自分で銃をとって戦う」と述べた。

05/07/13
ルカシェンコ大統領は12日、ウクライナ共産党のSymonenkoとの会談で、キエフとミンスクとの政治的な溝が広がっていると述べたが、Symonenkoに対しては、ルカシェンコ政権への強力な支持に対し感謝を表明した。

05/07/15
ベラルーシのポーランド語週刊紙Glos znad Niemnaは14日、ポーランドで印刷した同紙の配布を始めた。ベラルーシ当局は最近、ベラルーシポーランド同盟(SPD)への介入を強め、SPDによる同紙の印刷を禁止したり、記者に罰金を課していた。

05/07/18
世界ベラルーシ人協会が16-17日ミンスクで大会を開き、300人以上の代表が参加したが、当局やマスコミは無視した。ベラルーシ以外に住んでいるベラルーシ人は240万から350万人と推定されている。

05/07/21
ギャロップ・バルチックサービスが6月から7月にかけて行った世論調査によると、次の大統領選挙でルカシェンコ大統領に投票すると答えた人は48%で、ルカシェンコの再選に反対派38%だった。また、ロシアに吸収される形でのロシアとの併合に賛成が23.6%で、反対が64%だった。

05/07/22
ミンスク市街地で21日にデモを行った反対派青年組織Zubrの8人が逮捕された。青年らは、ルカシェンコの大統領当選11年にちなんで反対デモを行った。

05/07/25
モギリョフ州ボブルイスク市の警察は24日、2006年の大統領選挙に向けて反対派統一候補を選出する全国集会を中断させた。反対派代表の約60人は、個人の家に場所を変えて集会を継続したが、統一候補が選ばれたという情報は得られていない。

05/07/26
ベラルーシ国立大学の前学長Kazulinが24日、ミンスクの作家の家で開かれて社会民主党大会で議長に選出された。大会の途中、爆弾がしかけられたといって、警察が退去を命じたが、議長を選出したあとだった。

05/07/27
ルカシェンコ大統領は26日、2006年の大統領選挙に向けてロシアが別の候補を探しているという話を否定した。「そんなことを私が知っていたら、私はロシアの大統領と会ったりはしない」とルカシェンコは述べた。

05/07/28
グロードゥノ市で27日、警官隊がポーランド人連盟の事務所で11人のベラルーシ人と外国人のジャーナリストを逮捕し、28日朝に釈放された。逮捕者にはAP通信の記者と2人のポーランド紙記者が含まれていた。

05/07/29
ポーランド外務大臣Rotfeldは28日、駐ベラルーシ大使を召還するとともに、ベラルーシ内ポーランド人の人権擁護をEC委員会に訴えると発表した。一方、ベラルーシ外務省報道官Vanshynaは、「ポーランド側の反応は、ポーランド側に危機を回避する意志がないことを示している」と述べた。