ベラルーシ国内ニュース

2005年10-12月


安全研究グループのホームへ

2005年12月
05/12/01
「国境なきレポーター」は11月30日、10月にミンスク郊外でおきたHrodnikau記者死亡事件について刑事捜査を行わないという、ミンスク地区検察の決定に対し抗議する手紙をルカシェンコ大統領に送った。死亡現場には、壁やテーブルに血痕があり、鈍器で殴られたことが死因とされている。

05/12/02
ベラルーシ下院は2日、賛成97票、反対4票で、外国人や国際組織にベラルーシの政治、経済、社会、軍事状況についての誤った情報を提供することを禁ずる、「公共安全対策」に関する刑法改定の第2読会を承認した。「法案は事実上の緊急事態宣言に等しい」と元憲法裁判所判事Pastukhouは述べた。

05/12/05
EU議長国の英国は3日、ベラルーシ議会で採択された「公共安全対策」について、人権擁護の立場から採択を見直すようベラルーシ議会に求めた。また米国国務省は、「この法案は、ベラルーシ市民への脅迫であり、2006年大統領選挙へ向けての言論の抑圧である」と発表した。

05/12/06
ベラルーシ国営郵便Belposhtaは5日、ミンスクの週刊紙Tovarishchに対し、2006年度の配達契約を行わない、と通知した。Tovarishchは1994年創刊で、反対派の共産党が発行し、現在の部数は9000部。また、全国新聞キオスクBelsayuzdrukは、独立系週刊紙Nasha Nivaに対し2006年の販売契約を結ばないと通知した。

05/12/07
ロシア・ガスプロムのMiller会長とベラルーシ副首相Syamashkaが6日モスクワで会談し、2006年も今年と同様の条件でガス供給することに合意した。今年は1000立方m当り46.68ドルの価格で、191億立方mがベラルーシに供給された。

05/12/08
共和国院(上院)は8日、「公共安全対策」に関する刑法改定を全会一致で採択した。国際的な場でベラルーシを損じるような発言をすると、2年以内の懲役となる。「同法の採択は言論の自由への最後の一撃となる」と国境なきレポーターは述べている。

05/12/09
新たに作られたベラルーシ作家同盟会長Charhinetsは8日、「私はロシア語で育ったし、自分をベラルーシ人と思ったことはない」と述べた。新ベラルーシ作家同盟は、旧ベラルーシ作家同盟がルカシェンコ大統領に反対的であるとして、政府の後押しで設立された。

05/12/12
ロシア。ガスプロムのMiller会長は9日、ガスプロムはいかなる外国とも「例外なく市場原則に従って」ガスを供給すると述べた。ガスプロムは、ウクライナとモルドバへは西側と同じ価格を要求しているが、ベラルーシの価格は2005年のままである。

05/12/14
リトアニア外相Valionisは13日、ベラルーシの青年がリトアニアのNATO基地で火器使用訓練を受けているというベラルーシKGB次官Veheraの発言を否定した。Veheraによると、「外国資金によってベラルーシ青年の訓練が行われている」

05/12/15
ベラルーシ下院は14日、反汚職法改定案の第1読会を承認した。改訂により、汚職の適用範囲が、外国人、大統領候補、公務員ではない公共活動員に広げられる。また公務員は、外国銀行での口座開設を禁止され、政党やNGOからの指令を実行することも禁じられる。

05/12/16
ベラルーシ下院は16日、大統領選挙を2006年3月19日に実施することを全会一致で決定した。ベラルーシ憲法によると、大統領選挙は、現行大統領の任期切れの2カ月以上前に実施される。ルカシェンコ大統領の任期は2006年9月19日である。

05/12/19
大統領選挙の実施日が3月19日に決まったのをうけて、中央選管は、候補者は12月23日までに登録手続きをするよう発表した。10月に反対派大会で選ばれたMilinkevich以外に、
ルカシェンコ大統領の対立候補として、ベラルーシ自由民主党のHaydukevich、社会民主党のKazulin、元外相Krauchanka、保守キリスト教党のリーダーで1996年から亡命中のPaznyakが立候補を予定している。

05/12/19
来年3月26日の議会選挙へ向けて、各政党ブロックの大会が17、18日に開かれた。主なブロックは、我らのウクライナ、ティモシェンコブロック、社会党、社会民主党統一、人民党、地域党、共産党である。中央選管によると38の政党ブロックが選挙に参加準備中である。

05/12/20
反対派大統領候補Milinkevichは19日、反対派候補勢力に自分に結集するよう訴えた。また、「我々には勝つチャンスが十分にあり、ボイコット方針はナンセンスである」と述べた。

05/12/21
ルカシェンコ大統領は20日、「公共安全対策」を導入する刑法改定に署名した。来年の大統領選挙に向けて言論の自由を封殺する手段とみられているが、ベラルーシについて国際的な場で批判的な発言をすると、2年以内の禁固となる。

05/12/21
最高裁は20日、ベラルーシの人権組織ヘルシンキ委員会に対し、ヨーロッパからの助成金への税金7万2000ドルを支払うよう判決を下した。ベラルーシとEU諸国の間には技術援助に税金をかけない1994年の協定があり、2004年7月のミンスク経済裁判所は、税金不要との判決を出していた。

05/12/22
ベラルーシ上院は21日、2006年度の予算案を承認した。歳入は158億ドルで18%の増加、歳入欠陥はGDPの1.5%である。2006年の平均給与は265ドルと見込まれている。

05/12/27
中央選管は23日、来年3月の大統領選挙に8名の候補者が登録手続きをした、と発表した。最終的な候補になるためには、12月29日から1月27日の間に10万人以上の署名を集める必要がある。候補者8名は、ルカシェンコ現大統領、民主反対派Milinkevich、社会民主党Kazlin、自由民主党のHaydukevich、元下院議員Fralou、亡命中のPaznyak、拘留中の反対派Skrabets、前上院議長で前科学アカデミー総裁のVaytovichである。

05/12/29
ベラルーシ国営ガス公社Beltranshazとガスプロムは27日、2006年のガス供給契約に署名した。ガスプロムは、1000立方m当り46.68ドルで210億立方mのガスをベラルーシに供給する。また、ベラルーシ国内のガストランジット料金は、1000立方m・100km当り0.75ドルとされた。
 



2005年11月
05/11/01
ミンスク地区裁判所は10月31日、2006年大統領選挙の独立系監視団体を作ろうとして10月29日に不許可集会を行ったBondarau、Branitskaya、Astreykaの3名に15日の拘留、Konovaに350ドルの罰金刑を言い渡した。集会には約70名が参加していたが、集会がはじまると警官がやってきて全員の聴取を行った。

05/11/02
選挙法改定の国民投票を求める、前議員Fralouら反対派の運動は、公証人が発起人署名の確認を拒否して頓挫した。憲法規定によると、国民投票の発議には45万人の有権者署名が必要である。Fralouらは発起人800人を集めたが、司法省が公証人に対し発起人署名の確認を禁じた。

05/11/04
ルカシェンコ大統領は3日、予算、税、金融を含む、経済問題全体にわたって最終的決定権を自分に与える大統領令を発布した。大統領は、企業や個人の計画に対し自分の判断で支援できるようになる。大統領令の一部は公布の10日後から、その他は来年6月1日から施行される。

05/11/04
民主労働組合ベラルーシ評議会(BKDP)は3日、政府系のベラルーシ労働組合連盟(FPB)に対し政府施設の無料使用を認める大統領令を、差別的であると非難した。BKDPによると、大統領令は、すべての組合に平等な権利を認めている憲法に違反している。

05/11/07
ルカシェンコ大統領はモギリョフ州で4日、政府は断固としてアルコール問題に取り組む、と発言した。大統領によると、ベラルーシでは、3万5000人の子どもが親のアルコール問題で見捨てられており、反対派にアルコールが広くはびこっている。

05/11/08
ミンスクの独立広場で7日、ボルシェビキ革命88周年を記念し、レーニン像に約200人、3つのグループが花束を捧げた。最初のグループは政府系のベラルーシ共産党、次は未登録の全ボルシェビキ共産党連合、3つめは反対派のベラルーシ共産党(PKB)であった。ミンスク市当局はPKBにデモの許可を与えなかった。ちなみに、7日は休日であった。

05/11/09
ビテプスク州の旅行会社が、ルカシェンコ大統領ゆかりの地をまわるツアーをはじめた。大統領が生まれた町Kopysや育った村Aleksandryyaなどを訪問する。ツアー料金は、団体の人数にもよるが、1人20ドル以下である。

05/11/10
民間紙Zhodaの編集長Karolは9日、国営郵便Belposhtaから、2006年の配達契約を拒否された、と発表した。数日前には、Narodnaya volyaとSalidarnastsが契約を拒否されている。「2006年の大統領選挙の前に、当局は、非政府系のメディアを一掃するつもりだ」とKarolは語った。

05/11/14
ベラルーシ政府は13日、国民投票や選挙に関する世論調査を許可制にする政令を発表した。それによると、世論調査は科学アカデミーに設置された委員会が承認したもののみ可能となる。中央選管委員長のYarmoshynaは、「世論感情を操作する」ことを防止できるとして歓迎するコメントを発表した。

05/11/15
収賄容疑などで5月15日から刑務所に入れられている前国会議員Skrabetsが11月1日からハンストを続けていることが明らかになった。彼は以前にも40日間のハンストを行い体重が25kg減ったことがある。

05/11/15
最高会議の政党リーダーらは14日、9月からの国会議員給与引き上げを取り消すことで合意した。9月に、内閣メンバーと同じく、月給800ドルが2800ドルに引き上げられていた。

05/11/16
ベラルーシ国営郵便Belposhtaは15日、ベラルーシ語週刊紙Nasha Nivaの来年の配達契約を行わない、と発表した。Nasha Niva編集長Dynkoは「このことは、この国にルールはなく自由な選挙もないことを示している」と述べた。

05/11/18
ルカシェンコ大統領は17日、2006年の大統領選挙では、農村住民の90%以上、地区センター住民の84%、ミンスク住民の67%が、自分の再選を支持している、と述べた。「現在自分の能力のピークにあり、私はこれ以上の仕事はできないが、道を引き返すことはない」と大統領は述べた。

05/11/21
ミンスクで18日、120人以上の作家が集まって、政府寄りの組織「ベラルーシ作家同盟(UWB)」の結成大会を開き、満場一致でCharhinetsを議長に選出した。新同盟は、今年70周年を迎え、政府から政治的とみられている「ベラルーシ作家同盟(UBW)」に替わる組織として作られた。

05/11/23
ベラルーシ国立銀行総裁Prakapivichは22日、ベラルーシルーブルは着実に強くなっていると述べた。国立銀行の外貨準備は15億ドルを超え、公式交換レートは1ドル2150ベラルーシルーブルである。

05/11/28
ベラルーシ下院(代表院)は25日、94対1で、公共秩序紊乱に対する罰則を強化する法案の第1読会を採択した。法案によると、公共の平安を乱す活動は、6カ月以内の拘留または2年以内の矯正監獄の刑となる。また、ベラルーシの政治的、社会的、経済的状況について誤った情報を外国に与えた場合には2年以内の懲役となる。

05/11/29
ミンスクの国立経済大学学長Shymauは28日、フランスに旅行して学生集会に参加した4年生Khomaを退学処分にした。KohmaはフランスのReimsで開かれたヨーロッパ学生連合の大会で執行委員に選出されていた。

05/11/30
ジュネーブの国際移民機構(IOM)総会は29日、ベラルーシのメンバーシップを承認した。ベラルーシ内務相Navmauは、難民移動問題に対するIOMの姿勢を評価した。
 
 
 


2005年10月

05/10/03
2006年大統領選挙の反対派統一候補を選出する大会がミンスクで10月1-2日に開かれ、Milinkevichが、399票対391票で統一市民党Lyabedzkaを破って統一候補に選ばれた。Milinkevichは、物理数学博士号をもつNGO運動家である。「私は勝利を約束しないが、みんなと最後まで進み続ける」と彼は語った。

05/10/04
教育大臣Radzkouは3日、教育機関が政治的にならないようにすることが教育省の義務のひとつである、と下院で述べた。教育大臣は5月、反対派の行動に参加した学生を退学させるよう省令を出している。また、すべての大学卒業生に、指定された就職先で2年間働く義務を課す法案を提案した。ベラルーシの大学生は現在36万人で、そのうち国立施設の学生が30万人である。

05/10/05
ベラルーシ憲法裁判所は4日、ソ連時代からの外国旅行許可制度の廃止を無期限に延期する決定を行った。ベラルーシ国民が外国に旅行するためには現在、当局の許可スタンプを必要としているが、2006年までに廃止される予定だった。

05/10/06
ベラルーシでただひとつの反対派日刊紙Narodnaya Volyaは先週、国営印刷所での印刷を拒否されたが、ロシアのスモレンスクで印刷を続けている。「政府によってメディアが支配され、ベラルーシ国民が自由な報道に接する機会を制限されているのは遺憾である」とEU議長国の英国がコメントした。

05/10/07
Martynau外相は6日、EUの経済制裁はベラルーシ国民のEUへのイメージを損なうだろう、と語った。先週、ヨーロッパ議会が、ベラルーシ高官へのビザ 発給停止の延長と、ベラルーシ政府の資産凍結といった経済制裁を決議したことに反発したもの。

05/10/11
ルカシェンコ大統領は8日、ミンスク州Slutsk市で開かれた収穫祭で、この10年間の結果ベラルーシに新たな農業基盤が作られた、と演説した。夏の嵐や大雨にもかかわらず、ここ数年の増産傾向を維持し700万トンの収穫があった、と大統領は賞賛した。
 

05/10/12
反対派日刊紙Narodnaya volyaの編集長Sharedzichは11日、同紙に対する当局からのハラスメントを訴える請願を下院に提出した。Narodnaya Volyaは印刷所からの契約を破棄され現在ロシアで印刷されているが、さらにキオスク新聞ネットワークでの扱いを拒否された。

05/10/13
2006年大統領選挙での反対派統一候補Milinkevichのキャンペーンリーダーは共産党のKalyakinが担当し、統一市民党のLyabedzkaは、陰の内閣を引き受けることになった。「人々がベラルーシの現状を正しく認識するなら、国家はよい方向に向かうだろう」とMilinkevichは述べた。

05/10/17
ミンスクといくつかの都市で16日、政治的被弾圧者や行方不明反対派との「連帯の日」にちなんで窓際にろうそくを灯した。ワルシャワやキエフではベラルーシの民主化を支持する小さなデモが行われ、米国の6つの大学でも学生達がデモを行った。

05/10/18
反対派連合は17日、来年の大統領候補Milinkevichの選挙キャンペーン陣容を決定した。キャンペーンの代表はKalyakinで、そのほかに3人の副代表を置く。

05/10/19
国際汚職監視団体Transparency Internationalは18日、「汚職指数2005」を発表した。10点満点で点数が付けられ、10が「全くクリーン」である。ベラルーシとウクライナはともに2.6点で、158カ国中の107番目であった。

05/10/20
ルカシェンコ大統領は20日、学生に対するあらゆる奨学金を20%増額する大統領令を出した。奨学金は現在、6万1400ルーブルから9万8300ルーブル(28ドルから46ドル)である。

05/10/20
Zaychanka経済大臣は19日、来年のベラルーシの経済成長は7-8%を期待していると述べた。2006年末には平均給料が月300ドルと見込まれている。一方、世界銀行による「ビジネス2006年・仕事の創出」報告によると、ベラルーシの税制は納税側にとって最悪で、155カ国中154番目に位置づけられている。報告によると、ベラルーシの中規模企業が払うべき税額は利益の121.8%となっている。

05/10/21
一年前に殺害されたジャーナリストCharkasavaの友人と親戚が20日、彼女の墓地に参拝した。Cherkasavaは「KGBはあなたを監視している」シリーズの記事を連載し、またベラルーシ政府によるイラクへの武器売却を調べているときに殺害された。この18日には、反対派フリーランスライターのHrodnikauが、ミンスク郊外のアパートで鈍器により頭部を殴られて殺害された。

05/10/24
ルカシェンコ大統領は21日、自分が2006年の大統領選挙に出ないのは、ベラルーシの人々が「ルカシェンコはもういらない」と言ったときだけである、と述べた。「大統領としてできることをするだけであり、不可能なことを約束はしない」と述べた。

05/10/25
リトアニアの世論調査機関(NISEPI)は24日、ベラルーシの大統領選挙が今日あったとすると、ルカシェンコ支持派47.3%という調査結果を発表した。反対派支持は25.5%、どちらも支持しないが12.8%、決めていないが14%だった。

05/10/26
ウィーンの国際報道研究所(IPI)は25日、ミンスクで18日に発見された、独立系Narodnya Volya紙のHrodnikau記者殺害事件に重大な関心を寄せている、と発表した。1年前にはCharkasava記者が刺殺され、2000年にはZavadski記者が殺害されている。

05/10/27
ベラルーシの刑法が、死刑を暫定的に存続するように改訂された。「重大で例外的な犯罪に対し死刑を適用する」とルカシェンコ大統領は声明を出した。

05/10/31
米国大使Krollは28日、過去の選挙やメディアの偏向を考えると、来年の大統領選挙が公平に行われることは期待しがたい、と述べた。2004年の国民投票では、大統領の任期制限の廃止に80%が賛成した。

05/10/31
ベラルーシKGBは27日、西側はルカシェンコ政権の転覆を企てていると批判した。「なかでも米国は、テロを含め、直接的手段でもって行動しようとしている」とKGB副長官Dzemyantseyは述べた。