ベラルーシ国内ニュース

2006年10-12月


安全研 究グループのホームへ


2006年12月

06/12/01
ベラルーシ経済省次官Melnikauは11月30日、オランダの銀行によると、ベラルーシのガスパイプライン公社Beltranshazの市場価値は35億ドルに近い、と述べた。ガスプロムはBeltranshazの株50%の取得を希望しており、ロシア側はオランダ銀行の評価を受け入れる意向を示していた。一方、ルカシェンコ大統領によると、Beltranshazの価値は120億ドルであり、オランダ銀行の評価はロシアとの交渉に関係しない。

06/12/04
ルカシェンコ大統領は12月1日の政府の会議で、原発の建設のみが国家の安全保障と安価なエネルギーをもたらす、と述べた。科学アカデミー総裁Myasnikovichは同じ会議で、最初の原発は2013年に運転開始することができると述べ、建設の適地はモギリョフ州Chayusy地区であると加えた。大統領は政府に対し早急に建設計画を作るよう命じた。

06/12/05
反対派リーダーMilinkevichが4日、ベレスト州のBelaazyorskで薬剤・アルコール保持の容疑で短時間拘留された。「警察が車を捜索したが、もちろん何も見つからなかった」とMilinkevichの報道官は伝えた。Milinkevichは、先週、ミンスク空港でも拘留されている。

06/12/06
イリーナ・カズリンは5日、ビテプスクの矯正キャンプで10月20日からハンストを続けている夫を訪問した。カズリンは、ベラルーシの現状を国連安全保障委員会で取り上げるよう求めている。イリーナによると、カズリンの体重は26kg減少した。

06/12/08
元最高会議議長Shushkevichは8日、1991年12月8日のロシア大統領エリツィン、大統領クラフチュクとの3者によるベロベーシ協定は、ソビエト連邦の死亡を確認したもので、ソ連はその前のクーデターとゴルバチョフ大統領によりすでに崩壊していた、と述べた。「私の人生での最大の事業は、ベラルーシの核兵器を完全撤去したことだ」と述べた。

06/12/08
ルカシェンコ大統領は7日、ベロベーシ協定について述べ、当時モスクワが、ベロベーシに集まった3人を逮捕するようベラルーシKGBに指令を出していれば、その命令は数分で実施されただろう、と述べた。

06/12/11
米国下院は8日、2006年ベラルーシ民主化法を採択した。2004年に採択された法を、2007年、2008年に延長したもの。ベラルーシの民主化支援に2750万ドルを支出し、米国政府に対し、人道援助以外のベラルーシへの援助を禁じている。

06/12/12
ベラルーシ外務省は11日、米国政府に対しベラルーシへの差別政策を慎むよう表明した。米国議会で採択されたベラルーシ民主化法は、ベラルーシ国内の政治勢力に資金を提供する内政干渉である、と非難した。

06/12/13
10月20日からビテプスク州の矯正キャンプでハンストを続けていた反対派元大統領候補Kazulinは、11日にハンストを終了した。Kazulinはベラルーシの民主化問題を国連安全保障理事会で取り上げるようもとめていた。ロイターによると、米国の国連使節のBrencickが安全保障委員会秘密会でKazulin問題を提起したところ、ロシア代表Churkinが反対した。

06/12/13
ロシア・ベラルーシ議会評議会は12日、2007年のロシア・ベラルーシ連邦予算を承認した。予算は31.8億ロシアルーブル(1億2100万ドル)で、防衛、経済など35の合同プログラムに向けられる。

06/12/14
下院の産業燃料エネルギー委員会議長Paulovichは13日、ベラルーシへ輸出されるロシア原油への課税は、ロシア・ベラルーシ連邦の基盤を破壊する、と述べた。ロシアは、2007年1月から、ベラルーシへの原油輸出1トン当り180ドルを課税する。ロシアのこの措置により、石油精製からベラルーシが得ている利益17億ドルが毎年なくなる。

06/12/18
ミンスク市裁判所は15日、反対派青年組織リーダーDashkevichに対し、未登録の青年戦線の活動を行った罪で18カ月の刑を宣告した。10数人のDashkevichの支持者が裁判所の周囲で抗議したが警官が追い散らした。

06/12/19
来年1月14日の投票に向けて15日、地方選挙キャンペーンがはじまった。中央選管によると、2万2658の議席に対し2万3791人の候補者が登録されている。

06/12/20
ベラルーシに対しカナダが19日、貿易制裁を決定した。カナダからベラルーシへの輸出は今後、食料、医療などの人道的物資に限られる。

06/12/21
ベラルーシ上院は20日、「過激派対策法」を採択した。「過激派」とは、ベラルーシの現在の体制の転覆をめざす勢力と定義されている。

06/12/21
ベラルーシ上院は20日、2007年の予算案を承認した。収入は40.4兆ベラルーシルーブル(188億ドル)で、支出は41.8兆ルーブル。歳出欠陥はGDPの1.5%で、2007年の経済成長率を9%と見込んでいる。

06/12/21
国連総会は20日、ベラルーシの人権抑圧を非難する決議を、賛成71反対32棄権69票で採択した。決議は、不公平選挙など反対派の抑圧政策を批判している。

06/12/22
EC(ヨーロッパ委員会)は21日、ベラルーシへの関税特恵国待遇を取り消すと発表した。組合の自由や団交権などで、ベラルーシの労働者の権利が基準に達していないことへの制裁。ベラルーシの輸出の12%がEU向けであり、毎年約4億ドルの損失となる。

06/12/27
2007年のガス供給に関するガスプロムとベラルーシ当局の交渉は26日には合意に至らなかった。ガスプロム側は、ベラルーシガス公社の株式50%の譲渡を要求し、1000立方m当り110ドルの価格を提案している。110ドルのうち75ドルは現金で支払い、残りの分を2011年まで株代に充当する方式を提案している。

06/12/29
Sidorski首相は28日、ガスプロムが2007年のガス供給協定にサインしなければ、ロシアからヨーロッパへのガストランジットを停止する、と述べた。Sidorskiによると、ロシア側は1000立方m当り現金75ドルとガス公社株30ドルを要求している、ベラルーシ側は、1000立方m当り75ドルとし、ガス公社の株式50%を25億ドルの現金で買い取ることを要求している。


2006年11月

06/11/01
Miklashevich検事総長は10月31日、5年半の刑を宣告されビテプスクの矯正キャンプに収監され、10月20日からハンストを続けていた反対派政治家Kazulinが病院に運ばれた、と述べた。しかし、矯正キャンプ長Ahnistskauによると、Kazulinは労働を免除されて収容所にとどまっている。

06/11/02
ミンスクの地区裁判所は1日、反対派青年戦線のリーダーDashkevichに対し、最低18カ月の矯正キャンプという判決を出した。Dashkevichは、未登録組織による一切の政治活動を禁じた、2005年12月に修正された刑法によって裁かれた。

06/11/03
反対派の活動家14人が、矯正キャンプのKazulinに連帯してハンガーストライキをはじめた。またBabruiskでは、独立系組合のZakhozayaが組合差別に抗議して、病院に収容されながらも、1カ月もハンストを続けている。一方、ハンストを続けていたミンスクのプロテスタント集団は、立ち退き勧告を取り消した最高裁判決をうけて10月28日にハンストを終了した。

06/11/06
ロシアの駐ベラルーシ大使Surikovは3日、2007年のベラルーシへのガス料金が、1000立方m当り200ドルと、今の4倍になるかも知れないと述べた。そして、ベラルーシ側がベラルーシガス公社の株の50%をロシアに売却すればガス代も安くなると示唆した。

06/11/07
約110人の反対派代表が6日、来年1月の地方選挙に向けての会議をキエフで開いた。反対派リーダーMilinkevichは、まともな選挙は期待できないが、反対派候補者支持の署名を集めると語った。また、他に候補がいれば反対派リーダーの立場を下りる用意があると述べた。

06/11/09
アムネスティインターナショナルは9日のレポートで、家庭内暴力がベラルーシの「シークレットな問題」であると指摘した。アムネスティによると、2005年にベラルーシでは約3000人の女性がDVの被害者となった。

06/11/10
ベラルーシ政府は9日、ドイツの議員2人と記者2人に対し、ミンスクで開催されるドイツ・ベラルーシ会議参加のためのビザ発給を拒否した。ベラルーシ高官30人に対するEU側の旅行禁止に対抗する措置であるとベラルーシ外務省は述べている。

06/11/13
ベラルーシガス公社のHamolyaは10日、近い将来、ロシア以外にベラルーシへガスを供給する国はないだろうとの見通しを述べた。同日、プーチン大統領とルカシェンコ大統領がモスクワで会談したが、ガス価格問題の解決にはならなかった。

06/11/14
ルカシェンコ大統領は13日、ベラルーシガス公社の株50%のガスプロムへの売却は交渉次第であると述べた。ベラルーシ側は50億ドルの価格を見込んでいるが、ガスプロムは500万ドルを主張している。

06/11/15
反対派連合は、1月14日の地方選挙に向けて、約1000人の候補者について、支持署名集めのための登録を行った。しかし当局は、統一市民党議長Lyabedzka、組合活動家Bukhvostauら反対派リーダーの登録を拒否した。

06/11/16
矯正キャンプに収容されていた反対派政治犯Skrabetsが恩赦により最近釈放され、今後も政治活動を続けると15日に述べた。Skrabetsは18カ月間収容されていた。同じ矯正キャンプに収容されていてハンストを行っているKazulinについてSkrabetsは、肉体的コンディションは悪いが精神的には元気である、とコメントした。

06/11/20
ルカシェンコ大統領は17日、ベラルーシはロシアの国内価格でガスを購入すべきだと述べた。「ベラルーシ人とロシア人はひとつであり、平等であるべきだ。ロシアがガス価格を値上げするなら、ロシア軍のベラルーシ駐留料金を要求する」と大統領は主張した。

06/11/21
EC委員会は20日、ベラルーシに対し、12項目の民主化条件と交換に経済協力を行う提案を発表した。反対派政治犯の釈放、反対派弾圧の停止、行方不明政治家の調査などと交換に経済援助を行うというもの。

06/11/27
ルカシェンコ大統領はミンスクで27日、ウクライナのジャーナリストとの記者会見で、「ロシア相手のガスと石油問題」でベラルーシとウクライナは共闘すべきだと述べた。ロシアがガス代を値上げするなら、対抗措置としてベラルーシを通過するロシアの物資に物品税を課すことを大統領は示唆した。

06/11/27
ルカシェンコ大統領は23日の記者会見で、3月19日の大統領選挙で票をごまかしたことを認めた。大統領によると、自分の得票率が93.5%と西側の基準では多すぎたので、西側が気に入るように得票率を下げた。

06/11/28
ベラルーシ大統領府次官Pyatkevichは26日、ベラルーシはEUと対話を行う用意があると述べた。先週のEU側からのベラルーシ民主化提案に答えたもので、「我々は喧嘩や口論を望まないし、どんな国とも対話する」とPyatkevichは述べた。

06/11/29
CISの11人の大統領が28日、ミンスクで開かれたCISサミットに集まった。トルクメニスタンのNiyazov大統領は、いつものように副首相を代理として参加させた。「相互協力の前進がCISサミットの目的であるが、行動が遅れている」とルカシェンコ大統領は開会式で述べた。

06/11/29
28日のCISサミット後の記者会見をロシア人ジャーナリストがボイコットした。Moskovsky komsomolets紙とKommersant紙の3人のロシア人記者に対して、ベラルーシ側が記者証を剥奪したことに抗議したもの。ベラルーシ側によると、両紙はベラルーシを侮辱する記事を掲載した。

06/11/30
検事総局の匿名の見解によると、矯正キャンプでハンストを続けている反対派Kazulinの健康状態を医者は心配していない。ハンストは11月29日で41目になるが、書面による本人の希望により、医療施設から自分のバラックに移された。


2006年10月
06/10/02
ルカシェンコ大統領はミンスクで9月29日、80人のロシアの地方記者の前で、モスクワがベラルーシにガス価格の上昇を押しつけるなら両国関係はダメになるだろう、と述べた。「ベラルーシのガス価格がドイツへの価格より高いなんてことがありえようか? 両国関係が破綻するとロシアでは1000万の失業がでるだろう」と大統領は述べた。

06/10/03
ベラルーシ上院は2日、賛成103反対3で、選挙法の改定案を採択した。改定案によると、第1回投票で最多票を獲得した候補が当選となる(以前は過半数が必要だった)。また、屋外で選挙民と集会をもつ候補者は、事前に当局の許可が必要となる。

06/10/04
10月3日、ベラルーシ・ラトビア国境の最後の杭が設置され、ベラルーシとバルト諸国との国境線引きが終了した。ポーランドとの国境はソ連時代に確定しているが、ウクライナとは国境協定がまだ結ばれていない。

06/10/06
未登録反対派青年組織Youth Frontの活動家Krasouskiが5日、2005年9月に起きた2つの爆発事件の容疑で逮捕された。彼の弁護士によると、Krasouskiは事件当時ベラルーシにいなかった。Youth FrontのリーダーDashkevichは、未登録組織を運営した容疑で先月に逮捕された。

06/10/10
ミンスクのプロテスタントNew Life Churchの約100人のメンバーが、教会をミンスク当局に譲渡する裁判所命令に抗議するハンストを5日間続けている。ミンスク市経済裁判所は7月21日、教会の建物を1万7500ドルでミンスク市当局に売却するよう命令を出した。

06/10/11
ルカシェンコ大統領は10日、地方議会選挙を来年1月14日に実施する大統領令を発表した。ミンスク市議会、州議会など、1583の地方議会で2万2641議席の選挙が実施される。次回の選挙は、野外集会の規制を強化した、改訂された選挙法のもとで行われる。

06/10/12
5日に逮捕された反対派青年活動家Krasouskiに対して、1999年におきた2人の殺人とレイプ事件の容疑がかけられている。彼の弁護士は「1999年に彼は16歳で学校に通っておりまったく馬鹿げた話だ」と述べた。

06/10/13
ベラルーシ人民戦線、統一市民党、ベラルーシ共産党、社会民主党、青年戦線など反対派リーダーが12日、来年1月14日の地方選挙で共闘することに合意した。2万2000以上の地方議席のうち850人の議席獲得をめざす。

06/10/16
10月15日、拘留されていた青年戦線の23歳の活動家Krasouskiが釈放された。弁護士によると「彼の罪に関する証拠はなにもみつからなかった」。Krasouskiは、2005年の2件の爆発と、1999年の殺人とレイプの容疑で調べられている。

06/10/17
EC委員会は16日、ルカシェンコ体制に反対して退学させられたベラルーシ学生のための奨学金計画を発表した。500万ユーロを提供し、リトアニア、ウクライナなどの周辺国での勉学を援助する。

06/10/18
統計分析省によると、2006年はじめの8カ月間にベラルーシの人口は2万6500人減少し、972万4000人となった。1999年の国勢調査では1004万5200人だった。

06/10/20
Babruyskのタイヤ工場で19日、4人の独立系組合活動家が、同僚のZakhozhayaが組合差別に抗議して10月3日から続けているハンストに加わった。同日、ベラルーシ高官と国際労働機関(ILO)との2日間協議がジュネーブではじまった。

06/10/20
内務大臣Lutsenkoは19日、ユーシェンコ大統領からの要請に従って、ヤヌコービッチ内閣に留まると発表した。辞意の撤回は、首相や最高会議議長も支持していると述べた。

06/10/20
米国国務省は19日、ウクライナの首都キエフの表記を「Kiev」から「Kyiv」に変更すると発表した。ウクライナ現地での発音にならったもの。

06/10/23
5年半の刑で服役している社会民主党リーダーKazulinが20日、ベラルーシの状況を世界に訴えるため無期限ハンストをはじめた。一方、反対派リーダーMilinkevichは同日、EU、米国、ロシア、ウクライナなどの議会リーダーにあててベラルーシ当局の政治的弾圧にさらされている人々を支持するよう訴えるアピールを送った。

06/10/24
来年1月14日に予定されている地方選挙の1600の選挙管理委員会に、反対派から推薦された100人以上の代表が、だれひとり入っていないことが明らかになった。「選挙とは言えない選挙であることの証拠だ」と反対派メンバーはコメントした。

06/10/25
ビテプスク州の矯正キャンプに収容されているKazulinとSkrabetsが24日もハンストを続けている。Kazulinは20日からハンストをはじめSkrabetsは23日から合流した。2人は、収容所の規定に従った労働を続けている。

06/10/26
ミンスクのプロテスタント系ニューライフ教会では、約100人のメンバーが10月5日から、当局の建物引き渡し命令に抗議してハンストを続けている。25日、42歳のハンスト参加者Varantsovaが病院に収容され、3人目の入院者となった。

06/10/27
反対派リーダーMilinkevichが26日、ヨーロッパ議会から、「思想の自由サハロフ賞」を与えられた。サハロフ賞は、1985年に設立された、人権と自由の擁護に功績のあった人に与えられる。

06/10/30
Radzkou教育大臣は下院で27日、全国の高等教育機関において政治的理由で退学させられた生徒はひとりもいないと述べた。彼は上院で昨年、政治的デモに参加した学生は退学させるよう国立機関に命令したことを認めている。3月の大統領選挙後に退学処分をうけた約300人の学生が現在、ポーランド、リトアニア、ウクライナで勉強している。

06/10/31
ミンスク地区裁判所で30日、反対派青年組織青年戦線リーダーDashkevichに対する公判が非公開ではじまった。彼は、未登録の組織を活動させたという罪で9月15日に拘留された。青年戦線の支持者、ジャーナリストら数百人が裁判所を取り巻き、米国やドイツの大使もやってきた。