ベラルーシ国内ニュース

2007年10-12月


安全研 究グループのホームへ



2007年12月


07/12/04
ルカシェンコ大統領は2日、スペイン紙El Paisとのインタビューで、服役している反対派政治家Kazulinが「許しを請えば検討してもいい」と述べた。2006年3月の大統領選挙候補だったKazulinは、公共秩序を乱した罪で5年半の刑を受けている。

07/12/05
ルカシェンコ大統領は4日、ベラルーシ・ロシア連邦事務局長のBorodinと会談し、12月半ばに予定されている、ルカシェンコ・プーチン会談について話し合った。Borodinによると、連邦の憲法草案についての話し合いが予定されている。

07/12/06
ベラルーシ外務次官Varanetskiは5日、EC代表団事務所をミンスクに開設する協定案に合意した。EC側は2005年から、ミンスクでの事務所開設の許可をベラルーシに要請していた。

07/12/07
ブッシュ米国大統領は6日、ワシントン訪問中のベラルーシ反対派政治家と面会した。面会したのは、前大統領候補Milinkevich、統一市民党議長Lyabedzka、ベラルーシ共産党党首Kalyakin、社会民主党議長代行Lyaukovich、人権活動家Branitskayaら。

07/12/10
7-8日にかけてベネゼエラを訪問したルカシェンコ大統領は、「両国は戦略的なパートナーとして協力関係にある」とチャベス大統領との会談で強調した。両大統領は、軍事技術協力、貿易・経済協力などの協定に調印した。

07/12/11
2008年1月1日から施行される予定の、小ビジネス制限大統領令に抗議して10日、ミンスクで約1000人が不許可デモを行った。大統領令によると、家族3人以外に小ビジネス経営者は従業員を雇用できなくなる。

07/12/12
ミンスク地区裁判所は11日、小ビジネス経営者による前日の不許可デモを組織したHarbachouとKryvalに対し15日間の拘留刑を言い渡した。また、ベラルーシ人民戦線副議長のIvashkevichに公衆でわいせつな言動をしたとして15日の拘留を言い渡した。

07/12/14
プーチン・ロシア大統領が2日間の日程で13日ミンスクを訪問しルカシェンコ大統領と会談した。しかし、会談後の声明は出されなかった。プーチン大統領の訪問に反対する青年15人が拘留されたが、1時間後に釈放された。

07/12/17
ルカシェンコ大統領とプーチン大統領はミンスクで14日、経済協力に関する覚え書きに調印し、ロシアはベラルーシに対し15億ドルのローンを供与することになった。ベラルーシへのガス供給価格は、2008年の第1四半期は1000立方m当り119ドルで、長期的には2011年に市場価格となる。

07/12/18
ルカシェンコ大統領は17日、ベラルーシ国民が出国する際に必要だった旅行許可スタンプを2008年1月1日から廃止する大統領令に署名した。同時に、出国禁止者に関する単一データベースの作成を決定した。内務大臣によると、機密関係者など約10万人が対象となる。

07/12/19
最高裁判所は18日、前大統領候補Milinkevichらによる「自由への運動」の登録を拒否した司法省の判断を支持する決定を出した。Milinkevichは、「裁判所が、司法省の決定を正しいとするなら、我々は何度でも登録の申請をするだけだ」と述べた。

07/12/20
国連総会は18日、賛成72反対33棄権78で、ベラルーシの人権状況を批判する決議を採択した。決議は、ベラルーシ政府に対し、政治犯の無条件即時釈放を求めている。

07/12/20
小ビジネス連盟のリーダーShumchankaによると、2008年1月1日から発効する、小ビジネスを制限する大統領令に抗議して19日、全国で8万人の小売商が1日ストライキを行った。ベラルーシ政府は、「民間統一企業」に登録するよう呼びかけているが、小売商は拒否している。

07/12/21
モギリョフ地区裁判所は20日、青年戦線活動家Finkevichに対し、矯正キャンプでの規則違反を理由に18カ月の刑期延長を言い渡した。Finkevichは、政治的落書きの罪で2006年1月に逮捕され、2年間の矯正キャンプ収容を宣告されている。

07/12/27
ロシア政府はベラルーシに対する15億ドルのローンを、ベラルーシ国立銀行に振り込んだ。ローンは、5年間の猶予ののち15年で返済される。ベラルーシ政府は、国家債務の上限値をこれまでの20億ドルから40億ドルに切り上げた。

07/12/28
ミンスク市執行委員会商業部長Kalinouskiは27日、小ビジネス経営者らとの会談で、小ビジネスの制限に関する大統領令に変更はない、と強調した。会談に参加していた経営者の多くは失望し、1月10日に抗議のストライキを計画している。


2007年11月


07/11/01
ベラルーシ反対派の政治家らが10月31日、服役中の前大統領候補Kazulinの釈放を求める嘆願書をルカシェンコ大統領に送った。Kazulinは、秩序紊乱の罪で5年半の刑を宣告されている。嘆願書に署名したのは、統一市民党リーダーLyabedzka、ベラルーシ人民戦線リーダーIvashkevichなど。

07/11/02
駐ベラルーシ・ロシア大使Surikovは1日、バルト海を通って直接西ヨーロッパへガスを供給するパイプラインの建設がはじまっており、ベラルーシでの第2ガスパイプラインの建設は必要ない、と述べた。10月中旬には、ロシア首相Zubkovが第2パイプラインの建設を検討していると述べた。

07/11/5
11月3日から5日にかけてミンスクで、十月革命90周年にちなんで国際共産主義者フォーラムが開かれている。ロシア共産党党首Zyuganovは、ベラルーシ・ロシア連邦を促進するよう訴えた。一方、反対派のベラルーシ人民戦線も同じ日にフォーラムを開催し、ソビエト時代の共産主義体制を批判した。

07/11/06
ミンスク訪問中の中国首相Wen Jiabaoは5日、セメント工場建設資金5億ドルとその他2700万ドルのローンをベラルーシに供与すると述べた。ベラルーシは今年はじめロシアに15億ドルのローンを申し入れたが、ロシア側は回答をはっきりさせていない。

07/11/07
米国国務省次官補Kramerは5日、米国はベラルーシに対し新たな制裁措置を加えるだろうと述べた。Kramerは4月にミンスクを訪問し、大統領府次官Pyatkevichと面会した際に政治犯のリストを渡して釈放を求めたが、釈放には至っていない。

07/11/08
十月革命90周年の7日、ルカシェンコ大統領は、「偉大な十月革命のおかげで、我々は何世代もの間の夢であった独立を達成できた」と全国に演説した。政府系ベラルーシ共産党(KPB)と反政府系ベラルーシ共産党(PKB)は別々にミンスクのレーニン像に花束を供えた。PKBリーダーKalyakinは「十月革命は正しかったが、ソビエトで実現したものは別物だった」と述べた。

07/11/09
EU議長の代理をつとめているミンスクのスロバキア大使館は8日、ベラルーシ当局に対して「抑圧的政策」を廃止し、政治犯を釈放するよう求めた。7日には、EU諸国外交団とMilinkevich前大統領候補とが会談をもった。

07/11/13
Shklou地区裁判所は9日、青年戦線の活動家Dashkevichに対し、友達の活動について法廷での証言を拒否したとして870ドルの罰金を言い渡した。Dashkevichは現在、18カ月の刑で矯正キャンプに収容されており、公判はキャンプ内にて非公開で行われた。

07/11/14
米国財務省は13日、ベラルーシへの制裁措置として、国営石油化学会社Belneftekhimの米国資産を凍結し、米国市民に同社との取引を禁止すると発表した。米国はすでに2006年に、ルカシェンコ大統領と政府高官9人の資産を凍結している。

07/11/15
ベラルーシ外務大臣Papouは14日、米国による新たな経済制裁に対しベラルーシは対抗措置をとると述べた。Papouによると、米国の制裁は、「核兵器の廃棄の際の、米国の意向にベラルーシを従属させるような措置はとらない」という1994年の合意に反すると述べた。

07/11/19
大統領を支持する大衆運動Belaya Rusの創立大会がミンスクで17日に開かれ、全国から380人の代表が参加した。運動の議長は教育大臣Radzkouで、「強くて繁栄するベラルーシの建設に貢献する」という綱領が採択された。

07/11/20
ミンスクで19日、小ビジネスでの雇用制限に関する大統領令に抗議するデモがあり、2000人以上の市場小売商が参加した。大統領令は、小ビジネスで雇用できる人数を家族3人までに限るもので、2008年1月1日から発効する。

07/11/20
18日に発生したZasyadko炭坑でのガス爆発による死者は88人に達し、まだ12人の救出活動が続けられている。ユーシェンコ大統領は20日を、国家服喪の日に指定した。犠牲者の家族は19日、国家調査委員会が設置された現場の建物に押しかけ、当局の情報隠しを糾弾した。

07/11/26
国連総会は21日、ベラルーシにおける人権侵害や政治抑圧を批判する決議を、賛成68、反対32、棄権76で採択した。決議の提案国は、米国、EU、イスラエル、カナダ、スイス、日本。決議は、すべての政治犯を直ちに釈放するよう求めている。

07/11/27
ルカシェンコ大統領は26日、「我々は話し合いの準備があるのに、EU側が望んでいない」と述べた。EUのベラルーシ・ウクライナ派遣団は先週、「政治犯釈放、言論の自由、自由な選挙などがベラルーシとの話し合いの条件である」と発表している。

07/11/29
ベラルーシで28日、1700人の囚人に対して恩赦が実施された。恩赦は、6年以下の刑で服役中かつ刑期の3分の1をすぎた囚人が対象となった。年間93万5000ドルの節約となる。

07/11/30
ミンスク地区裁判所は29日、TalstykaとLutsenkaに対し、大衆行動に関する法令違反で10日間と7日間の禁固刑を宣告した。2人は、12月10日に予定されている「企業発展のために」集会のビラを配ったとして28日に逮捕された。



2007年10月



07/10/01
ベラルーシ全国の警察は9月30日、低所得者に対する補助金や特典の廃止に抗議して11月4日に予定されている「社会行進」のビラを配布しようとしている活動家らをガサ入れした。ベラルーシ共産党と統一市民党は、ビラまき地点として458カ所を当局に申請していたが、許可されたのは3カ所だけだった。警察は申請した人々の住所を捜索した。

07/10/02
国営ガス公社Beltranshazの新たな総裁にMayorauが任命された。また、指名された8人のマネジャーの中に、ロシア・ガスプロムからの代表Annyukが含まれている。2006年の協定により、ガスプロムは2010年6月までにBeltranshazの株式の50%を25億ドルで取得する。

07/10/03
ミンスク市裁判所は2日、反対派政治家Klimauの控訴を棄却した。インターネットに政府転覆を呼びかける論文を出したとして、Klimauは8月に禁固2年を宣告されていた。Klimauはこれまでにも、2つの罪で5年以上刑務所に収監されている。

07/10/04
オーストリアの電話会社Telecomは3日、ベラルーシの携帯電話会社Velcom社の株式の70%を10億ドルで購入する協定に合意した、と発表した。ベラルーシ側からの発表はなかった。

07/10/05
リトアニアのKirkilas首相は4日、ロシアのガス値上げ圧力に対抗して、ベラルーシとの協力関係を深める可能性を述べた。前日、ベラルーシのSidorski首相がビリニュスを訪問し、両国間のパイプラインや原発建設の計画が話し合われた。

07/10/09
ベラルーシ最高裁は8日、組織の登録拒否に対する反対派青年戦線の上告を棄却した。最高裁によると、犯罪歴のある人物はNGOの創立者になれない。「未登録活動を行ったとして有罪になり、それを理由に組織が登録されないのは悪循環だ」と青年戦線リーダーLoykaは語った。

07/10/10
反対派統一市民党のゴメリの活動家PalyakouとKatsoraが、公共の場でわいせつな言動をしたとして7日間の拘留刑を宣告された。Katsoraによると、逮捕は、14日にミンスクで反対派が予定している「自由へのヨーロッパ行進」と関連している。

07/10/11
「自由へのヨーロッパ行進」のオーガナイザーIvashkevichは14日、デモ行進のコースについてミンスク市当局と合意したと述べた。デモ側は当初、独立広場から国立図書館へと大通りを通るルートを希望したが、科学アカデミーからバンガロー広場へ向かうルートとなった。

07/10/12
14日に予定されている「自由へのヨーロッパ行進」を目前にして、反対派活動家の拘留が相次いでいる。MazyrでNazdra、ブレストでBakurとAbramava、YelskでSiliverst、MinskでSasimとYukhnevichが拘留された。

07/10/15
数千人が、ミンスクで14日に行われた「自由へのヨーロッパ行進」に参加した。デモ行進は、ミンスク当局の禁止を無視して、10月広場から、ミンスクの大通りを科学アカデミー前へと行われた。「ベラルーシはヨーロッパだ。自由で公正で恥ずかしくない国にしよう」と反対派リーダーMilinkevichは演説した。

07/10/17
国境なきメディアの権利グループは16日、世界169カ国での報道の自由のランキングを発表した。ベラルーシは151番で、ウズベキスタンが160、トルクメニスタンが167番めだった。ウクライナは92番で、ロシアは144番。

07/10/18
駐ミンスクのイスラエル大使Arieは17日、ユダヤ人に関するルカシェンコ大統領の言動に驚いたと述べた。ルカシェンコ大統領は12日ロシアのジャーナリストに、ユダヤ人住民がベラルーシの町を「豚小屋」に変えつつあると非難した。

07/10/19
ルカシェンコ大統領は18日、ベラルーシ最初の原発建設計画に加わるよう日本へ提案した。「日本は世界で最も安全な原発を建設出来る国であると我々は考えている」と大統領は共同通信に語った。計画によると、建設コストは25〜28億ドルで、2010年に契約し2014年か2015年に完成する。

07/10/22
ロシア首相Zubkovはミンスクで19日、ベラルーシ首相Sidorskiと会談し、ロシアはベラルーシを通過しているYamal-Europeガスパイプラインの増設を検討していると述べた。今のパイプラインは毎年330億立方mの輸送能力があり、ロシアからヨーロッパへのガスの20%を供給している。

07/10/23
欧州評議会議会議長van der Lindenは22日、ルカシェンコ大統領は、ユダヤ人がボブルイスク市をブタのように汚していると言う発言を撤回して謝罪すべきだ、と述べた。

07/10/24
グロードゥノ市の歴史的建造物の取り壊しに反対してきた、ヤンクパラ国立大学の2年生Bychakが、大学規則違反を理由に退学となった。グロードゥノの反対派活動家によると、彼女の退学処分は政治的なものである。

07/10/24
ミンスクで23日にSidorski首相と会談した、ドイツ・ブランデンブルグ州首相Platchekは帰国後、ベラルーシの状況は東ドイツ時代を思い出させた、と言った。つまり、「何も禁止はされていないが、何事もできない」

07/10/25
ベラルーシ下院は24日、6年以下の懲役の囚人に関する恩赦の決定を行った。内務相Navumauによると2500人が対象となるが、政治犯KazlinやKlimauが含まれているかは不明である。なおNavumauによると、ベラルーシには政治犯はいない。

07/10/25
ベラルーシ下院は24日、6年以下の懲役の囚人に関する恩赦の決定を行った。内務相Navumauによると2500人が対象となるが、政治犯KazlinやKlimauが含まれているかは不明である。なおNavumauによると、ベラルーシには政治犯はいない。

07/10/26
経済省は25日、今年1月から9月までの経済指標は、政府目標19項目のうち14項目を達成していると発表した。達成していないのは、農業生産、消費物資生産、輸入の減少である。この間の外国貿易収支は13億ドルの黒字だった。

07/10/29
追悼の日"Dyady"に向けて10月28日、ミンスク郊外のKurapatyの森に数百人の反対派活動家が集まった。Kurapatyの森ではスターリン時代にインテリゲンチアの大量虐殺が行われたとされている。Belapan通信によると、参加者は1500人に増えた。

07/10/30
29日は、スターリン時代の粛正犠牲者を追悼する日だった。約100人のベラルーシのインテリゲンチア粛正70周年にちなんで、市民組織が追悼日を提案した。ソビエト時代に少なくとも100万人のベラルーシ人が逮捕されたり殺害された。

07/10/31
青年戦線リーダーDashkevichが11月6日に、新たな罪状で裁かれる。Dashkevichはすでに、モギリョフ州の矯正キャンプに18カ月収容されている。新たな罪状は、青年戦線活動家Shylaの法廷で証言を拒否したことである。