ウクライナ国内ニュース

2000年1月〜2000年3月



 
 
 
  


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2000年1月

00/01/03
ウクライナ憲法裁判所は12月30日、死刑は憲法違反であり、すみやかに刑法から除外されるべきである、という判断を示した。

00/01/06
法務大臣は1月5日、ルフの分派である「ウクライナ人民ルフ」党を登録し、ウクライナで90番目の登録政党となった。全国に20,300人のメンバー。

00/01/07
ウクライナ政府は1月6日、赤字なしの2000年予算案を議会に提出した。収入と歳出はそれぞれ314.6億グリブナ(57.6億ドル)。

00/01/10
Pustovoytenko前首相の報道官Hubinaによると、1999年のウクライナの工業生産は4.2%増加した。このことは、前内閣の経済政策の適切さを示しており、また1999年のインフレは19.2%で予定の範囲だった。

00/01/12
Tymoshenko副首相は1月11日、前日モスクワでのガスプロムとの会談で、予想以上のガス料金負債額を告げられたと語った。ウクライナの石油ガス公社から聞いていた額は3億8000万ドルで、ガスプロム側の主張は28億ドルであった。また、昨年11月にロシア当局が提示した額は10億ドルだった。

00/01/14
ウクライナ議会は1月13日、2000年度予算案を、153対162票で政府に差し戻した。予算案拒否は、議員数の3分の1の賛成(150票)で可能。

00/01/14
ウクライナ議会で1月13日、右派11政党から241名の議員連合が結成され、議会多数派(議員総数450)となった。新多数派は、政府の経済改革を支持すると同時に、Tkachenko議長とMartynyuk副議長の解職署名をはじめた。

00/01/17
クチマ大統領は1月15日、ウクライナ憲法改正に関する国民投票を4月16日に実施するという命令に署名した。国民投票のテーマは6つで、議会の解散権、議席減、2院制の導入など。

00/01/18
右派、左派の政治家はともに、1月17日のクチマ大統領による国民投票令を批判している。社会党のMoroz氏は、「憲法クーデター」と批判し、ルフなど右派3グループは、「憲法秩序の危機」と訴えた。

00/01/21
ウクライナ議会の右派多数派は20日、Tkachenko議長の解任動議を採決することに失敗した。採決失敗の後、議員たちは壇上に詰めかけたが、共産党や左派の議員が議長の防護にあたった。右派多数派は、Tkachenko解任賛成で235の署名を集めていた。

00/01/24
政府支持の右派多数派241人の議員は1月21日、ウクライナ議会展示場においてもうひとつの議会を開き、239対0でTkachenko議長とMartynyuk副議長の解任を決議し、2月1日に議会ビルに戻ると決定した。一方、Tkachenkoを支持する180人の左派議員は、議会ビルで議会を行なった。

00/01/28
27日に行なわれた、分裂議会の多数派と少数派の話し合いには成果がなかった。両者は、2月1日に開催予定の議会の運営方法と議長について合意できなかった。

00/01/28
ロバートソンNATO事務局長は1月27日キエフで、「NATOとウクライナの関係はきわめて順調である」とのべ、ウクライナは「東ヨーロッパ安定の要である」と語った。
 
 


2000年2月






00/02/01
ウクライナ最高会議は分裂したまま、2月1日の会期を迎える。少数派157人は議会ビルで、多数派246人は議会展示センターで会議を開く。議会ビル周辺には双方の支持者数千人が集まり、警官隊が間に入っている。

00/02/02
議会多数派は2月1日、HOUSEでセッションを開き、賛成255反対1で人民民主党のPlyushch氏を議長に選出するとともに、21の委員会の長を選んだ。一方、少数派は議会ビルでセッションを開き、ハンガーストライキに入った。Tkachenko議長によると、全議員が議場に戻るるまで抗議が続けられる。

00/02/03
左派グループ議員約150人が議会ビルに集まった後、その玄関が数十人の守衛によりブロックされ、ジャーナリストが入場できなかった。多数派によって選出されたPlyushch議長が交渉のため議会ビルを訪れたが罵声を浴びたのみで成果はなかった。
進歩社会党や農業党のグループは議会ビルに泊まり込み、農業党のDovhanはハンストを行なっている。

00/02/04
議会多数派により議長に選出されたPlyushchは2月3日、議会ビルの議長執務室に強引に入った。その後、Yushchenko首相とともにその執務室で予算決議の見通しについて会談した。左派議員は妨害を試みたが守衛により阻止された。

00/02/07
議会少数派と多数派の新たな話し合いももの分かれに終わった。共産党リーダーのSymonenkoによると、危機打開のための提案を多数派はすべて拒否した。少数派メンバーは議会ビルで泊まり込みの警戒をしている。また、検事総長に多数派の「反憲法的行動」について法的判断を求めている。

00/02/08
2月8日午前7時すぎ、約100人の多数派議員が、警備員の助けを受けながら議場に入り壇上を占拠した。257人の多数派議員が集まり、Plyusch議長が開会を宣言した。少数派はスピーカーで叫んだが多数派は議会を進めた。

00/02/10
242人の議員の出席で2月9日も議会が開かれたが、少数派は依然として欠席している。キエフ地方裁判所は9日、Tkachenko前議長やMartynyuk前副議長が多数派妨害のためにとった行動は違法であると判断した。

00/02/14
キエフ地方裁判所は、検察に対し、前最高会議議長Tkachenkoを議会妨害の容疑で調査するよう命令を出した。

00/02/15
Yushchenko首相とMityukov大蔵相はロンドンで2月14日、対外民間債務の繰り延べ案を提案した。ウクライナ国債の償還を7年間延期するもので、額は27億ドル、利率は年10-11%である。

00/02/15
ウクライナ外務省は14日、ウクライナがロシア語住民の権利を抑圧しているというロシア側の批判は、根拠がないと反論した。ウクライナ側によると、数十年にわたって強制されてきたロシア化政策から、ウクライナのnational identityを回復する政策である。

00/02/16
2月15日の議会は、350人の議員が参加して開催された。つまり、右派多数派がリーダーシップをとって以来、進歩社会党以外の左派少数派がはじめて議会に参加した。

00/02/16
ウクライナ共産党のリーダーSymonenkoによると、大統領府は共産党を分裂させるため、第2共産党つくりを始めた。Symonenkoによると、そうした党の集会はすでにCherkasy州で開かれたが、そうした試みは失敗するであろう。

00/02/17
クチマ大統領によると、行政府と立法府の現在の関係は良好である。4月16日の国民投票については、既に最高会議に提案されているが、憲法裁判所の判断をまっているところ。

00/02/17
国家統計委員会によると、2000年1月のウクライナのGDPは昨年同期に比べ3.4%増加した。前月のインフレは4.6%であった。インフレが15.9%を越えなければ、2000年は1%の成長が見込める。1999年はGDPは0.4%の減少で、インフレは19.2%だった。

00/02/18
ウクライナ議会は2月17日、賛成252反対18棄権22で、赤字ゼロの2000年予算案を承認した。歳入歳出は334億グリブナ(60億ドル)。

00/02/22
ウクライナ政府と国立銀行は2月21日、フリブナの変動幅を撤廃すると発表した。現在の交換レートは1ドル5.56フリブナで、2000年度予算では1ドル5.78フリブナと見込んでいる。

00/02/24
チェルノブイリ原発3号炉は2月23日、この1ヶ月で3回目の原子炉停止が発生した。発電所当局によると、原子炉停止は配管系の故障を修繕するためで、3月4日までの予定。

00/02/25
ウクライナ国有財産基金は2月24日、9つの電力会社の株式を来月から市場公開すると発表した。2000年度民営化プログラムによると、800社以上の株が民営化されることになっている。一方ロシア政府は、エネルギー負債の支払として、ウクライナから民営化株を入手することに関心を示している。

00/02/25
オデッサのチェチェン人グループが、チェチェン戦争を報じるニュースレターの発行をはじめ、ウクライナ在住の外交官に配布されている。ロシア当局は、ニュースレターの発行を止めさせるようウクライナに圧力をかけている。

00/02/28
Plyushch最高会議議長は2月25日、議会の承認を受けていない4月16日の国民投票は憲法違反である、と述べた。108人の議員が、憲法裁判所に対し、国民投票に関するクチマ大統領の命令を審査するよう申し入れている。

00/02/29
Tymoshenko副首相は2月28日、1?2月のガソリン輸入量は12.6万トンで、昨年同期の23.5万トンに比べ減少しているとはっぴょうした。事態打開のため、燃料輸入の関税を撤廃する法案が3月1日に議会を通過する予定である。ウクライナ当局は、ロシアが輸出関税を引き上げたことを非難し、ロシアはウクライナのマーケットを必要としてないようだ、と述べた。

00/02/29
Bazilyukスラブ党党首は2月28日、ロシアがを公用語とする国民投票を中央選管に要求すると述べた。彼によると、国民投票の要求に必要な300万以上の署名を集めることができる。

00/02/29
チェルノブイリ原発3号炉は2月28日、安全バルブ故障のため4日間の修理を行なった後、運転を再開した。



 
 

2000年3月

00/03/01
NATO加盟国19カ国の大使とRobertson事務局長が3月1日キエフに集まり、NATOのWORKING SESSIONが開催された。この会合は、第1回のNATO・ウクライナ委員会の会合ともなった。

00/03/03
最高会議は3月2日、賛成228対反対10で、NATO軍と軍人のウクライナでの地位に関する協定を批准した。

00/03/07
ウクライナ国家統計局は3月7日、2月の工業生産が前年同期に比べ14.7%増加したと発表した。1?2月の合計では10.2%の増加。

00/03/13
3月11日、Luhansk州のBarakova炭坑で爆発事故があり80人が死亡。翌日にもうひとり死亡し、7人が入院中。クチマ大統領は、13?14日を服喪の日とし、被災者あてに1000万フリブナ(180万ドル)を送った。ウクライナの鉱山では、昨年は274人が死亡し、1998年は360人と、世界でも最悪の記録。

00/03/21
憲法裁判所は3月20日、4月16日に予定されている国民投票の合憲性判断を延期すると発表した。ヒアリングが長引いているため。

00/03/23
クチマ大統領は3月22日、Martynenko報道官を通じ、憲法裁判所の判断によっては、4月16日の国民投票を中止すると発表。憲法裁判所の判断は3月27までにはでるものと予想されている。

00/03/27
キエフの政府ビルに3月24日、約2000人の労働者が集まり、パンの値下げ、公共費用値上げの取り消し、給料や年金の早期支給を要求してピケを行った。また、4月16日の国民投票の中止、IMFとの合意の撤回、NATOとの関係放棄を要求し、共産党リーダーのSymonenkoも参加した。

00/03/29
憲法裁判所は3月29日、4月16日に予定されている国民投票のテーマのうち2つが違憲であると判断した。その一つは、「議会への不信任国民投票と、その成立にともなう議会解散」。もう一つは「国民投票による憲法改正」である。残りの4つのテーマ、「1ヶ月間議会で多数派形成ができないとき、3ヶ月間議会が予算承認出来ないときの大統領の解散権」、「議員の不逮捕特権の廃止」、「議席数の450から300への減少」、「2院制の導入」が国民投票のテーマとなる。

00/03/29
農業省次官Shmidtは3月28日、ソビエト式コルホーズはウクライナではなくなった、と発表した。10551のコルホーズは、11100の合同企業または組合に再編された。

00/03/30
社会党リーダーのMorozは3月29日、憲法裁判所の判断は国民投票推進者の願望を砕いた、と発表した。「国民投票によって憲法改正する」ことが国民投票の第1の目的であったが、憲法改正発議の権利は立法機関にとどまることになる。

00/03/30
ウクライナ内閣は燃料エネルギー大臣に対し、チェルノブイリ原発の今年中の閉鎖計画を3ヶ月以内に立案するよう要請した。労働者の社会的補償に関する計画は半年以内に作られる。しかし、Tymoshenko次官によると原発閉鎖の具体的な時期は、G7とキエフとの間での代替補償に関する合意後になる。