ウクライナ国内ニュース

2000年4月〜2000年6月



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  


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2000年4月

00/04/04
Medvedchuk最高会議副議長は4月3日、4月16日の国民投票で承認された憲法改正項目が、議会で承認されない可能性があると語った。議会多数派は現在276人であり、憲法改正には300票が必要である。国民投票の結果を議会が承認できないとどうなるか、現在では予測不能である。

00/04/06
ウクライナ最高会議は4月6日、賛成261反対103で、Yushchenko首相の2000-2004年プログラムを承認した。プログラムによると、2000年のGDP成長率は2%で、2002?2004年は6.5%である。実質収入は2004年には9%の増加で、インフレ率は2000年の19%から2002?2004年は7%に低下。

00/04/07
ウクライナ最高会議は4月6日、4月1日から最低賃金を74フリブナ(13.5ドル)から90フリブナに、7月1日から118.3フリブナに引き上げることを、賛成304反対2で決定した。

00/04/10
クチマ大統領は4月7日、Niyazovトルクメン大統領に対し、1999年のガス代支払いを物品と建設サービスで受け取るよう要請した。トルクメンは昨年、3億1500万ドル相当のガスを供給した後、5月に供給停止した。ウクライナ側は870万ドルしか支払っていない。

00/04/11
1900人のキエフ市民を対象とした世論調査によると、4月16日の国民投票で投票すると答えたのが63%で、23%が投票せず、11%が未決定だった。議会解散の大統領権限に賛成が63%、議員の訴追免除特権の廃止に賛成が83%、議員定員の450から300に引き下げ賛成が92%、2院制の導入に賛成が23%であった。

00/04/12
Yushchenko首相は4月11日、年金の未払いを5から7ヶ月中に解消すると語った。現在の未払いは12億フリブナ(2億2000万ドル)である。一方、政府は、51.7億フリブナ(9億5400万ドル)の国債を発行することを承認した。

00/04/13
Plyushch国会議長は4月12日、4つの質問には目新しいものはないが16日の国民投票に参加するよう国民に訴えた。一方、共産党リーダーのSymonenkoは、国民投票をボイコットするよう呼びかけた。

00/04/13
Cook英国外相は4月12日、 チェルノブイリ原発「石棺」補強のため英国は1050万ポンド(1680万ドル)を提供すると語った。Yushchenkoウクライナ首相との会談では、ウクライナの経済改革を支援する用意があると述べた。

00/04/13
国家統計委員会の4月12日の発表によると、1?3月のウクライナのGDPは昨年に比べ5.6%増加し、工業生産は9.7%増加した。

00/04/17
16日の国民投票は4つの設問すべてを承認し、クチマ大統領に議会コントロールの権限を与えた。17日の中央選管の発表によると投票率は79%で、大統領の議会解散権限に賛成84%、議席数の450から300への削減に賛成90%以上、2院制導入賛成81%、議員不逮捕特権の廃止に賛成89%であった。

00/04/18
議会多数派のリーダーKravchukは4月17日、議会多数派は265人にすぎず、国民投票結果に基づく憲法改正の問題は議会会派間の厳しい争いになろうと語った。Kravchukによると、議員定数の削減と不逮捕特権の廃止は容易であろうが、大統領の議会解散権と2院制の導入の採択には「困難」が予測される。

00/04/19
ウクライナの大蔵大臣は4月18日、2000−2001年に支払いのくる債務23.7億ドルの借り換えを決定したと語った。

00/04/21
クチマ大統領は4月20日、汚職追放を訴え、不可侵やダブルスタンダードがあってはならないと強調した。大統領が関心を寄せているのは銀行とエネルギー部門である。一方Azarov税務長官によると、国会議員とその関連企業がウクライナの輸入の25%、輸出の10%を占めていると報告した。彼によると、364人の議員が3000以上の企業の経済活動に関与している。

00/04/25
約1500人のチェルノブイリ被災者が4月23日、事故14周年にちなんでキエフでデモを行った。チェルノブイリ同盟のAndreevによると、ウクライナ政府の救済策はおそまつで屈辱的である。一方、保健当局によると、事故で被曝した人々の死亡率が増加している。

00/04/26
ILOは25日、ウクライナは深刻な経済危機にあり大量失業に苦しんでいる、と結論した。ILOの経済専門家Standingによると、「ウクライナがヨーロッパでなければ、発展途上国に該当する」。月収は1998年の37ドルから1999年の25ドルに低下し、平均寿命も急激に低下、工場生産は能力の44%、3人に1人が実質的な失業者である。

00/04/27
チェルノブイリ事故14周年の4月26日、クチマ大統領は、発電所を閉鎖する日を正確に述べるのはまだ困難であると語った。Yushchenko首相によると、閉鎖の日が決まるのは西側との交渉が済んでからである。事故による損害は、1400億ドルと見込まれているが、除染と健康問題にこれまでに投入された資金は50億ドルにすぎない。

00/04/28
Omelchenkoキエフ市長は27日、キエフでこの夏に穀物不足が起きそうなので、国家備蓄の放出が必要と語った。キエフのパンは補助金があり他より安く、他地区の人々が購入することが原因とのこと。


2000年4月

00/05/04
ウクライナ政府は5月3日、EU、米国、カナダ、日本国籍の人々に対し、ビザ手続きを簡略化した。これらの国の人々は招待状なしにビザの申請ができることになった。

00/05/10
戦勝記念日の5月9日、約2000人の退役軍人がキエフの目抜き通りを行進した。続いて、2500人の左翼がレーニンとスターリンの肖像画を掲げて行進した。一方、Plyushch国会議長は、ソ連軍退役軍人とウクライナ独立軍(UPA)退役軍人との和解を呼びかけた。UPAは4万人の勢力で、対独パルチザンを戦い、ウクライナ独立をめざした。UPA退役軍人は公的には認められておらず、国家補償も受けていない。

00/05/15
キエフ市役所で5月13日、パンの値上げに関連して全く反対の2つの集会が開かれた。社会民主党の主催による集会は値上げに抗議し、「飢饉のはじまり」であるとOmelchrnko市長の解任を訴えた。一方、パン工場労働者たちの集会は値上げを支持し、共産主義的やり方には反対であると訴えた。

00/05/17
賃金の支払いと政府による石炭購入の再開を要求し、150の炭坑で約6000人の労働者が1日警告ストに入った。

00/05/17
議会の調査チームは5月16日、Tkachenko前最高会議議長を、5000万フリブナ(930万ドル)の議会費用濫用のかどで検察局に訴追するよう勧告した。Tkachenkoは容疑を否定し、今年はじめの彼の解任について憲法裁判所の判断が出るまでは、自分が議長であると主張している。

00/05/18
クチマ大統領は5月17日、チェルノブイリ原発を閉鎖する期日は今月中に決められるだろうと述べた。大統領によると、Yushchenko首相のもとに、チェルノブイリ原発閉鎖に関わるさまざまな問題を分析する委員会を設置した。

00/05/19
最高会議は5月18日、242対100で政府の私有化3年計画を承認した。600以上の大企業を売却するもので、今年は5億ドル、2001年15億ドル、2002年10億ドルの収入を見込んでいる。
 一方、Tkachenko前議長を告発すべきという委員会の勧告については、左翼からの反対により否決された。

00/05/22
Yushchenkoウクライナ首相は5月19日、この秋にウクライナ国民は生活が改善されたと感じるであろう、と述べた。国家統計局によると2000年1?4月の工業生産は、昨年同期に比べ10.4%増加した。一方インフレ率は12.1%で、政府予測の倍であった。

00/05/22
Medvedchuk最高会議副議長は5月19日、ウクライナのベラルーシ・ロシア同盟への参加には、経済的にも政治的にもその他にも理由がないと語った。Seleznevロシア下院議長が先週ミンスクで、ウクライナとアルメニアが同盟に参加するであろうと述べたのに答えたもの。

00/05/23
Yushchenko首相はブリュッセルで5月22日、ウクライナのEU加盟は、選択の問題ではなく、時間の問題であると語った。EU加盟はYushchenko内閣にとって無条件の目標となっている。

00/05/24
ヨーロッパ委員会のProdi総裁はブリュッセルで5月23日、Yushchenkoウクライナ首相との会談の後、「我々はEUとウクライナの関係を深める用意がある」と語った。

00/05/24
ウクライナ政府は5月22日、ウクライナ軍人の給与を30-40%引き上げると発表した。階級に応じ、120フリブナ(22ドル)から180フリブナとなる。

00/05/26
国防省高官によると、ウクライナは2001年までにソビエト時代の戦略爆撃機15機と巡航ミサイル354台を廃棄すると語った。ウクライナはまた、46基のSS-24大陸間ミサイルと発射台を2005年までに破壊する契約を、米国の会社と結ぶ予定である。

00/05/29
約2500人の教師が5月26日政府庁舎で、給料の支払い、賃上げ、教育への投資増加を要求してピケットを行った。教育労働者組合のSachkov委員長によると、未払い額は1億4000万フリブナ(2580万ドル)で、教師の平均月給は138フリブナ(25ドル)である。

00/05/30
ウクライナの安全保障国防会議は、軍隊人員の削減目標を設定した。それによると、ウクライナの軍隊は2000年末に40万人、2005年末に37.5万人となる。1997年の段階では47.6万人であった。Kuzmuk国防相によると、ヨーロッパ型の軍隊をめざす。

00/05/31
リボフ市で5月30日、約3000人の市民が「ロシア人をやっつけろ」と叫びながら抗議デモを行った。その後、市内のカフェで先週ウクライナ語の歌を唱っていてロシア人に殺害された作曲家Bilozirの葬式があり、数万人の市民が参加した。


2000年6月

00/06/02
Yushchenko首相は6月1日、チェルノブイリ原発閉鎖の日程を数日中に発表すると述べた。クチマ大統領が、6月5日のクリントン米国大統領との会談で発表するものと思われる。原発の閉鎖に5億ドル、石棺の強化に4億ドル、さらに職員の失業対策に数億ドルが必要となる。

00/06/02
米国連邦裁判所は6月1日、Lazarenko前ウクライナ首相を、職務中に横領した金のランドリングの容疑で告訴した。彼は現在米国で拘留されているが、スイスでも告発されている。1994年から1999年にかけて1億1400万ドルを横領し米国に送ったとされる。

00/06/05
ウクライナ検察庁は6月2日、3つの契約殺人の容疑でLazarenko前首相を捜査していると発表した。Lazarenkoは1996年に殺し屋を雇って、有名な法律家Shchban氏の銃撃殺人させたとされる。他に2件の政府高官の殺害を試みたが未遂に終わった。

00/06/06
クリントン米国大統領との会談でクチマ大統領は6月5日、チェルノブイリ原発を2000年12月15日をもって閉鎖すると発表した。クリントン大統領は、クチマ大統領の決定を賞賛し、石棺の強化費用に7800万ドル、ウクライナの原発安全性向上に200万ドル提供すると述べた。

00/06/07
クチマ大統領は6月6日、G7が約束した資金を提供しなくとも、12月15日にチェルノブイリ原発は予定通り閉鎖すると語った。Yushchenko首相によると、原発閉鎖にともなう電力損失を補うため通常燃料の購入資金が1億ドル必要となる。

00/06/08
Pifer駐ウクライナ米国大使は7日、チェルノブイリ原発閉鎖後も米国は財政支援を継続すると語った。原子炉から核燃料を取り出すのに3000万ドル、石棺の強化に3億6000万ドルが必要。原発閉鎖により原発で3000人の職がなくなり、関連する4000人も生活手段がなくなる。

00/06/09
最高会議は6月8日、死刑を廃止し終身刑に置き換えるよう刑法を改正した。また、18歳以下、65歳以上には終身刑は適用されない。ECの圧力で、ウクライナでは1997年3月以来死刑は執行されていなかった。

00/06/09
最高会議は6月8日、死刑を廃止し終身刑に置き換えるよう刑法を改正した。また、18歳以下、65歳以上には終身刑は適用されない。ECの圧力で、ウクライナでは1997年3月以来死刑は執行されていなかった。

00/06/13
クチマ大統領は12日、政府と議会に対し、農業改革に関する基本的な法制度を確立するよう要請した。ウクライナでは昨年12月の大統領令により、11000のコルホーズが解体され、小分けされた土地が農民に分配された。2002年までに政府は、小分けされた土地の権利書を各農民に発行することになっている。

00/06/16
EBRD(欧州復興開発銀行)は15日、ウクライナの携帯電話会社Kyivstarに3400万ドルの投資を行うと発表した。Kyivstarは12万人の契約者をもち、そのシェアは29%である。ウクライナの携帯電話普及率は人口の1%以下であるが、ポーランドでは8%、チェコは12%、西欧平均は30%である。

00/06/19
クチマ大統領は16日、訪問中のキューバのハバナで、チェルノブイリ被災児18000人の医療治療に対し感謝する演説を行った。

00/06/19
EBRDのFrank総裁は16日、チェルノブイリ原発の閉鎖にともなう1億8000万ドルの援助は、ウクライナのエネルギー部門の改革とセットであると述べた。

00/06/19
50以上の艦船を含むNATO海軍が19日、黒海のオデッサ近海でウクライナ海軍との合同演習を開始した。ウクライナからは、900人の海兵隊を含め5500人が参加。ウクライナ独立以来、最大規模の海軍演習。

00/06/23
ドイツのFischer外相はキエフで23日、チェルノブイリ原発の閉鎖にともなってドイツ政府がウクライナにどのような援助を行うか最終的には決まっていないと語った。Fischerによると、チェルノブイリ石棺の補強にドイツがいくら支援するかは7月5日にベルリンで開かれるG7の後に決定される。

00/06/26
6月25日に実施された補欠選挙の結果、新たな代議士が10人選出された。定員450の議席のうち、政府に出向している9人と、1998年に死亡した1人の計10人が欠員である。新たに選ばれた議員には、ルフの前指導者で故Chonobilの息子も含まれている。

00/06/26
共産党指導者Symonenkoは24日の党大会で、「ウクライナは改革を中止し破局から免れねばならない、共産党の指導のもとにプロレタリア革命の必要がある」と述べた。Symonenkoは党の第1書記に選出された。

00/06/27
現在米国で拘留中のLazarenko前ウクライナ首相は26日、スイスの弁護士を通じ900万ドルの自らのマネーロンダリングを認めた。スイス当局によると、Lazarenkoは1994-97の在職中に8億8000万ドルを横領し、80以上の銀行に送金した。

00/06/29
憲法裁判所は29日、4月16日の国民投票に基づくクチマ大統領の憲法改正案を合憲と判断した。改正案には、大統領に議会解散権の付与、議員の犯罪不逮捕特権の廃止、議員定数の450から300への減少の3点が盛り込まれている。