ウクライナ国内ニュース

2000年7ー9月

 

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2000年7月

00/07/07
チェルノブイリ原発の閉鎖を議論するG7やEU諸国の会議が7月5?6日ベルリンで開かれ、オランダの代表は、原発閉鎖の費用として284万ドルを提供すると発表した。

00/07/11
ウクライナ経済省によると、2000年のインフレ率は25-29%になると予測される。1999年は19.2%で1998年は20%であった。Yushchenko首相は、事態は深刻ではないし、政府のコントロール下にあると述べた。

00/07/11
猛烈な風雨のため7月10日、チェルノブイリ原発の3号炉が運転を停止した。風雨のため、ウクライナでは2人が死亡し10人が負傷した。洪水による被害は3億4000万フリブナ(6270万ドル)に達している。

00/07/12
クチマ大統領は7月11日ライプチヒでシュレーダー・ドイツ首相と会談し、チェルノブイリ原発閉鎖後の電力問題を含め2国間関係の議論を行なった。ドイツ側の態度は、工事中のロブノとフメルニツキ原発に対するEBRDからの15億ドルの融資の鍵となっている。

00/07/13
AP通信によると、2000年前半のウクライナのGDPは、前年に比べ5%増加した、工業生産での増加が大きく、農業分野の生産は減少している。

00/07/21
ウクライナのMityukov大蔵大臣によると、対外債務と給料未払いを合わせた負債額は、2000年1月から5月にかけて、4億3800万ドル減少し、6月1日現在で148億6500万ドルとなった。そのうち対外債務は105億9900万ドルである。

00/07/25
原子力エネルギー公社「Enerhoatom」によると、ウクライナの原発は31億8000万フリブナ(5億8500万ドル)の電力と熱を生産したが、代金を受け取ったのはその5%だけである。約75%は、原子力産業のバーターや負債の支払いに使われた。7月1日現在で、電力消費側の未払いは26億6000万フリブナである。

00/07/26
Yushchenko首相は7月25日、今年2月の政府の約束より3カ月早く、10月1日までに年金未払いを解消すると述べた。1月1日の段階では、年金未払いは14.5億フリブナ(2億6800万ドル)で、32%の年金受給者のみが完全な支払いを受けているだけであったが、7月1日には、それぞれの数字は8億5000万フリブナと62%とに改善された。

00/07/27
ヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)は、ウクライナのロブノとフメルニツキ原発の2基の原子炉完成のために2億ドルの資金提供を検討している。EBRDによると、この資金提供は、チェルノブイリ原発の閉鎖とウクライナのエネルギー産業の改革が前提となる。
 
 

2000年8月

00/08/04
国家統計委員会は8月3日、7月は0.1%のデフレであったと発表した。統計委員会によると、食料価格0.4%減少し、非食料は0.6%の値上がりであった。2000年の前半6カ月のインフレは18.7%で、政府による年間予測の15.9%をすでに上回った。

00/08/07
国家統計委員会は8月4日、今年度最初の7ヶ月間の工業生産は、昨年同期に比べ11.7%増加したと発表した。また、別の統計によると、工業製品輸出は22%増加した。

00/08/09
Vujovic世界銀行総裁は、ウクライナに対し今後3年間で総額19億ドルの融資戦略を検討していると発表した。融資の中心は、ウクライナの経済改革路線を前提とする、7億5000万ドルの3年間ローンである。

00/08/10
国家統計委員会は8月9日、ウクライナの人口が、今年はじめの4971万人から4947万人に減少したと発表した。死亡率と出生率は2対1である。ウクライナの人口は1991年の独立以来、5206万人から減り続けている。

00/08/13
Yushchenko首相は8月10日、9月15日までに年金未払い分をすべて払うと断言した。年金未払いの解消に関する今年3回目の発表で、2月のときには年内に、先月には10月1までにと発表していた。年金未払い額は、7月1日の段階で4億7800万フリブナ(8800万ドル)であった。

00/08/15
国家統計委員会は14日、今年の7ヶ月間のウクライナのGDPは昨年同期に比べ5%増加したと発表した。政府の今年度見込みは2%で、昨年は0.4%の減少であった。

00/08/16
IMFに対するウクライナの負債は、2000年前半において4億156万ドル減少し、22億5700万ドルとなった。2000年後半の支払い予定は3億8910万ドルで、2001年6億55万ドル、2002年3億18万ドルである。

00/08/22
検察当局は21日、ウクライナ合同エネルギーシステム次官のFalkvychと同評議員メンバーのTymoshenkoを、80万ドル相当のスクラップ金属をアジア諸国に輸出した横領の容疑で逮捕した。Tymoshenkoは、Yuliya Tymoshenko副首相の夫である。

00/08/23
Yuliya Tymoshenko副首相は21日、夫の逮捕は、ウクライナのエネルギー産業での汚職を追求している彼女への「政治的復讐」であると語った。

00/08/23
国際穀物評議会のMakarovは22日、ウクライナの今年の穀物収穫量は2300万トンで、昨年の2370万トンに比べ減少すると発表した。減少の原因は、燃料費の高騰、肥料・農薬不足、天候不順である。

00/08/24
ウクライナ政府は23日、原潜クルスクの沈没で死亡した27人のウクライナ生まれ船員の家族に対し、5000フリブナ(919ドル)を支給すると発表した。また、有名なウクライナのサッカークラブ、シャフタル・ドネツクはクルスク犠牲者の家族に10万ドルを寄付すると発表した。

00/08/24
ミハイロフ州の4つの村で発生し数100人の被害が出ている毒物事件の原因について、政府特別委員会はその原因を同定することに失敗している。7月4日以降、子供170人を含む331人が入院した。保健当局は、土壌中の硝酸塩が原因とみているが、近くで行われたロケット発射の液体燃料が原因という説もある。

00/08/25
ウクライナ独立記念日の24日、約3000人が再建されたAssumption Cathedralの前で、Moscow従属ウクライナ正教による礼拝式に抗議した。群衆は「モスクワ教会はウクライナから出てゆけ」と叫んだ。ウクライナでは3つの正教会の対立が起きている。

00/08/28
ミハイロフ州の4つの村の謎の中毒事件に関連し、当局は378人の子供を避難させることにした。中毒は、「伝染性ではなく、アレルギーでもない」。先週の段階で、子供58人を含む71人が入院中である。

00/08/29
ウクライナ衛生検査主任のBovylovaは28日、ミハイロフ州の中毒事件の原因は、液体ロケット燃料による汚染の可能性が大きいと述べた。燃料漏れはないと軍当局は言っているが、保健当局は、土壌と地下水から燃料分解生成物を検出した。

00/08/31
OSCE、ヨーロッパ評議会、ヨーロッパ議会の専門家が30日ウィーンで会合し、OSCEに対し、10月15日のベラルーシ選挙に「限定的な技術評価ミッション」を派遣するよう勧告することにした。採択された文書によると、ベラルーシの選挙は国際的な民主基準を満たしておらず、ミッションの派遣も選挙を民主的であると認めるものではない。

00/08/31
ウクライナ正教(キエフ派)のFilaret主教は30日、ウクライナ正教会統一に関するウクライナ当局の姿勢を批判した。Filaret主教によると、クチマ大統領はロシア正教に対し、ウクライナ正教(モスクワ派)の自治を求めるのではなく独立を求めるべきである。彼によると、ウクライナの3つの正教会が統一に向かう唯一の方法は、全ウクライナ聖職者評議会を開くこおである。
 


2000年9月

00/09/04
クチマ大統領はオリンピック代表団の激励会で、世界のベスト10に入る成績を期待すると述べた。ウクライナは選手239人を含む390人の代表団を派遣し、金メダル5万ドル、銀メダル3万ドル、銅メダル1万ドルの報奨金を用意している。

00/09/06
ウクライナ議会の秋のセッションの開始にあたり、Plyshch議長は、最も重要な案件は4月の国民投票をふまえた憲法改正であり、ついで2001年予算、税金法、土地法など350以上の案件があると演説した。一方ソボリスト派は、クチマ大統領がLazarenko前首相から莫大な外貨送金を受け取った証拠があるとして大統領罷免を議会スケジュールに含めるよう訴えた。

00/09/07
9月6日、約1000人の緑の党員が、全国の廃棄物施設予算の増額を要求して政府ビルのピケットを行った。緑の党代表Kononovによると、キエフ近郊の国営RADON処理場の予算は250万フリブナ(46万ドル)であるが、実際にはその5倍が必要である。Zayets環境大臣は、廃棄物処理場の問題が深刻であることを認め、チェルノブイリ原発近くに建設中の新しい処理場により事態が改善されるだろうと述べた。

00/09/11
Yushchenko首相は10日、約束の9月15日以前に未払いの年金支払いが完了したと述べ、同様の事態を繰り返さないよう最善の努力をはらうと述べた。今年のはじめの未払い額は12億5000万フリブナ(2億3000万ドル)だった。首相はまた、年金を増額するよう努力すると語った。現在の平均年金は月50フリブナ(9.2ドル)である。

00/09/14
Rohovyy経済大臣は13日、フリブナのレートは安定しており、年内は1ドル=6フリブナ以下に収まるだろうと述べた。現在の相場は1ドル=5.439フリブナである。一方、通貨ディーラーによると、フリブナの安定は、政府の買い支えによるものであり、一日でも買い支えがないと、フリブナ相場はただちに下落すると述べた。

00/09/18
クチマ大統領はパリで15日、シラク仏大統領、Prodi EU議長などと会談し、12月15日にチェルノブイリ原発を閉鎖すると明言した。シラク大統領は、原発閉鎖に関連しEUから4億3000万ユーロ(3億6980万ドル)の支援を行なうことを再確認した。

00/09/19
Yushchenko内閣は先週、2001年度予算案を議会に提出した。Mityukov大蔵大臣によると、歳入、歳出ともに523億フリブナ(96億ドル)である。予算案では、2001年度のGDP成長率4%、フリブナ交換レート1ドル=6.3フリブナ、インフレ率19%を見込んでいる。ちなみに2000年度予算は423億フリブナであった。

00/09/19
インターネット新聞「Pravda Ukraini」(http://www.pravda.com.ua)の編集長Gongadze氏が行方不明になったと18日のマスコミが報道した。Gongadze氏は16日に自宅に戻らなかった。Pravda Ukrayiny紙は、政府に批判的で、高官の汚職を追及していることで知られている。大統領報道官Matrynenkoは、氏の失踪について捜査するよう大統領が命じたと述べた。

00/09/20
クチマ大統領は19日、Yushchenko内閣での経済状況に満足していると語った。今年のGDPは3?3.5%の成長が期待され、昨年の工業生産は11%の増加、農業も0.2%も増加であった。

00/09/28
クチマ大統領は27日、閉鎖されるチェルノブイリ原発を国際原子力研究センターにすることを示唆した。そのための委員会設置に関する大統領令を発効させた。一方、2日前にタービントラブルで停止していたロブノ原発は27日に運転を再開した。ウクライナの14基の原発のうち現在動いているのは10基である。

00/09/29
クチマ大統領は28日、2001年には教育関係者の給料を引き上げ、来年末までに給料未払いを解消すると述べた。ウクライナの約50万人の教師の平均月給は137フリブナ(25ドル)である。Sakhan社会政策労働大臣によると、来年の給料値上げは約25%であり、この3年間ではじめてである。