ウクライナ国内ニュース

2000年10ー12月

 

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2000年10月






00/10/02
クチマ大統領は、Tarashuk外務大臣を更迭し、Zlenkoを新たな外務大臣に任命した。Zlenko氏は62歳で、1994年にクチマ大統領が当選するまでウクライナの初代外務大臣であった。

00/10/03
Yushchenko首相は10月2日、シドニーオリンピックでのウクライナの成績が悪かったのはスポーツ当局者に問題があると述べた。シドニーでは、金3銀10銅10の成績で21番目だった。ちなみに、アトランタのときは、金9銀2銅12で世界のトップ10に入っていた。

00/10/04
Yaremenko国立銀行高官は、「いかなる手段を用いても」フリブナの下落を防止すると断言した。国立銀行はフリブナ防衛のために1億2000万ドルを用意しており、この一週間で3400万ドルを用いた。

00/10/05
警察は、裁判所への召喚状を渡すため、人民戦線リーダーVyachorkaと社会民主党リーダーShushkevichの2人を探している。最高会議員Hraznovaにはすでに手渡された。3人が「自由行進?3」のさいに選挙ボイコットを訴えたことに対し裁判所が召喚しているもの。

00/10/06
10月15日の選挙に登録しようとして拒否された民主派候補は、「チェルノブイリの子供たち」代表Hrushavy、弁護士Pahanyayla、人権活動家Volchak、経済学者Zlotnikauなどである。一方、登録された反対派候補は、Fyuduta、Chyhir、Stakevichなどである。

00/10/06
Kravchenko内務大臣は6日の議会で、9月16日に失踪したジャーナリストGongadzeを未曾有の手段で捜索している、彼の失踪は「政治的なもの」で「国際社会の関心」を呼んでいる、と語った。犯罪捜査にはじめて、(失踪者の)夫人が参加し議論しているが、いまのところ進展はない。

00/10/09
ウクライナの反対派新聞「スバボーダ」編集長のLyashkoは、キエフ駐在のEU諸国、米国、日本の大使に公開書簡を送り、新聞印刷機材の購入援助を訴えた。Lyashkoによると、14カ所の印刷所が、新聞の印刷を拒否しており、これは政府による圧力の結果である。

00/10/10
Hladiy副首相は9日、2000年1月?9月の農業生産は、前年に比べ1.3%増加したと述べた。1991年の独立以来はじめての農業生産増加である。政府は2450万トンの穀類生産を見込んでいる。

00/10/12
クチマ大統領は、ウクライナ領を通過するガスパイプラインからの「抜き取り」を断固として禁止すよう、Yushchenko首相に指示した。大統領によると、今年はこれまでに130億立方m(7億ドル)の抜き取りが行なわれ、д昨年は14億ドル分だった。
一方、Iteraガス会社は、ウクライナへのガス供給を1日3000万立方mから480万立方mに削減すると発表した。ウクライナの4つの発電所は先月のガス代のうち27.4%しか支払っていない。

00/10/13
Zhulynskyy副首相は12日、2001年の夏にローマ法王がウクライナを訪問する可能性があると語った。ウクライナ独立10周年を記念するものとして、カトリック信者だけでなく国全体で歓迎されるであろうと述べた。

00/10/18
左派と中道の議員らは17日、「Silski visti」紙の閉鎖に抗議して議会を退場した。Silski visti紙は、左派に同調的で大統領を批判していたが、8年前の所得税の未払い(33万ドル)を理由に、閉鎖命令が出されたもの。

00/10/19
約5000人の退役軍人が18日、2001年度予算での手当削減に抗議して、キエフの議会前でピケットを行なった。一方、科学アカデミーの400人の科学者も、給料と科学予算の増加を要求してピケットを行なった。議会では、19日から予算審議がはじまる。

00/10/24
ウクライナ石油ガス会社のKopylov総裁は24日、2001年のガス供給問題は解決されたと語った。ウクライナは、トルクメニスタンから300億立方mを購入、ロシアからパイプライン使用料として300億立方m受け取り、国内ガス田から180億立方m生産の予定。

00/10/25
Yashchenko首相は、ロシアのGaspromが計画している、ウクライナを迂回するヨーロッパへのガスパイプライン建設への関心を表明した。首相によると、ウクライナのパイプラインは能力の70%しか使われておらず、わずかの投資により600億立方mほど能力を増強できる。

00/10/25
税金滞納を理由に発行を止められていた「Silski visti」紙が、21日から再刊に至った。同紙によると「18日間におよぶ発行禁止は、国民やジャーナリストの抗議、議員の抗議によってうち破られた」

00/10/26
Yekhanurov副首相は25日、今年度のGDP成長率として3.5%を期待していると述べた。今年はじめの予測は2%であった。新たに私有化された、食品・食品加工産業の延びが貢献した。

00/10/30
ロシアのツーラ州で行なわれていた、チェルノブイリ事故処理作業者25人のハンガーストライキは27日に終了した。ストライキ参加者は、チェルノブイリ被害者に対する援助切り下げの法案に反対していたもの。チェルノブイリ同盟のNaumovによると、ロシア議会は法律の改定を拒否し、また政府は現行法案とおり7億ルーブル(2500万ドル)の健康補償金を用意した。

00/10/31
クチマ大統領は30日、2000年の最低毎月生活費用として270.1フリブナ(49.7ドル)を承認した。法律に基づくと、政府の各種手当ては、この最低生活費用を下回らないように設定される。
 


2000年11月

00/11/02
国家安全保障会議は11月1日、チェルノブイリ原発を数ヶ月間運転するのに必要な技術的問題と燃料供給について検討するよう、担当大臣と当局に指示した。Yushchenko首相によると、この指示は議論上の問題にとどまる。一方、労働組合リーダ?のHiggsによると、チェルノブイリ原発閉鎖にともなう失業補償として1億3500万ドルの援助が必要である。

00/11/03
議会は2日、3800万ドル横領の容疑によりドイツで拘留されているZherdytskyy議員の不逮捕特権を剥奪する決議を268対3で採択した。これにより、ウクライナ当局はドイツにZherdytskyyの身柄を請求できる。Zherdytskyyは、ウクライナでのナチ犠牲者補償金を横領したとされている。

00/11/06
Plyushch国会議長は11月4日、EBRD(ヨーロッパ復興開発銀行)がロブノとフメリニツキ原発の建設完成資金を提供しなければ、12月15日以降もチェルノブイリ原発の運転を継続するという法案を提案した。

00/11/08
十月革命を記念し11月7日、ウクライナ各地で集会が開かれ、たとえばキエフで2500人、ハリコフで3500人、セバストポリで4000人が参加した。警察当局によると参加者は昨年より減少した。

00/11/09
政府は8日、2段階で年金を引き上げる決定を行った。現在の年金は、最低で月48フリブナ(8.8ドル)最高81フリブナであるが、12月1日より55フリブナと90フリブナに、2001年4月1日から58フリブナと108フリブナに改訂される。4900万人のウクライナ人口のうち年金受給者は1300万人以上である。一方、政府が承認した最低生活必要経費は一人あたり月270フリブナである。

00/11/10
EC総裁Prodiはキエフで6日クチマ大統領と会談し、チェルノブイリ原発閉鎖にともなう代償として火力発電用燃料費2500万ユーロ(2160万ドル)を速やかに供与すると約束した。一方、クチマ大統領は12月15日の原発閉鎖を再度言明した。

00/11/13
最高会議副議長のHavryshは11日、チェルノブイリ原発閉鎖にともなって国際社会がウクライナに適切な援助をしなければ、議会は「しかるべき決議」を行うと述べた。来月早々、議会ではチェルノブイリ原発閉鎖に関するヒアリングが開かれる。

00/11/15
議会前で14日、6000人の教師と1500人のチェルノブイリ被災者が、給与や社会保障の引き上げ、未払い給料の支払いを求めて、別々の集会を行った。社会保障を受けているチェルノブイリ被災者の数は220万人であるが、2001年の予算で政府は、手当の大幅な削減を盛り込んでいる。

00/11/17
ヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)総裁Lemierreは16日、チェルノブイリ原発閉鎖にともなって、ウクライナの2原発の建設完成のため2億1500万ドルを供与するよう評議会に要請すると述べた。ただし、ウクライナ原発の安全性向上、安全評価のための独立した組織創設、エネルギー産業の改革がローンの条件である。

00/11/27
チェルノブイリ原発が27日送電線の故障のため運転停止した、とウクライナ・エネルギー省が発表した。

00/11/28
悪天候により27日、ウクライナの3000の町や村で停電が発生した。緊急事態省によると、停電の90%は電力ラインの自動停止のためであった。チェルノブイリ原発が同日停止し、他の3つの原発が28日に運転停止した。

00/11/28
国家税務局によると、今年の1月から10月にかけて税金警察は、税金逃れに使われている3800件のダミー会社を摘発し、8200万フリブナ(1500万ドル)の銀行口座を凍結し、3900万フリブナを押収した。
 

2000年12月

00/12/01
ウクライナ議会は11月30日、賛成247対反対10で、2001年予算第2案を承認した。共産党系、社会党系の議員は投票に参加しなかった。歳入は、私有化収入59億フリブナを含め、416億フリブナ(76億5000万ドル)である。

00/12/01
Lytvyn大統領府長官は11月30日、社会党党首Morozを、中傷の理由でキエフ裁判所に告発した。Morozは先日、Lytvyn長官、クチマ大統領、Kravchenko内務大臣がジャーナリストGongadze失踪事件に関与したと発表した。

00/12/04
クチマ大統領はミンスクで1日、Gongadze失踪事件に自分が関与したという情報は、おそらく外国情報機関が作り出した陰謀である、とシュワルナゼ・グルジア大統領に語った。

00/12/04
キエフ市内を12月3日、約1万人のチェルノブイリ事故被災者が、政府に社会保障と手当の増加を要求してデモ行進した。一方、先週停電で停止していたチェルノブイリ原発は12月1日運転を再開した。

00/12/06
ウクライナ議会で5日、チェルノブイリ原発閉鎖に関するヒアリングが開かれ、外国議会の代表、外交官、国際機関員なども参加した。クチマ大統領は、閉鎖にともなうエネルギー源の補償、失業問題に対し、西側が消極的であると述べた。先に、閉鎖の延期もありうると述べたPlyshch議長は、「チェルノブイリ原発の将来的利用は不可能であり」延期はあり得ない、と述べた。
一方、EBRD評議会は、チェルノブイリ原発閉鎖にともなう代償として、2基の原発の完成資金としてウクライナに2億2000万ドルを貸与するかどうかを今週に決定する。EBRDはすでに、非核燃料の購入費用としてウクライナに1億ドルの供与を決めていた。チェルノブイリの閉鎖費用は14億ドルと見込まれているが、そのうち、EBRDが2億2000万ドル、EUが5億8500万ドル、米国、フランス、スウェーデン、スペインが3億5000万ドル、ロシアが1億500万ドル、ウクライナ原子力公社が1億6000万ドル負担の予定である。

00/12/07
クチマ大統領は6日のテレビで、Gongadze事件に自分が関与したという情報は、ウクライナ社会の安定に対する攻撃であり、私には弁解すべきことはないし、攻撃は政治的なものである、と語った。一方、Morozは、クチマ大統領の問題の会話テープを検察総長に提出した。Karmazin議員によると、Morozのもとには、他のテープもある。

00/12/07
Lytvyn大統領府長官は6日、2000年1月から11月のウクライナの工業生産が、前年同期に比べ12.6%増加した、と発表した。

00/12/08
EBRDは12月8日、フメリニツキ原発とロブノ原発で建設中の2基の原子炉の完成資金として2億1500万ドルのローンをウクライナに与える決定を行なった。完成資金の総額は14億8000万ドルで、ユーロアトムからは、5億8500万ドルのローンが来週決定される。

00/12/08
Tymoshenko副首相は7日、ウクライナのすべての炭坑を2001年半ばまでに私有化すると発表した。現在、ウクライナの炭坑の数は196である。

00/12/11
Potebenko検事総長は8日、Gongadze失踪事件に関連し、クチマ大統領、Lytvyn長官、Karavchenko内務大臣に対しすでに事情聴取を行なったと発表した。3人はいずれも容疑を否定した。またMorozに対してもすでに2回の事情聴取を行なった。

00/12/12
Holovatyy議員は11日、クチマ大統領がGongadze失踪事件に関与した証拠としてMoroz社会党首が発表したテープは信憑性のあるものだと述べた。Holovatyy議員は、他の2人の議員とともにある西側の国において、テープの提供者である将校にインタビューして帰国した。将校は34歳のMelnychenkoで、24分のインタビュービデオは今週公表される。

00/12/13
ウクライナ議会で12日、クチマ大統領の前ボディーガードであっった将校Melnychenkoのインタビュービデオが上映された。Melynchenkoは、クチマ大統領の会話を盗聴し、大統領がKravchenko内相とLytvyn大統領府長官にGongadzeを殺害するよう命令した、と主張している。彼は、「私は、ウクライナ国家と人民に対し忠誠を誓うもので、大統領の犯罪にはではない」と述べている。

00/12/14
クチマ大統領報道官Martynenkoは13日、Gongadzeの失踪に関連し大統領はいかなる違法行為も行なっていないと述べた。Melnychenkoのビデオは、大規模な政治的陰謀であり、ビデオは偽造されたものであると述べた。

00/12/14
EUは13日、ウクライナに対し原発完成資金として5億8500万ドルのローンを提供すると決定した。返済期間は20年で利率は5%。一方、15日の閉鎖式典に向けての準備が進められている。チェルノブイリ原発は6日の蒸気漏れで原発は停止しているが、最小出力で運転が再開され、明日、クチマ大統領の命令で停止される。

00/12/15
15日正午、クチマ大統領はキエフとチェルノブイリ原発を結ぶテレビ中継を通じ、3号炉停止ボタンを押す命令を出した。「世界に平和が訪れ、人々は平穏に眠れるだろう」と大統領は演説した。一方議会は、共産党主導で、原発閉鎖を少なくとも4月まで延期するよう政府に求める、無拘束決議を採択したが、クチマ大統領は「政治的遊技」であると無視した。

00/12/15
大統領を巻き込んだスキャンダルは14日、前大統領ボディーガードMelnychenkoのあらたなビデオが議会で上映され、いっそう拡大した。Melnychenkoによると、大統領は、大統領選挙中の1999年10月2日に起きたVitrenko候補襲撃事件に関係していた。また、昨年の大統領選挙と国民投票での不正操作を命令した。

00/12/18
キエフで15日、約500人が独立広場で集会を行ない、Gongadze失踪事件に関連し、クチマ大統領、Kravchenko内相、Derkech保安委員会議長の辞任を要求した。参加者はその後テントを設置し「クチマなしのウクライナを!」と呼びかけて抗議行動を続けている。

00/12/19
国家統計委員会は18日、ウクライナの2000年1月から11月のGDPは、前年同期に比べ5.4%増加し、1540億400万フリブナ(280億ドル)に達したと発表した。今年初期の予想では2000年の経済成長は2%とされていた。

00/12/20
約5000人の人々が「クチマなしのウクライナを!」と叫んで集会を行なった。さまざまな党派の議員も参加し、独立広場から大統領府までデモ行進した。デモのリーダーは、行方不明ジャーナリストGongadzeの捜査と、クチマ大統領と治安関係閣僚の辞任を要求した。また、議会に対し、大統領罷免手続きの法政化を要求した。

00/12/21
クチマ大統領は20日、「クチマなしのウクライナ」キャンペーンの代表と会談し、Gongadze捜索を独立専門家に依頼することとと、Kravchenko内務大臣とDerkach保安委員会議長の解任に合意した。

00/12/22
議会は21日、行方不明ジャーナリストGongadzeの捜索を急ぐよう政府に要求する決議を採択した。「クチマなしのウクライナ」キャンペーンのリーダーChemerysは、「Gongadze事件で当局に対する不信感は限界を超えた、たとえMorozテープが濡れ衣であろうと、クチマ大統領は大衆の信頼を回復することは出来ない」と演説した。

00/12/27
裁判所は22日、クチマ大統領への抗議テントキャンプを撤収する命令を出した。「自主的に撤収しない場合は、強制的に排除することになるだろう」とOmelchenkoキエフ市長は語った。

00/12/29
ウクライナ政府は、2001年のインフレ率を13.4%と予測している。2000年1月から11月のインフレは23.8%で、1999年は19.2%だった。

00/12/29
ウクライナ当局は、今週はじめに停止したYuzhna原発が27日に運転を再開したと発表した。原子エネルギー公社によると、4カ所の原発の13基の原子炉のうち11基が運転中である。

00/12/29
1997年にチェルノブイリ市の暫定イコン貯蔵庫からイコンを盗んだ2人組が逮捕された。当局によると、イコンの放射能汚染は認められなかった。