ウクライナ国内ニュース

2001年4月〜2001年6月



 
  


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2001年6月

01/06/04
クチマ大統領は5月31日、Kinakh新内閣の組閣は数日中に完了すると述べた。

01/06/05
クチマ大統領は6月4日、ドニエプロペトロフスクで記者団に、ヨーロッパへの統合をめざすウクライナの方向は変わらない、と述べた。また、今月のローマ法王の訪問は、ウクライナの安定に寄与するだろうと加えた。

01/06/07
GUUAMの名称で呼ばれる5国間同盟のサミットが7日、ヤルタで始まった。集まったGUUAMの首脳は、グルジアのシュワルナゼ、ウクライナのクチマ、ウズベキスタンのカリモフ、アゼルバイジャンのアリエフ、モルドバのボロニンの各大統領である。

01/06/07
「クチマなきウクライナ」委員会リーダーのChemerysは6日、大統領側を代表するMusiyakaとの会談で、反対派と大統領側との公開討論の用意がある、と語った。Misiyakaは、「真実究明運動」、「救国フォーラム」の代表も加わることを望むと述べた。

01/06/08
数百人の僧侶を含め、約3000人のウクライナ正教(モスクワ派)信者が、6月23-27日のパウロ2世ローマ法王のウクライナ訪問に抗議してキエフ市内をデモ行進した。

01/06/11
クチマ大統領は、キーナフ内閣の閣僚として、Kozachenkoを農業改革担当の副首相に、Kurykinを環境大臣に、元首相のPustovoytenkoを輸送大臣に任命した。Kozachenkoはウクライナ農業連盟の会長で、Pustovoytenkoは大統領支持の人民民主党党首で1997-99年の首相であった。また、Kurykinは緑の党の活動家である。

01/06/12
中央選管は12日、クチマ大統領解職の国民投票を求める2グループの運動の登録を拒否した。選管によると、手続きや文書が不十分であったし、ウクライナの法令ではそのような国民投票は想定されていない。

01/06/14
クチマ大統領は12日に発行されたスロバキアの新聞Pravdaで、ウクライナはロシア・ベラルーシ連邦には加わらずEUへの加盟をめざす、と明言した。

01/06/15
世界銀行のウクライナ担当長Barboneは14日、ウクライナに今年度供与予定のローン7億5000万ドルのうち2億5000万ドルを、ウクライナ最大の銀行Ukrayinaの改革を条件に貸し出すと述べた。また、650万件におよぶ土地権利証発行の援助として、12月に1億ドルの供与を追加する。1993年以来、世界銀行がウクライナに貸し出した総額は210億ドルに達する。

01/06/18
国家統計局の発表によると、今年1月?5月のウクライナのGDPは、前年同期に比べ9%増加した。製造業では24.1%、小売業12.5%、建設業9.9%、農林業5%、資源生産4.8%であった。

01/06/21
ウクライナ治安当局は20日、3月9日の反大統領デモ事件の捜査を終え、騒乱の組織と参加の罪で19人を告発した。19人は現在拘留されているが、有罪となれば12年以下の禁固となる。

01/06/21
約3000人の正教信者が、この23-27日に予定されているローマ法王のウクライナ訪問に抗議して、キエフでデモを行った。デモは平和的に行われ、参加者は、イコンや幟をかかげ、「法王のウクライナ訪問反対」「正教か死か」などと唱えた。法王の訪問に反対しているのは、ウクライナ正教モスクワ派で、他の2つの正教のリーダーはローマ法王と面会する予定である。

01/06/25
ローマ法王は23日、ウクライナへの訪問をはじめるにあたって、「改宗を求めるのではなく、正教とカトリックに分裂した過去の誤りを許し合おう」と述べた。キエフの空港では、クチマ大統領が81歳のパウロ2世を出迎えた。

01/06/25
経済政治研究センターが4月20日から5月3日にかけて行った、2000人のウクライナ成人を対象にした調査によると、ローマ法王の訪問に賛成は53.2%で、うち4.4%がミサを聞くことを希望した。31.1%が無関心で、反対が6.8%であった。訪問反対の行動に参加の意志がある人は0.4%であった。

01/06/26
パウロ2世は26日、リボフ郊外の競馬場で、30万?60万人の群衆の前で伝道を行った。ウクライナ語とポーランド語で読まれた説教の中で、ウクライナ人とポーランド人の協調を訴えた。

01/06/28
ローマ法王は27日リボフで、「私の望みは、ウクライナが大西洋からウラルにまたがるヨーロッパ全体の一部になることである」と別れのスピーチで語った。クチマ大統領は。「あなたの聖なる訪問は、ウクライナがヨーロッパの一員であることを証明した」と返答した。

01/06/28
ヨーロッパ議会評議会(PACE)に参加しているウクライナ代表団は27日、EBRD(ヨーロッパ復興開発銀行)がウクライナ2原発の完成資金を提供する約束を守っていないと述べた。代表団によると、EBRDはチェルノブイリの閉鎖とロブノとフメリニツキ原発完成のため15億ドルを提供することになっているが、まだほんの一部しか払われていない。Lemierre EBRD総裁によると、EBRDは、IMFとウクライナの協力関係が復活するのを待っている。一方、Khristenkoロシア副首相は、核燃料の購入と原発完成のためロシアは2億ドルをウクライナに提供する用意があると述べた。

01/06/29
憲法採択の5周年にあたる28日キエフで約1000人が参加し、模擬棺を掲げて、クチマ大統領による憲法侵害を批判する抗議集会が開かれた。参加者は、Gongadzeら7人のジャーナリスト犠牲者を刻んだ代理石板を設置しようとしたが、モニュメントを掲げるための発電機を盗まれたため失敗した。
 




2001年5月



01/05/02
キエフではいくつかのメーデー集会が開かれた。社会民主党の集会には1500人、新共産党には1000人、共産党には500人、進歩社会党には500人が参加した。

01/05/02
Symonenko共産党首は5月1日のメーデー集会で、米国よりのYushchenko内閣を倒したのは共産党であり、共産党は国家の将来を背負う用意がある、と述べた。Symonenkoによると、米国はYushchenkoを反対派のリーダーにして国家を分裂させようと試みている。

01/05/04
祖国党のTurchinovは3日、約400人が集まった救国評議会において、国民投票にかける2つの項目が承認された、と発表した。最初の質問項目は「ウクライナの経済悪化、汚職、生活レベル低下の責任はクチマ大統領にあり、それゆえ大統領は辞職すべきである」。2つめは「クチマ大統領は非民主的・独裁主義的システムを作り上げており、内閣の任命権を、大統領から議会に移すべきである」。国民投票実施のためには、ウクライナの3分の2以上の州で10万人以上、かつ総計300万人以上の署名を集めることが必要である。

01/05/07
ドネツク州のKirov炭坑で5日、メタン爆発事故により8人が死亡し2人が行方不明。ウクライナの炭坑では昨年事故により306人が死亡しており、世界で最も危険な炭坑である。

01/05/09
ウクライナ副検事総長Harnykは8日、米国の専門家チームが、昨年11月に発見された首なし死体は行方不明ジャーナリストGongadzeであると結論した、と発表した。頭部がないことと日数が経過しているため死因は確定できなかった.

01/05/15
「私の知る限り、捜査当局はGongadze暗殺の犯人を特定した」とクチマ大統領は14日、ロシアのORTテレビに語った。一方、議会の左派中道グループは、Gongadze事件について検察総局に質問状を提出した。

01/05/16
Smyrnov内相は15日、捜査当局はGongadze殺害事件を解決し、犯罪は政治的なものではなかった、と語った。「事件は解決し、加害者2人はすでに死亡している。事件は自然発生で突発的なものだった」と内相は述べた。また、Gongazde事件の犯人を殺した犯人も逮捕されている。

01/05/18
クチマ大統領は17日、議会各派リーダーと次期首相候補について会談した。共産党のSymonenkoは、大統領が提案した5人の候補、Azarov、Dubyna、Kinakh、Rohovyy、Tyhypkoのいずれにも反対した。

01/05/18
ウクライナは17日、核兵器搭載可能な長距離戦略爆撃機TU-95MSの最後の1機を解体した。ウクライナは旧ソ連から受け継いだ38機の戦略爆撃機すべてを解体したことになる。米国・ウクライナ協定に従って。米国は解体費用7700万ドルを提供した。

01/05/25
クチマ大統領によって次期首相に推薦されたKinakhは22日、議会の承認が得られれば、前内閣による市場改革を継承すると述べた。緑の党、(統一)社会民主党、ウクライナ地域、連帯の各グループはすでにKinakh支持を表明しているが、指名の成否は、112議席をもつ共産党の動向にかかっている。

01/05/25
「クチマなしのウクライナ」運動リーダーのLutsenkoは23日、21日に除幕された死亡ジャーナリストの記念碑を撤去した、と当局を非難した。Lutsenkoによると、犠牲者リストを見ることの犯罪者の恐怖、さらには、大衆がそのリストを見ることの恐怖が、撤去された唯一の理由である。

01/05/29
議会は29日、賛成239反対2棄権12で、Kinakh新首相を承認した。承認には議席過半数の226票が必要であった。112議席をもつ共産党は、「Kinakhが共産党の改革計画を支持するか不明である」として欠席した。祖国党、ルフ両派、改革評議会も欠席した。

01/05/30
クチマ大統領は、議会の承認をうけて、Kinakh首相を任命する大統領令を出した。また、旧内閣から5人の閣僚を任命した。産業政策省次官であったDubynaを第1副首相に任命し、Zlenko外務大臣、Kuzmuk国防大臣、Smyrnov内務大臣、Drdynets緊急事態相の4人は再任された。

01/05/30
キエフ市検察庁は、3月に前副首相Tymoshenkoの釈放を決定したZamkovenko判事を、職権濫用の容疑で捜査をはじめた。

01/05/31
クチマ大統領は31日までに13名の閣僚を任命した。これまでに再任された5名に加え、新たに6名が再任され、13人中11人が、Yushchenko内閣からの再任である。

01/05/31
ロシアのチェルノムィルジン新駐ウクライナ大使は30日、クチマ大統領への信任式のあと、ウクライナのロシアへの負債支払いを強制することはない、と語った。また来月に予定されているローマ法王のキエフ訪問について、ウクライナの問題であるが、いいことではない、と語った。
 
 



2001年4月

01/04/02
キエフ裁判所は3月31日、検事総長からのアピールを受けて、Tymoshenko前副首相に対する再逮捕命令を出した。Tymoshenkoが所属する祖国党のTurchynovによると、ガードマンに防護されて、彼女は入院中である。

01/04/05
議会の政府支持多数派は、メンバーの再登録を実施することを決めた。地域復活党リーダーのVolkovによると、多数派を構成する政党は、祖国党をのぞき2000年1月と同じで、ルフ(Udovenko)、緑の党、人民民主党、(統一)社会民主党、改革評議会、ルフ(Kostenko)、ヤーブロコ、地域復活党、ウクライナ労働党、連帯、ウクライナ地域グループで、449議席のうち282を占めている。一方、クチマ大統領は3日、「多数派の半数が“大統領退陣”のプラカードをもってデモを行なっている」とコメントした。

01/04/09
反対派グループのゆるい結合体である救国評議会は7日、クチマ大統領の信任を問う国民投票手続きに着手すること決定した。ウクライナ憲法によると、国民投票に持ち込むには全国25州の3分の2から300万以上の署名を集めることが必要。

01/04/10
約1000人の学生が9日、大統領府の前で集会を開き、クチマ大統領に対し、ジャーナリストGongadze、ルフ・リーダーChornobylその他の行方不明の人々の事件に関係していないと憲法にかけて誓うよう要求した。大統領によると、「すでに宣誓しており、同じことを繰り返す気はない」

01/04/10
ウクライナ労働党(46議員)は6日、議会多数派に参加しないと発表した。祖国党、ルフ、改革評議会、社会民主党(統一)なども参加を見合わせる。1年前に結成された議会多数派は分裂し、Yushchenko内閣は崩壊に向かうことになる。

01/04/11
キエフで10日、救国フォーラムの主催でクチマ大統領の辞任を求めるデモがあり、主催者によると1万人、警察によると2000人が参加した。参加者は「クチマと権力者なしのウクライナ」というスローガンを掲げ、「Yushchenko首相解任の動きをやめるよう求める」決議を採択した。

01/04/11
10日のインタファックス通信によると、共産党はYushchenko内閣の不信任案上程に必要な150以上の署名を集めた。また、議会多数派のなかの民主社会党(統一)、民主統一、ヤーブラコ、ウクライナ労働党も同様の署名を集めている。Yekanurov副首相によると、不信任案の採決は月末に持ち越されるであろう。

01/04/11
Tymoshenko前副首相は11日、大統領選挙に出馬する用意があると語った。彼女は同時に、真に国家のために働くリーダーが大統領選挙に出るなら応援する用意があるとも語った。

01/04/12
Yushchenko首相は12日、昨年のGDPは6%、工業生産は12.9%、農業生産は9.2%増加し、ウクライナ経済にとって2000年は「ユニークな」年であったと、公共ヒアリングで報告した。

01/04/13
改革秩序党のPynzenikによると、議会で共産党寄り多数派の形成されたことが明確となった。内閣不信任案の動議には、共産党、社会民主党(統一)、ウクライナ労働党、民主連盟、ヤーブラコが署名している。

01/04/17
約2000人がキエフの議会前で17日、Yushchenko首相を支持するデモを行った。首相は同日、議会で報告演説を行うが、今週の後半、不信任動議にさらされる。先週段階で217議員が動議に署名している。採択には226票が必要。Yushchenko首相は、経済改革の姿勢が西側から好意的に見られている。

01/04/18
Yushchenko首相は17日の議会で経済改革の成功を強調する報告をし、彼を支持する議員は、首相を支持する360万人の署名を議場に積み上げた。首相は、議場を出ると、集まった数千人の人々に演説した。一方議会は、賛成252反対62で、政府不信任案を日程に入れる決議を採択した。10日以内に不信任の決議が行われ、450議席の過半数の賛成で採択される。

01/04/20
Yushchenko首相は19日、現政府は議会の不信任決議を免れないないだろう、と予測を語った。一方、EUの外交安全政策チーフSolanaはキエフで、「これから数日間で生じる政治的事態にかかわらず、ウクライナのすすむ方向が変化しないことが重要である」と語った。

01/04/23
クチマ大統領は20日、Yushchenko内閣が不信任投票を切り抜けるために介入する気はない、と語った。「現段階でどちらかを支持すると何か述べることは圧力や過剰な介入とみられる」とハリコフで語った。その後、23日にクチマ大統領は公式訪問先のビリニュスで、「内閣の解任は現在のウクライナにとって利益にならない」と述べた。

01/04/25
賛成306反対10で、議会は24日に予定されていた内閣不信任案の採決を2日間延期した。Yushchenko首相は25日に15分間の演説と、15分間の質疑応答を行う。

01/04/25
Yushchenko首相はアテネで24日、現在のキエフの政治状況は「悲劇ではなく」、暴力的手段ではなく、交渉と対話によって終結するであろうと語った。内閣不信任案は、現在の改革路線を、わけのわからないものへと変更をせまるものであり、極左的な連立に展望は認められない、と述べた。

01/04/26
ウクライナ議会は26日、賛成263反対69棄権24で、経済改革に失敗し国家を破滅に導いているとして共産党が提案した内閣不信任案を採択した。共産党のほか、ウクライナ労働党、社会民主党(統一)、民主連盟、ウクライナ地域、緑の党、人民民主党、ヤーブラコが賛成した。Yushchenko内閣は、新しい内閣ができるまで、最大60日間の移行内閣となる。議会の前には約1万人が集まり、「私は、また戻ってくるために辞任する」と首相は述べた。

01/04/27
不信任を受けたYushxchenko首相は、クチマ大統領に辞表を提出し、移行内閣に残る意思のないことを表明した。彼が、反大統領運動に加わるかは明らかでない。「本日我々は最良の首相を失った。しかし、国家のリーダーを手に入れた」と、ルフ、祖国党、改革秩序党は共同声明を発表した。

01/04/27
政治学者Tomchenkoによると、Yushchenko内閣の不信任は、共産党が反大統領運動に加わり罷免につながることを防ごうとするクチマ大統領の意向と合致したものだった。共産党は、議会議長と副首相のポストを手に入れるだろう。

01/04/27
議会は26日、クチマ大統領の罷免手続きを日程に入れる議案の採択に失敗した。採択には、議席過半数の226票が必要であるが、賛成は206票だった。

01/04/30
クチマ大統領は、Yushchenko首相の辞任にサインをしたが、Yushchenkoは後任がきまるまで、引き続き移行内閣の首相を続けることになった。Yushchenkoは、クチマ大統領反対の運動には加わらない、と明言した。