ウクライナ国内ニュース

2001年7月ー9月

 

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2001年9月

01/09/04
Potebenko検事総長は4日、1996年の議員暗殺と1998年の国立銀行総裁暗殺に関与したとして、議会に対しLazarenko前首相逮捕の許諾請求を送った。Lazarenkoは現在、マネーロンダリングの容疑で米国の刑務所に収監されている。

01/09/05
ウクライナ政府は5日、2002年のウクライナのGDP成長は6%、年間インフレは9.8%、フリブナのレートは1ドル=5.6フリブナ(現在5.34)という見通しを発表した。今年のGDP成長は7.3%、インフレ率は12.3%の見通し。

01/09/06
内閣は5日、歳入571億フリブナ(107億ドル)、歳出613億ドルとする、ウクライナの2002年予算案を決定した。財政赤字の対GDP比は1.7%である。

01/09/07
キエフ訪問中のIMF使節団は6日、ウクライナ側の条件が整ったので、IMF融資を再開するよう勧告すると述べた。融資が再開されると、今年3億7500万ドル、2002年に5億8000万ドルのローンが提供される。

01/09/10
ルフUdovenko派とルフKostenko派は8日、ともにYushchenko前首相が率いる「我らのウクライナ」に合流し、両派を再統一する意向を表明した。

01/09/11
暗殺されたゴンガゼ記者の母Lesya Gongadzeは11日、Potebenko検事総長に対し、息子の誘拐と殺害の罪で、クチマ大統領、Lytvyn大統領府長官、Kravchenko内務大臣を捜査するよう訴えた。

01/09/13
11日の米国でのテロについて、国粋過激派のウクライナ国家評議会・ウクライナ国家自主防衛(UNA-UNSO)は、攻撃は数百万人に「モラルの満足」を与えたと表明した。UNA-USOによると、今回の攻撃は、日本への原爆投下、ベトナム、リビア、イラク、アフガニスタン、ボスニア・ヘルツゴビナ、ユーゴスラビア空爆への報復である。

01/09/13
ゴンガゼ記者の妻Myroslava Gongadzeは12日、クチマ大統領への公開書簡を発表し、国際的な調査を訴えた。「そうした独立的な調査が実施され、あなたが無実であると示されない限り、私の夫の死に関しあなたが有罪であると考える」と述べている。

01/09/14
ウクライナ議会は13日、賛成230反対113棄権6票で、選挙法改正案を採択した。法案には現行法の改正点が多く含まれているが、比例区と小選挙区の定員比は以前のまま225対225とされた。これまで、議会は比例区の定員を増やす改正案を何度も採択したが、そのたびにクチマ大統領は拒否権を行使してきた。

01/09/17
キエフで15日、昨年9月16日にGongadze記者が失踪してから1周年にちなんだ集会が開かれ4000人が参加した。独立広場の集会で社会党首Morozは「世界の注目は米国でのテロに集まっているが、国家当局がテロを行うともっとひどいことになる」と語った。

01/09/20
ウクライナ政府は19日、ヨハン・セバスチャン・バッハの楽譜など、第2次大戦後に行方不明となっていたドイツ人作曲家の資料をドイツに返還することを決定した。1999年、ハーバード大の音楽教授Wolffが、5120点の資料が手つかずのまま残っているのをキエフで発見したもの。

01/09/21
IMFの評議会は20日、ウクライナに3億7700万ドルのローンを与えることを決定した。IMFは、2002年予算の財政赤字をGDPの1.7%以下におさえ、改革と民営化を促進するよう要請した。同日、世界銀行もウクライナに2億5000万ドルのローンを与えることを決定した。

01/09/25
ウクライナ国家安全防衛評議会(RNBO)は24日、米国の要請に応え、米軍機がウクライナ上空を通過することを承認した。今回のRNBOの決定は、大統領令として承認されるが、議会の同意は必要ない。

01/09/25
ジトーミル市の近郊で24日、放置された核廃棄物置き場が発見された。コンクリート製ピットの中に木製の箱が投げ込まれており、箱の中には、放射能マークの入った鉄製ブロックが収納されていた。ブロックの放射線量は毎時0.017から1.2ミリレントゲンであった。ソビエト時代に核弾頭を装備した部隊が展開していた場所で、ウクライナ安全当局は地方当局に対し、早急に放射線源を隔離しておくよう指示した。

01/09/26
ウクライナ外務省は25日、ウクライナ領空を通過する米軍機は兵器を輸送しない、という政府の決定を発表した。クチマ大統領によると、米軍機が兵器を輸送する際には最高会議の承認が必要である。

01/09/27
ヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)のウクライナ駐在代表は26日、ウクライナに対し6億ドルのローンを供与すると発表した。

01/09/27
反対派リーダーTymoshenkoは26日、前首相Yushchenkoに対し、前首相の「我らウクライナ」、Tymoshenkoの「救国フォーラム」、Morozの「社会党」が合同した選挙ブロックのリーダーとなることを呼びかけた。Yushchenkoはこれまで、反対派の呼びかけは拒否してきた。
 




2001年8月

01/08/03
ウクライナの外務大臣が、ロシア語をウクライナの第2公用語にすべきというKhristenkoロシア副首相の発言を批判した。Khristenkoは今週はじめモスクワで、ロシア語を公用語にすることが両国関係に有益である、と述べた。ウクライナの人口の約20%がロシア人である。

01/08/06
ドイツ政府は、6日にキエフで開かれた式典で、ナチスにより強制収容所に入れられたり強制労働させられた人々に対し賠償金を支払う、と発表した。賠償金の総額は7億9000万ドルで、強制収容所の収容者に6800ドル、強制労働に対し1900ドルなど。ウクライナで54万人から56万人が賠償を受け取る。

01/08/08
ロシアの軍検察は8日、ウクライナ前副首相で反対派のYulia Tymoshenkoと彼女の夫を、贈賄の容疑で召還するため、ウクライナ最高検察に対し国際手配を行った。

01/08/08
米国は7日、ウクライナに対する最恵国待遇を剥奪すると発表した。ウクライナでの著作権侵害に対抗したもの。米国側によると、CDやDVDの海賊版により、毎年2億ドルの損失を受けている。

01/08/09
Shlapak経済大臣は8日、米国での最恵国待遇を回復するためワシントンに特使を派遣する、と述べた。さらに、ウクライナ政府は速やかに対応するとともに、議会に対し海賊版に対する法律を採択するよう働きかける、と加えた。

01/08/10
Yulia Tymoshenkoの夫Oleksandr Tymoshenkoが9日、これ以上の収容に耐えられないとの裁判所の判断で釈放された。ウクライナ統一エネルギーシステムの前総裁は、80万ドルの横領などで2000年8月に逮捕されていた。

01/08/10
最高検察副総長Obikhodは9日、元首相Lazarenkoを1億2000万ドルの収賄と2000万ドルの横領の容疑で訴追する準備が整った、と述べた。Lazarenkoは現在、マネーロンダリングの容疑でサンフランシスコ郊外の米国連邦刑務所に収監されている。

01/08/14
Potebenko検事総長は13日、ある現職議員が、1996年のSchrban議員と1998年のHetman前国立銀行総裁の殺害を命令したことに関して充分な証拠が集まった、と述べた。

01/08/15
クチマ大統領は、議会選挙の改定案に対し、4度目の拒否権を発動した。議会案は、小選挙区選出と比例代表区選出の数を、現行の225対225から、115対335に変更する、というもの。

01/08/15
政府顧問のLytvytskyyは14日、今年1月?7月のウクライナのGDPは、前年同期に比べ10.5%増加した、と述べた。キーナフ首相によると、同期間に、名目給料は16.7%増加し、実質収入は8.5%増えた。

01/08/16
農業政策省は15日、ウクライナの今年の穀物収穫は95%の地域で終了し、すでに3510万トンに達した、と発表した。政府の目標は3500万トンで、うち5-7万トンを主にEU諸国に輸出する予定。

01/08/17
Potebenko検事総長は16日、先月スラビャンスク市で起きたジャーナリストAleksandrov殺害事件に、ハイレベルな政治的動機はなく、彼のジャーナリスト活動に不満をもつ者の単純な犯行だった、と述べた。クチマ大統領によるAleksandrov事件の捜査批判をうけて、検事総長と内務大臣らが現地を訪れていたもの。

01/08/20
ドネツク州Zashydkoの炭坑で19日、メタン爆発が発生し少なくとも36人が死亡した。少なくとも10人が行方不明で、39人が重傷。生存者の救出活動は、地下1300mでの火災のため中断された。Zasyadko炭坑では1999年にもメタン爆発で50人が死亡している。

01/08/20
クチマ大統領は19日、カスピ海と黒海を結ぶオデッサ?ブロディ石油パイプライの最終溶接式に参加した。全長667kmのパイプラインは毎年1200万トンの石油を輸送し、大統領によると、ウクライナ独立10年を記念する成果である。

01/08/20
Potebenko検事総長は18日、1996年のScherban議員と1998年のYevhen国立銀行総裁の殺害を命令した容疑で、Lazarenko元首相に対する捜査同意を議会に求めると述べた。Lazarenko元首相は1998年の選挙で議員に選出されたが、現在は米国で収監されている。

01/08/22
クチマ大統領は、ワシントンポスト紙のインタビューで、2004年の次期大統領選挙には出ないと述べ、来年の国会選挙では中道勢力が勝利することを期待している、と述べた。

01/08/23
ウクライナ議会は23日、ウクライナ独立10周年の記念セッションを開催した。クチマ大統領は、ウクライナはいまだ西側のような民主主義にはほど遠い、と演説した。一方、救国フォーラム、クチマなしのウクライナ、社会党など反対派は、約1000人がシネマハウスに集まって集会を開いた。共産党など左派は、約100人が議会ビルでピケットを行った。

01/08/24
24日のウクライナ独立10周年式典に参加するため、プーチン・ロシア大統領、Kwasniewskiポーランド大統領、Trajkovskiマケドニア大統領がキエフに到着した。

01/08/27
キエフのフレシチャク通りで24日、独立記念日を祝って軍事パレードが行われ、6000人の兵士、T84戦車など300台の車両が行進し、上空を飛行機やヘリコプターが飛んだ。

01/08/29
28日、キエフのペチェルスク修道院設立950周年を記念する式典が開かれ、世界の14の正教からの代表が参加した。ウクライナの正教は、ウクライナ正教モスクワ派、ウクライナ正教キエフ派、独立ウクライナ教会の3つに分裂している。後者2つの正教は式典に招待されなかった。

01/08/30
殺害されたジャーナリストIhor Aleksandrovの息子Oleksiy Aleksandrovは29日の公開書簡で、父の死亡の捜査は不十分である、と発表した。Aleksiyによると、Aleksandrovは地方当局の汚職事件を報道しようとしたので殺害された。

01/08/31
Potebenko検事総長は30日、テレビジャーナリストAleksandrov殺害事件は、同じ建物に事務所をもつ弁護士と間違えられて殺害されたものであると発表した。
 
 
 



2001年7月

01/07/02
改革秩序党大会は6月30日、Pynzenik党首を再選するとともに、ルフ(Udovenko派)やウクライナ国民会議とともに共同ブロックを形成するという提案を承認した。Pynzenikは、改革秩序党は右派・中道勢力を、Yushchenko前首相のもとに結集する用意がある、と述べた。

01/07/09
クチマ大統領は、議会が採択した選挙改正案に対し3度目の拒否権を発動した。議会の案は、現在225対225の比例選出と小選挙区選出の割合を、335対115に変更しようというもの。

01/07/09
ドネツク州Slavyansk市のテレビ局長Aleksandrovは7日、何者かに4日前に野球バットで殴打されたことが原因で死亡した。地方裁判所は1998年、Aleksndrrovに対し、違法なキャンペーンを続けていた罪で2年間の禁固判決を出した。昨年Aleksandrovは、欧州人権裁判所に訴えた後釈放された。

01/07/11
Tymoshenko前副首相は、来年の議会選挙へ向けて大統領反対派を結集した、国家救済フォーラムブロックを新たに結成する。ブロック結成に署名したのは、Tymoshenko(祖国党)、Matvienko(サボール党)、Onopenko(社会民主党)、Lukyanenko(共和国党)、Khmara(保守共和国党)、Serhiyenko(キリスト教民主党)それに愛国党の代表である。

01/07/12
議会の表現と情報の自由委員会は11日、先週のAleksandrov記者殺害事件の犯人を明らかにするため、あらゆる可能な手段を用いるよう政府に対して要望した。委員会によると、Aleksandrov殺害事件は、ウクライナにおける表現の自由への迫害が続いていることを示している。

01/07/13
イワノフ・ロシア外相はキエフで12日、ウクライナと西側の関係により、ロシアの利益が害されるものではない、と述べた。イワノフ外傷によると、プーチン大統領が、8月のウクライナ独立10周年記念日にキエフを訪問する。

01/07/16
Yushchenko前首相は16日、2002年の議会選挙にむけて選挙ブロック「我らのウクライナ」を結成すると発表した。

01/07/16
ウクライナ政府とパリクラブ債権者は13日、ウクライナが1999年までに契約した5億8000万ドルの負債のリストラクチャリングに合意した。2001年5月31の段階でウクライナの対外債務は97億5000万ドルで、今年のはじめに比べ26.5億ドル減少した。

01/07/18
国家統計局は17日、今年1月?6月のウクライナのGDPは、前年同期に比べ9.1%増加した、と発表した。

01/07/19
米国国務省報道官Hunterは17日、ベラルーシ当局が反対派を暗殺したというベラルーシ前検事2名の証言は信頼できる、と発表した。Hunterによると、米国政府は、ルカシェンコ体制のもとで30人が暗殺されており、深刻に受け止めており、ベラルーシ政府に対し完全で透明な調査を要求する。前検事2名は現在、米国に亡命中である。

01/07/19
社会党党首Morozは18日、前ウクライナ労働者党、社会民主党、農業者利益保護党、21世紀緑の党と選挙協力をすると発表した。

01/07/20
国家統計局は19日、7月1日段階での失業者数は105万人で、1年前に比べ10%減少した。失業率は3.8%であった。

01/07/25
クチマ大統領は24日、前副首相で反対派リーダーのTymoshenkoを釈放する命令を出した判事Zamkovenkoを解任した。Tymoshenkoの釈放後、検事総局はZamkovenkoを職権乱用の容疑で調査していた。大統領が彼を解任した理由は「宣誓違反」である。

01/07/25
政府報道サービスは24日、すでに1700万トンの穀類を収穫し、平均収量は1ヘクタール当り3トンであったと発表した。今年の収量予測は3500万トンで、昨年実績は2450万トンである。

01/07/26
キエフ国際社会学研究所が6月に1万475人を対象に実施した世論調査によると、ロシアやベラルーシと合同して単一国家となることに賛成が29.6%だった。1997年12月の調査に比べ3%増加した。57.9%は、独立国家としてのウクライナに賛成、かつロシアとの国境開放に賛成であった。10.7%は、ロシアとの国境も他国と同様にすべき、に賛成だった。

01/07/30
ウクライナ政府は27日、Gongadze記者の首なし死体を、母親の同意が得られるまでは埋葬しないと発表した。DNAテストによると、死体がGongadze氏であることは99%以上とされているが、母親は納得していない。