ウクライナ国内ニュース

2002年10-12月



 
 
 
  


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2002年12月

02/12/02
クチマ大統領は1日、キーナフ首相を解任し、Yanukovych内閣を任命する大統領令を出した。一方、最高会議は28日、Stelmakh国立銀行総裁を解任し、代わりにTihipkoを任命する大統領提案を否決した。

02/12/04
国際労働機関とウクライナ国家統計局が今年はじめ、9400の家庭を対象に行った調査によると、その79%が、自分たちは貧乏であると考えている。50%以上で、月収は300フリブナ(56ドル)以下であった。回答者によると、「正常な生活」のための最低月収は510フリブナであった。

02/12/05
3人の反対派リーダー、Tymoshenko、Symonenko、Morozは4日、クチマ大統領の辞職を要求する「たて、ウクライナ!」運動を継続すると宣言した。今後は「クチマからウクライナを救え」運動として、リーダーは全国を遊説する。3月9日に全国規模のストライキを予定している。

02/12/09
ウクライナ労働組合連盟委員長であるStoyan議員は6日、我らのウクライナを離れて、政府支持の多数派に合流することを決めた。「労働組合の長として、新しい政権に反対する理由はない」と彼は語った。反対派TymoshenkoブロックのTurchynov議員は「残念ながら、裏切りは議会の日常となり、金とポストで議員が買収されている」と語った。

02/12/10
我らのウクライナの勢力は、7人の議員の脱会により103人となり、政府支持多数派は233人となった。最高会議の現状は、我らのウクライナ」103人、共産党60人、産業企業・労働党42、社会民主党39、ウクライナ地域40、民主イニシアティブ22、ヨーロッパの選択16、農業党16、人民民主党16、人民の選択15、無所属22。

02/12/11
ウクライナ議会は10日検事総長に対し、政府高官による4200万ドルの横領について調査するよう求める決議を採択した。調査の対象は、ウクライナ石油ガス公社と銀行のマネージャーである。

02/12/12
Lytvyn国会議長が12日、国立銀行総裁Stelmakhの解任しTihipkoを任命する動議を提案した際、反対派議員は演壇を占拠した。演壇では、反対派議員と政府派議員がもみ合った。

02/12/13
駐ウクライナ米国大使Pascualはキエフの大学の講演会で12日、ブッシュ大統領とクチマ大統領が近い将来に会談することはない、と語るとともに、ウクライナが「孤立」の方向に向かわないよう警告した。

02/12/17
民主イニシアティブ基金などによって11月27日から12月5日の間に1200人を対象に行われた世論調査によると、クチマ大統領を信頼するのは8.6%で、信頼しないのは54.7%だった。大統領府長官Medvedchukに対しては信頼5.4%で信頼できないが42.1%、Yanukovych首相には、信頼5.4%信頼できない24.7%、最高会議議長Lytvynには信頼4.8%、信頼できない32.9%だった。最も信頼されている政治家は我らのウクライナのYushchenko(25.2%と33.8%)で、その次が共産党のSymonenko(14.8%と46.6%)だった。

02/12/18
最高会議の大統領寄り多数派は17日、尋常でない投票方法により、国立銀行総裁Stelmakhを解任し新総裁にTyhypkoを指名した。多数派は、投票のための特別委員会を設置し、議場ではなく、大統領の議会代表Zadorozhnyyのオフィスで個人点呼による投票を実施した。特別委員会によると、232人がStelmakhの解任に賛成した。

02/12/18
反対派(我らのウクライナ、共産党、Tymoshenkoブロック)は17日、最高会議の投票について共同声明を発表し、「議会を破壊し、クーデターへ向かうステップである」と批判した。

02/12/19
反対派4派(我らのウクライナ、共産党、社会党、Tymoshenkoブロック)は19日、17日の投票に対して抗議行動を続けている。Lytvyn議長は、反対派の抗議のため、18日の議会を20分ほどで休会にし、19日も開会できなかった。

02/12/20
我らのウクライナのYushchenkoは19日、反対派4派を代表して、議会の混乱を収拾するための提案を政府支持多数派に対して行った。Yushchenkoは、反対派は国立銀行総裁の交代を認める用意があるが、委員会委員長の交代はキャンセルにすること、議会を正常化するため、選挙、予算、税金に関するワーキンググループの設置を提案した。

02/12/23
米国政府は20日、ウクライナと南太平洋のナウルをマネーロンダリングの危険国として名指しした。一方、パリの経済行動特別チーム(FATF)は、ウクライナがマネーロンダリングに関する規制を強化しなければ制裁措置をとると発表した。

02/12/27
最高会議は26日、賛成348、反対37、保留3票で2003年予算を承認した。歳入500.2億フリブナ(93.8億ドル)で歳出520億フリブナ。共産党は、社会予算が不十分として投票をボイコットした。

02/12/27
イランで23日にハリコフ飛行機工場の技術者ら44人の乗客をのせて墜落した、ウクライナのアントノフ140の事故について調査するようクチマ大統領が命令した。飛行機は、イスファハン空港に着陸しようとして山に衝突した。技術者らは、アントノフ140をイランでライセンス生産した、イラン140の初飛行に参加する予定であった。
 



2002年11月

01/11/01
米国政府高官が31日、匿名でジャーナリストに、イラクへのレーダー売却に対してウクライナへの制裁措置を検討していると語った。クチマ大統領の会話を録音した2000年6月のテープは、検査の結果本物と判明し、ブッシュ政権はウクライナへの経済援助を5400万ドル削減した。

02/11/04
我らのウクライナのYushchenkoは1日、クチマ大統領がNATOサミットに招待されないことは、ウクライナにとって大変な事態であり国際的孤立を示している、と語った。彼はまた、議会多数派形成に向けて、ウクライナ労働党やウクライナ地域との対話を行っていると述べた。

02/11/06
ウクライナ当局は5日、イラクへのレーダー売却に関する米英調査団の報告を受け取った。Lytvyn国会議長によると、報告書は、十分な証拠を提供していない、としてウクライナを批判している。

02/11/11
約6000人の共産党や左翼政党支持者が7日、キエフのヨーロッパ広場に集まって十月革命85周年の集会を行った。同様の集会はウクライナの主要都市で開かれた。

02/11/12
財務省と国税庁によると、今年度の税の徴収もれは160億フリブナ(30億ドル)に達するであろう。とくに問題があるのは、燃料エネルギー部門で、国営のウクライナ石油ガス公社とウクライナエネルギー公社は、8月と9月の付加価値税を5%しか納めていない。

02/11/13
NATO関係者は12日、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領とクチマ・ウクライナ大統領に対し、「プラハサミットへの出席は歓迎されない」と通知したことを明らかにした。ベラルーシ外務省はNATOの姿勢について、ベラルーシに対するダブルスタンダードである、と批判した。

02/11/13
Medvedchuk大統領府長官は12日、1987年以来ドネツクのTopaz工場で作られたKolchugaレーダーの数は76台であると明らかにした。1992年1月までに46台がソ連国防省に納入され、そのうち14台がウクライナにある。1992年1月以降、30台が生産され、ロシアに18台、8台がウクライナ、中国に4台納入された。

02/11/14
キーナフ首相は12日、彼が辞職願いを出したという噂を否定し、「私は国家の活動に責任を負っており、政府をしっかりと運営している」と述べた。

02/11/15
クチマ大統領に近い情報筋は14日、クチマ大統領がドネツク州知事Yanukovychを新首相候補に指名するだろうと述べた。キーナフ現首相は解任され、新首相の信任投票は21日に行われるであろう。

02/11/18
クチマ大統領は16日、キーナフ内閣を解任し、ドネツク州知事Yanukovychを新首相に指名した。新首相は19日からはじまる国会で承認される必要がある。

02/11/18
Marchuk国家安全防衛評議会議長は16日、クチマ大統領がプラハのNATOサミットに出席すると述べた。NATOによると、クチマ大統領は個人的に招待されておらず歓迎されないが、ユーロ・アトランティックパートナーシップの会議にウクライナ代表は招待されている。

02/11/19
米国国務省筋は18日、クチマ大統領がNATOサミットに参加するかどうかは、クチマ大統領が決めることだと語り、米国はクチマ大統領との会談は予定していない、と述べた。

02/11/20
クチマ大統領によって次期首相に指名されたYanukovychは19日、指名投票に先立って、議会各派との折衝をはじめた。現議会の勢力は、我らのウクライナ110、共産党61、労働党・企業党42、統一社会民主党39、ウクライナ地域37、社会党21、民主イニシアティブ22、ヨーロッパの選択20、Tymoshenkoブロック18、人民民主党16、農業党16、人民権力16、人民の選択15、無所属16となっている。

02/11/21
最高会議は21日、必要な票数を8票超える、賛成234票でYanukovych首相を承認した。我らのウクライナ、共産党、社会党、Tymoshenkoブロックの210票は棄権し、我らのウクライナと社会党から1票ずつが賛成にまわった。

02/11/22
NATO当局は22日、ユーロ・アトランティックパートナーシップへの招かれざる客、クチマ・ウクライナ大統領に対し、フランス語による席順で侮辱を与えた。英語による席順では、Ukraineは、United KingdomやUnited Statesの隣にならぶはずであったが、NATOの第2公用語であるフランス語では、ブレア首相から7つ、ブッシュ大統領からは30以上離れた席となった。

02/11/22
最高会議は21日、賛成272票で、2003年度予算の第2読会を承認した。予算案の歳入は548億フリブナ(103億ドル)で歳出は542億フリブナ。また、賛成294票で、反マネーロンダリング法案の第2読会を承認した。

02/11/25
米国の駐ウクライナ大使Pascualは22日、メディアに対し書簡を送り、ウクライナによるイラクへのレーダー売却問題の調査に当たった米国・英国調査団の活動をウクライナ当局が妨害した、と批判した。プラハのNATOサミットにおいて、ウクライナ当局が疑惑を否定したのに答えたもの。

02/11/25
クチマ大統領は23日テレビで、1932-33年の飢饉では、500万から1000万の人々が死亡した、と演説した。「飢饉により、農村の5人にひとりが餓死した。集団農場化に対するウクライナ農民の抵抗への、ボリシェビキ政府による仕打ちとしてのジェノサイドであった」と大統領は語った。

02/11/26
クチマ大統領は26日、Yanukovych内閣の主要閣僚を指名した。第1副首相兼財務相には国税庁長官Azarov。国防相、内務相、法務相、外務相は留任。

02/11/26
ウクライナのレーダー売却問題を先月調査した米国・英国調査団は25日レポートを発表し、ウクライナがイラクにレーダーを売却した「契約書」はなかったが、「第3者を経由した不正武器輸出の可能性は残されている」と述べた。ウクライナは、これまでに72台のレーダーシステムに関する文書を提出したが、残りの4台の説明が不十分であった。ウクライナ当局は、その4台は中国に輸出されたと主張したが、その契約文書は商業秘密を理由に提示されなかった。
 




2002年10月

02/10/01
米国シンクタンクのJacksonはキエフで30日、ウクライナは4年以内にNATOのメンバーになるだろうと述べ、「ヨーロッパの安全保障システムはこれから5年で最終的なものとなるが、ウクライナはNATOにとって最も重要な“新しい関係”である」と語った。

02/10/02
反対派リーダー3人(Tymoshenko、Moroz、Symonenko)は1日、クチマ大統領の辞職を要求し、彼を「人民裁判」にかける全国規模の抗議行動を12日に行うと発表した。「“立て、ウクライナ!”運動は、まだクライマックスには至っていない」とMorozは述べた。

02/10/03
ワシントン当局は2日、Kolchugaレーダーのイラクへの売却を、国連制裁に違反してクチマ大統領が許可したという疑惑について、調査チームを派遣するだろうと述べた。一方、Piskun検事総長は2日、米国側に、クチマ大統領の会話を録音したというテープの提供を要求した。

02/10/07
100人以上のジャーナリストが5日、当局の検閲に抗議するため、独立労働組合設立に向けてキエフで集会を開いた。議会に対しては、政府の検閲に関する公聴会を求め、検察には、当局の検閲を調査するよう求めた。

02/10/08
Lytvyn国会議長は8日、449議席中231議席を集めて大統領支持の議会多数派が形成されたと公式に発表した。うちわけは、労働・企業家党(42)、ウクライナ地域(37)、統一社会民主党(37)、民主イニシアティブ(20)、人民権力(18)、ヨーロッパの選択(18)、人民民主党(17)、農業党(16)、人民の選択(13)、統一ウクライナ(7)、および反対派離脱6人である。しかし、イラクへのレーダー売却問題の特別委員会設置を議案に入れるかどうかの決議で、多数派は213票しか集められず、決議は否決された。

02/10/09
クチマ大統領は8日の記者会見で、イラクへの武器売却を大統領が承認したという批判を否定した。そして、ウクライナと米国の友好関係が「あやしげな録音テープ」によって影響されていることに遺憾の意を述べた。大統領はまた、検閲は憲法によって禁止されており、政治的な検閲があったと主張するジャーナリストと話し合う用意がある、と語った。

02/10/10
クチマ大統領は、イラクへのレーダー売却問題を調査する国際専門家を補佐するための委員会を設置し、大統領府長官Medvedchukをその委員長に任命した。米国の調査チームは月末にウクライナ入りするものと見られている。

02/10/11
共産党リーダーSymonenkoは11日、反対派が12日午後2時にキエフのヨーロッパ広場で集会を開くと発表した。Symonenkoによると、集会はクチマ大統領に対する「全ウクライナ人民裁判」であり、同様の裁判がウクライナ各地で開かれる。

02/10/15
キエフのヨーロッパ広場に12日、約2万人が集まり、クチマ大統領を糾弾する人民法廷が開かれた。主催したのは、Tymoshenkoブロック、共産党、社会党で、汚職、権力濫用、マネーロンダリング、ジャーナリスト・政治家への脅迫などの罪で「有罪」が宣告された。集会後、代表が検事局を訪れ、クチマ大統領を起訴するよう要求した。

02/10/15
キエフ裁判所のVasylenko判事は15日、イラクへの不法兵器売却やGongadze記者殺害など刑法の11項目にクチマ大統領が違反したという反対派議員の告発に関連し、大統領犯罪の審理を開始した。

02/10/15
我らのウクライナのYushchenkoは14日、我らのウクライナ、ウクライナ労働党、ウクライナ地域の3派で議会の民主的多数派が形成されることを望んでいると語った。

02/10/17
議会は17日、現在の政治状況に関する議論を議案に入れようという反対派の提案を、賛成205票で否定した。採択に21票足りなかった。また、同僚の磁気カードを使った、議員の代理投票を禁止しようという我らのウクライナの提案も否決された。

02/10/18
最高会議は17日、2003年度予算の第1読会を承認した。歳入は552億フリブナ(104億ドル)で歳出は533億フリブナ。予算には、大統領支持会派と我らのウクライナが賛成した。また同日、イラクへの不法武器売却に関する特別調査委員会の設置を決定した。

02/10/21
キエフの独立広場で19日、数千人が集まって反大統領キャンペーン「たて、ウクライナ!」の集会が開かれた。参加者は、大統領府に移動し、クチマ体制の犠牲者を弔うロウソクを灯した。

02/10/21
イラクへのKolchugaレーダー売却問題を調査していた米国・英国専門家調査団は、資料収集を終了したが、国連制裁に違反があったかどうか結論を出すには少なくとも1週間が必要である、と21日ロイター通信が伝えた。

02/10/22
大統領支持多数派(226人)は21日、クチマ大統領、キーナフ首相とのミーティングを開いた。ミーティングには211人の議員が参加し、非公開で、記者会見もなかった。社会民主党のVolkov議員は「多数派は形だけで、実質は存在しない」と述べた。

02/10/23
最高裁判所は22日、クチマ大統領に対する刑事審理は不法であるというPisken検事総長の上告を棄却した。キエフ裁判所のVasylenko判事が10月15日、イラクへの不法武器売却、Gongadze記者殺害への関与で審理を開始したが、憲法に基づく大統領の不可侵権を侵害しているとして、検事総長が訴えていたもの。

02/10/23
家族青少年国家委員会のShevchenko議長によると、ホームレスの子どもはウクライナ全土で10万人以上に達している。これらの子どものうち、およそ20%で両親がいない。

02/10/24
最高会議は23日、現在の政治危機に関する討論を行った。我らのウクライナYushchenkoは、独裁と同族支配の現状を述べ、議会がそれに荷担していると加えた。共産党Symonenkoは、当局による社会的ジェノサイドに対し、街頭抗議行動を続けると述べた。大統領の辞任を求める反対派の決議案と、議会の正常化を求める大統領支持派の決議案が24日に採決される。

02/10/25
最高会議は24日、現在の政治状況に関する2つの決議案を、ともに否決した。社会党Morozの提案した反対派決議案への賛成は200票、大統領支持多数派による決議案への賛成は222票であった。採択には226票が必要。

02/10/29
脆弱な議会多数派は25日、首相候補として4人の名前をあげ、クチマ大統領に一人を選ぶよう提案した。ヨーロッパの選択はAzarov、ウクライナ地域はYanukovych、人民の選択はDubina、労働党は現首相キーナフを推薦した。Lytvyn国会議長によると、新首相の選出は11月19日の会期終了までに行われる。

02/10/30
クチマ大統領は29日、国連制裁に違反してイラクにレーダー施設を売却したという疑惑が解消されなければ、来月プラハで開かれるNATOサミットに出席しない、と語った。米国・英国専門家チームは先週調査を終えたが、その結果はまだ発表されていない。

02/10/31
NATOは30日、来月21-22日のプラハNATOサミットの際に開かれる、NATO-ウクライナ委員会を、外相レベルで行うことを提案した。NATOスポークスマンBrodeurは、クチマ大統領を招待しないのはレーダー売却問題と関連があるかと聞かれ、「それらの問題を考慮に入れた判断である」と答えた。