ウクライナ国内ニュース

2003年1-3月



 
  


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2003年3月

03/03/03
キエフで2日、反対派議員集会が開かれ、約2000人が参加した。主催したのは共産党、社会党、Tymoshenkoブロックで、我らのウクライナのTushchenkoは来賓として参加した。主催3派は、3月9日より、「立て!ウクライナ」運動の新たなキャンペーンを予定している。

03/03/04
ウクライナの約70の炭坑で約2000人の労働者が3月4日、給与の増加と改革の停止を要求してストライキを行った。ストを組織したのはウクライナ自主炭坑労働組合で、そのリーダーVolynetsによると、炭坑での給料未払いは13億フリブナ(2億4400万ドル)に及んでいる。

03/03/04
最高会議は4日、Pisken検事総長に対し、彼の前任者Potebenko前検事総長が、Gongadze記者失踪事件の捜査を打ち切るようウクライナ安全保障サービスに依頼したのではないか、という疑惑を調査するよう要請した。Piskenは週刊誌とのインタビューで2月、Potebenkoが安全保障サービス議長Derkachにあてて、Gongadze事件捜査を中止するよう要請した手紙がある、と述べた。

03/03/06
クチマ大統領はTV演説で5日、「議会・大統領モデル」に関する憲法改正を最高会議に提案すると述べた。提案によると、首相は議会が任命し、国防、内務、外務、緊急事態相は大統領が任命する。議会で多数派が形成されない場合、大統領は議会を解散できる。議会は比例代表制とし、地域代表の上院を設立する。

03/03/07
クチマ大統領は6日、最高会議に対し憲法改正の草案を送った。草案によると、議会は、比例代表制による300議席の国民会議と、地域代表81議席の上院で構成される。任期は5年で、大統領、下院、上院は同じ年に選挙を行う。憲法改正には、最高会議450議席のうち300議席の賛成が必要である。

03/03/07
最高会議は6日、賛成334対反対46でウクライナ国歌法案を承認した。曲は1863年にウクライナの聖職者Verbytskyが1863年に作曲したもので、歌詞は愛国詩人Chubynskyyが1862年に作った「ウクライナは滅びない」。法案には、共産党が反対し、社会党は棄権した。

03/03/11
フィッシャー・ドイツ外相は10日、Zlenkoウクライナ外相とのベルリンでの会談で、ウクライナのEU加盟の可能性は「見通せる将来」にはない、と語った。フィッシャー外相によると、ウクライナでは、市場経済、法秩序、報道の自由が不十分である。

03/03/14
Aarov副首相兼財務相は13日、ウクライナは3月に20億フリブナ(3億7500万ドル)の対外債務を支払った、と述べた。Azarovによると、「この額は大きいが、ウクライナの財政は強力であり、国家財政にパニックをもたらすようなものではない。」

03/03/14
給料支払いを求めて3月6日からハンガーストライキをしていたBendyuzka炭坑の14人の労働者が12日、病院に運ばれた。ウクライナ独立炭坑労働組合によると、Luhansk州のKrepinska炭坑では45人の労働者がストライキを続けている。

03/03/17
ウクライナ政府は15日、「公開、行動、効率」と名付けられた2003-4年の施政計画を承認した。計画の主な目標は、生活水準の向上、市民的権利と自由の保障で、2003年のGNP成長を5-6%と見込んでいる。議会が計画を承認すると、議会は1年間政府不信任を決議できない。

03/03/18
アラブ首長国連邦のアブダビで開かれている第6回国際防衛機器展示会で、ウクライナはさまざまな近代兵器を展示している。ウクライナの約40の企業が、軍用車両、ミサイル、レーダー、航空機などを売り込んでいる。

03/03/20
Yanukovych首相とEU代表との18日の会談で、EU側 は、ウクライナとの経済・貿易関係の強化を主張したが、ウクライナのEUへの参加については前向きではなかった。

03/03/21
ウクライナ議会は20日、生物化学兵器防護大隊のクウェートへの派遣を450議席中の賛成253票で可決した。同時に、米国によるイラク攻撃を批判する決議を、賛成229反対5で採択した。

03/03/24
ウクライナ軍将校15人が22日、核・生物・化学兵器(NBC)防護部隊展開の準備のためクウェートに到着した。NBC部隊432人は、今週中にクウェートに到着し、戦闘行動には参加しないが、少なくとも半年滞在する予定である。

03/03/26
前農業省次官Kozachenkoが25日、脱税と職権濫用の容疑で逮捕された。Kozachenkoに対する調査は、穀物不足と価格上昇の問題に関心を抱いたクチマ大統領の命令で行われた。

03/03/31
我らのウクライナはキエフで29日、民主フォーラムを開催した。リーダーのYushchenkoは、新たなヨーロッパ的な政党を目指すと述べ、来るべき大統領選挙に向けて、Tymoshenkoブロックとの統一を目指す、と付け加えた。
 
 



2003年2月


03/02/03
ロイター通信は1月31日、米国政府筋の話として、イラクへのレーダー輸出疑惑と関連し、ウクライナ政府への援助資金を今後NGOグループにも配分すると伝えた。レーダー輸出疑惑により、米国はすでに、5500万ドルのウクライナ援助を停止している。

03/02/04
検事総局は3日、Bakayが社長であった1998-2000年の期間の、ウクライナ石油ガス公社の役員による権限濫用について刑事調査を開始した。ウクライナ石油公社とItera社の間で、800万立方m、約4億ドルのガス供給契約が結ばれた際に、500万ドルがリトアニアの銀行の(正体不明な)個人口座に振り込まれていた。

03/02/05
最高会議は4日、米国によるイラン攻撃計画を批判する決議を、427人中243の賛成で採択した。クチマ大統領は同日、ウクライナは国連安全保障理事会のいかなる決定も尊重する、と語った。

03/02/05
ウクライナ石油ガス公社とロシアのガスプロムは4日、ウクライナを通ってヨーロッパへ天然ガスを供給するための国際企業体を設立した。両国政府の昨年の合意に基づくもの。

03/02/06
クチマ大統領は国税サービスの会議で5日、自由経済ゾーンを完全に廃止することが必要だ、と述べた。ウクライナには、税金や関税を特例扱いする自由経済ゾーンが11カ所設定されているが、大統領によると、外国資本の導入に失敗し、むしろ経済犯罪の温床となっている。

03/02/07
最高会議は6日、マネーロンダリングを禁止するための一連の法令を採択した。資金監視の最低額は、8万フリブナ(1万5000ドル)に引き下げられる。また、匿名での銀行口座は禁止され、5万フリブナを越える銀行取引は特定することが義務となる。

03/02/10
EU評議会のSolana事務局長は7日、EU加入に向けてウクライナが、司法改革、報道の自由、反対派との関係改善を進めるよう求めた。キエフでのウクライナ・EU会議の後で述べたもの。

03/02/12
12日のインターファックス通信は、クチマ大統領が「犯罪に関係しない」不申告収入への税金恩赦を検討していると伝えた。ウクライナでの不申告収入は350億フリブナ(65億ドル)と推定されている。

03/02/13
最高会議は12日、1932-33年のウクライナの飢饉に関する公聴会を開いた。Lytvyn最高会議議長は、すべての犠牲者のリストと、キエフにモニュメントを作るよう呼びかけた。議会人権委員会委員長Udovenkoは、飢饉を、共産党体制下でのウクライナ国民に対するジェノサイドとして認めるよう、国連に働きかけることを提案した。共産党のSymonenkoは、飢饉は人為的なものではなく、2年続いた不作によると演説した。

03/02/13
2002年のウクライナの出生率が3%上昇した、と法務省が12日発表した。ウクライナの出生率は1987年以降減少していた。しかし、昨年の死者数は出生数の約2倍(75万4915人対39万2524人)であった。

03/02/18
クチマ大統領は17日、レーダー輸出問題が表に出てからはじめて、米国大使Pasculと会談した。大統領は、「イラクが大量殺戮兵器を隠し持っていると疑うには十分な理由があり、化学、生物、核に対する部隊派遣で、国連に協力する用意がある」と述べた。

03/02/18
約1500人がキエフで15日、平和のためのデモを行った。参加したのは、進歩社会党、共産党、緑の党、ロシアブロックなどで、米国の軍事行動に抗議した。

03/02/19
駐ウクライナ米国大使Pasculは18日、ウクライナの化学、生物、核対策部隊をペルシャ湾に派遣するよう求める米国政府の書状を、クチマ大統領とZlenko外相に渡した。書状によると、戦闘への参加は必要ないが、大量破壊兵器が使用された場合に備えるため。

03/02/19
Symonenko共産党首は18日、来るべき大統領選挙で、反対派から統一候補を出すという考えはゴマカシである、と語った。Symonenkoによると、我らのウクライナやTymoshenkoブロックはブルジョア政党であり、違った勢力から統一候補を立てるのは不可能である。

03/02/20
第一副首相Azarovは19日、2003年の経済成長は5-6%で2004年は8%という計画を内閣に報告した。2002年のGDP成長は4.1%であった。Azarovはまた、利益税を20%、付加価値税を15%、所得税を20%に引き下げるよう努力すると述べた。

03/02/21
最高会議は20日、比例代表制に関する2つの法案を否決した。450議席のうち225議席を比例代表制とするMelnychukとRudkovskyが提案した法案に賛成したのは、我らのウクライナ、共産党、社会党、Tymoshenkoブロック、社会民主党からの217票であった。

03/02/24
我らのウクライナのYushchenkoは21日、Tymoshenko批判の偽文書について、「権力側の政治的犯罪である」と批判した。偽文書とは、今月はじめウクライナ西部の200万人の有権者に対し郵送されたもので、Yushchenkoの写真、署名入りでTymoshenkoを批判する文面であった。

03/02/28
我らのウクライナのYushchenkoは27日、クチマ大統領、Yanukovych首相ら政府当局に対し書簡を送り、「憲法で定められた義務を果たし、政治的テロを止めるよう」強く訴えた。Yushchenkoによると、我らのウクライナの地方活動家2人が21日に暴行された。

03/02/28
議会民営化監視委員会の委員長である社会党議員Semenyukは27日、ロシア企業による石油精製、アルミ生産、通信への進出により、国家の安全保障が脅かされている、と議会で述べた。彼女によると、民営化企業での生産性は低下し、近代化への投資が不十分である。
 



2003年1月

03/01/03
クチマ大統領は新年の演説で、「独立以来はじめてウクライナは透明な権力システムに至った。国家の基本的な責任は議会と政府にあり、大統領は必要なときにのみ介入する」と語った。

03/01/06
クチマ大統領は、昨年12月26日に採択された2003年度予算に署名した。また、1月1日から最低賃金を月185フリブナ(34ドル)から237フリブナへと、28%引き上げる法案にも署名した。

03/01/09
Tymoshenkoブロックは、2001年3月の反大統領デモに参加し、昨年暮れに2年から5年の禁固刑判決を受けた、ウクライナ国民評議会・ウクライナ防衛のメンバー14人の判決に対し控訴を行った。Tymoshenkoによると、判決は政治的であった。

03/01/10
ウクライナ最高裁は8日、Lazarenko元首相の不逮捕特権解除を再考するよう下級審に命令した。Lazarenko元首相は、横領と暗殺関与を理由に1999年、最高会議から不逮捕特権を解除されており、解除無効を裁判所に訴えていたが拒否されていた。彼は現在、マネーロンダリングの容疑により米国で収監されている。

03/01/14
我らのウクライナのTomenko議員によると、大統領府の有給職員数は619人である。この人数は、1980年代のウクライナ共産党中央委員会の職員数に比べ2倍であり、不自然に多い。Tomenko議員によると、大統領府は、顧問機関というより、「最高執行権力」として機能している。

03/01/15
Azarov第1副首相兼財務大臣は15日、2002年のウクライナのGDPは4.1%増加したと述べた。工業生産は7%増加し、インフレはほとんどなかった。

03/01/16
農業相第1次官Kyrylenkoは最高会議で15日、2002年の農業部門の成長率は3%以下であったと報告した。2000年と2001年の農業生産はそれぞれ9.2%と9.8%の増加であった。農業従事者の平均月収は153フリブナ(29ドル)であり、経済部門のなかで最も低い。

03/01/21
Lytvyn最高会議議長は17日、2004年の大統領選挙に出馬する意志のないことを表明した。彼の予測では、我らのウクライナYushchenko、共産党Symonenko、Tymoshenko、社会党Moroz、首相Yanukovych、大統領府長官Medvedchukが出馬する。

03/01/23
昨年12月の世論調査によると、NATOを信頼するウクライナ人は28%で、信頼しないのは44%であった。昨年6月に行われた同様の調査では、39%が信頼していた。

03/01/24
ウクライナ石油ガス公社の一部門であるHaz Ukrainy社は24日、ウクライナの電力供給業者に対するガス供給を、これまでの50%に削減すると発表した。この措置は、電力業者からのガス代支払いが供給量の5.6%しかないためである。ガス代の未払いは7700万フリブナ(1440万ドル)に及んでいる。

03/01/27
Kostenko率いるウクライナ人民ルフは25日の大会で、ウクライナ人民党と名前を変えることを決定した。ルフは1999年に、Kostenko派のルフとUdovenko派のルフに分裂したが、再統一には失敗した。

03/01/29
キエフでのCISサミットには、12カ国のうち4カ国の大統領が欠席する。カザフスタンからは国家書記長、トルクメニスタンは大統領府長官、キルギスタンとウズベキスタンからは首相が参加する。

03/01/29
クチマ大統領とプーチン大統領は28日、4年越しの交渉の末、2063kmにおよぶ国境に関する協定に調印した。懸案となっているアゾフ海の帰属については別個に協定を結ぶ。ウクライナ側はアゾフ海の分割を望んでいるが、ロシア側は共同の内海とすることを希望している。

03/01/30
クチマ大統領は29日の非公式CISサミット会議で、CISに完全自由貿易ゾーンを作ることを提案した。CISは1994年にも自由貿易ゾーンに関する協定を作ったがうまく機能しなかった。

03/01/31
ウクライナ外相は30日、クチマ大統領がCIS評議会の議長に就任したことは、ウクライナの外交政策の変更を示すものではない、と発表した。発表によると、ウクライナとCIS諸国との関係発展は、ヨーロッパやNATOへの統合を保障するものである。クチマ大統領は、ロシア人以外の初のCIS評議会議長である。