ウクライナ国内ニュース

2003年4-6月



 
 
  


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2003年6月

03/06/02
クチマ大統領は2日、最高会議に対し、イラクへの軍隊派遣の承認を求めた。歩兵大隊ふたつ、1600-1700人をポーランド軍の管轄区域に派遣する計画である。

03/06/02
TymoshenkoブロックリーダーのTymoshenkoは週刊誌で、2004年の大統領選挙で反対派が統一候補を擁立できなければ、彼女も立候補すると述べた。

03/06/04
Ryzhuk農業大臣は4日、今後10週間ウクライナで雨がなければ、今年の穀物収穫量は2500-2700万トンになるだろうと述べた。昨年の収穫量は3880万トンであった。

03/06/05
最高会議は5日、賛成273反対103で、イラクに1800人までの兵員を送るというクチマ大統領の提案を承認した。国家防衛評議会のMarchuk議長によると、2003年度の駐留費約1300万ドルの3分の2は米国が補償する。

03/06/06
ウクライナ政府は4日、8億ドルのドル立て国債を、年利7.65%で発行した。フィナンシャルタイムズによると、2000年の国債の年利10.4%に比べ、ウクライナ国債の問題が好転したことが幸いしている。

03/06/10
ウクライナ当局は、現在米国で裁判を受けているLazarenko元首相について、米国での判決が出た後、殺人容疑などで身柄の引き渡しを要求する。Puskin検事総長によると、Lazarenkoの犯罪はウクライナの歴史上最大で、6500冊ものファイルに相当する。Lazarenkoは、1996-97年の首相時代に1億1400万ドルのマネーロンダリングを行った容疑で、米国で裁判を受けている。

03/06/11
クチマ大統領は10日、国会各派のリーダーと会見し、3月に最高会議に提出した憲法改革案についての意見交換を行った。反対派リーダーTymoshenkoによると、クチマ大統領は、完全比例代表制の導入、3期目の大統領選立候補の質問について答えなかった。社会党のMorozや我らのウクライナのYushchenkoは、大統領選挙、国会選挙、地方選挙を同じ年に行うプランに反対した。クチマ大統領によると、大統領選挙は来年10月の最後の日曜に予定されている。

03/06/12
クチマ大統領とKwasnieskiポーランド大統領は11日、第2次大戦中に西ウクライナのVolhyniaで虐殺されたポーランド人の共同追悼式に参加する、と報じられた。追悼式は7月11日、1943年7月11日に100人以上のポーランド人が焼き殺されたPavlivkaで開かれる。ポーランド側によると、6万?8万のポーランド人がウクライナ独立軍(UPA)によって殺された。一方、ウクライナ側によると、3万人のウクライナ人がポーランド軍に殺された。

03/06/13
中央選管は13日、チェルニゴフ州で8日に行われた補選で選出されたYaroslavskyyの議員登録を行った。Yaroslavskyyの就任により、最高会議定員450人がそろった。

03/06/16
Ryzhuk農業大臣は14日、悪天候による冬穀物の不作のため、ウクライナは今年約250万トンの穀物輸入関税を免除すると示唆した。今年の穀類収穫量見込みは2500?2700万トンで、昨年は3900万トンであった。

03/06/20
クチマ大統領は19日のテレビ演説で、憲法改正案の修正版を最高会議に明日提出すると述べた。2院制の導入や議員定数の削減は取り下げる、との意向を表明した。

03/06/20
最高会議は19日、付加価値税を現行の20%から17%に引き下げ、多くの免税項目を廃止した。

03/06/23
クチマ大統領は20日、憲法改正の修正案を最高会議に提出した。修正案は、先に大統領が発表した内容であるが、大統領、国会、地方議会の選挙を同一年に行う提案をしている。観測筋によると、大統領は2004年以降も職にとどまろうとしている。

03/06/26
クチマ大統領は25日、先週辞任したShkidchenko国防相の後任に、Marchukを任命した。Marchukは、1991-1994年に安全保障サービス(KGB)長官、1995-96年に首相を勤めた。1999年の大統領選挙に立候補したが、第1回投票で破れた後はクチマ支持に回って、国家安全防衛評議会の議長に就任していた。

03/06/27
農業省は26日、パンなど最近の食料品の値上がりには、まったく根拠がないと発表した。パンの価格は今週、ドニエプロペトロフスクで25%、クリミアで30%上昇した。

03/06/30
Yanukovych首相は27日、パンや小麦製品の便乗値上げを行う小売業者に厳しく対処する、と述べた。今年の悪い収穫見通しが、食料品の価格を押し上げており、クチマ大統領は、政府に対し食料価格の安定化を要請している。



2003年5月
03/05/02
米国の民主化推進組織「フリーダムハウス」は4月30日、世界各国のマスコミの自由に関する「プレスの自由2003年報告」を発表した。その報告によると、東欧・旧ソ連の27カ国のうち、“自由”は9カ国、“部分的自由”は8カ国、“自由でない”は10カ国であった。ベラルーシとウクライナはともに、“自由でない”。

03/05/02
キエフのヨーロッパ広場で1日、共産党、社会党、Tymoshenkoブロック、我らのウクライナの主催により、約3000人が集まってメーデー集会が開かれた。ドネツク市では5万3000人、ドニエプロペトロフスク市では1万6000人、シンフェローポリ市では1万2000人が集まった。

03/05/05
ウクライナ人民ルフ(NRU)は3日キエフで大会を開き、Tarasyukを党首に選出した。我らのウクライナのYushchenkoも大会に出席し、民主勢力が結束して2004年の大統領選挙に臨むよう訴えた。大会は、Yushchenkoが大統領選に出馬するよう公式に要請した。

03/05/07
キエフ裁判所は6日、キエフ州Tarashcha地区の前検察官Obozovに対し、Gongadze記者殺害事件に関連して、職権乱用、文書偽造の罪で2年半の刑を言い渡した。同時に、彼の犯行時点の際に有効であった恩赦により免罪された。

03/05/11
セバストーポリで9日の対独戦勝記念日、ウクライナ軍とロシア軍約1000人が合同行進をした。1991年のウクライナ独立宣言以来2度目のことで、主に水兵が参加した。

03/05/13
ウクライナ航空産業誌Transpressは12日、ウクライナの航空産業が、新パイロット不足と国際的信用失墜で破局的な状況にあると伝えた。航空学校からはこの2年間、ひとりの軍事パイロットも卒業していない。先週コンゴでは、ウクライナのIL-76貨物機のドアが飛行中に開き、120人の人々が機外に吸い出された。昨年12月にはイランでAn140が墜落し、昨年7月にはリボフの航空ショーでSu27戦闘機が墜落している。

03/05/14
キエフ高裁は13日、検事総局による反対派リーダーTymoshenkoと統一エネルギーシステム(EES)幹部4人に対する刑事告発事件を終了する命令を出した。Tymoshenko、彼女の夫、義理の父、EESの同僚2人は、国家資金流用で告発されていた。検事総局は上告の方針。

03/05/16
最高会議は15日、数百万人の犠牲者がでた1932-33年のウクライナの飢饉を、「スターリン政治システム下でのジェノサイドであった」という決議を採択した。410人の出席議員のうち賛成は226人であった。

03/05/19
クリミア半島のシンフェローポル市で18日、スターリンによるクリミアタタール人強制移住59周年を記念する集会が開かれ1万2000人が参加した。集会は、クリミアタタール人の権利を復活させる法案を2004年5月の60周年までに制定するよう最高会議に要請する決議を採択した。現在約27万5000人のタタール人がクリミア半島に居住し、少なくとも同数が追放されたままである。

03/05/21
我らのウクライナのTomenko議員の発議により、最高会議は20日、クチマ大統領の資金源を調査するようPiskun検察総長に申し入れた。報道によると、数百万人がクチマ大統領から新年挨拶のカードを受け取っている。

03/05/22
最高会議は22日、賛成266反対51で、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン合同経済ブロックの設立を支持した。同時に、ヨーロッパ議会、各国政府に対し、2002年にヨハネスブルグで開かれた世界サミットの社会発展・環境目標を達成するよう呼びかけた。

03/05/23
最高会議は22日、440人中賛成352人で、2004年1月1日より個人の所得税率を13%均一とする法案を採択した。2007年からは15%となる。現在の所得税率は、10、15、20、30、40と累進で、月収320ドル以上が最高税率である。均一税率導入の目的は、市場経済の強化と闇経済の縮小にある。

03/05/27
アフガニスタンでのPKFに従事したスペイン兵を輸送していた、ウクライナのYak-42型機が27日、トルコ領内で墜落した。12人のウクライナ人と1人のベラルーシ人を含め全員死亡。飛行機は国連がチャーターし、キルギスタンのBishkekからスペインのZaragozaへ向かっていた。

03/05/28
ウクライナ、ポーランド、EUは27日、Odessa-Brody石油パイプラインを、ポーランドの港Gdanskまで延長する計画に署名した。EU側は、実施準備調査に300万ユーロを提供する。Brody-Plosk-Gdanskパイプラインの完成には、5億ユーロの資金と3?5年が必要とみられている。

03/05/29
クチマ大統領は28日の記者会見で、来年の大統領選挙で、ウクライナの有権者が西部と東部に分裂するのを危惧している、と述べた。大統領はまた、我らのウクライナ、Tymoshenkoブロック、社会党、共産党は統一候補を出せないだろうと述べ、我らのウクライナのリーダーYushchenkoが、2002年の議会選挙の後、政府よりの政権を樹立しなかったのは、彼の誤りだった、と加えた。

03/05/30
39人の最高会議議員が29日のHolos Ukrainy紙に、1943年のウクライナ反乱軍によるVolyn市でのポーランド人虐殺事件を批判する公開書簡を発表した。書簡は、60年前の事件を擁護する人々を批判している。5月16日のHolos Ukrainy紙には、Volyn虐殺事件について一方的な謝罪を求めるポーランド側の要求は撤回されるべきとの意見が、33人の右翼よりの議員名で発表されていた。この問題については今年2月、クチマ大統領とKwasniewskiポーランド大統領の間で、合同追悼委員会を組織することで合意されている。
 
 



2003年4月

03/04/01
Lubkivskyy外務省報道官は4月1日、ウクライナがイラクに対戦車ミサイルを売却したという報道を否定した。ニュースウィーク誌は31日ペンタゴン情報として、イラクがウクライナから、レーザー誘導ミサイル1000基を購入したと書いた。

03/04/02
クウェート滞在中のウクライナの対核・生物・化学兵器(NBC)大隊がフセインに味方した、というエープリルフール報道について、フォーラムニュースは1日、国防省とメディアに対し謝罪した。NBC大隊に関するこの報道は、ウクライナ中のウェブサイトに広まった。

03/04/03
オンブズマンKarpachovaは2日の最高会議で、経済困難と高失業率のため、200万から700万人のウクライナ人が外国で働いており、その大部分が非合法労働者である、と述べた。トルコ、ハンガリー、ポーランドなどから、この2年間で国外追放されたウクライナ人は2万3620人に及んだ。

03/04/04
最高会議は3日、賛成252対反対1で、メディアに対する検閲を定義する法律を採択した。法律によると、いかなる報道についても、政府または地方当局からの事前承認の要求は検閲となる。また、国家や当局による、出版の禁止や妨害も検閲とみなされる。

03/04/09
最高会議経済政策委員会は8日、政府のアクションプランを承認した。アクションプランによると、2003年の経済成長は5-6%で、2004年には8%を見込んでいる。最低賃金は次第に増加し、2007年には月342フリブナ(64ドル)となる。

03/04/10
シュレーダー・ドイツ首相はベルリンで9日、Yanukovychウクライナ首相と会談し、近い将来ウクライナがEUに加盟することを支持する、と述べた。1カ月前にフィッシャー外相は、ウクライナのEU加盟は、見通せる将来にはない、とつれなく述べている

03/04/11
ウクライナのユーロカー社とドイツのフォルクスワーゲン社は10日、ウクライナにフォルクスワーゲン組み立て工場を作る協定に調印した。フォルクスワーゲン社は、2002年にウクライナで約1万台を販売している。ドイツ訪問中のYanukovych首相によると、ウクライナとドイツの間で航空機製造の合弁設立も進められている。

03/04/15
我らのウクライナ、共産党、社会党、Tymoshenkoブロックは14日、政治改革に関する共同覚え書きに調印した。覚え書きによると、現在の大統領、議会、地方機関はそれぞれの任期末まで活動する。現在の一院制を維持し、首相や閣僚は大統領が指名し、議会が承認する。

03/04/16
クチマ大統領は15日、最高会議で政策演説を行った。ラジオ中継された演説の中で大統領は、先月議会に提案したように、大統領・議会制に基づく政治改革の必要を強調した。クチマ提案によると、議会は内閣を構成する権限をもち、大統領は議会を解散する権限をもつ。

03/04/16
クチマ大統領は議会演説で、ウクライナはEU加盟をめざすと述べ、政治的、社会的にヨーロッパスタンダードをウクライナに導入する必要がある、と強調した。またWTO(世界貿易機関)には2004年に加盟したい、との希望を述べた。

03/04/17
最高会議は17日、Yanukovych内閣の行動計画を、賛成335人反対55人で承認した。憲法によると、これから1年間、議会は内閣を不信任できない。一方、議会選挙を完全比例代表制とする選挙法案は、2回投票され、いずれでも否決された。

03/04/22
キエフで19日に開かれた地域党大会において、Yanukovych首相が党首に選ばれた。Azarov第1副首相は、党評議会議長に選出された。Yanukovychは大会で、党の課題は、2院政や完全比例代表制の導入といった政治改革である、と述べた。

03/04/23
キエフ訪問中のシュワルナゼ・グルジア大統領は22日、オデッサ・ブロディ石油パイプラインへの石油供給にグルジアも協力すると述べた。また、シュワルナゼ大統領とクチマ大統領は、CIS自由貿易ゾーンの設立に賛成すると表明した。

03/04/24
ウクライナ政府とロシア政府は23日キエフで、ドイツ代表もまじえてウクライナのガスパイプラインを改善する国際企業体について話し合った。ウクライナのガスパイプラインはヨーロッパへのガス供給の90%が通過し、全長3万5200km、122のコンプレッサー基地、13の地下タンクがある。ロシアの参加は、ウクライナを迂回するパイプライン建設を放棄したことの表れと見られる。

03/04/28
Yanukovych首相は26日、国内パン価格の上昇を避けるため、穀類輸入を検討するよう、外務省や経済省などに要請した。ウクライナの今年の冬小麦は悪天候のため半分以上が収穫できなかった。農業大臣によると、種まき用の穀物を残しておくため、100万トンの穀物を7月31日までに輸入する必要がある。

03/04/29
クチマ大統領は28日、検閲禁止法に署名した。4月3日に最高会議を通過した法案によると、ジャーナリストの職業的仕事に当局が介入すると犯罪となる。

03/04/30
Lytvyn最高会議議長は29日、訪問中のロンドンで、ウクライナの政治改革について国民投票には及ばないであろうと、クチマ大統領とは異なる見解を示した。Lytvynによると、政治改革に関連する憲法改定は、議会の3分の2の多数によって、2004年10月の次回大統領選挙までに実現するだろう。