ウクライナ国内ニュース

2003年10-12月



 
 
 
  


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2003年12月

03/12/01
最高会議は11月27日、歳入607億フリブナ(114億ドル)歳出642億フリブナとする2004年度予算を、賛成235反対165で承認した。同日、約2000人の鉱山労働者と約2000人の反対派支持者が、議会前で別々に抗議集会を開いた。

03/12/03
クチマ大統領は2日、2004年の予算案に署名した。歳入607億フリブナで歳出は642億フリブナ、それぞれ前年比14%と15%の増加である。外国からの負債は、1億5600万ドルを返済し、1億4400万ドルを借り入れる。

03/12/05
ウクライナ副首相Kyrylenkoは4日、2004年1月から7月にかけて100万トンの穀物を米国とカナダから輸入する、と述べた。Kyrylenkoによると、ロシアやカザフスタンの輸出制限のためCIS諸国からの輸入は断念した。ウクライナの今年の穀物不足は350万トンである。

03/12/09
ウクライナ国家当家委員会は8日、今年1月から11月の工業生産が、前年比15.5%増加したと発表した。

03/12/10
世界銀行は9日、ウクライナに対し、改革プログラム推進のため2億5000万ドルのローンを提供する決定を行った。具体的な改革の項目としては、徴税システムの改良、電力料金優遇の廃止などがあげられている。

03/12/11
最高会議は10日、「外国からのNGO資金援助を通じての選挙介入」に関する特別調査委員会の設置を、239対5で決定した。委員会の委員は13名で、共産党のMishura議員が議長をつとめる。外国援助を受けている主要なNGOは、ルネッサンス基金、フリーダムハウス、ポーランド・アメリカ・ウクライナ協力イニシアティブなどである。

03/12/12
憲法裁判所は11日、2004年に最高会議から大統領を選出すること、現議会の任期を2007年まで1年延長することに関する憲法改正案は、現憲法に違反しないという判断を下した。改正案を提出したのは大統領派議員団で、憲法改定には450人の議員中300人の賛成が必要である。

03/12/15
共産党のSymonenkoは13日、2004年の大統領選挙に反対派統一候補を立てるのは「全く非現実的である」と述べた。しかしながら、「選挙の透明性の確保と、当局側候補を決選投票に残さない」という2つの観点で反対派が協力すべきであると述べた。共産党は5月の党大会で候補者を決定する。

03/12/16
社会党は15日、我らのウクライナ、共産党、Tymoshenkoブロックにあてて、来年の大統領選挙で反対派統一候補を出すようアピールを出し、社会党は、反対派党首のだれでも支持する用意があると発表した。

03/12/17
ウクライナ内閣は17日、1月1日から7日を休日とし、新年とクリスマスを人々が祝えるようにするよう、企業や団体に勧告した。

03/12/18
我らのウクライナのYushchenkoは17日、大統領選出方法に関する憲法改定に反対する署名について、予定の800万のうち350万がすでに集まったと述べた。最高会議は来週、大統領を議会が選出するようにする憲法改定案の審議に入る予定である。

03/12/19
米国NGOフリーダムハウスは、自由と民主主義に関する年次報告で、ベラルーシを「自由でない」、ウクライナを「部分的に自由」に分類した。「自由でない」の分類には世界の48カ国が相当したが、ヨーロッパの中ではベラルーシだけであった。

03/12/23
クチマ大統領は22日、政党活動と選挙キャンペーンへの国家補助金に関する法案に署名した。議会選挙で4%を越える得票をした党には費用が支払われる。また、政党補助金は、最低賃金の1%に得票者数を掛けた額が毎年支払われる。法案は2005年1月1日から施行される。

03/12/29
最高会議は24日、憲法改定に関する、いわゆるMedvedchuk-Symonenko案を承認した。しかし、賛成は276票で、改訂に必要な3分の2を越えず、1月中旬に再審議される。改定案によると、2004年10月に直接選挙で大統領を選出し、2006年に最高会議が新たに大統領を選ぶ。

03/12/30
ウクライナのクチマ大統領とロシアのプーチン大統領は24日、クリミア半島のKerch市で、Kerch海峡とアゾフ海の利用に関する協定に調印した。協定により、アゾフ海での国境線が定められたが、ウクライナとロシアの船舶はアゾフ海を自由に航行できる。ただし、第3国の船の航行には両国の同意が必要となる。
 



2003年11月
03/11/03
我らのウクライナによって、Donetskで31日に予定されていた民主フォーラムは、反Yushchenkoの運動によって中止となった。予定されていた会場には、Yushchenko反対の人々が約2000人集まり、市内でも反Yushchenkoのデモがあった。

03/11/03
我らのウクライナによって11月1日にリボフで開かれた集会には1万5000人が集まった。Yushchenkoは集会で、議会が大統領を選ぶという法案は成立せず、次期大統領選挙には民主勢力から統一候補が出るだろうと述べた。

03/11/04
最高会議は4日、我らのウクライナが10月31日にDonetsk市で開こうとして中止となった集会に関して、内務省や治安局の報告を受けようという提案を否決した。賛成は197票で、成立には226票が必要である。

03/11/06
クチマ大統領は5日、ウクライナとセルビア・モンテネグロの経済代表団の会合で、憲法改革が進まない場合の問題について警告した。「行政機関と立法機関の責任分担がなく、議会が機能せずとも誰も責任を感じない」と大統領は述べ、いま政治改革ができなければ、次の大統領にもできない、と付け加えた。

03/11/07
我らのウクライナ、Tymoshenkoブロック、社会党は6日、共同声明を発表し、「現体制はギャング的な独裁をすすめており、大統領府、地方当局、司法機関が反対派を抑圧している」と批判した。10月31日のDonetsk市での我らのウクライナ大会を中止させたのは、犯罪的体制であり、彼らはDonetsk市を無法地帯にした、と述べている。

03/11/10
数百人の共産党支持者、年金生活者、退役軍人がキエフで7日、1917年のボルシェビキ革命86周年を記念する集会に参加した。共産党リーダーSymonenkoは、ウクライナのWTOやNATOへの参加に反対すると演説した。

03/11/12
ウクライナの国連代表団は10日、26カ国の支持をうけて、1932-33年のウクライナ大飢饉の犠牲者を追悼する宣言を発表した。「ソビエトの全体主義により、700万から1000万人の同胞が犠牲になった」と宣言は述べている。

03/11/13
憲法裁判所は12日、今年はじめにクチマ大統領が提案し、292人の議員が署名した政治改革案に対し判断を下した。憲法裁判所の判断によると、新議会が大統領を選出することは、憲法違反にはあたらない。

03/11/14
クチマ大統領は13日、憲法裁判所に対し、最高会議の解散手続きに関する解釈を明確にするよう求めた。基本法第90条では、定例議会において30日以内に全員会議が開催されない場合には、大統領は議会を解散できる、となっている。10月31日Donetsk市で我らのウクライナの集会が妨害され開催できなかった件に関連し、我らのウクライナ、Tymoshenkoブロック、社会党議員が当局の説明を求めて、議場占拠を続けている。

03/11/18
クチマ大統領は17日、急性腸閉塞のため入院し、手術を受けた。Hromnytska報道官によると術後は順調である。大統領は15日、Ivano-Frankivsk州の私邸でエリツィン前ロシア大統領の訪問を受けたところだった。

03/11/19
4人の反対派リーダー、Moroz(社会党)、Yushchenko(我らのウクライナ)、Tymoshenko(Tymoshenkoブロック)、Symonenko(共産党)は19日、共同行動宣言に署名した。Morozによると、4党は今後「戦略的問題」について協力する。完全比例代表制について4党は同意しているが、大統領の選出については、共産党は議会からの選出を支持し、他の3党は直接選挙を支持している。

03/11/20
最高会議議長Lytvynは20日、大統領派の「ウクライナ地域」と「ヨーロッパの選択」が、議会会派「ウクライナ地域」として合同すると発表した。議会の勢力分布は、我らのウクライナ(103)、ウクライナ地域(64)、共産党(60)、ウクライナ産業企業労働党(42)、統一社会民主党(36)、人民党(21)、社会党(20)、Tymoshenkoブロック(19)、農業党(16)、人民の選択(14)、無所属22である。

03/11/21
ウクライナ第1副首相Azarovとイスラエル副首相Lapidはキエフで20日、2001年10月4日にウクライナ軍のロケットによって黒海で撃墜され、乗客全員が死亡した事件のイスラエル人乗客に対する補償に合意した。旅客機乗客78人のうち40人がイスラエル国民で、補償金総額は750万ドルとなった。

03/11/24
クチマ大統領は22日、1932-33年の飢饉による500万?1000万人の犠牲者を追悼する演説を行った。「飢饉の真実は、ウクライナの独立後にようやく明らかにされ、飢饉が人災であったことが国際的にも認知されてきた」と述べた。

03/11/25
ECとウクライナ政府は24日、2004-6年にウクライナに対し、司法行政改革、国境管理強化などのために2億1200万ユーロの援助を行う協定に調印した。EUはこの10年間に約11億ユーロの援助をウクライナに行っている。

03/11/26
最高会議は賛成237反対46で最低賃金法を改正した。今年12月からは205フリブナ(38.5ドル)、来年11月から237フリブナ、2005年1月から262フリブナとなる。現在の最低賃金は185フリブナ。
 
 


2003年10月



03/10/01
クチマ大統領は9月30日、ウクライナはEU加盟を熱望すべきでない、と語った。大統領は、「EU加盟の条件を整えるのにいつまでかかるか分からない。EUの高官たちはだれも、ウクライナのEU加盟を望むと言ってはいない」と述べた。

03/10/02
イラクに派遣されていたKoydan軍曹が、9月30日、Al-Kut空港を装甲車でパトロール中に死亡した。

03/10/06
ウクライナ西部のIvano-Frankivsk市で5日、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの統一経済圏協定に抗議する集会に約5000人が集まった。集会決議は、クチマ大統領の協定調印を「裏切り」であるとし、最高会議に調印を批准しないよう要請した。

03/10/08
EC総裁Prodi、イタリア首相Berlusconi、EU外相Solanaはヤルタで7日、拡大EUはウクライナの欧州統合を支持している、と語った。「疑いなくウクライナはヨーロッパの一員である」とBerlusconiは述べた。

03/10/10
クチマ大統領とルカシェンコ大統領が9日、キエフ郊外の大統領公邸で会談し、2国間関係、ヤルタで開かれたウクライナ・EUサミット、イラク問題について協議した。「我々は、EUとも、東の隣人ロシアともうまくやってゆく」とルカシェンコ大統領は語った。

03/10/14
国境警備隊長官Lytvynと国家安全防護会議副議長Shatkivskyは13日、黒海とアゾフ海を結ぶKerch海峡にあるTuzla島を訪問し、ロシアがTaman半島から建設しているダムを視察した。「ウクライナの警備員は侵犯者に対し武器を用いたりしないが、かといって見過ごすわけには行かない」と警備隊長官は述べた。

03/10/15
Motsyk外務次官は14日、Kerch海峡にロシアが建設しているダムは、アゾフ海とKerch海峡の国境決定交渉を阻害するものであると、最高会議で述べた。Motsykによると、ウクライナはアゾフ海とKerch海峡を双方の領域に分割する意向であるが、ロシア側は共同利用を望んでいる。

03/10/16
最高会議は16日、反対派による壇上占拠で新たな会期がはじまった。占拠したのは、社会党、Tymoshenkoブロック、我らのウクライナの議員で、完全比例代表制導入に関する選挙法の改正を会期のはじめに議決するよう要求している。

03/10/17
Lytvyn最高会議議長は16日、比例代表制に関する選挙法が通過しなければ、議会は正常に機能しないだろうと語った。議会では16日、選挙法に関する3種類の法案が議決されたが、いずれも採択に必要な226票に達しなかった。

03/10/20
クチマ大統領は17日、Kerch海峡でのロシアによるダム建設について、非友好的な行動であり、建設の速度と費用から考えて、地方当局ではなく、ロシア中央政府の所業であると述べた。大統領派20日から、11日間のラテンアメリカ訪問に出発する。

03/10/21
共産党リーダーSymonenkoは20日、大統領と大統領派議員による政治改革は失敗した、と述べた。最高会議は完全比例代表制の選挙法をめぐって膠着しており、Lyvtyn議長は、反対派と大統領派が妥協しない限り、本会議を開かないと述べた。

03/10/22
外務省報道官Lubkivskyは21日、いかなる状況においても、ロシアによってKerch海峡に建設されているダムがウクライナ領Tuzla島につながることはない、と述べた。ダム建設は現在、境界線から200mに達している。クチマ大統領は、ラテンアメリカ訪問を切り上げて帰国する。

03/10/23
ラテンアメリカ訪問を切り上げて帰国したクチマ大統領は22日、ロシアによるダム建設が境界から100mに達したTuzla島を視察した。クチマ大統領との電話会談の後、プーチン大統領はクラスノダールクライ当局に対し、ダム建設を中止するよう要請した。一方22日には、ウクライナ空軍17機が演習を行い、Tuzla島の近くでミサイルを発射した。

03/10/27
クチマ大統領は27日発行のロシア紙「イズベスチヤ」で、Kerch海峡のダムがウクライナに近づけば近づくほど、ウクライナの気分はヨーロッパへ西側へと向かうであろう、と述べた。彼によると、ダムプロジェクトはロシアの帝国主義的野心の現われである。

03/10/27
我らのウクライナのYushchenkoは24日、反対勢力が彼を暗殺しようとしている、と発表した。「圧力にもかかわらず、103人の議員が我らのウクライナに結集し、ウクライナを悲劇から防いでいることを誇りに思う」と彼は語った。

03/10/29
ウクライナ治安局(SBU)は28日、我らのウクライナのYushchenkoの身に危険があるとは思えないが、身辺警護にあたると発表した。この動きは、クチマ大統領が、Yushchenkoの発言に反応したもの。

03/10/30
クチマ大統領は29日、Piskun検事総長を解任した。Piskun解任の動議は、治安局長官、内務大臣、司法大臣などで構成される組織犯罪対策調整委員会に提出された。委員会は、Piskunは政治的に偏っており財政の不正もあった、と判断した。

03/10/30
クチマ大統領のアドバイザーで戦略研究所所長のHalchynskyyによると、Kerch海峡のTuzla島領有問題は、ウクライナのヨーロッパへの統合を阻止する目的でロシア側が引き起こしている。NATO文書によると、NATO加盟には領有権問題の解決が条件のひとつとなっており、Kerch海峡のダム建設は、ロシア側の意図的な挑発である。ダム建設が、ヤルタでのウクライナ・EUサミットの1週間後に始まったことも、それを示唆している。

03/10/31
我らのウクライナは、31日にDonetsk市で予定していた党大会を、「安全上の懸念」のためキャンセルした。大会が予定されていたビルには、反Yushchenkoのスローガンを叫ぶ群衆が詰めかけていた。一方、Yushchenkoは、キエフの空港で、議員や支持者が集まっているDonetskに出かける、と述べた。