ウクライナ国内ニュース

2004年1-3月



  


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2004年3月

04/03/01
Azarov第一副首相は2月28日、最近の計算では2003年のGDP増加は9.3%であったと発表した。国家統計局による以前の値は8.5%であった。

04/03/02
クチマ大統領は1日、税金法の改定案に対し拒否権を発動した。2月5日に議会で採択された改定案には、医療、出版、マイホームに対する課税が含まれていた。「付加価値税にはまったく進歩が認められない」と大統領は述べた。

04/03/03
検事総長Vasilyevは2日、ウクライナ保安局が反対派を違法にスパイしていたという、駐ベルリン大使館のKravchenko将軍が暴露した事件に関して刑事事件にはしないと述べた。Vasilyevによると、Kravchenkoの文書には違法行為の証拠がない。

04/03/05
米国国務省Boucher報道官は4日、ウクライナ当局によるkontynentラジオ局の停止を批判した。Kontynentは、RFE/RL、BBC、ボイスオブアメリカなどをウクライナに中継していた。Boucher報道官は「いろいろな情報源が必要なウクライナの選挙の年に深刻な事態となった」と語った。

04/03/08
最高会議は5日、完全比例代表制の導入に関する法案の第1読会を262対2で承認した。完全比例代表制の導入は、与党側の憲法改革案に共産党と社会党が賛成するための条件となっている。

04/03/10
我らのウクライナのYushchenkoは9日、秋の大統領選挙に向け、Tymoshenkoブロックと共同候補を出すことについて「完全に合意している」と語った。「我々はマニュフェストを協議しており、社会党も参加することを期待している」と彼は語った。

04/03/12
ヨーロッパ議会は11日、反対派新聞Silski Vestiの閉鎖、FMラジオKontynentの閉鎖、独立系第5チャンネルへの反対キャンペーン、といったウクライナにおける最近のマスコミ弾圧を憂慮する決議を採択した。決議はまた、10月の大統領選挙での透明性と民主制を求めている。

04/03/15
経済政治研究Razumkovセンターは12日、大統領選挙に関する今月の世論調査結果を発表した。我らのウクライナのYushchenko支持が22.3%、Yanukovych首相13.2%、共産党Symonenko11.6%、社会党Moroz6.8%、Tymoshenko4.4%で、どの候補にも反対と投票が9.2%、決めていないが13.6%、投票しないが7.7%だった。

04/03/16
クチマ大統領は、検事総長、内務大臣らに対し、大統領選挙までの間はメディア関係の会社の監査を控えるよう指示した。最高会議は今月始め、大統領選挙にむけてメディアの規制を行わないよう求める、反対派の提案による決議を否決していた。

04/03/17
最高会議は16日、2004年の政府行動計画と2003年の活動報告を、賛成239反対38で承認した。我らのウクライナ、共産党、社会党、Tymoshenkoブロックは投票しなかった。一方、反対派が提出した、昨年の政府活動不承認決議は、賛成109で成立に必要な226票を大きく下回った。

04/03/18
ウクライナ憲法裁判所は18日、昨年12月24日に採択され、2月3日に修正された憲法改訂案は現行憲法に矛盾しない、との判断を下した。この判断に基づき、300票の賛成が得られれば、改訂案は最高会議で最終採択される。

04/03/19
最高会議は18日、賛成400反対3で、大統領選挙手続きに関する法案を採択した。選挙は、10月の最終日曜に実施され、選挙運動期間は120日、候補者登録に必要な署名数は50万となった。

04/03/19
我らのウクライナのYushchenkoは18日、憲法改定案の最高会議での最終採択を、大衆行動や議場占拠など、いかなる手段を用いても阻止する、と述べた。TymoshenkoブロックのTurchynovは同日、彼のブロックは我らのウクライナと共同して憲法改訂案を阻止すると述べた。

04/03/22
人民ルフは20日の党大会で、来る10月の大統領選挙において、約40の会派を結集し、我らのウクライナのYushchenkoを支持する決議を採択した。大会はルフのリーダーTarasyukに、反対派の選挙ブロックを作るよう求めた。

04/03/23
最高会議議長Lytvynは22日、憲法改正法案は4月はじめに最終採択されるだろうと述べた。一方、Volkov議員は23日、改正案が5月半ば以前に最終採択されることはない、と述べた。憲法改正案は昨年12月に第一読会、今年2月に第2読会を通過し、この次の決議が最終採択となる。

04/03/26
最高会議は25日、賛成255反対4で完全比例代表制の議会選挙法案を採択した。また、議席獲得のハードルを4%から3%に引き下げた。大統領が署名すると、2005年10月1日から発効する。我らのウクライナとTymoshenkoブロックは投票に参加しなかった。

04/03/29
クチマ大統領は26日、ロブノとフメリニツキの2つの原発をウクライナの負担で完成させると述べた。2000年のチェルノブイリ原発閉鎖と引き替えにG7は資金提供を約束しているが、「我々はそれなしでやる」と大統領は述べた。

04/03/30
我らのウクライナは29日、全国規模での反政府行動の皮切りとして、キエフの政府庁舎前に10張りのテントを設置した。「国民からの搾取をやめろ!」というスローガンのこの抗議行動によりYanukovych内閣の真の姿を国民に知らせる、と我らのウクライナの広報担当は述べた。

04/03/31
我らのウクライナが呼びかけた抗議行動に応じて約9000人が31日、キエフの政府庁舎前に集まった。Yushchenkoは参加者に向けて、ウクライナの最重要問題は貧困であり、賃上げと年金の増加を訴えた。

04/03/31
国際通貨基金IMFは30日、ウクライナに対する6億500万ドルの1年借款を承認した。ウクライナのマクロ経済指標は健全である、とIMFの担当官は述べた。ウクライナは借款を、1990年代後半の高利率国債の償還に用いる。
 
 


2004年2月

04/02/02
クチマ大統領は1日、テレビインタビューで、3期目に立候補しないと断言した。院政をねらっているという疑惑には、「我々(ウクライナ)にはロシアと違ってツァーリはいなかった。我々にはヘトマン(コサックのリーダー)の伝統があり、彼はみんなから選出された」と大統領は述べた。

04/02/03
最高会議は3日、改革法案から、2004年選挙での暫定大統領の選出と引き続く議会からの
大統領選出に関する条項を削除した。法案修正は、450議席中304人の賛成で決まり、我らのウクライナとTymoshenkoブロックは投票不参加、社会党は賛成した。

04/02/04
我らのウクライナのYushchenkoは4日、憲法改正案から大統領選挙に関する条項を削除した昨日の議会決議を歓迎する、と述べた。同時に、昨年12月24日の改正案採択は違法であり、すべての条項の再議論と再投票を提案した。

04/02/05
最高会議は4日、気象変動に関連して2酸化炭素の排出を制限する国連の京都議定書を批准した。

04/02/06
我らのウクライナ、社会党、Tymoshenkoブロックは5日、キエフ地区裁判所に対し、12月24日の憲法改定案採決が無効であるとして提訴した。Tymoshenkoによると、ビデオに基づくと、賛成は記録にある276人ではなく154人に過ぎなかった。

04/02/09
クチマ大統領は6日、外国外交官との会談で、2004年のウクライナの外交目標は、WTOへの加盟、EUとの統合へ向けてと前進、ロシア・米国との協調強化である、と述べた。また、社会生活や国内法がすべての側面でヨーロッパ基準をみたすよう努力する、と付け加えた。

04/02/10
ウクライナ外務省は9日、ウクライナの科学者が戦術核兵器をアルカイダに売却したという報道を否定した。ロンドンのAl-Hayat紙は8日、1998年アフガニスタンを訪問したウクライナの科学者が「スーツケース爆弾」をアルカイダに売却した、と報道した。

04/02/11
ナショナリストで有名だった故Vyacheslav Chornovilの息子であるTaras Chornovil議員は10日、我らのウクライナ会派から離脱すると発表した。「我々は2001年に好機を逸したし、2002年の議会選挙後にも好機を逸した。今年の大統領選挙も敗北しようとしている」と彼は述べた。

04/02/13
クチマ大統領は12日ワルシャワで、Kwasnieskiポーランド大統領との会談ののち、反対派がポーランド・ウクライナ虐殺事件のモニュメント建設を妨害していると批判した。また、憲法改革が達成されると、ウクライナ大統領はポーランド大統領より大きな権力をもつだろう、と述べた。

04/02/17
Yanukovych首相は14日、彼の党や連立与党の要請があれば、大統領選挙に立候補する意志を表明した。Yanukovychは2002年11月から首相をつとめ、67議席をもつ地域党の党首である。一方、1月の世論調査によると、我らのウクライナのYushchenko支持が22%、Yanukovych支持9%、共産党Symonenko支持8.9%だった。そしてクチマ大統領の再選不支持が70%であった。

04/02/17
1月に行われた世論調査によると、ウクライナ市民の34%が外国への移住を希望している。ロシアを希望する人が7.7%、以下、ドイツ7.4%、カナダ3.9%、米国3.8%、フランス1.8%、イギリス1.2%、イスラエル1.2%だった。

04/02/18
米国サンフランシスコの裁判所は18日、1億1400万ドルのマネーロンダリングで告発されているウクライナ元首相Lazarenkoの裁判を開始した。その他に30件の告発項目があり、有罪となれば370年の刑になる。Lazarenkoは1999年から収監されていたが、6月に8600万ドルの保釈金で保釈された。

04/02/19
政府支持8党と共産党、社会党の10派は18日、憲法改革に関する協定に調印した。協定では、比例代表制に関すること以外のすべての改革について合意された。一方、政府支持8党は「民主連合」会派を結成した。参加したのは、地域党、農業党、人民民主党、産業企業党、ウクライナ労働党、社会民主党、民主イニシアティブ、人民の選択、である。

04/02/20
最高会議は19日、中央選管の新メンバー2人を選出し、中央選管には定員15人が揃った。15人のうち11人が政府派であり、2人が共産党、社会党と我らのウクライナが1人ずつである。委員長には互選によりKivakovが選ばれた。

04/02/20
クリミアのシンフェロポリで19日、ロシアからウクライナへのクリミア譲渡50年にちなんで、ロシアへの復帰を望む約100人がデモを行った。

04/02/24
ウクライナ国営石油会社Ukrnaftaは24日、2004年の生産量は2003年に比べ3.6%増加し約300万トン、日量6万2800バレルになると発表した。Ukranaftaはウクライナの石油生産の93%を占め、ウクライナの消費量は毎日29万バレルである。

04/02/26
クチマ大統領は25日、2004年の大統領選挙後に、首相に就任する気はないことを表明した。以前に述べたように、大統領引退後は、経済政策に関するNGO研究所を設立すると語った。

04/02/27
駐ベルリン・ウクライナ大使館の情報将校Kravchenkoは26日、情報機関が反対派活動家を不法にスパイしていたことを示す書類を、反対派議員Tomenkoに渡した、と述べた。Tomenkoは、議会の言論・情報の自由委員会の委員長であり、書類は信頼できそうである、と述べた。
 
 
 


2004年1月

04/01/05
ウクライナ憲法裁判所は12月30日、クチマ大統領の2004年選挙への立候補は禁じられていないと判断した。1996年に制定された憲法103条は、大統領の3選を禁じているが、クチマ大統領は、1994年に初当選し、1999年に再選された。

04/01/08
Yanukovych首相は5日、ジャーナリストの質問に答えて、クチマ大統領が2004年の大統領選挙に出るかどうかは本人の判断である、と述べた。ウクライナ憲法裁判所は先週、クチマ大統領の立候補は憲法の3選禁止規定に抵触しないとの判断を出している。

04/01/09
ウクライナ政府は8日、クチマ大統領がGongadze記者の殺害を指示したところを録音したとされるテープの真贋を国際的に検査するため85万フリブナ(15万9000ドル)の予算を割り当てた。ウクライナ検事総局は昨年、米国司法省に調査への協力を求めている。

04/01/12
国家統計局は10日、ウクライナの2003年の工業生産は前年比で15.8%増加したと発表した。2000年は12.4%、2001年は14.2%、2002年は7%の増加であった。

04/01/13
我らのウクライナ、社会党、Tymoshenkoブロックの反対派3派は12日、大統領間接選挙制の導入について国民投票を行うよう提案した。ウクライナ議会は12月23日に、大統領派と共産党の賛成で、2006年に大統領を最高会議で選出する法案を採択している。

04/01/14
最高会議議長Lytvynは13日、反対派議員による議会占拠のため、議会は危機的な状況にある、と認めた。我らのウクライナ、社会党、Tymoshenkoブロックの反対派3派は、電子投票システムが前日に破壊されたため挙手で行われた、大統領選出方法に関する12月24日の議決について、再投票を行うよう求めている。反対派は、大統領選出方法について国民投票を要求している。

04/01/14
国家統計局は13日、2003年12月1日のウクライナの人口は4766万人であったと発表した。この数字は、2003年1月1日に比べ32万1600人少ない。ソ連時代の1989年には5145万人であった。

04/01/15
Lytvyn最高会議議長は15日、反対派による議場占拠のため、1日繰り上げて会期を終了させた。次回の会期は2月2日にはじまる。大統領選出に関する憲法改定案の最終採択には、450人中の300の賛成が必要となる。

04/01/15
我らのウクライナのYushchenkoは15日、大統領派はクチマ大統領を2004-6年の「暫定大統領」にしようとしていると述べた。現在の憲法改定案では、2004年に直接選挙で大統領を選出し、次に2006年に最高会議が新大統領を選出する。Yushchenkoによると、改訂に賛成の大統領派と共産党は、必要な300票に10票ほど不足しており、「我らのウクライナ」を切り崩そうとしている。

04/01/15
共産党のSymonenkoは、共産党は憲法改定による急進的な改革を支持しており、その目的のためにはブルジョアとの協調も必要である、と述べた。共産党はクチマ大統領の3選に反対である、と彼は協調した。

04/01/16
大統領支持派議員Havryshは15日、大統領選挙に関する憲法改定に必要な300人の議員を確保したと述べた。一方、我らのウクライナのYushchenkoは、議会による大統領選出という憲法改定を阻止するためあらゆることを行う、と述べた。

04/01/20
クリミアのロシア人会議は19日、クチマ大統領に今年の大統領選挙へ出馬を促すことを決めた。「現段階ではリーダーシップのいかなる現状変更も混乱をもたらす」と会議は声明した。

04/01/20
進歩社会党とロシアブロックが、キエフで17日、ウクライナコサックとモスクワの間でポーランドに対抗して結ばれたPereyaslav条約締結350年の集会を開き1000人以上が参加した。集会参加者は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの統合を訴えた。

04/01/21
ヨーロッパ議会評議会(PACE)の監視委員会メンバーSeverinsenはキエフで20日、大統領多数派による大統領選挙制度の変更は「受け入れがたい」と述べた。Severinsenは、大統領多数派と反対派に対し、12月24日の採決を議会に差し戻して両派が妥協するよう訴えた。

04/01/22
クチマ大統領と我らのウクライナのYushchenkoが21日、憲法改革について会談した。会談は、Yushchenkoの提案によるもので、「建設的な精神で会談が進んだ」と会談後にYushchenkoは述べた。2004年10月に、次期大統領選挙が行われるが、クチマ大統領は3選には出ないだろう、と彼は付け加えた。

04/01/23
第1副首相Azarovは22日、2003年度のウクライナの経済成長は。政府見通しの8.5%を越え、9%であったと発表した。輸出が28%増加し、失業率は3.6%に低下、平均月給は500フリブナ(94ドル)となった。

04/01/26
プーチン大統領は23-24日にキエフを訪問し、「ウクライナにおけるロシアの年」の閉会式典に参加した。「ロシアは強いウクライナを必要とし、ウクライナは強いロシアを必要としている」と、プーチン大統領は述べ、一方、「我々はウクライナ・ロシアのパートナーシップと隣人関係を確認した」とクチマ大統領は述べた。

04/01/28
議会の国家安全保障防衛委員会Kryuchkov委員長は27日、ウクライナ軍を現在の35万5000にんから2004年に8万人を削減すると発表した。2005年の末までに20万人とする。

04/01/29
クチマ大統領は29日、2004年に断固たる反汚職政策を貫くと約束した。「選挙の年には混乱を期待し、陰のビジネスに励もうとする人がいるが、そうした人々の期待は実現しない」と述べ得た。

04/01/30
ヨーロッパ議会評議会(PACE)は29日、ウクライナ当局が現在の政治改革を強行し10月に自由な大統領選挙を実施できなければ、ウクライナの資格を停止するという決議を、46対13で採択した。決議によると、昨年暮れの憲法改定手続きは、憲法と議会ルールに違反している。