ウクライナ国内ニュース

2005年7-9月



  


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2005年9月
 
05/09/01
教育省によると、国内の20%にあたる1500の学校でロシア語が使われ、120万人の生徒が学んでいる。また、ルーマニア・モルダビア語の学校で3万3500人、ハンガリー語で2万人、クリミアタタール語で6000人、ポーランド語で1400人が学んでいる。

05/09/02
ティモシェンコ首相の顧問Brodskyyは1日のテレビで、ユーシェンコ大統領の側近は汚職だらけである、と発言した。Brodskyyは、大統領の兄弟Petro Yushenko、国家安全保障会議議長Poroshenko、大統領筆頭補佐官Tretyakov、運輸大臣Chervonenko、大統領顧問Doroshenkoの名前をあげた。

05/09/06
ウクライナ大統領秘書長官Zinchenkoは2日、大統領側近の汚職に抗議して辞任すると発表した。「大統領の取り巻きは、権力をかさにきて私腹をこやそうとしている」と批判した。

05/09/07
ユーシェンコ大統領は6日に開かれた国家安全防衛評議会の議長をつとめた。大統領報道官Herashchenkoは、「政府当局に危機はない」と述べ、批判の矢面にあるPoroshenkoは、自分への嫌疑を捜査するよう検察に求めている、と述べた。

05/09/08
ユーシェンコ大統領は8日、ティモシェンコ首相を罷免するとともに、国家安全防衛会議議長Poroshenkoの辞任を承認した。多くの高官がオレンジ革命の精神をわすれ、自己宣伝につとめている、と大統領は述べた。

05/09/09
ユーシェンコ大統領は8日、Yekhanurovを首相代行に指名した。Yekhanurovは、現在ドニエプロペトロフスク州知事をつとめているが、ユーシェンコには1999年から協力し、昨年の大統領選挙では「我らのウクライナ」の幹部だった。

05/09/12
前日大統領に解任されたティモシェンコ前首相が9日会見し、解任はきわめて不公平で、側近にそそのかされたもの、と述べた。前首相は、国家安全防衛会議議長Poroshenkoらを批判した。「ユーシェンコと戦争状態ではないが、別のチームである」と述べた。

05/09/13
ユーシェンコ大統領は12日、保安局の新長官Drizgchanyyを紹介しながら、大統領側近の汚職疑惑について10日以内に調査して報告するよう保安局に指示した。保安局前長官Turchynovは、ティモシェンコ・ブロックに所属し、ティモシェンコ首相の解任にともなって辞任した。

05/09/14
ユーシェンコ大統領、Yekhanurov首相代行、Lytvyn最高会議議長、各会派リーダーが13日、難局の打開に向けて「団結と協力」の声明を発表した。声明に参加した議員は425人のうち237人だった。定員450人のうち25人が欠員。ティモシェンコブロック、社会民主党(統一)、共産党、統一ウクライナグループ、改革秩序党は賛同しなかった。

05/09/14
ユーシェンコ大統領は13日、ティモシェンコ前首相の職権濫用を批判し、彼女を解任したのは「栄誉である」と述べた。大統領によると、前首相は、彼女が以前に総裁をしていた統一エネルギーシステム社の国家への負債を帳消しにしようとした。

04/09/14
8月のウクライナのGDPは、昨年8月に比べ1.6%減少した。今年1月から8月までのGDPは2.8%増加した。今年の通年の成長見込みは年始めの8.2%から4%に変更されたと、Kinakh副首相が発表した。

05/09/15
Kravchuk元大統領は14日、オレンジ革命の際にユーシェンコ大統領は、ロシア財閥Berezovskiiから資金援助を受けていた、と述べた。それが事実なら、議会はユーシェンコ大統領を弾劾することができる。Kravchukによると、Berezovskiiはユーシェンコ陣営に1500万ドルを送った。

05/09/16
ウクライナ保安局長官を辞任したTuchynovは15日、ウクライナのエネルギー供給が危機にあると発言した。Turchynovによると、トルクメニスタンからウクライナへのガス供給は依然として闇グループに支配され、不要なマージンを取られている。

05/09/16
最高会議議長Lytvynが率いる人民党は15日、2006年の議会選挙に独自ブロックを結成することを決めた。

05/09/19
亡命中のロシア財閥Berezovskiiは16日、ユーシェンコが大統領になるよう援助するため、彼の側近と会ったと述べた。「ユーシェンコの側近たちがまったくの嘘をいうのに驚いている」と述べ、先週明らかにされた送金書類が本物であることを認めた。

05/09/20
最高会議は20日、Yekhanurov首相の承認を否決した。承認には226票が必要だが賛成したのは223票だった。

05/09/20
ユーシェンコ大統領は19日、昨年の選挙でライバルだったヤヌコービッチ前首相と会談した。ヤヌコービッチ率いる地域党は、先週調印された「将来への統一と協力の宣言」に参加している。ユーシェンコ側によると、会談はヤヌコービッチからの提案であったが、ヤヌコービッチ側によるとユーシェンコからの提案であった。

05/09/21
ユーシェンコ大統領により8日に解任されたTymoshenko前首相は、21日の記者会見で、大統領と和解できれば再び内閣を率いる用意がある、と述べた。

05/09/21
議会のGongadze記者誘拐事件調査委員会委員長Omelchenkoは20日、前大統領クチマ、前内相Kravvhenkoが事件を組織した、と最高会議に報告した。Omelchenkoによると、最高会議議長Lytvyn、前保安局長Derkachも関係していた。一方、最高会議は、委員会の活動を終了する決定を行った。

05/09/21
最高会議は20日、亡命中のロシア財閥Berezovskiiがユーシェンコの大統領選挙に資金提供した、という報道を調査する委員会を設置した。委員長は、無所属議員Zaplatynskyyである。

05/09/22
最高会議は22日、339人中289票の賛成でYekhanurov首相を承認した。2日前の投票では否決されたが、前回は投票しなかったヤヌコービッチの地域党50票が賛成した。

05/09/23
ユーシェンコ大統領は、22日のYekhanurov首相の議会承認に先立って、ヤヌコービッチの地域党との覚え書きに署名した。覚え書きには、政治改革の実行や反対派への抑圧停止など10項目が入っている。

05/09/23
Tymoshenko内閣の副首相であったTomenkoは22日、ユーシェンコ大統領は、オレンジ革命から方向転換し、クチマ前大統領やヤヌコービッチ前首相と手を結んだ、と述べた。

05/09/26
Razumkovセンターが2011人を対象に9月に行った世論調査によると、現在の状況を肯定しているのは21%で、否定的が44.3%だった。Tymoshenko前首相を支持するのが21.4%、ユーシェンコ大統領は19.8%、ヤヌコービッチは17.2%だった。Tymoshenko首相の解任には、賛成が39.8%で反対が35.3%だった。

05/09/27
ティモシェンコ前首相は26日のTV番組で、2006年の議会選挙の後に首相復活を目指していることを明らかにした。彼女によると、改革秩序党、Pora運動などオレンジ革命の精神を引き継ぐ党派と選挙会派を結成する。

05/09/30
ティモシェンコ前首相は29日の新聞インタビューで、Yekhanurov内閣に目新しいものはなく、ものごとを決めているのは大統領の側近たちだ、と述べた。一方、大統領秘書長のRybachukは30日、ティモシェンコ内閣の閣議は、ひとりの女性ショーのようなもので、結局なんでも首相が決めていた、と述べた。
 
 



2005年8月


05/08/01
Ukrainska Pravda紙の記者Leshchenkoは29日、ユーシェンコ大統領から電話があり記者25日の記者会見でのゴタゴタは和解した、と発表した。Leshchenkoが、大統領の息子は豪遊していることを記事にしたことに対し、大統領は「ジャーナリストは紳士的になれ」と応酬していた。

05/08/02
ウクライナ内務大臣Lutsenkoは1日、ロシア内務大臣に対して刑事事件容疑者の元ウクライナ高官の引き渡しを求める交渉をはじめると述べた。ウクライナ側は、前中央選管委員長Kivalov、前内務大臣Bilokon、前スミ州知事Shcherban、前オデッサ市長Bodelanの行方をモスクワに問い合わせている。

05/08/03
キエフ高等裁判所は2日、4月に逮捕された前ドネツク州知事Kolesnykovを保釈した。検事総局によると、Kolesnykovの容疑は、脅迫、職権濫用、殺人である。反対派は、Kolesnykovの逮捕は、昨年の大統領選挙でヤヌコービッチを支持したことへの報復とみている。

05/08/08
Zaporizhya州警察は8日、過去20年間に約20人の少女を殺害したとして、ロシア人男性を逮捕した。容疑者は、1982年にシベリアから移住してきて、先週10歳の少女殺害容疑で逮捕された。

05/08/09
検事総局は8日、2000年秋のGongadze記者殺害事件の捜査を終了した、と発表した。事件に関連して3人の元警察官が容疑者とされている。

05/08/10
ウクライナ政府は8日、Kryvorizhstal製鉄所再民営化の最低入札価格を20億ドルに設定した。同製鉄所は昨年。8億ドルで財閥に売却されたが、今年初めに取り消されていた。

05/08/11
ティモシェンコ首相は10日、自分は金持ちではなく如何なる会社の株も持っていない、とジャーナリストに語った。2004年の収入は66000フリブナ(1万3000ドル)で、中流生活者であると彼女は述べた。

05/08/15
ウクライナ官房次官Livkivskyyは12日、ロシアで制作が計画されている、ティモシェンコ首相とグルジア大統領Saakashvuliを題材とした恋愛映画「ユリア」は、政治的挑発であると批判した。映画にはロシア自由民主党議員が出資しているが、その内容がポルノ的かどうかは不明である。

05/08/16
外務大臣Tarasyukは16日、ウクライナは、単一経済圏SESの創設に賛成であるが、その関税同盟には参加しない、と述べた。SESは、ロシア、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシの間で2003年に合意された。

05/08/17
30人以上の武装警官が16日、ドネツク財閥Akhmetovの会社を、脱税と職権濫用の容疑で捜索した。Akhmetovはウクライナきっての富豪で、ヤヌコービッチ前首相の政治的経済的パートナーであった。本人は外国旅行で不在であった。

05/08/18
ハリコフ州前知事Kushnyarovが16日、キエフの検事総局事務所に召還中に逮捕された。Kushnyarovは、先の大統領選挙でのヤヌコービッチ支持者で、東部・南部ウクライナの分離独立を主張していた。

05/08/19
ユーシェンコ大統領は18日クリミアで、ポーランド大統領Kwasniewski、リトアニア大統領Adamkus、グルジア大統領Saakashviliと会談した。公式には、クリミアの青少年キャンプArtekの開設80年を記念したもの。ユーシェンコ大統領は、最近のポーランド・ロシア、ポーランド・ベラルーシの関係に憂慮を表明した。

05/08/22
ウクライナ経済大臣Teryokhinは19日、ロシア経済貿易大臣Grefとの会談の後、ウクライナは単一経済圏(SES)から離脱するだろうと語った。ティモシェンコ首相は同日、経済大臣の談話は助言的なものであり、SESに関する態度決定は最高レベルで行われる、と述べた。

05/08/23
ユーシェンコ大統領は22日、ウクライナは、2003年にロシア、カザフスタン、ベラルーシと合意した単一経済圏(SES)に参加する、と語った。先週、Teryokin経済大臣が、ウクライナはSESから撤退すると述べたとを受けたもの。26-27日には、ロシアのカザンでCISサミットが開かれる。

05/08/24
ユーシェンコ大統領と政府高官は24日、キエフのセントソフィア寺院で開かれた、ウクライナ独立14周年を記念するミサに列席した。セントソフィア寺院は、公式には博物館であり、どの宗派にも所属していない。

05/08/25
ユーシェンコ大統領は24日独立広場で、「ウクライナ抜きにヨーロッパという概念はそのうち成立しなくなるだろう」と演説するとともに、オレンジ革命以降の政府の様々な業績をもちあげた。

05/08/25
ユーシェンコ大統領は24日、2000年に殺害されたGongadze記者に対し、「ウクライナ英雄」の称号を授与すると発表し、「彼は、我々の自由と独立のために命を捧げた」と述べた。今月はじめ、検察当局はGongadze事件の捜査を終了している。

05/08/26
大統領派「我らのウクライナ」のPozyvanov議員が25日、議会選挙の比例代表バリアーを従来の3%から7%に引き上げる法案を提出した。ユーシェンコ大統領もこの案を支持している。

05/08/29
ロシア検察当局は、ウクライナの前大統領府資産管理部長官Bakayの身柄引き渡しを拒否した。ロシア側によると、Bakayはロシア市民であり、いかなる国にも引き渡せない。ウクライナ側は、横領を含む7つの罪で手配している。

05/08/31
前首相で反対派地域党党首のヤヌコービッチが、逮捕されるかもしれないという警告の後、国外に滞在を続けている、と報じられた。Lutsenko内相は29日、ヤヌコービッチが予算の不正使用に関与したかもしれない、とジャーナリストに語った。

05/08/31
Razumkov世論調査機関によると、8月5-12日に行った調査で、議席獲得に必要な3%以上の支持があるのは以下の6つの政党であった。我らのウクライナ人民連合20%、地域党14.2%、祖国党10.5%、共産党5.5%、社会党4.2%、人民党4.1%。5月の調査では、我らのウクライナ人民連合31.6%、祖国党15.5%であった。
 
 


2005年7月



05/07/01
Tymoshenko首相は6月30日、すみやかに民営化を予定している10以上の企業名を明らかにした。企業名リストには、Kryvorizhskyy鉱山コンビナート、オデッサ港湾企業、Nikopolパイプラインなどが入っている。問題となっているKryvorizhstal製鉄所も10月24日までに再民営化される。

05/07/07
社会党のMelynikは5日の最高会議で、国家防衛安全評議会のPoroshenko事務局長はヤミ経済の黒幕であると演説した。一方Poroshenkoによると、Melynikの発言は、クチマ大統領時代の内務大臣が反対派を陥れるために集めた資料に基づくものである。

05/07/08
アテネオリンピックの金メダリスト数人が、ヤヌコービッチ前首相への支持を表明し、メダル報奨金を政府へ返還する用意があると発表した。アテネオリンピックの金メダリストは10万ドルの報奨金を受けたが、検察当局は現在、ヤヌコービッチ政権時代の報奨金について調査をしている。

05/07/11
我らのウクライナ人民連合は9日に大会を開き、党名を「我らのウクライナ」に修正した。この名前は、もともとユーシェンコ支持の選挙ブロックが使っていたが、2004年にそれまでの「改革秩序党」が「我らのウクライナ党」として登録した。先週、司法省が「我らのウクライナ」という名の権利を「我らのウクライナ人民連合」に認めた。

05/07/13
ユーシェンコ大統領は12日、1933年の人為的飢饉による犠牲者の国家メモリアル施設を11月26日までに設置するよう政府に指令した。ソビエト時代の1933年に、数百万人のウクライナ人が餓死したとされている。

05/07/14
大統領報道官によると、ユーシェンコ大統領の6月の給与は2万3567フリブナ(4660ドル)で、首相より40%多かった。

05/07/15
ユーシェンコ大統領は14日、Tymoshenko首相とLytvyn最高会議議長に対し、相互理解につとめて政治的な安定を国家にもたらすよう呼びかけた。WTO加盟に関連する先週の法案審議が混乱したことに反応したもの。

05/07/18
ユーシェンコ大統領は18日、内務大臣に対し、公務員がウクライナ語を使うようにリーダーシップを発揮することを指示した。「公務員は国家に対し、実質的にも形式的にも奉仕すべきである」と大統領は述べた。

05/07/19
ベラルーシ当局は18日、ミンスクのベラルーシ国立大学の米国人教授Boeschに対し24時間以内に国外退去するよう通告した。教授はこの2年間、国立大学で国際法を教えていた。Boesch教授によると、彼は政治的問題には関わらず、反対派とは接触しないようにしてきた。「ベラルーシ当局を理解しこの国を援助しようとする西側最後の人間になるだろう」と教授は自分のことを語った。

05/07/19
ユーシェンコ大統領は18日、内務大臣に対し、交通警察(DAI)を早急に解体する措置をとるよう指示した。DAIは、ねずみ取りとワイロの受け取りで評判が悪いが、2万3000人のスタッフを抱えている。

05/07/20
ユーシェンコ大統領は19日、8月1日から90日以内の滞在に対して日本人のビザを廃止する大統領令を出した。今年のはじめ、EU、スイス、米国に対し同様の措置が取られている。

05/07/20
ウクライナ保安局(SBU)長官Turchynovは20日、2000年のGongadze記者殺害事件に関連しSBUは、元大統領ボディーガードMelnychenkoが録音したとされる盗聴テープを調査する、と述べた。盗聴テープにはクチマ前大統領の会話が録音されたと言われている。米国FBIによっても同様の調査が行われる。

05/07/22
ユーシェンコ大統領は訪日中の東京で21日、日本からウクライナへ10億ドル規模の投資を期待しており、ウクライナ側の法整備を行うと述べた。一方、小泉首相は、ウクライナのWTO加盟を支持すると表明した。

05/07/26
前Dnipropetrovsk州知事Shvetsが、1999-2003年の間の職権濫用容疑で起訴された。Shvetsはウクライナから出国しており居所不明である。この起訴は、前Donetsk、Sumy、Transcarpathian州知事らに続くものである。

05/07/28
米国サンフランシスコの連邦裁判所での元ウクライナ首相Lazarenkoに対する判決は、予定されていた7月27日から12月2日に延期となった。Lazarenkoはマネーロンダリングなど14の罪で有罪となっている。

05/07/29
ウクライナ保安局(SBU)は28日、Tymoshenko首相に対する暗殺計画があるとの西側からの情報を明らかにした。暗殺計画は、Nikpol鉄鋼工場の所有権に関係した組織暴力団によるものとされている。