ウクライナ国内ニュース

2006年4-6月


安全研究グループのホームへ

2006年6月

06/06/01
ウクライナ内閣は、7月1日からガス代を、現在の1000立方m当り220フリブナから414フリブナ(82ドル)に値上げすることを決定した。ガス代はこの5月にすでに25%値上げされている。ガスプロムからウクライナの購入価格は、1月に50ドルから95ドルに上がったが、7月からさらに値上げされる。

06/06/02
我らのウクライナの代表Bezsmertnyyは2日、ティモシェンコ・ブロックおよび社会党との連立プログラムについてすでに合意しており、6月7日までに最終的な会談が行われる、と述べた。

06/06/05
ウクライナの親ロシア党の活動家らが2日、Simferopol空港に前日到着した、米軍予備役の一団がクリミア半島のサナトリウムへ入る道を封鎖した。米軍予備役は、ウクライナ軍のクリミア半島での演習に、施設建設などで協力する予定になっている。

06/06/07
7日に招集された最高会議は、連立協議のため6月14日までの休憩を採択した。休憩動議に賛成したのは227人で、地域党と共産党の議員が投票用配線を切断して妨害しようとしたが間に合わなかった。

06/06/08
米国籍輸送船でクリミアのFeodosia港に荷揚げされたコンテナーは、バッテリーや塗料で毒物ではない、と米国大使館が8日に発表した。大使館は同時に、米国・ウクライナ合同演習用に小火器や火薬があったことを認めた。

06/06/09
ブッシュ米国大統領はウクライナ訪問の予定をキャンセルした、とホワイトハウスは8日に発表した。キャンセルの理由は、ロシアの怒りに配慮したためと観測されている。

06/06/12
社会党首Morozは11日、連立交渉が行き詰まっており、ユーシェンコ大統領が介入しなければ連立に失敗する、と述べた。我らのウクライナは、ティモシェンコの首相就任は認めているが、Yekhanurov現首相の最高会議議長就任を要求している。一方、社会党もMorozの最高会議議長を要求している。

06/06/13
我らのウクライナのZvarychは12日、オレンジ連立は合意しておらず成立の展望はない、と述べた。首相と最高会議議長ポストをめぐって、ティモシェンコブロック、社会党と意見が割れている。新議会は6月7日に招集されたが、1カ月以内に多数派が成立しなければ、大統領は議会を解散できる。

06/06/15
社会党のMorozは14日の最高会議で、ティモシェンコブロック、我らのウクライナとの連立成立のためなら、最高会議議長のポストをあきらめる用意があると述べた。ただし、地区長官から大臣をふくめ、ポストは議席に応じて配分されねばならない、と述べた。

06/06/15
我らのウクライナと地域党は14日、「大連立」について相談した。地域党のKushnyarovによると、地域党と我らのウクライナとの政策の違いは、NATOへの参加、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンとの統一経済圏、ロシア語の公用化などである。

06/06/16
2004年のオレンジ革命同盟、つまり、我らのウクライナ、ティモシェンコブロック、社会党のリーダーが16日会談し、より広い連立、すなわち地域党をふくめた連立について相談した。ティモシェンコは会談後、地域党との連立は断固として拒否すると述べた。一方、我らのウクライナはヤヌコービッチの地域党とも連立の相談を行なっている、と我らのウクライナのYekhanurov首相は語った。ユーシェンコ大統領は、オレンジ革命を心情的に支持するが、大統領として連立工作は行なわない、と述べた。

06/06/19
我らのウクライナのZvarychは19日、地域党との連立に向けて交渉に入る用意があると述べ、ティモシェンコブロックや社会党との連立は難しいと指摘した。一方、ティモシェンコブロックのTurchynovは19日、我らのウクライナ、社会党との連立の調印が今日か明日かは、我らのウクライナにかかっている、と述べた。

06/06/20
最高会議は20日に再開され、5党それぞれの代表が演説した。我らのウクライナのリーダーBezsmertnyyは、安定的な連立を訴えた。ティモシェンコは、我らのウクライナが、地域党とティモシェンコブロックと別々に連立協定を結ぶ可能性を示唆した。

06/06/21
21日の最高会議で、我らのウクライナのBezsmertnyy、社会党のMoroz、ティモシェンコは、2日以内に連立が合意すると述べた。20日には、これら3人とYekhanorov首相がユーシェンコ大統領と会談した。

06/06/22
ティモシェンコは22日の最高会議で、オレンジ革命の3党派が新政府樹立の連立に署名した、と述べた。連立は、最高会議450議席中の243議席で、地域党(186)と共産党(21)が野党となる。

06/06/23
ティモシェンコは22日、首相になったらロシアとのガスに関する協定を見直すと述べた。ロシア・ガスプロムからウクライナへのガス価格は今年の1月、1000立方m当り50ドルから95ドルに引き上げられた。ティモシェンコ発言に対しガスプロムは、新たなガス危機を招くだろう、と反応した。

06/06/27
我らのウクライナは27日、最高会議議長のポストに、前国家安全保障防衛委員会議長のPoroshenkoを推薦すると決めた。首相ポストにはティモシェンコブロックからティモシェンコが推薦されるが、ティモシェンコとPoroshenkoとの不和が、2005年9月のティモシェンコ首相解任の主な原因であった。

06/06/28
地域党は28日、連立側の議会運営に抗議して、昨日からの最高会議議場ブロックを継続している。連立3派は、首相と議会議長の指名を一括して投票するよう提案しているが、地域党はナンセンスとして反対している。

06/06/29
地域党議員は29日も議場占拠を続け、今週の議会開催は見送りになった。ティモシェンコブロックのTurchynovは、地域党が議場占拠を解かなければ、交渉には応じないと述べた。一方、社会党のMorozは、昨年9月のオレンジ革命連合の分裂を繰り返さないため、我らのウクライナは議長候補のPoroshenkoを引き下げるべきだと語った。

06/06/30
連立3派のリーダーが、議会の膠着状態を打開するため7月3日に地域党と会談することになった。地域党リーダーのヤヌコービッチは、連立側が首相と議会議長指名の一括投票をあきらめない限り議場占拠を続けると宣言した。




2006年5月
06/05/02
ユーシェンコ大統領はラトビアのリガで4月28日、いくつかの地方政府が最近採択した、ロシア語の公用語決議について、憲法裁判所と検察総局に問題提起すると述べた。先月、Luhansk州とセバストポリ市の議会が、ロシア語公用化を採択した。

06/05/03
中央選管は2日、3月26日の議会選挙で3%の得票率を越え、議席を獲得した5党に対し、選挙費用の補償を行うと発表した。補償額は、地域党(186議席)が1億1200万フリブナ(2200万ドル)、ティモシェンコブロック(129)が1399万フリブナ、我らのウクライナ(81)が7400万フリブナ、社会党(33)が3500万フリブナ、共産党(21)が800万フリブナである。

06/05/05
国境警備隊が、密輸の防止を目的として、Luhansk州のウクライナ・ロシア国境に沿って、2006年中に400kmの溝を掘ることを計画している。

06/05/05
大統領顧問Kostyantyn Tymoshenkoは5日、ウクライナがCISから脱退することを、大統領府は検討している、と述べた。一方、ウクライナ安全保障防衛会議のKinakh議長は前日、「CISで採択されながら実施されていない協定は数百にものぼる」と述べた。

06/05/09
ベラルーシとウクライナは、対独戦勝61周年を祝って、ミンスクとキエフで退役軍人のパレードを行った。ルカシェンコ・ベラルーシ大統領とユーシェンコ・ウクライナ大統領がそれぞれの首都でのパレードに参加した。

06/05/09
ユーシェンコ大統領は5日、各党リーダーとの個別会談の後、5月24日までに多数派連立が可能になると確信している、と述べた。一方、ティモシェンコは、10日か11日に、我らのウクライナ、社会党との連立協定を発表すると述べた。また、地域党のヤヌコービッチも、我らのウクライナと連立の相談をしている、と発表した。

06/05/10
ユーシェンコ大統領は9日、ソ連軍退役兵とウクライナ反乱軍(UPA)退役兵との和解を訴えた。UPAは、ポーランド、ナチス、ソ連軍と戦ったが、その退役兵は「退役軍人」と公的に認められておらず、公的な特典がない。ユーシェンコ大統領は、次期連立の協定にUPA問題を入れるよう示唆している。

06/05/11
ユーシェンコ大統領は10日、徴兵期間を短くする大統領令に署名した。陸軍の任期は18ヵ月から12ヵ月に、海軍は24ヵ月が18ヵ月に引き下げられる。大学卒業者は12ヵ月が9ヵ月となる。

06/05/11
世論調査によると、地域党の連立参加を支持する人が42%で、地域党を除く我らのウクライナ、ティモシェンコブロック、社会党の連立支持が35%だった。調査は、2038人を対象に4月14-30日に実施された。

06/05/12
ユーシェンコ大統領は12日、オレンジ同盟に基づく連立の方向を示唆し、ティモシェンコの首相復活を否定しなかった。彼は、連立協定について、民営化問題、ウクライナ反乱軍問題、ロシア語公用化問題とEU統合問題での合意が必要と指摘した。

06/05/15
ウクライナ大統領ユーシェンコとポーランド大統領Kaczynskiは13日、1945年にポーランド軍によってウクライナ人360人が殺害されたPawlokoma村の記念碑の除幕式に参加し、過去の問題での両国の和解を訴えた。

06/05/17
我らのウクライナのZvarychは16日、ティモシェンコブロックとの連立協議を一時凍結すると述べた。同日、ティモシェンコブロックが、首相ポストは自分のところに、国会議長は社会党にする、と発表したのを受けたもの。Zvarychは、ユーシェンコ大統領に事態打開の会議を開くよう求めている。

06/05/18
大統領報道官Herashchenkoは17日、連立協議が進展しないことを大統領が心配している、と述べた。同時に、政党間での不一致の解決を大統領に求めている、と暗に政党を批判した。一方、ヤヌコービッチの地域党は、連立協定案を他の党に提示した。

06/05/19
大統領報道官Herashchenkoは18日、ウクライナはいかなる国の民主化も支持するが、ベラルーシの国際的孤立には反対する、と述べた。また、大統領がベラルーシの反対派から数日前に、ロシアがベラルーシを吸収しようとしている、というアピールを受け取ったことを明らかにした。

06/05/22
欧州復興開発銀行(EBRD)は22日、2006年のウクライナの経済成長は1.2%で、中欧・東欧で最低になるだろうという予測を発表した。2005年の成長率は2.4%だった。

06/05/23
Yatsenyuk経済相は23日のFinancial times紙のインタビューで、サンクトペテルブルグで開かれるG8サミットにおいて、ガス供給問題でロシアを説得してくれるようEUや米国に訴えた。現在のガス価格1000立方m当り95ドルが230ドルになると、GDPは6-7%減少し、25-30%のインフレになるだろうと大臣は述べた。

06/05/24
Yekhanurov首相は24日、連立の本格的交渉は25日の議会就任式の後にはじまり、現段階はウォーミングアップだ、と述べた。今年1月に有効となった憲法条項では、新議会で30日間の間に多数派工作が成功しなければ、大統領は議会を解散できる。

06/05/25
3月26日の選挙で選ばれた議員の就任式が25日に行われ、最年長議員の共産党Herasymovが宣誓を行った。最高会議450議席の構成は、地域党186、ティモシェンコブロック129、我らのウクライナ81、社会党33、共産党21である。

06/05/25
キエフで24日、ウクライナ労働組合連盟の主催により電気・公共料金値上げ抗議の集会が開かれ、約1万人が参加した。

06/05/26
我らのウクライナ代表Bezsmertnyyは25日のテレビインタビューで、ティモシェンコブロック、社会党との連立について、問題はポストではなくて連立の原則だ、と述べた。我らのウクライナは、最高会議議長にProroshenkoを推薦し、首相にはティモシェンコの復活を認めたと観測されている。

06/05/30
クリミア半島Feodosiya港の住民が、地域党などと共同で29日、米軍輸送船Advantage号の寄港に抗議してピケットを行った。Feodosiya市議会は29日に緊急会議を開き、「非NATO」宣言を採択した。

06/05/31
Tarasyuk国防相は31日、ウクライナ国内にはいかなる外国の軍隊もいない、と述べた。一方、インタファクス通信は30日、米国の輸送船AdvantageがクリミアのFeodosiya港に停泊し、120人の米国軍人がウクライナ軍の保養地に滞在していると報道した。クリミア半島ではウクライナ・NATOの合同演習が予定されている。



2006年4月


06/04/03
ユーシェンコ大統領は4月1日のラジオ演説で、オレンジ革命に参加した民主勢力の団結を訴え、同時に「色にこだわらない」勢力の結集を訴えた。中央選管は3月30日、26日の議会選挙の開票作業を終了した。各党の得票率は、地域党32.12%(186議席)、ティモシェンコブロック22.27%(129)、我らのウクライナ13.94%(81)、社会党5.67%(33)、共産党3.66%(21)で、投票率は67.7%だった。

06/04/04
キエフ市選管は4日、3月26日の市長選挙で、我らのウクライナのChernovetskyyが約46万票の得票で、有名なボクサーKlychkoや前市長Omelchenkoを破って当選した、と発表した。一方、キエフ市検察は3日、Chernovtskyy派の選挙違反に関する調査を開始した。

06/04/05
最高会議で4日、昨年ユーシェンコ大統領によって指名された、6人の憲法裁判所判事の就任式が不成立となった。地域党メンバーが議会の壇上を占拠して妨害したもの。憲法裁判所は、定員不足で昨年10月より機能していない。地域党は、大統領から政府と議会に権力を移すという2004年の憲法改革がキャンセルされることを危惧している。また、現議会の最終会をチェルノブイリ事故20年の4月26日に開くことを決めた。

06/04/06
我らのウクライナ選挙ブロックの中核である、我らのウクライナ人民連合(NSNU)は5日、2004年のオレンジ革命路線で連立に望むことを決定し、連立協定案を、ティモシェンコブロックと社会党に提示した。3党の連立が成立すると、450議席のうち243議席を占める。

06/04/07
ティモシェンコは6日、オレンジ革命連合の結成を遅らせているとして、ユーシェンコ大統領を批判した。ティモシェンコは、連立の最大会派から首相を出すとする覚え書きにサインするよう求めている。

06/04/11
中央選管は10日、3月26日議会選挙の最終結果を発表した。各党の得票率は、地域党32.14%、ティモシェンコブロック22.29%、我らのウクライナ13.95%、社会党5.69%、共産党3.66%で、それぞれの議席は、地域党186、ティモシェンコブロック129、我らのウクライナ81、社会党 33、共産党21となった。残りの40政党は得票率3%に達しなかった。投票率は67.7%。

06/04/12
ユーシェンコ大統領は11日、議会に議席を得た5党のリーダーと連立について会談した。会談後、ティモシェンコは、オレンジ同盟による連立が13日までに成立するだろうと述べた。一方Yekhanurov首相は、地域党との連立の可能性を排除しないし、オレンジ同盟と地域党との大連立の可能性も示唆した。

06/04/13
ユーシェンコ大統領は12日の記者会見で、「ティモシェンコを新政府の首相に望んでいるか」という質問には答えず、連立協定の中味が固まるまでは首相ポストに言及しない、と述べた。また、今年1月に締結された、1000立方m当り95ドルというロシア・ガスプロムとのガス供給協定を見直す必要はない、と述べた。ティモシェンコは、自分が首相になったら、直ちにガスプロムとの協定を破棄すると述べている。

06/04/18
ティモシェンコブロック、我らのウクライナ人民党、社会党のリーダーは、連立に向けての協定に署名した。協定には、連立の最大会派から首相を出すとの項目が含まれている。ティモシェンコは17日、2004年のオレンジ革命が復活するなら、2009年の大統領選挙では立候補しない用意がある、と述べた。

06/04/19
国際環境団体グリーンピースは18日、チェルノブイリ事故によるガン死者数は9万3000人におよぶという報告を発表した。昨年のIAEA報告では、ガン死の数は4000人とされている。

06/04/19
ティモシェンコは18日、我らのウクライナのYekhanurov首相、Poroshenko、Martynenkoが、地域党との連立を画策しているとして非難した。彼女は、ユーシェンコ大統領に、直接会談で事態を打開するよう訴えた。

06/04/20
我らのウクライナ・ブロックは19日、ティモシェンコブロック、社会党との連立協定を承認した。しかし、連立の最大会派から首相を出すことについては保留している。我らのウクライナ人民連合のYekhanurov首相は、「キングやプリンセスの時代はウクライナでは終わった」とティモシェンコを揶揄した。

06/04/21
ロシア・ガスプロム副社長Medvedevは17日、1月の契約に従い、ウクライナへのガス供給価格は7月より、1000立方m当り95ドルから230ドルに引き上げる意向を表明した。一方、ロシアガスのウクライナからヨーロッパへのトランジット料金は1000立方m100km当り1.6ドルで2011年まで固定されている。Medvedevによると、これらの条件が再検討されるのは、ウクライナのパイプラインがロシアとの共同経営になった場合である。

06/04/25
ユーシェンコ大統領は25日、チェルノブイリ事故20年にちなんでキエフで開かれた国際会議において、事故影響の克服のためECや国連の協力を訴えた。また、新しい石棺の建設をこの夏に開始し、10億ドルの費用を見込んでいること、過去20年間にチェルノブイリ事故対策で150億ドルを要したと述べた。

06/04/26
4月26日深夜、チェルノブイリ労働者が移住するために作られたスラーブチッチ市の通りに数100人が集まった。同日キエフでは、2002年に選出された最高会議の最終会が開かれチェルノブイリを追悼した。ゴメリ市では25日、反対派のチェルノブイリ集会が開かれた。26日の午後ミンスクでは「チェルノブイリの道」集会が開かれ、反対派リーダーMilinkevichが、ゴメリ会議の決議を公表し、新たな反対派ブロックの結成を明らかにする。

06/04/27
ユーシェンコ大統領は26日、チェルノブイリ市で開かれたチェルノブイリ事故20周年集会で、「チェルノブイリはウクライナのブラックホールではない、ウクライナの一部である」と述べ、新石棺の建設にとりかかるとともに、立ち入り禁止ゾーンにウクライナの原発からの使用済み燃料貯蔵施設建設を支持していると述べた。