ウクライナ国内ニュース

2006年7-9月


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2006年9月

06/09/01
ウクライナでは約500万人の生徒が新学期を迎えた。新一年生は約38万人で昨年より14万人減少した。

06/09/05
クリミア半島最初のタタール語のテレビ局が9月1日から放送をはじめた。テレビ局の本社はSimferopolにあり、クリミア半島の80%をカバーする。

06/09/06
最高会議議長Morozは5日、2000年9月のGongadze記者殺害事件の解決を遅らせることは、ウクライナ当局の恥である、と述べた。「この犯罪に関係したすべての人について法的な決着をつける必要がある」と語った。

06/09/08
ユーシェンコ大統領は訪問先のアゼルバイジャンで7日、ウクライナは現在、政治的な安定を迎えていると述べた。「議会選挙の後、困難なときがあったが、長年ウクライナを混乱させてきた問題に対する多数意見が形成された」と語った。

06/09/11
我らのウクライナに参加している「改革秩序党(PRP)」は11日、ヤヌコービッチ内閣は支持できず野党に回ると発表した。発表によると、現行内閣の公用語問題、外交政策などを支持できない。

06/09/12
ユーシェンコ大統領は12日、国家安全保障防衛評議会(RNBO)のメンバーを承認した。メンバーは、ヤヌコービッチ首相、Azarov第一副首相、大統領秘書官Rybachuk、国防相Hrystenko、非常事態相Balohaなど。

06/09/13
最高会議議長Morozは13日、野党ティモシェンコブロックから3人の議員が連立に加わった、と述べた。ティモシェンコブロックのTurchynovは、3人は「裏切り者」であり彼らの議員資格剥奪を要求すると述べた。現行の選挙法によると、議員は選出母体の党派からの離脱を禁じられている。

06/09/14
野党ティモシェンコブロックの議員は13日、最高会議の壇上を占拠し、政府側連立によるガス価格上昇特別調査委員会設置に関する投票を妨害した。特別委員会の設置は野党側から提案され承認されたが、野党側提案の委員長は否決された後に壇上を占拠したもの。連立側は、ティモシェンコがマネージャーであった当時の、1995-97年のウクライナ統一エネルギーシステムの負債免除措置を委員会が調査するよう求めている。

06/09/15
ヤヌコービッチ首相は14日、ブリュッセルのNATO本部で、NATO加盟へのウクライナ市民の賛成は15−25%であり、NATO加盟を急がない、と述べた。NATO事務総長Schefferとの共同記者会見で述べたもの。一方、Hrystenko国防相はキエフで15日、ウクライナにはNATO加盟の用意がないとするヤヌコービッチ首相の声明は間違いである、と述べた。

06/09/18
ユーシェンコ大統領は15日、ウクライナにはNATO加盟の準備がないとするヤヌコービッチ首相の前日の発言について、間違っているし国家利益に反していると述べた。ヤヌコービッチ首相との会談の後の記者会見で述べたもの。

06/09/19
ティモシェンコ・ブロックは18日、我らのウクライナと野党協定を結ぶ用意があると発表した。一方、我らのウクライナは、与党3党との拡大連立協定を進めている。

06/09/20
大統領秘書長Balohaは19日、NATO加盟に関するヤヌコービッチ首相発言を支持する最高会議決議について「問題的が多い」と指摘した。決議には、法的拘束力はなく、事前に委員会審議がされていない、と述べた。

06/09/21
ヤヌコービッチ首相はブリュッセルで21日、ウクライナの第一課題は汚職追放と経済改革であり、EUとWTOへの加盟をめざすと述べた。

06/09/21
最高会議は21日、先週内閣で承認された2007年度予算の審議をはじめた。歳出は1800億グリブナ(360億ドル)、歳出1860億グリブナである。2007年のGDPは6.5%の増加を見込んでいる。

06/09/22
最高会議は22日、2006年の公共料金値上げ凍結決議へ大統領が拒否権を発動したのに対し、賛成344票で拒否権をくつがえした。拒否権を覆すには300以上の賛成が必要。

06/09/25
ティモシェンコ元首相は22日、ティモシェンコ・ブロックは議会野党の中核になるだろうと述べた。ティモシェンコ・ブロックにはこれまでに、社会党から2人が加わり、我らのウクライナからも参加が見込まれるが、具体的な数は明らかでない。

06/09/26
9月中旬に行われた世論調査によると、ウクライナで最も信頼されている政治家はヤヌコービッチ首相であった。首相支持は回答者の50%で不支持は43%だった。ユーシェンコ首相は、支持37%不支持55%で、ティモシェンコは支持37%不支持57%だった。

06/09/27
ユーシェンコ大統領は26日、1941年9月29-30日に起きたナチスによるバービヤール虐殺事件65年を祈念する2日間の式典の開会を宣言した。事件では3万3000人以上のユダヤ人が殺害され、戦争中に10万人以上が殺された。

06/09/29
ヤヌコービッチ首相は28日、ウクライナは2010年まで、他国より安い価格でロシアからガスの供給を受けるだろう、と述べた。「1000立方m当り130ドルであれば上出来である」と述べた。ガスプロムは27日、200年の第4四半期は1000立方m当り95ドルのままウクライナに供給すると発表した。


2006年8月

06/08/01
ユーシェンコ大統領は31日、地域党党首ヤヌコービッチと、大統領が先週提案した「国家統合宣言」への署名について相談した。大統領は8月1日、ティモシェンコブロックのティモシェンコと会談した。会談後ティモシェンコは、大統領は議会を解散するだろう、と述べた。

06/08/02
ユーシェンコ大統領は1日、ヤヌコービッチとの9時間にわたる会談後、一定程度の相互理解を得たと大統領報道官が発表した。ヤヌコービッチは、7月18日に首相候補として、地域党、共産党、社会党から推薦されており、大統領がそれを受け入れるか拒否するかの期限が8月2日である。

06/08/03
ユーシェンコ大統領は2日夜、2004年の大統領選挙での因縁のライバル、ヤヌコービッチを首相候補に指名することに決めた。「この決定が、西ウクライナ、東ウクライナ双方にとって複雑なものであることは承知している。ドニエプルの両岸が団結するチャンスであると訴えたい」と大統領は述べた。

06/08/04
ティモシェンコは3日、地域党、我らのウクライナ、社会党、共産党およびユーシェンコ大統領が「国家統合」宣言に署名したのち、ティモシェンコブロックは断固として野党に留まると述べた。「何が書かれていようと宣言は、私にとってクチマ時代への逆戻りであり、こんな馬鹿げたことは長続きしない」と語った。

06/08/07
ミンスク裁判所は4日、大統領選挙監視活動を試みた4人を、国民の権利侵害の罪で、半年から2年の刑を言い渡した。4人は2月21日から収監されており、3人は8月末に釈放される。「選挙の出口調査が罪になるような国がどこにあるだろうか?」と反対派リーダーMilinkevichはコメントした。

06/08/07
最高会議は4日、ヤヌコービッチ首相を賛成271票で承認した。地域党、社会党、共産党以外に、我らのウクライナから30票、ティモシェンコブロックから6票の賛成があった。

06/08/07
最高会議は4日、憲法裁判所の判事5人を選出した。憲法裁判所の判事は、2005年10月以来定足数不足であったが、判事会議選出の5人、大統領指名の3人と合わせ13人となり、12人の定足数を越えた。定員は18人。

06/08/07
最高会議は4日、2004年12月の憲法修正を裁判所が否定できないよう、憲法裁判所に関する法律を賛成274票で修正した。2004年12月の政治改革では、大統領権限を議会や首相に移すことになったがユーシェンコ大統領は、その合法性について憲法裁判所に判断を求めようとしている。

06/08/08
ユーシェンコ大統領は、最高会議での4日の承認を受けて、2006年のウクライナ国内での3つの国際軍事演習を認める大統領令を出した。モルドバとの8月の合同演習、英国・ポーランドとの9月の演習、スロバキアとの9月の演習である。当初は、6つの国際軍事演習を予定していたが、NATOとの演習は最高会議の承認を得られなかった。

08/08/09
Tarasyuk外相は8日、ヤヌコービッチ首相が今月中にモスクワを訪問すると発表した。また、9月中旬にはブリュッセルを訪問し、ウクライナ・NATOの関係について話し合うと述べた。

06/08/11
国家統計委員会によると、ウクライナの7月の工業生産は前年に比べ11.4%増加し、1月から7月まででは4.8%増加した。2005年の工業生産増加は3.1%で、2004年は12.5%だった。

06/08/11
ヤヌコービッチ首相は10日、オレンジ革命の際に呼びかけた「ウクライナ連邦制」を取り下げると述べた。また、公用語問題も政治的に発生したものであり、「ウクライナ語の強制」を批判すると同時に、ロシア語住民に対するウクライナ語習得プログラムの必要性を述べた。

06/08/14
ヤヌコービッチ首相は11日、ロシア語に公的な地位を与える時期に来ているとの見解を述べた。憲法を変えるには、議会で300以上の賛成か国民投票が必要で、現実的はないが、ロシア語使用についてなんらかの法的措置が必要と述べた。

06/08/15
ヤヌコービッチ首相は、15日からロシアの黒海沿岸保養地ソチで開催されたユーラシア経済共同体サミットに、オブザーバーとして参加した。ロシアのプーチン大統領やFradkov首相とガス価格について話し合う。ユーラシア経済共同体には、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンが参加している。

06/08/16
ヤヌコービッチ首相は16日、ソチでのFradkovロシア首相との会談後、2006年の残りの期間と2007年のウクライナへのガス価格について合意した、と述べた。しかし、具体的な価格は明らかにしなかった。

06/08/17
ヤヌコービッチ首相は16日、今年のガス供給価格は1000立方m当り414フリブナ(82ドル)のまま値上げしないと述べた。また2007年のガス輸入価格も急激な値上げはないだろうと予測した。2005年のウクライナの国内ガス生産量は205億立方mで、需要の約25%だった。

06/08/21
キエフで開かれている全世界ウクライナ人フォーラムでユーシェンコ大統領は18日、ヤヌコービッチ首相になっても国家の基本方針は変わらない、と演説した。ウクライナ語が唯一の公用語であり、EUとNATOへの加盟方針は不変である、と大統領は述べた。

06/08/22
燃料エネルギー大臣Boykoは21日、国営ガス公社Naftohaz Ukrainyは10月半ばまでにロシアへのガス代未払いをなくす、と述べた。Bpykoは22日、2007年のガス代交渉のためにモスクワへ出かける。

06/08/24
ウクライナ独立15周年の式典が24日、キエフのセントソフィア寺院で行われ、ユーシェンコ大統領、ヤヌコービッチ首相、Moroz最高会議議長、クチマ前大統領らが参加した。22日にウクライナに墜落したロシア飛行機の事故に関連して、記念祝賀行事は26日に延期された。

06/08/25
ユーシェンコ大統領は25日、1918年にモスクワ・ボリシェビキと戦った独立ウクライナ兵の記念碑除幕式に参列した。記念碑は、1918年1月に数百人の学生兵士が圧倒的なボルシェビキ軍と戦って死亡したチェルニゴフ州Krutiに建立された。

06/08/28
米国の裁判所は25日、1996-1997年にウクライナ首相をつとめ2003年より米国で収監されているラザレンコ元首相に対し、恐喝、マネーロンダリング、詐欺などの罪で禁固9年と罰金1000万ドルの判決を下した。ラザレンコは1998年に米国に政治亡命を求め2000年にマネーロンダリングで告発された。

06/08/29
第1副首相Azarovは28日、2007年度のロシアからのガス輸入価格は1000立方m当り135ドルをウクライナ側は望んでいると述べた。ヤヌコービッチ首相もロシアTV局とのインタビューで、「著しい値上げ」はないだろうと述べた。ちなみに今年の価格は95ドルである。

06/08/30
社会党の政治評議会議長だったVinskyyは29日、最高会議の「反対派連合」は150−160議席だろう、と述べた。ティモシェンコブロック(129)に、社会党と我らのウクライナから「大連立」に加わらない議員を加えたもの。Vinskyyは、地域党と連立を選んだMoroz党首を批判し、政治評議会議長を辞任した。

06/08/31
司法大臣Zvarychは30日、9月5日に最高会議が開かれた後に「新連立協定」に署名されるが、それまで新連立の合法性は不確かである、と述べた。8月はじめにヤヌコービッチ首相が選出されたが、その選出は7月の連立協定に基づいている。



2006年7月

06/07/03
ユーシェンコ大統領は1日のラジオ演説で、議会の解散はしない、と述べた。そして、憲法裁判所、議会、新政府が機能しないのは最高会議のリーダーたちの責任である、と付け加えた。

06/07/07
最高会議で6日の夜、予想に反して、社会党首Morozが最高会議議長に選出された。450議席中、地域党、共産党、社会党の238票が賛成した。ティモシェンコは7日、ユーシェンコ大統領に対し議会を解散するよう要請した。一方、我らのウクライナのZvarychは、社会党とは連立せず、野党に回ると述べた。

06/07/10
地域党ヤヌコービッチ、社会党モロース、共産党シモネンコは7日、「反危機連立」に関する協定に署名した。新連立は450議席のうち240議席を占め、ヤヌコービッチを首相に推すものと見られている。

06/07/11
最高会議議長モロースは11日、議会で新連立の成立を発表し、オレンジ連立は解散したと宣言した。我らのウクライナはユーシェンコ大統領に総選挙を求め、ヤヌコービッチは、選挙は必要ないが恐れはしない、と述べた。

06/07/12
ティモシェンコブロックの議員が11日の最高会議でサイレンを鳴らし妨害を行った。地域党メンバーとの取っ組み合いが起き、議会が混乱した。最高会議の建物前には、地域党の支持者1000人以上が集まった。

06/07/12
ユーシェンコ大統領は新連立の合法性に問題があると考えている、とインターファクス通信は11日に報じた。規則によると、連立から離脱する場合には10日以上前にパートナーに告げる必要がある。また、7月25日までに新内閣が成立しなければ大統領は議会を解散できる。

06/07/13
ティモシェンコブロックは12日、新連立は「犯罪者・共産主義者」と「報復主義者」の連合であり、「民主主義と国益を守る斗い」をウクライナ国民に訴えた。ティモシェンコブロックの支持者は、議会解散を訴えて独立広場に50以上のテントを設置した。

06/07/14
ユーシェンコ大統領は13日の最高会議で、ヨーロッパの「議会文化」の原則に従うよう議員に訴え、新連立の成立過程が憲法違反であると指摘した。大統領は議員達に、連立問題を合法的に解決し、首相指名を行うよう求めた。

06/07/17
ユーシェンコ大統領は15日、無政府状態、混乱、国の分裂は許さない、と演説し、権力奪取のための抗争に対して警告した。

06/07/17
「反危機連立」側は14日、連立の目標はEU加盟と単一経済圏の確立であり、NATOへの加盟は国民投票にかける、と発表した。

06/07/18
我らのウクライナのKinakhは18日、「反危機連立の合法性を認め、これからは、我らのウクライナは野党となる」と発表した。一方、ティモシェンコは18日の最高会議で、「議会には2つの選択がある。大統領が議会を解散するか、150人の議員が辞職するかである」と述べた。

06/07/19
最高会議は18日、委員会委員長の配分を決めた。地域党8、社会党3、共産党3、ティモシェンコ・ブロック7、我らのウクライナ5で、我らのウクライナから「反危機連立」に参加したZaplatynskiが残りの1つの委員長に選ばれた。

06/07/19
ティモシェンコは最高会議で18日、ティモシェンコブロックは2004年のオレンジ革命のような街頭行動を行うつもりはないと述べた。しかし、議会の解散は必要で可能だ、と付け加えた。

06/07/20
ティモシェンコは20日、ユーシェンコ大統領による解散権が生じる25日まで議会をボイコットすると宣言し、我らのウクライナの「愛国者」に、地域党ヤヌコービッチの首相指名を阻止するよう訴えた。

06/07/20
ヤヌコービッチは20日、我らのウクライナも「反危機連立」に参加すると確信していると述べた。我らのウクライナは公式には野党になると宣言している。

06/07/21
ティモシェンコは20日、反危機連立は、議員を買収して憲法判断に必要な300議席を得ようとしている、と批判した。また、ティモシェンコ・ブロックは議員辞職で議会解散に追い込むと宣言した。憲法によると、議会定足数は450議席の3分の2であり、150以上が辞職すると議会が開けない。ティモシェンコブロック(129議席)は、我らのウクライナに同調するよう訴えている。

06/07/24
ティモシェンコは24日、議員辞職宣言に125人が署名したとのべ、我らのウクライナの議員に同調を訴えた。450議席中の150議席以上が辞任すると議会が開けなくなり、大統領が議会を解散できる。ティモシェンコブロックの議席は129で、我らのウクライナは81。

06/07/24
ユーシェンコ大統領は22日、憲法に従えば、ヤヌコービッチを首相候補に指名して議会承認を求めるかどうか、15日間の猶予があると述べた。反危機連立側は、18日にヤヌコービッチの首相指名を正式に大統領に申し入れている。

06/07/25
Moroz最高会議議長は24日、議会を解散したら1993年のロシアのような内乱状態になるので、解散しないようユーシェンコ大統領に警告した。前内閣の辞任から60日を経過する7月25日以降、新内閣が発足しなければ、大統領は議会を解散できる。

06/07/26
Moroz最高会議議長は25日、ユーシェンコ大統領が、危機打開のための円卓会議を提案したと述べた。一方、ヤヌコービッチは、新連立に我らのウクライナが加わる可能性を示唆した。「過去を忘れて、初心に戻ってウクライナ国民のためにすべきことをやろう」と彼は演説した。

06/07/27
ユーシェンコ大統領は、27日の午後4時から、政治危機打開のための円卓会議を開く。参加するのは、Moroz最高会議議長、Yekhanurov首相代行、各会派リーダー5人で、テレビ2局が生中継する。

06/07/28
27日に開かれた円卓会議でユーシェンコ大統領は、最高会議のすべての会派に対し「ウクライナのために」という団結宣言に署名するよう求めた。円卓会議で、地域党のヤヌコービッチは、大統領は特定の党派ではなくウクライナ国家と国民の立場に立つだろう、と述べた。

06/07/31
地域党のKushnaryovは30日、ユーシェンコ大統領が議会解散を試みるなら、議会の側の抵抗で平和的には収まらないと述べた。また地域党の幹部会は31日、ヤヌコービッチを首相候補に指名するかどうかについて、ユーシェンコ大統領には3日間の猶予しかなく、地域党は我らのウクライナと事態の収拾を協議している、と発表した。