ウクライナ国内ニュース

2006年10-12月


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2006年12月

06/12/01
最高会議は12月1日、賛成247でTarasyuk外相の解任を決議した。そのご、Lutsenko内相の解任も賛成248で決議された。両大臣は、ユーシェンコ大統領により直接指名されたもので、大統領は前日、両大臣の解任は政治状況を不安定にすると警告していた。

06/12/04
Tarasyuk外相は12月2日、最高会議による1日の解任決議は違法で憲法違反であると述べた。「外務大臣は大統領によって指名されたものであり、解任には同様の手続きが必要である」と彼は述べた。

06/12/05
ワシントン訪問中のヤヌコービッチ首相は4日、ウクライナは民主化と経済改革路線を維持すると述べた。ユーシェンコ大統領とは、戦略において基本的な違いはないが、戦術的な違いがある、と述べた。

06/12/06
ユーシェンコ大統領は5日、Tarasyukに対し外務大臣の職にとどまるよう、憲法に基づく命令を出した。一方、Tarasyukが5日、閣議に出席しようとしたら、出席者リストに入っていないとして拒否された。

06/12/07
最高会議は6日、2007年度の予算案を承認した。歳出は1610億フリブナ(320億ドル)歳入は1470億フリブナで、約28億ドルの歳入欠陥。2007年1月1日の最低生活費用は毎月492フリブナ(97ドルで)、最低賃金は月400フリブナ(79ドル)である。

06/12/08
約5000人のキエフ市民が7日、家賃と公共料金値上げに抗議して市庁舎前で集会を行った。料金は12月1日から3倍以上に引き上げられた。市議会では、Chernovetskyyを支持する議員とティモシェンコブロックの議員とが取っ組み合いになった。

06/12/11
ウクライナ共産党は9日、連立パートナーの地域党と社会党に対し、連立協定を守らなければ連立から離脱するという「最後通牒」をつきつけた。共産党中央委員会のHrashによると、1932-33年のウクライナの飢饉は共産党によるジェノサイドであった、という決議に社会党が賛成したことに抗議しているもの。

06/12/12
ユーシェンコ大統領は11日、先週最高会議で採択された2007年度予算案に対し、署名を拒否して、修正を求めた。議会が大統領の拒否権を覆すには、300の賛成が必要となる。大統領はまた、Chernovetskyyキエフ市長が最近発表した公共料金値上げについて、値上げ率を下げるように求めた。

06/12/13
ヤヌコービッチ首相は13日の閣議で、2007年度予算案について大統領の提案と妥協の余地はない、と述べた。「(大統領は)100億フリブナを捻出するよう提案しているが、空から金が降ってくるわけではない」と首相は述べた。

06/12/14
最高会議は13日、ウクライナ保安局(SBU)長官Drizhchanyyの解任決議を、賛成184反対226で否決した。Drizhchanyyは、大統領が先月SBU長官を解任し国家安全保障評議会次官に任命したが、SBU長官の解任には議会の承認が必要である。

06/12/15
ユーシェンコ大統領は14日、外国記者との会見で、最高会議によるTarasyuk外相の解任は承認できない、と述べた。ウクライナ憲法では、外相の指名は大統領が行うが、その解任については規定されていない。

06/12/18
クリミアで16日、ウクライナのNATO加盟に関する住民投票が実施され、約90万人が投票し98%が「NO」を投じた。一方、ウクライナ中央選管のDavydovych委員長は、住民投票に法的根拠はない、と述べた。

06/12/19
ヤヌコービッチ首相は18日、大統領府が2007年予算の策定に協力的でないと述べた。大統領は2007年予算に拒否権を発動したが、内閣の予算案会議に大統領補佐官が出席していない。

06/12/20
最高会議は19日、大統領が先週拒否権を発動した予算を修正して採択した。修正予算では、最低賃金の引き上げなど、大統領が提案した修正項目は入っていない。

06/12/21
地域党の議員は20日、Tarasyuk外相が閣議に参加するのを妨害した。最高会議は12月1日Tarasyukの解任を決議したが、ユーシェンコ大統領は職務を続けるよう命じている。一方、ヤヌコービッチ首相は、ユーシェンコ大統領に新しい外相を選ぶよう求めている。

06/12/22
プーチン大統領が22日キエフを訪問した。2005年3月以来の訪問。ユーシェンコ大統領と、エネルギー問題、WTO加盟問題などを話し合う。ユーシェンコ大統領は、「ウクライナは常にロシアの友人である」と述べた。

06/12/29
ユーシェンコ大統領は28日、最近最高会議で採択された、2007年の企業民営化リストなど3つの法案に拒否権を行使した。また、ヤヌコービッチ内閣が先週指名した大臣の承認にも拒否権が見込まれている。

06/12/29
ソフィア社会研究所の世論調査によると、「2006年の政治家」としてヤヌコービッチをあげた人が27.7%、ティモシェンコは22.2%、ユーシェンコは6%だった。一方、ラムゼーエフ研究所の同様の調査では、ヤヌコービッチ26%、ティモシェンコ19.2%、ユーシェンコ8.6%だった。


2006年11月

06/11/01
最高会議は11月1日、我らのウクライナからの閣僚4人の辞任について議論したが結論が出なかった。我らのウクライナの連立離脱にともなって、4人は2週間前に辞表を提出している。一方、ヤヌコービッチ首相は2人だけを更迭するつもりと伝えられている。

06/11/02
最高会議は2日、内務省の汚職調査を行う特別委員会の設置を、出席435人のうち235人の賛成で採択した。内務大臣Lutsenkoは、無党派であるが、ユーシェンコ大統領の推薦により入閣している。

06/11/03
最高会議は3日、Tarasyuk外相とHrystenko国防相に対し、11月15日に活動報告の提出を求める決議を採択した。TarasyukとHrystenkoはユーシェンコ大統領の指名によりヤヌコービッチ内閣に入閣しているが、首相と対立している。

06/11/07
キエフで11月7日、ボリシェビキ革命89周年を記念して、約2000人が共産党によるデモに参加した。「我々の祖国はソビエト連邦だ」、「我々はNATOに屈しない」と参加者はプラカードを掲げた。

06/11/09
ロシアのLavrov外相が8日キエフを訪問し、Tarasyuk外相、ユーシェンコ大統領、ヤヌコービッチ首相らと会談した。Azov海の国境線、ロシア語の地位、ロシア黒海艦隊といった微妙な問題での進展はなかった。

06/11/10
ヤヌコービッチ首相は10日、オレンジ革命の勝者が作ったTymoshenko内閣とYekhanurov内閣によってウクライナの経済が弱まった、と批判した。「Kryvorizhstal製鉄所民営化で得た250億グリブナ(49.5億ドル)はどこへ消えた」、「大衆迎合主義は経済を消耗させ多くの問題をもたらした」と首相は述べた。

06/11/13
ヤヌコービッチ首相は11日、ユーシェンコ大統領と最高会議に対し、Tarashyuk外相を解任するよう求めた。「政府の方針に反対している大臣に対し、どう対応したらいいのか?」と首相は述べた。外相と国防相は大統領によって指名され、議会が承認している。

06/11/14
Sketskiv大統領補佐官は14日、Tarashyuk外相の解任について、与党側が15日に決議を行うだろうとの見通しを述べた。2004年12月に改訂された憲法によると、議会が解任できるとされているが、我らのウクライナ側は、議会による外相の解任権について、憲法裁判所の判断を求める予定である。

06/11/15
保健大臣Polyachenkoは15日、ヤヌコービッチ内閣にとどまる意志を表明した。我らのウクライナブロックから選出されたPolyachenkoは先月、他の3大臣とともに辞表を提出していた。

06/11/16
最高会議は15日、Tarasyuk外相とHrystenko国防相に対する解任決議の採択を延期した。Tarasyukによると、大統領から任命されている大臣を議会が解任できるかどうかは、憲法裁判所の判断が必要である。

06/11/21
キエフ地区裁判所は20日、Lutsenko内相に対し、不法に警官を昇任させ、不法にピストルをプレゼントしたとして70ドルの罰金刑を言い渡した。Lutsenkoは、政治的には無所属であるがユーシェンコ大統領の指名により内相となった。

06/11/22
ユーシェンコ大統領は21日、オレンジ革命の2周年である22日を祝う大統領宮殿でのパーティーにすべての同志を招待すると述べた。大統領は、閣僚とともにヤヌコービッチ首相を招待している。しかし、オレンジ革命の盟友ティモシェンコはブリュッセル訪問中で不在である。

06/11/28
検事総長Medvedkoは28日、スロバキアの検事局から、2000年9月に誘拐されたGongadze記者に似た死体が2001年に発見されていたとの報告を受け、詳細な情報を要請していると発表した。ウクライナ当局は、Gongadzeの死体はキエフにあると考えてきた。

06/11/29
激しい議論の後、最高会議は28日、450議席中233人の賛成で、1932-33年のウクライナの飢饉はウクライナ人民に対する人為的ジェノサイドであった、と宣言した。決議案はユーシェンコ大統領が提出し、我らのウクライナ、ティモシェンコブロック、社会党に、地域党の2人が賛成した。

06/11/30
29日にテレビ放送された内閣で、ヤヌコービッチ首相とTarasyuk外相が、首相の米国訪問をめぐって衝突した。ヤヌコービッチは、首相の米国訪問は大統領に承認されず無期限に延期されたという外務省からの通知を読み上げた。そして、「この3カ月間で、外相と一緒に働くことはできないことがわかった」と述べた。同日、大統領秘書官は、首相の米国訪問は大統領に承認されたと発表した。


2006年10月

06/10/02
ヤヌコービッチ首相は9月29日、2006年公共料金凍結案への大統領の拒否権発動に対し、拒否権を否定した決議を撤回するよう最高会議に要請した。「第1に憲法に違反し、第2に経済的に非現実的である」と首相は述べた。公共料金を凍結すると、80億フリブナ(16億ドル)の歳入不足となる。

06/10/03
ハリコフ州で地方議会の地域党議員らグループが、州知事Avakovの罷免を大統領に求めて、州庁舎前でハンガーストをはじめた。州議会は4カ月前に、3分の2以上の賛成で知事への不信任案を可決している。

06/10/04
ヤヌコービッチ首相は4日、2007年のガス輸入価格は今月末にきまるだろうが、1000立方m当り130ドルを期待していると述べた。現在の輸入価格は95ドルである。

06/10/05
我らのウクライナは4日、ヤヌコービッチ内閣から閣僚を引き上げ野党にまわると発表した。ユーシェンコ大統領が8月に発表した「国家団結宣言」を連立協定に含めることを与党3党がしぶっているため。我らのウクライナは、司法大臣Zvarych、家族スポーツ大臣Pavlenko、文化大臣Likhovyy、保健大臣Polyachenkoの4人を出している。

06/10/06
ヤヌコービッチ首相は5日、我らのウクライナに連立に復帰するよう呼びかけた。一方、ユーシェンコ大統領は同日、「交渉の余地はまだ残っている。8月に署名された国家団結宣言に基づいて合意に至ろう」とプレスリリースを発表した。

06/10/10
燃料エネルギー大臣Boykoは6日、ウクライナは来年、ロシアからガスを輸入せず、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンから575億立方mの天然ガスを輸入すると述べた。

06/10/11
ヤヌコービッチ首相は10日、ユーシェンコ大統領と拡大連立について会談した後、「我々は政治状況の安定に向けて努力することで合意している」と述べた。我らのウクライナのリーダーBezsmertnyyは先週、我らのウクライナは野党に回り、閣僚を内閣から引き上げると発表したが、スポーツ大臣Pavlenkoらは、辞任するかどうかは拡大連立の結論の後であると述べた。

06/10/12
ユーシェンコ大統領は11日、我らのウクライナの連立参加について、「望みは捨てていないが見通しは暗い」と述べた。大連立に失敗すると、我らのウクライナからの閣僚4人は辞職すると述べた。

06/10/13
我らのウクライナのリーダーBezsmertnyyは12日、我らのウクライナはユーシェンコ大統領支持を続けるが、ヤヌコービッチ内閣から4閣僚を引き上げ野党に回ることは避けがたい、と述べた。

06/10/16
キエフで14日、ウクライナ叛乱軍(UPA)の退役軍人と支持者の数千人が、UPA設立64年のデモを行った。UPAは第二次大戦中、ドイツ軍、ソビエト軍、ポーランド軍と戦ったが、未だに公認されていない。ユーシェンコ大統領は同日、「歴史的正義の回復」に関する大統領令に署名した。

06/10/17
我らのウクライナのBezsmertnyyは17日の最高会議で、彼のブロックは野党にまわると宣言した。「ウクライナの外交政策は、ユーシェンコ大統領を支持した人々の考えをはずれつつあり、WTOへの加盟は行き詰まり、EUとの協力関係も閉ざされつつある」と述べた。

06/10/18
ティモシェンコブロックのTurchynovは17日、我らのウクライナが野党連合に加わることを期待する、と述べた。同時に、我らのウクライナがヤヌコービッチ内閣から閣僚を引き上げることがまず第1である、と表明した。

06/10/19
我らのウクライナのBezsmertnyyは19日の記者会見で、司法大臣Zvarych、家庭スポーツ大臣Pavlenko、文化大臣Likhovyy、保健大臣Plyachenko、内務大臣Lutsenkoが辞表を出した、と発表した。はじめの4人は会見に同席したが、Lutsenkoはいなかった。

06/10/19
国防大臣Hrytsenkoは18日、ユーシェンコ大統領との会談ののち、外務大臣Tarasyukともども内閣にとどまると述べた。2004年12月に改訂された憲法によると、国防大臣と外務大臣は大統領が直接任命する。

06/10/23
キエフで23日に開かれた、我らのウクライナの大会でユーシェンコ大統領は、規約やリーダーの変更を含めて、党の改革を訴えた。「オレンジ勢力は、誤った政策や個人的野心のために失墜した」と述べた。3週間後に大会をまた開くことが決まった。

06/10/23
Tarasyuk外相はリボフで21日、内閣や最高会議はWTO加盟へ必用な法律の採択を遅らせていると批判した。Tarasyukは、我らのウクライナ・ブロックを構成する「人民ルフ」のリーダーで、外務大臣は大統領により直接任命されている。

06/10/24
我らのウクライナからの司法大臣Zvarychは23日、先週のユーシェンコ大統領による我らのウクライナ大会での演説は、ブロックが、地域党、社会党、共産党による「半危機連立」と再び連立交渉を行う可能性を示唆している、と述べた。

06/10/25
ヤヌコービッチ首相はキエフで24日、Fradkovロシア首相との合同記者会見で、2007年にロシアから550億立方mのガスを輸入し、その価格は1000立方m当り130ドルを上回ることはない、と述べた。中央アジアからの輸入550億立方m、国産ガス200億立方mと合わせて供給不足にはならない、と述べた。

06/10/26
運輸大臣Rudkovskyyは25日、1000立方m当り130ドルという2007年のガス価格のロシアとの合意は、ウクライナ外交の大きな勝利である、と述べた。彼によると、ロシアはベラルーシに対し200ドル、ポーランドに対しては280ドルを要求している。

06/10/27
ユーシェンコ大統領は26日、ロシアとのガス価格交渉において政治的取引があったことを否定した。価格交渉において、ロシア黒海艦隊のクリミア半島駐留延長と絡んだ取引があったのではないかと言われている。

06/10/30
ユーシェンコ大統領は、ヘルシンキで開かれているEUサミットで27日、「ウクライナはEUとの協力関係を、政治的連合、経済的統合のレベルにまで引き上げるつもりである」と述べた。一方、EU委員会議長Barrosoは、「ウクライナにはまだ改革が必要であり、正直にいって、ウクライナを受け入れる用意は現在のところはない」と述べた。

06/10/31
ヤヌコービッチ首相は30日、ロシア黒海艦隊のクリミア駐在は、現在の協定による2017年までの期間が延長されるだろうと述べた。そして、この問題は、先週発表された2007年のガス輸入価格とは関係していないと述べた。