ウクライナ国内ニュース

2007年1-3月


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2007年3月


07/03/01
与党地域党の副党首Kyselyovは2月28日、この秋に大統領と議会の選挙を同時に実施する提案を最高会議に提出すると述べた。一方、大統領の議会代理人Zvarychは同日、大統領は選挙を考えていないと述べた。Zvarychによると、早期選挙の議会提案に法的根拠はない。議会選挙が実施されるのは、与党が分裂するか、憲法裁判所が2004年の憲法改定を無効としたときである。

07/03/02
グルジア訪問中のユーシェンコ大統領はトビリシで1日、早期の議会選挙は必要なく、相互理解が必要だと述べた。一方、米国訪問中のティモシェンコは、現在の政府が2011年まで続けば、ウクライナの民主主義は消滅するだろうと述べ、早期の議会選挙が必要だと述べた。

07/03/06
ヤヌコービッチ首相は5日、キエフ訪問中のEC議会評議会メンバーに対し、早期の議会選挙や大統領選挙は必要ない、と述べた。先週、与党地域党の議員が議会と大統領の早期実施を提案している。

07/03/08
ECは7日、ウクライナの政治改革やエネルギー市場改革の目的で、2007-10年に4億9400万ユーロ(6億5000万ドル)の援助を行うと発表した。3月5日からEU・ウクライナ間の新協定が話し合われている。

07/03/09
ユーシェンコ大統領は8日、ブリュッセルを訪問し、EU首脳と会談した。国内で政治的困難が続いていることを認めながらも、「オレンジ革命の政治的勝利は何一つ失われていない」と大統領は述べた。

07/03/12
昨年12月に解任された前内相Lutsenkoは地方遊説を行っているが、9日リボフで開かれた集会には1万8000人が集まった。Lutsenkoは参加者に、彼がはじめた「人民自己防衛運動」に加わるよう訴えた。

07/03/13
ユーシェンコ大統領は12日、ティモシェンコブロックと我らのウクライナ代表との会談で、憲法での権力配分について国民投票を実施することに賛成の意向を述べた。ユーシェンコ大統領はまた、反対派議員に対し多数派に転向しないよう訴えた。最高会議議長Morozは今月はじめ、「多数派は300を越えるだろう」と述べている。

07/03/14
ヤヌコービッチ首相は14日、ユーシェンコ大統領が、ティモシェンコブロックと我らのウクライナが最高会議から退席したことを支持していると憤慨を表明した。「大統領は国家の発展に働くべきで、反対派とダンスや合唱をすべきでない」と述べた。

07/03/15
最高会議は15日、外相候補Ohryzkoの承認について議論したが、投票は20日に延期した。最高会議は先月、Ohryzko候補を否決したが、大統領が再び候補として推薦した。

07/03/16
ヤヌコービッチ首相は15日、大統領は、Ohryzkoに替わる外相候補を指名すべきだ、と述べた。一方、地域党のBohatyryovaは、与党がクレムリンの影響を受けているとの批判に対し「あなた方はクレムリンの手をどこにでも見いだすが、自分の下にあるブッシュの足には気づかない」と述べた。

07/03/19
Tsusko内相は17日、Lutsenko前内相が組織している「人民防衛運動」のラリーがキエフに入ることを阻止するよう警察に命じた。Lutesnkoは17日、ハリコフとドニエプロペトロフスクで開かれた集会に参加し、それぞれ1万人と5000人が集まった。

07/03/20
ティモシェンコは19日、与党側が憲法多数300議席を得るため、反対派議員を買収していると述べた。「300万ドルとか800万ドルが使われている。これが民主主義だろうか」と彼女はのべた。現在の議会は5つの会派があり、地域党(186)、社会党(31)、共産党(21)が与党で、野党はティモシェンコブロック(186)と我らのウクライナ(79)である。(今中注:なんだか数字が合わない)

07/03/21
最高会議は21日、Yatsenko外相候補を426票の圧倒的多数で承認した。Yatsenkoは、前日Ohryzko外相候補が議会によって拒否された後に候補に指名された。この投票の後、我らのウクライナとティモシェンコブロックは議場から退席した。

07/03/21
最高会議は21日、Kinakh、Yatsuba、Popovの3人をそれぞれ経済相、地域発展建設相、家庭公共問題相として承認した。Kinakhの大臣就任について、我らのウクライナ人民連合は、ヤヌコービッチ内閣への参加は「政治的裏切り」であると批判した。

07/03/22
ユーシェンコ大統領は21日、我らのウクライナのKinakhがヤヌコービッチ内閣の経済相に就任したことについて「道徳的に恥ずべきこと」と批判した。Kinakhはオレンジ革命の朋友で、ティモシェンコ内閣の経済相を勤めていた。Kinakh率いる産業企業党の8人の議員が与党側に転向し、与党は450議席中の238となった。

07/03/23
最高会議のMoroz議長は23日、ティモシェンコブロックの5人と我らのウクライナの6人が、野党を離れて与党連合に参加した、と発表した。与党連合は、450議席のうち256議席を占めることになる。ティモシェンコブロックと我らのウクライナは、この2週間議会を実質的にボイコットしている。

07/03/26
ヤヌコービッチ首相は23日、ユーシェンコ大統領が憲法の規定を遵守していないと非難した。憲法にしたがうと、州議会の3分の2以上の賛成で不信任された、ハリコフ州知事Avakovは、大統領によって解任されるべきだが大統領は義務を果たしていない。

07/03/27
ブリュッセル訪問中の新外相Yatsenyukは26日、EU対外関係コミッショナーFerrero-Waldnerと会談した後、「ウクライナのEU参加への道は遠いが、そのために経済、教育、人権などの統合が必要である」と述べた。27日には、ヤヌコービッチ首相がブリュッセルを訪問する。

07/03/29
ユーシェンコ大統領は28日、最高会議に書簡を送り、「与党が憲法無視した勢力拡大を続けるなら、しかるべき措置を講じる」と述べた。与党側が野党から数十人の議員を引き抜いたことに対応したもの。一方、ヤヌコービッチ首相は、転向議員は自分の意志で野党側を見放した、と述べた。

07/03/29
キエフの独立広場で31日に予定されている野党集会にあわせて、与党側が挑発行動を計画していると、大統領支持の我らのウクライナが発表した。集会は、我らのウクライナ、ティモシェンコブロック、人民防衛運動により開かれる。

07/03/30
ユーシェンコ大統領は29日、与党連合による野党議員の一本釣りは憲法違反であると批判し、議会の解散を示唆した。また大統領は、ヤヌコービッチ首相、Moroz最高会議議長、野党リーダーに合同会談を呼びかけた。

07/03/30
ヤヌコービッチ首相は29日、大統領は議会解散という脅しを使うべきではないと述べた。与党地域党の幹部は、大統領が議会解散の大統領令を出すなら憲法裁判所の判断を仰ぐが、「選挙になっても我々は再び勝つ」と述べた。

07/03/30
ティモシェンコは30日、議会選挙を訴え、選挙で野党は与党を上回ると確信していると述べた。「オレンジ革命を裏切った社会党の議席はなくなるだろう」と彼女は述べた。




2007年2月

07/02/01
Tarasyuk外相の辞任にともなって内閣は1月31日、Ohryzko第一外務次官を外相代行に任命した。外交政策に変化はなく、外相の指名は大統領特権であると、Ohryzkoは述べた。

07/02/02
最高会議議長Morozは2日、議会と政府の正式機関誌であるHolos UkrainyとUrydovyy Kuryerに、12月に採択された「内閣法」を出版した。内閣法に対しては、ユーシェンコ大統領が拒否権を発動したが、議会が再採択を行った。大統領は、小変更を理由に再度署名を拒否している。法案では、首相、外相、国防相の指名権を大統領から議会に移すとしている。

07/02/05
ユーシェンコ大統領は2日、ウクライナのガスパイプラインをロシアとの合弁企業に託するのは時期尚早だと述べた。プーチン大統領は前日、ウクライナ側からパイプラインの共同経営の提案があった、と明らかにしていた。

07/02/06
ユーシェンコ大統領は5日、新外務大臣Ohryzkoの承認を求める動議を最高会議に送った。Ohryzkoは1月30日に、Tarasyuk前外相の辞任にともなって、最高会議が外相代行に指名している。

07/02/07
ロシアのNovaya Gazeta紙の記者Kosvintsevが6日、ウクライナへの政治亡命を申請した。Kosvintsevによると、Kemorovo州知事Tuleyevの汚職事件を記事にしたところ、ロシア当局から迫害されている。

07/02/08
最高会議は7日、いかなる目的でも集団催眠を禁止する法案を採択した。法案は、宗教活動での集団催眠の禁止を意図している。

07/02/12
ユーシェンコ大統領は10日、ミュンヘンでNATO事務総長Schefferと会談し、ウクライナは今後もNATOとのピ−スキーピング活動に参加すると述べた。共同作戦はNATOとウクライナとの関係を強化すると付け加えた。

07/02/13
ティモシェンコブロックのティモシェンコは12日、新憲法の採択の前に議会選挙を行うべきだと述べた。「もしも、議会解散について国民投票を行ったら、最低60%が解散に賛成するだろう」と述べた。

07/02/14
ユーシェンコ大統領は14日、トルクメニスタンのアシハバートで開かれた新大統領Berdymukhammedovの就任式に出席した。就任式後の首脳会談で2国間の協力を話し合った。ウクライナは2007年、中央アジアから1000立方m当り130ドルで550億立方mの天然ガスを輸入するがその大部分はトルクメニスタンである。

07/02/15
国家統計委員会は14日、ウクライナの人口は2006年に2万2000人減少し、1月はじめの人口は4664万6000人と発表した。一方、2006年のGDPは9.3%増加した。

07/02/16
司法大臣Lavrynovychは15日、憲法裁判所が3月はじめ、大統領の義務違反に関する内閣からの訴えを審議すると述べた。いくつかの地方議会で3分の2以上の賛成で、首長の不信任決議が採択され、憲法に従うと大統領は首長を更迭しなければならないが、実施していない。

07/02/20
ユーシェンコ大統領は19日、最低賃金の引き上げ法案を最高会議に送った。法案によると、現在の月400フリブナから、5月から月420フリブナ(83ドル)、8月から月430フリブナ(85ドル)に引き上げる。一方、ヤヌコービッチ首相は、最低賃金の引き上げは2007年度の第1四半期の経済状態によると述べた。

07/02/21
ユーシェンコ大統領は20日、憲法改定に関して国民投票に問うことを考えていると述べた。「憲法問題をいま決着しなければ、半年後には状況はますます悪くなる」と大統領は述べた。一方、ヤヌコービッチ首相は、憲法改定に関する大統領の意向は、国内の対立を激化させると述べた。

07/02/22
最高会議は22日、Ohryzko外相候補とKorol保安局長官候補の承認を否決した。賛成はそれぞれ196票と190票で、必要な226票に達しなかった。1月に採択された新内閣法では、15日以内に大統領が候補をたてなければ、議会が指名できるとされているが、ユーシェンコ大統領は憲法裁判所に判断を仰いでいる。

07/02/22
ウクライナ外務省は22日、クリミア半島がウクライナに属しているのは疑問だ、というLuzhkovモスクワの前日のセバストポリでの演説に抗議した。

07/02/26
議会多数派のまとめ役Bohatyryovaは24日、ユーシェンコ大統領に対し、国の分裂を防ぐため、全会派リーダー会議を開くよう提案した。「大統領支持の我らのウクライナを加えた議会野党は、国家危機をあおろうとしている」と彼女は述べた。

07/02/27
ユーシェンコ大統領は26日、ティモシェンコブロックと我らのウクライナの間での協力協定の調印を歓迎すると発表した。「野党の協力は、議会による憲法侵害に対して対抗する重要なステップである」と大統領側は述べている。

07/02/28
ヤヌコービッチ首相は27日、ミサイル防衛基地をポーランドとチェコに設置する米国の計画について、「ミサイル基地計画は、前もって、ウクライナやロシアを含めた各国と相談されるべきだ」と述べた。一方、ユーシェンコ大統領は、ミサイル防衛基地の配備について「ウクライナ当局は、主権をもつ他国のことに軽々にコメントすべきでない」と述べた。



2007年1月

07/01/05
ユーシェンコ大統領は3日、土地売買の禁止を2008年1月1日まで延期するという最高会議で可決された法案に対して、拒否権を発動した。大統領によると、土地売買の制限は闇経済をはびこらせ市民の権利を制限する。

07/01/09
ティモシェンコブロックは9日、土地売買禁止の継続決議に対する大統領の拒否権行使に関連し、大統領拒否権を覆すため、議会多数派の「反危機連立」に同調することを決めた。ユーシェンコ大統領は、土地売買の凍結は汚職を増大させる、と拒否権を行使している。

07/01/10
最高会議は9日、必要な300票を67票上回って、土地売買凍結の延長法案に対する大統領拒否権の発動を覆した。ティモシェンコブロックの120票と、我らのウクライナの5票も大統領の拒否権に反対にまわった。

07/01/11
共産党は10日、ユーシェンコ大統領の政策は大統領の弾劾に値すると発表した。共産党によると、大統領は拒否権発動により最高会議と「戦争状態」で、ウクライナの政治と経済に混乱をもたらしている。

07/01/12
ユーシェンコ大統領は11日、土地売買の凍結を2008年まで延長する法案に署名した。ユーシェンコ大統領は当該法案に拒否権を発動したが、最高会議は、ティモシェンコブロックを含めて大統領拒否権を覆した。

07/01/16
ヤヌコービッチ首相は15日、議会から解任されたTarashyuk外相に対し法的措置をとるよう要求した。外相は12月1日に議会から解任決議を受けたが、ユーシェンコ大統領は12月5日に大臣継続の大統領令を出している。

07/01/16
最高会議は12日、内閣関連法に対する大統領の拒否権発動を、366票の賛成で覆した。ティモシェンコブロックも賛成した。大統領与党の我らのウクライナのKvrylenkoによると、新内閣関連法は、ヤヌコービッチ政権に権力奪取の可能性を与える。

07/01/17
ウクライナ外務省は16日、Tarasyuk外相のチェコ公式訪問は前もってヤヌコービッチ首相に伝えてあると発表した。ヤヌコービッチ首相は公式な訪問と認めていないが、外務省によると、大統領によって承認された訪問である。

07/01/18
ユーシェンコ大統領は17日、Tarasyuk外相の解任問題については、憲法裁判所が大統領の立場を支持するだろうと述べた。「外交問題には大統領が責任をもつと憲法に定められている以上、外相の任命や解任は大統領の権限である」とユーシェンコは述べた。

07/01/19
ユーシェンコ大統領は18日、最高会議が大統領拒否権を覆した内閣法案について、改めて拒否権を発動する意向を明らかにした。大統領によると、再採決された法案は修正された項目を含んでいる。「法案は憲法制度の根幹を覆す」と大統領は述べた。

07/01/22
ユーシェンコ大統領は19日、最高会議が大統領拒否権を覆した内閣法案に対し、再び拒否権を行使した。憲法によると、大統領拒否権が覆された場合は大統領は署名すると決められているが、ユーシェンコ大統領によると、最高会議で文言の訂正があったので、拒否権行使が可能である。一方、最高会議議長Morozによると、文言の修正は行っていない。

07/01/23
EU外相会議は22日、自由貿易協定をふくめ、ウクライナとの新協力協定を進めることを承認した。ポーランドなど、ウクライナのEU加盟を支持する国は、EU加盟へつながるような文案を提案したが、認められなかった。

07/01/26
ヤヌコービッチ首相は25日、ダボスの世界経済フォーラムで、カスピ海原油をヨーロッパへ送るため、オデッサ・ブロディ石油パイプラインの完成を促進すると述べた。首相によると、ブロディからポーランドやスロバキアにパイプラインが繋がると、アゼルバイジャン、カザフスタン、ロシアから毎年1200万トンの石油を送ることができる。

07/01/29
毎晩1万トンほどの穀物が黒海に捨てられている、と26日のウクライナテレビが報じた。昨年夏に、輸出割り当てが導入されて港に貯蔵されていた27万トンの穀物が、腐ったりしたもの。ウクライナ国内には600万トンの余剰があるが、政府は国内需要に足りなくなるとして輸出割り当てを導入した。

07/01/30
世界ウクライナ人会議が29日、ヨーロッパ委員会、OSCE、EU、国連に対し、1947年にポーランドで起きたウクライナ人強制移住事件についてポーランド政府の責任追及を求める書簡を送った。1947年4-5月にポーランド南部に住んでいた15万人のウクライナ人が移住させられ、数千人が強制キャンプに収容された。

07/01/31
Tarashuk外相が30日、ヤヌコービッチ首相を非難しながら辞任した。昨年12月1日に最高会議が解任決議をしていたが、任命者であるユーシェンコ大統領が職務を継続するよう命じていた。