ウクライナ国内ニュース

2007年7-9月


安全研 究グループのホームへ


2007年9月

07/09/04
最高会議は4日、269人の出席であらたな会期を開いた。Moroz議長は、議会の開催は憲法に則っていると述べた。一方、ユーシェンコ大統領は、議会開催は非合法であるとして認めていない。

07/09/05
最高会議は4日、議員の経済的特権と不逮捕特権廃止に関する法案を採択した。しかし、大統領は現議会を不合法としており、法案決議が有効かどうかは疑問視されている。

07/09/06
地域党の選対リーダーKolesnykovは5日、国民投票を行う案を記者団に語った。テーマは、ロシア語の公用語化、軍事同盟参加の是非、地方首長の直接選挙導入である。ティモシェンコブロックの副リーダーTurnynovは、地域党による国民投票の提案は、選挙争点から有権者の関心をそらせようとする手であると批判した。

07/09/07
Moroz最高会議議長は6日、Vinnytsyaでの選挙キャンペーンで、今回の早期選挙は外国勢力の干渉を受けている、と述べた。しかし、どんな外国勢力かは特定しなかった。

07/09/10
1950-1954年にかけてウクライナ反乱軍(UPA)の最後の司令官だったKukが9日亡くなった。94歳。UPAは、ウクライナ独立をめざして、第2次大戦終了後もポーランド軍やソビエト軍と戦った。「彼は、最後のひと息までウクライナのために戦った」とユーシェンコ大統領は遺族に手紙を送った。旧UPA軍人は、いまだに退役軍人の資格が与えられていない。

07/09/11
ユーシェンコ大統領は英紙The Timesとのインタビューで11日、2004年の大統領選挙でのダイオキシン事件の捜査にロシアが協力を拒否している、と述べた。「捜査当局は、誰がいつどこで毒を使ったか解明している。ロシア在住の3人が容疑者であり、プーチン大統領にも伝えたが、ロシア当局からの返事はない」と述べた。

07/09/12
ユーシェンコ大統領はドニエプロペトロフスクで11日、2004年のダイオキシン事件には多くの政治家が関与しており、捜査が完了したら発表すると述べた。

07/09/14
ヤヌコービッチ首相は13日の選挙キャンペーンで、地域党は40%以上の得票を期待しており、「今後10年間、政権を維持する」と述べた。一方、世論調査によると、地域党は33.9%、ティモシェンコブロック23.5%、我らのウクライナ・人民防衛13.1%、共産党5%、リトビンブロック3%が、足きり3%を越える可能性がある。社会党は1.6%で、進歩社会党が1.5%。

07/9/17
ユーシェンコ大統領はリボフで15日、議会選挙での我らのウクライナへの投票を訴え、「我らのウクライナ・人民防衛ブロックとティモシェンコブロックの勝利を確信している」と述べた。

07/09/18
ウクライナ当局は17日、チェルノブイリ原発4号炉の新シェルター建設に関する5億500万ドルの契約を、フランス主導の企業体Novarkaと調印したと発表した。また、チェルノブイリ原発の他の3つの原子炉の使用済み燃料貯蔵施設建設に関する2億ドルの契約を、米国のHolstec Internationalと調印したと発表した。

07/09/20
ウクライナ検察当局は、ユーシェンコ毒殺未遂に用いられたダイオキシン調査に関するロシア側の提案を拒否した。ダイオキシン生産国である英国、カナダ、米国の三カ国はダイオキシンサンプルをウクライナ側に提供したが、ロシアは自国で検査してその結果を提供すると提案してきたもの。

07/09/21
与党地域党は20日、ユーシェンコ支持者らが「扇動行為」を止めなければ、地域党は30日の選挙をボイコットするという声明を出した。声明によると、ユーシェンコ側は、自分たちに不利な選挙区での選管委員が、選挙結果が無効になるようサボタージュを行っている。

07/09/24
中央選管は21日、大統領に対し、我らのウクライナ・人民防衛ブロックの応援演説をすることは、大統領として不適切であるという決定を行った。一方「大統領として、私は政治プロセスの外にいることはできない」とユーシェンコ大統領は述べた。

07/09/25
地域党の活動家が24日、30日の選挙に向けてキエフの「独立広場」にテントを設営した。独立広場は、2004年大統領選挙の際にオレンジ革命の舞台となった場所である。

07/09/26
ユーシェンコ大統領はテレビで25日、30日の選挙の後ティモシェンコを首相候補に指名する可能性を示唆した。「どんなことが起きるか分からないが、民主勢力はこのチャンスを逃してはならない」と述べた。

09/07/27
ユーシェンコ
大統領は27日、ティモシェンコ、我らのウクライナのリーダーとの会談で、2004年オレンジ革命グループが選挙で勝つことを期待していると述べた。「我々には、民主勢力の連合しか選択はない」と大統領は述べた。



2007年8月

07/08/01

ユーシェンコ大統領は1日、9月30日に早期選挙を実施する大統領令を再び発表した。選挙キャンペーンは8月2日からはじまる。

07/08/02
前日の大統領令に従って、早期選挙キャンペーンが2日からはじまった。与党の地域党と社会党は4日に党大会を予定している、ティモシェンコブロックは5日、我らのウクライナ・人民自衛ブロックは7日に大会を開く。社会党首Morozは、前日の大統領令の合法性について憲法裁判所の判断を仰ぐべきだと述べた。

07/08/03
我らのウクライナ・人民自衛ブロックの2日の大会で、9つの党が共同ブロックの結成に署名した。わららのウクライナ人民連合、ウクライナ前進党、ウクライナ・ルフ、共和国党Sobor、ウクライナ人民党、キリスト民主統一党、Pora党、祖国防衛党、ウクライナヨーロッパ党の9つで、前内務相Lutsenkoがリーダーに選ばれた。ティモシェンコブロックも同日大会を開き、祖国党、改革秩序党、ウクライナ社会民主党が参加した。一方、中央選管は選挙スケジュールを発表し、候補者リストの〆切は25日となった。

07/08/06
与党地域党は4日に大会を開き、9月30日選挙のマニフェストと候補者リストを決定した。また、社会党も同日大会を開いて候補者リストを決定したが、Moroz党首は、選挙は「冒険的」で「違法」であり、その主な目的は社会党を議会から排除することだ、と述べた。

07/08/08
我らのウクライナ・人民自衛ブロックは7日に大会を開き、選挙マニフェストと候補者リストを決定した。候補者のトップは、人民自衛のリーダーLutsenkoで、我らのウクライナのKrylenko、外務相Yatsenko、国防相Hrystenkoらが続く。ユーシェンコ大統領も大会に参加し挨拶した。

07/08/09
ヤヌコービッチ首相は現在、ロシアのアルタイ地方で、ヒザ手術後の「非通常治療」を受けている、とAzarov副首相が発表した。首相は5月にスペインで、ヒザの古傷の手術を受けた。

07/08/10
ユーシェンコ大統領は9日、議員の不逮捕特権と各種の特典を廃止したいと述べた。ウクライナの議員は、アパート、車、サナトリウムなどヨーロッパ諸国では考えられないほどの特典を受け、毎年1億ドル分におよぶ税金が使われている。

07/08/13
中央選管は11日、ティモシェンコブロックの候補者登録を、候補者の住所が正確でないとして拒否した。ティモシェンコブロックの支持者は12日、中央選管前にピケットをはって抗議した。

07/08/14
ティモシェンコブロックの支持者約2000人が13日、候補者リストの登録拒否に抗議して中央選管前で集会を開いた。候補者リストの有効性について、キエフ地区裁判所は14日に判断を下す。ユーシェンコ大統領は13日、裁判所の判断をまたずに柔軟に対応するよう中央選管に求めた。中央選管メンバー15人のうち、7人は大統領が指名し、8人は与党が指名している。

07/08/15
キエフ地区裁判所は14日、ティモシェンコブロックの候補者リスト登録拒否を再考するよう中央選管に求める決定を行った。「選管の判断が間違っていることがはっきりした」とティモシェンコは述べた。

07/08/16
中央選管は15日、ティモシェンコブロックの候補者リストの登録を満場一致で決定した。ティモシェンコブロック代表Krupkoは「中央選管メンバーに啓示を与えた神に感謝する」と述べた。

07/08/17
ティモシェンコブロックのリーダー、ティモシェンコは16日、選挙キャンペーンを東部のDnipropetrovskからはじめる、と発表した。8月8日から14日の間に行われた世論調査によると、与党・地域党支持が27.6%で、ティモシェンコブロックは26.5%だった。それに、我らのウクライナ・人民自己防衛ブロック11.1%、共産党3.2%が続いている。

07/08/20
中央選管は17日、ティモシェンコブロックを支持するグループから出されていた、憲法改定国民投票に関するイニシアティブ登録を不採択とした。「与党選出メンバーと一緒に、大統領指名の選管メンバーも登録拒否に賛成したことは理解できない」とティモシェンコは述べた。

07/08/21
中央選管は20日、9月30日選挙への候補者登録を閉め切った。選管によると、35の党とブロックが登録を行った。2006年3月の選挙では45だった。

07/08/22
最高会議の「ウクライナ七景」選定委員会は21日、7万5000人のインターネット投票と専門家の投票に基づいて、以下の七景リストを発表した。フメリニツキ州のKamyanets要塞、キエフのPecherskaya修道院とセントソフィア寺院、チェルカッスィ州のSofivivka公園、クリミアのKhersones Tavriyskyy遺跡、チェルニフィツィ州のKhotin要塞、ザポロジエ州のKhortytsyaコサック基地の7カ所。

07/08/24
24日のウクライナ独立記念日の式典で、ユーシェンコ大統領は、新憲法制定のための委員会を設置すると述べた。一方、前日のティモシェンコとの会談で大統領は、9月30日の議会選挙と同時に国民投票を実施することには反対であると述べた。

07/08/24
先月2100人を対象に行われた世論調査によると、ウクライナ独立後の16年間でもっとも良かった大統領として、ユーシェンコをあげたのが35%で、クラフチュク(1991-1994)とクチマ(1994-2004)は17%と16%だった。もっとも良かった最高会議議長はLytvyn(43%)で、もっともよい首相はヤヌコービッチ(34%)だった。

07/08/28
最高会議議長Morozは28日、「状況にかかわらず」9月4日から新会期をはじめると述べた。一方、大統領は27日、新たな会期ははじまらないと確信していると述べた。

07/08/29
中央選管は28日、9月30日選挙の候補者登録を終了した。候補者リストが登録されたのは21の政党・ブロックで、3つの政党が登録拒否された。

07/08/31
ユーシェンコ大統領は30日、ヤヌコービッチ首相がMoroz最高会議議長の後押しをして政治的緊張を高めていると批判した。Moroz議長は、9月4日に議会招集を予定しているが、大統領によると議会は存在しない。一方、首相は議会での2008年予算審議に賛成している。

07/08/31
共産党党首Symonenkoは30日、今度の選挙で我らのウクライナとティモシェンコブロックの「オレンジチーム」が権力につくなら、ロシアとの関係が悪化しガス価格が上がるだろうと述べた。



2007年7月


07/07/02
ヤヌコービッチ首相は週刊新聞で、「大統領、首相、議会指導者は民主的な選挙に向けて新たな合意を作るべきだ」と述べた。「選挙法の改正だけでは、残念ながらすべてを解決するには不十分だった。早期選挙後の混乱を避けるためには相互信頼に基づく合意が必要だ」と首相は述べた。

07/07/03
最高会議議長Morozは2日、ジュネーブで開かれた社会主義者国際大会で、ユーシェンコ大統領は憲法改定の国民投票によって独裁体制を築こうとしていると批判した。ユーシェンコ大統領はクチマ前大統領以上の権力を望んでいる、と付け加えた。

07/07/09
ユーシェンコ大統領は6日、キエフで開かれたOSCE(欧州安全保障協力機構)議会評議会の大会で、ウクライナが民主改革路線からはずれることはない、と述べた。ウクライナの現在の危機は民主的で合法的に克服されるだろうと述べた。

07/07/10
キエフで開かれていたOSCE議会評議会は9日、ベラルーシ政府に対し、EUの民主化基準に合致するよう求める決議を採択した。選挙法の改定、表現の自由、NGOの権利などを求めている。

07/07/10
ユーシェンコ大統領は8日、次期選挙の後、地域党が多数派を形成するならヤヌコービッチを首相候補に指名すると述べた。また、ティモシェンコが新議会で多数派を形成するなら歓迎するが、そうは行かないこともあると述べた。

07/07/11
ユーシェンコ大統領は10日、ロシア黒海艦隊に対するクリミアの基地貸与について、「貸与料は、さまざまな要因に左右され、それが一定であることはあり得ない」と述べた。1997年に締結された現行協定によると、ロシアは毎年9700万ドルを支払っている。

07/07/12
ウクライナ憲法裁判所は11日、すべての社会的特典を停止した2007年予算案を憲法違反であると裁定した。憲法裁判所は、大統領と政府による先月の判事解任と、裁判長Dombrovskyyの辞任によって停止していたが、10日にStryzhakを新裁判長に選んだ。

07/07/13
ヨーロッパ議会は12日、ウクライナに対し将来のEU加盟を展望する報告を大多数で承認した。「近い将来とは行かないが、EUはウクライナに対しドアを閉ざすべきでない」と報告書は述べている。

07/07/16
ウクライナ国家統計委員会は13日、ウクライナの人口は2万7000人減少し4650万人になったと発表した。1992年の人口は5220万人だった。

07/07/17
ウクライナ緊急事態省は16日、リボフ州Busk地区で貨物列車が脱線横転し、毒性のある黄燐が発火、815人が避難したと発表した。数十人が医療手当を受け、数人が入院した。貨物列車はカザフスタンからポーランドへ向かっていた。

07/07/18
緊急事態省報道官Krolは18日、リボフ州の黄リン貨物列車脱線事故は収拾しつつあると発表した。6人の子どもが呼吸器系の傷害で入院し、さらに59人の子どもが病院に送られた。

07/07/19
ポーランドは20日、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアからの短期労働ビザを簡略にすると発表した。2004年のEU加盟後、自国労働者の国外流出で、ポーランドは毎年50万人の単純労働者を必要としている。

07/07/24
憲法裁判所は23日、9月30日に早期選挙を実施するという大統領令の合法性に関する、46人の議員からの請願を受け付けた。しかし、裁判所判事Havryshの見解では、夏期休暇の時期であることもあって、請願がすぐに審理されることはない。

07/07/25
ヨーロッパ広場で24日。我らのウクライナ・人民自己防衛選挙ブロックの集会が開かれた。人民自己防衛リーダーLutsenkoは、議員の不逮捕特権廃止のキャンペーンをはじめた。Lutsenkoは、多くの汚職が不逮捕特権で隠されていると述べた。

07/07/25
Yaremenko社会学モニタリングセンターが2014人を対象に行った世論調査によると、ウクライナのNATO加盟に対し、反対が57%で賛成は19.9%だった。またEUとの関係については加盟賛成が24.7%、ロシア・ブラルーシとの連邦が43.4%、両方とバランスをとるが27%だった。

07/07/27
大統領秘書次官で中央選管大統領代理のStavniychukは26日、9月30日の早期選挙に関連してユーシェンコ大統領が別の大統領令を出すかも知れない、と語った。「中央選管メンバーをふくむいくつかの政治勢力が早期選挙をつぶそうと画策している」と彼女は述べた。

07/07/30
最高会議議長Morozは27日、9月30日の早期選挙に関連する法案審議のため31日に緊急議会を開くと呼びかけた。ユーシェンコ大統領、ならびに野党2党は、6月はじめに野党議員169人が辞職したときに最高会議は効力をなくしたと主張している。最高会議の最大会派である地域党が議会招集にどう対応するかは未定。

07/07/31
最高会議議長Morozは30日にヤヌコービッチ首相と会談し、緊急議会を8月7-10日に開くことにした。議会では、憲法修正、早期選挙関連法案が審議される予定。大統領と、我らのウクライナとティモシェンコブロックの野党2党は、現議会の法的根拠は失われたと主張している。