ウクライナ国内ニュース

2008年1-3月


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2008年3月
08/03/03
ガスプロム報道官Kupryanoiは3日、ウクライナへのガス供給を25%削減したと発表した。Kupryanoiによると、ガスプロムとウクライナ側の間では、今年のガス供給に関する協定がいまだに調印されていない。

08/03/04
ユーシェンコ大統領は3日、ティモシェンコ首相とYatsenyuk最高会議議長と会談し、最高会議の現状を打開するための与党会議の開催を提案した。最高会議は1月半ばに、ユーシェンコ大統領、ティモシェンコ首相、Yatsnyuk議長が、NATO加盟行動計画に関する手紙をNATOに出して以来紛糾している。

08/03/05
国家安全保障防衛会議議長Bohatyryovaは4日、ユーシェンコ大統領が最高会議解散の検討をはじめるかも知れないと述べた。最高会議は、与野党の対立で1月半ばから開かれていないが、連続30日以上開かれない場合は、大統領は議会を解散できる。

08/03/06
地域党のヤヌコービッチは5日、議会の行き詰まりが打開されないので彼の党は街頭行動に訴えると述べた。NATO加盟問題をめぐって、地域党は国民投票を要求し、1月半ばから議場占拠を続けている。

08/03/07
最高会議は6日、「国民投票が実施されなければ、議会としてはNATO加盟に関する投票を行わない」という決議を採択した。定員450人のうち、446人が参加し、248人が賛成した。賛成したのは、地域党とリトビンブロックの全員と、ティモシェンコブロックの34人、我らのウクライナ・人民防衛ブロック19人で、共産党は棄権した。

08/03/10
ユーシェンコ大統領は7日、プーチン大統領との間で合意したガス協定をティモシェンコ首相が批判していることに驚いていると述べた。首相は6日に大統領に書簡を送り、「1000立方m当り315ドルという価格に同意できない」と述べているが、大統領によると、2008年のガス価格は1000立方m当り179.5ドルである。

08/03/12
ウクライナ外務省は11日、1932-33年のウクライナ大飢饉をジェノサイドとは認めないように求めるロシア国連代表Loshchininの声明を非難した。ウクライナ当局は、700万−1000万人といわれる飢饉の犠牲者は、ソビエト体制の犠牲者であり、ユーシェンコ大統領は2008年を大飢饉追悼の年に指定している。

08/03/13
ティモシェンコ首相は12日、ウクライナガス公社とロシアガスプロムの交渉は合意に至ったと発表した。ウクライナへのガス供給の仲買業者は排除され、2008年のガス価格は、1000立方m当り179.5ドルとなる。

08/03/14
ユーシェンコ大統領は13日、汚職容疑に関連して、キエフ市長Chernovetskyyに対する15日間の権力停止命令を出した。大統領は、市長に対する調査委員会を設置し3月28日までに報告を出すよう求めた。

08/03/17
キエフ高等裁判所は15日、2000年9月に起きたGongadze記者殺害の罪で、元内務相職員3人に対し、懲役12年と13年の判決を言い渡した。クチマ前大統領に批判的であったGongadze記者は、失踪の2カ月後に首無し死体としてキエフ郊外で発見された。

08/03/18
ユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相は17日、NATO事務局長de Hoop Schefferに対し、4月にブカレストで開かれるNATOサミットにおいて、ウクライナの加盟に関する行動計画を求める要請を行った。1月半ばに、Yatsenyuk最高会議議長を加えて行った同様の要請は、1カ月以上議会が混乱するきっかけとなった。

08/03/19
最高会議は18日、内閣法の第1読会を承認し、またキエフ市長の早期選挙を決議した。大統領から提出された内閣法の改定案によると、内閣は国家安全保障会議の決議に拘束される。キエフ市長選は決議の公布から70日以内に実施される。

08/03/20
カナダとNATOに最近加盟した9カ国は、NATO事務総長de Hoop Schefferに対し、ウクライナとグルジアのNATO加盟に賛成する非公式ノートを送った。一方、ドイツとフランスは、ウクライナのNATO加盟は時期尚早との立場をとっている。

08/03/25
最高会議は20日、450議席中440の賛成で、「国家購買法」の廃止を採択した。従来の国家購買法は、不透明で汚職の温床と指摘されていた。最高会議は内閣に対し、2週間以内に新たな購買法を策定するよう義務づけた。

08/03/26
ユーシェンコ大統領は25日、3月31日までにガスプロムとのガス供給契約を解決するよう促した。大統領によると、1月1日からのガス代金として20億ドルの負債をウクライナは抱えている。

08/03/27
ユーシェンコ大統領は26日、ヨーロッパの新聞とのインタビューで、ウクライナのNATO加盟は国家主権の問題であり、加盟に向けて賛同を得られると確信していると述べた。一方、ロシア次期大統領メドベージェフは、ウクライナのNATO加盟はヨーロッパの安全保障にきわめて複雑で困難な問題をもたらす、と述べている。

08/03/28
最高裁は27日、憲法裁判所判事Stanikを復権させる決定を行った。ユーシェンコ大統領は2007年5月、最高会議を早期解散する大統領令の合憲性審査にあたっていたStanikを「宣誓違反」の理由で解任した。Stanikには汚職の容疑もあったが、検察当局は立件しなかった。

08/03/31
ブッシュ大統領は訪問先のベルリンで29日、4月2-4日にブカレストで開かれるNATOサミットにおいて、ウクライナとグルジアのNATO加盟が決定されることはないが、加盟に向けての展望をしめすべきだ、と述べた。




2008年2月

08/02/01
ウクライナ憲法裁判所は1月31日、最高会議議員が他の職をもつことを禁ずる法律は憲法に反していると決定した。議員が別の職業をもつことを禁ずる法律は2年以上前に採択されたが、一部の議員はその合憲性を憲法裁判所に訴えていた。

08/02/04
ティモシェンコ首相は2日、国家安全防衛評議会(RNBO)が前日、ウクライナへガスを供給しているRosUkrEnergoのサービスを受けることを止める決定をしたと述べた。一方、RNBO議長のユーシェンコ大統領は、首相の発表と異なり、ガス供給に関する統一的意見を10日以内にまとめる決定を行ったと述べた。

08/02/05
Ohryzko外相は4日、ウクライナは自身をヨーロッパの一部と考えており、EUとの協力は自明のことである、と語った。ウクライナのEU加盟は、ウクライナ・EU行動計画、自由貿易、ビザ自由化といった一連のステージの後であると述べた。

08/02/06
最高会議で5日、第2会期がはじまったが、NATOに対する方針をめぐって野党側が演壇を選挙した。野党地域党は、NATO加盟に関してはまず国民投票の実施を要求している。ユーシェンコ大統領は5日に施政方針演説を予定していたが延期になった。

08/02/07
最高会議議長Yatsenyukは6日、議会の早期解散は幻想であり、12日から議会が活動するよう努力すると述べた。一方、地域党のヤヌコービッチは陰の内閣で、早期解散の可能性を指摘した。

08/02/08
ティモシェンコ首相は7日、ウクライナへの天然ガス供給に問題はない、と述べた。一方、ガスプロムのKupriyanov広報官は、ガス代金を支払うか新たな契約を締結しなければ、2月11日からガス供給を削減すると述べている。前の燃料エネルギー大臣Boykoによると、ウクライナは現在、契約文書無しにガス供給を受けている。

08/02/11
ユーシェンコ大統領は8日、ティモシェンコ首相に対し、ウクライナへのガス供給が中断されないよう要請した。ガスプロム会長Millerはユーシェンコ大統領に、ウクライナ・ロシア間のガス問題が解決されなければ、11日からガス供給を削減するという電報を送った。

08/02/12
ティモシェンコ首相は11日、ロシアへのガス代金負債を支払うと述べた。ガスプロムによると負債額は15億ドルで、2007年10月以降支払われていない。ガス供給問題は、12日にモスクワで予定されているユーシェンコ、プーチン会談の主要議題となる。

08/02/13
ユーシェンコ大統領とプーチン大統領はモスクワで12日、1対1で3時間の会談を行った。会談後の記者会見で両大統領は、ガス問題で合意に至ったと発表した。ウクライナ側は14日からガス負債の支払いをはじめ、また今年のガス価格の決め方について合意した。

08/02/14
ティモシェンコ首相は13日、モスクワでのガス供給合意は民主的チームの勝利であったと述べた。「両大統領の決定で、仲買業者が排除され、ガス供給に絡む汚職が一掃される」と述べた。

08/02/15
Yehanurov国防大臣は14日、軍隊の完全志願制移行にともなう費用は495億フリブナ(98億ドル)で、今年度は110億フリブナを要すると報告した。ウクライナ軍は現在20万人だが年末には19.1万人になる。志願制移行後は14.3万人となる予定。

08/02/19
ユーシェンコ大統領は18日、最高会議議長Yatsenyukと会談し、最高会議の行き詰まりは最高会議内で解決すべきだと述べた。最高会議は、NATO加盟問題で地域党が演壇占拠を続けているが、法律によると、議会が30日以上機能しない場合は、大統領が議会を解散できる。

08/02/20
我らのウクライナ・人民防衛ブロック(NUNS)を構成する最大党派である「我らのウクライナ人民連合」から、6人の議員が党から離脱する意向を表明した。6人は、先に離脱を表明した大統領府秘書長Balohaと合同する。彼らが党から離脱しても議席に留まるので、与党連立が崩れるわけではない。

08/02/21
ティモシェンコ首相とロシアのズブコフ首相はモスクワで20日に会談し、1週間前にユーシェンコ大統領とプーチン大統領の間でかわされたガス供給に関する合意を確認した。ウクライナ側は早急に負債を支払い、2008年のガス価格を1000立方m当り179ドルとする。しかし、仲買業者の排除について意見の不一致があった。

08/02/22
最高会議議長Yatsenyukと野党地域党リーダーのヤヌコービッチが21日に会談し、議会行き詰まりを打開するため25日に各党派代表が集まった円卓会議を開くことで合意した。地域党は、NATO加盟に向かってステップを進めるときは国民投票を実施するという議会決議を要求している。

08/02/25
ユーシェンコ大統領は23日、憲法改定は、まず最高会議で採択され国民投票にかけるのが正当な手順であるが、議会が拒否した場合には直接国民投票に問う可能性を表明した。大統領は昨年12月、新憲法策定のための憲法審議会の設置を提案している。

08/02/26
最高会議の各派代表が集まって25日、議会行き詰まり打開のための円卓会議が開かれた。地域党リーダーのヤヌコービッチは、最高会議議長Yatsenyukが大統領や首相と一緒に、ウクライナのNATO加盟への行動計画案を求める手紙をNATO議長に書いたのがことの発端であると述べた。各派の代表からなるワーキンググループを作って事態の打開案を練ることになった。

08/02/27
ガスプロム報道官Kupriyanovは26日、ウクライナ側が必要な契約にサインしなければ3月3日からガス供給を25%削減すると述べた。プーチン大統領は、ユーシェンコ大統領に電話で、ウクライナのガス負債がまだ完全には支払われていないと伝えた。ユーシェンコ大統領は、ティモシェンコ首相に負債を全額支払うよう指示した。

08/02/28
地域党リーダーは訪問中のブリュッセルで27日、ウクライナの現在の政治状況は「ヨーロッパ的価値に基づく話し合いで解決される」と述べた。ヤヌコービッチは、ウクライナのNATO加盟問題は国民投票によってのみ進められると繰り返した。

08/02/29
28-29日にキエフで開かれる、第2回ヨーロッパ・ウクライナフォーラムに、各国の代表、経済人、政治家、NGOなど約450人が参加した。ユーシェンコ大統領は、2008年のウクライナの主要な目標はEU準加盟国の地位を得ることで、さらに憲法改革、反汚職法の制定をめざすと演説した。




2008年1月


08/01/02
最高会議は12月28日、賛成227票で2008年度予算を採択した。ティモシェンコブロックと我らのウクライナ以外に、共産党から8人が賛成した。収入は2154億フリブナ(426億ドル)で支出は2354億フリブナ(466億ドル)。

08/01/03
ティモシェンコ首相は2日、ウクライナ国営石油ガス公社Naftohazのガスタンクはほとんど空っぽで、Naftohazは破産寸前であると述べた。首相は、Naftohazの経営状態を調査するための委員会を設置する必要があると述べた。

08/01/04
ティモシェンコブロックは4日、最高会議にソ連時代の貯蓄目減り補償に関する法案を提出した。法案によると、現金では1000フリブナ(198ドル)までを支払い、残りは土地や株といった資産で補償する。

08/01/07
ティモシェンコ首相は4日、「前内閣は17%という前代未聞のインフレを残した」と語り、経済省、財務省、農業省、燃料エネルギー省、国税省に対しインフレ対策を策定するよう指示した。

08/01/09
ティモシェンコ首相は8日、炭坑会社の経営状態について過去5年間の監査を実施すると述べた。首相によると、炭坑会社は、市場価格より安く石炭を売り、各装置を市場価格より高く購入している。「石炭産業の乱脈を暴いて責任者を処罰する」と首相は述べた。

08/01/10
ティモシェンコ首相は9日、ソビエト時代の「貯蓄銀行」個人資産目減りの補償を11日から開始すると発表した。2008年は200億フリブナ(39億ドル)を支払い、そのうち60億フリブナを現金で払う。

08/01/11
ウクライナ外務省は11日、言語問題を煽っているとしてロシア側を批判した。ウクライナ憲法裁判所が最近、外国映画はすべてウクライナ語に吹き替えるか字幕を付けるという決定を行ったことに対して、ロシア外務省は、マイノリティ言語に関するヨーロッパ憲章違反であると批判していた。

08/01/14
Yekhanurov国防大臣は12日、ウクライナ陸軍を2010年末までに完全志願制に移行させ、その費用として500億フリブナ(100億ドル)が必要になると述べた。海軍は今年から志願制になる計画である。

08/01/15
ティモシェンコ首相は14日、大統領から最高会議に提案された内閣法などの改定案について、土地所有制度、税制、反汚職対策などに対する政府権限を認めており、それらを支持すると述べた。先に首相は、政府権限が制限されるなら次の大統領選挙への立候補を考えると述べていた。

08/01/16
ユーシェンコ大統領、ティモシェンコ首相、Yatsenyuk最高会議議長は15日、Scheffer NATO議長に対し、4月のNATOサミットにおいてNATOメンバー計画にウクライナを含めるように要請する書簡を送った。書簡では、ウクライナのNATO加入に際しては国民の意見を確認するとされている。

08/01/17
ティモシェンコ首相は16日、「ウクライナでの民営化で、これ以上いかがわしいことはさせず、民営化プロセスを透明化する」と述べた。現在28の企業の民営化が予定され、2008年予算では85億フリブナ(16億ドル)の収入が見込まれている。

08/01/22
最高会議で18日、地域党と共産党の野党議員が、Yatsenyuk議長によるNATOへ書簡の署名に抗議して壇上を占拠した。「書簡はNATO加盟への第一歩を開始するものだが、そんなことをウクライナでは決めていない」と地域党のShufrych議員は語った。

08/01/23
ユーシェンコ大統領は22日、議会各派のリーダーと会談し、2007年12月に設置された憲法審議会への代表を決めるよう要請した。「野党代表が参加することが最も重要だ」と大統領は述べた。地域党のヤヌコービッチ党首は、「しかるべき段階で、我々の党も参加する」と述べた。

08/01/24
ウクライナ外務省は23日、ウクライナのNATOへの接近はヨーロッパの安定を南や東へ拡大するものだと表明した。一方、ロシア外務省は、ウクライナがNATOへ加盟するなら両国関係にしかるべき再検討が必要となる、と発表した。

08/01/25
最高会議議長Yatsenyukは25日、「ウクライナのNATO加盟について、現在の状況で国民投票を実施する理由はない」と述べた。野党地域党側からの国民投票の要求に応えたもの。「ウクライナのNATO加盟は、今日や明日の話ではなく、5年、10年先の問題である」と議長は述べた。

08/01/28
大統領府秘書長Balohaは26日、NATO加盟に関する国民投票は、加盟直前にならないと実施されないと述べた。一方、野党地域党は先週から、NATO加盟についての国民投票を求めて最高会議の壇上占拠を続けている。

08/01/29
ティモシェンコ首相は28日、2日間の日程でブリュッセルを訪問し、EU議長Barrosoらと会談した。Barrosoは、「ウクライナの民主的な政治的安定と改革を期待する」と述べ、ティモシェンコ首相は、「WTO加盟が、ウクライナの世界市場への参加を促進するだろう」と述べた。

08/01/31
ティモシェンコ首相は30日、来るべきモスクワ訪問では、ロシア産天然ガスのウクライナ・トランジット料金の値上げについて協議すると述べた。ティモシェンコ首相は2月22-23日にモスクワ訪問を予定している。