ウクライナ国内ニュース

1999年1月〜1999年3月

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1999年1月

99/1/4 RFE/RL
AP通信によると、クチマ・ウクライナ大統領とブレア・イギリス首相は1230日、チェルノブイリの「石棺」の改造計画を援助するよう、10カ国のリーダーに対し共同アピールを発表した。ウクライナは、国際社会に対し、石棺を環境的に安全なものとするための支援を訴えてきた。これまでに約20カ国が、修理に必要な7億5800万ドルのうち、3億9000万ドルの供出を約束している。

99/1/4 RFE/RL
ロシア国家統計局によると、1998年のロシアのインフレは84.4%であった。1997年は11%であった。GDPは、1997年は0.8%増加したのに対し、1998年は5%の減少であった。1998年の工業生産は5.5%の減少であった。

99/1/6 RFE/RL
リトビツキー大統領補佐官によると、ウクライナの昨年のインフレは20%であった。9月が3.8%で、10月にロシア危機にあおりで6.8%に増加した。11月と12月は3%と3.3%であった。1997年は10%であった。リトビツキーによると、20%という数字は、隣国と比較して、許容の範囲にある。

99/1/11 RFE/RL
ウクライナ当局によると、昨年のウクライナの工業生産は、1997年に比べ1.5%減少した。1991年の独立以来、ウクライナの経済は縮小し続け、この間に38.4%減少した。

99/1/21 RFE/RL
ウクライナ政府の国家統計委員会によると、政府の年金と社会保障の未払い額は、1月1日の段階で20.1億グリブナ(5.87億ドル)であり、昨年12月1日と比べ2.07億グリブナ減少した。賃金未払いは、9.60億グリブナで、0.37億グリブナ減少した。クチマ大統領は7月1日までにすべての未払いを解消するよう命じている。

99/1/22 RFE/RL
ウクライナの中道右派政党3党(ルフ、共和キリスト教党、改革秩序党)は、今年後半に行われる大統領選挙において、前外務大臣ウドベンコを合同候補とすることで合意した。

99/1/22 RFE/RL
ウクライナ・ルハンスク州のいくつかの炭坑で、賃金の支払いを求めてストライキに入った。労働者は1988年3月から8月にかけての賃金支払いを要求している。

99/1/25 RFE/RL
AP通信によると、外国からの支援がなければ、ウクライナは1999年に債務不履行となる可能性がある。ウクライナが1999年に外国に支払うべき額は11.7億ドルであるが、自己調達は不可能であり、政府は新ローンを求めている。ウクライナテレビによると、昨年末の負債総額は115億ドルに達し、これはウクライナのGDP40%、輸出額の70%に相当する。

99/1/25 RFE/RL
ウクライナ野党のフロマダ党は、10月に予定されている大統領選挙候補として、前首相ラザレンコを指名した。ラザレンコは、昨年12月にマネーロンダリングの疑いでスイス当局に逮捕され、その後300万ドルの保釈金で釈放されている。ウクライナの検察当局は、国会に対し、氏の不逮捕特権の停止を求めている。

99/1/25 RFE/RL
ウクライナ・ルハンスク州の炭坑労働者で、37歳のアナトーリ・コナレフは1月22日、鉱山所長が彼との賃金支払いの交渉を拒否したことに抗議して自殺した。彼への未払い賃金は600グリブナ(175ドル)であった。

 

1999年2月

99/2/2 RFE/RL
AP通信によるとギャロップの世論調査で、1031日に予定されているウクライナ大統領選挙に対し、進歩社会党のビテレンコを支持する人が15%、クチマ現大統領13%で、社会党のモローズと共産党のシモネンコがそれぞれ10%であった。

99/2/3 RFE/RL
ウクライナのタラシューク外務大臣は2月2日ロンドンで、NATOEUの東欧への拡大は、ウクライナをふくめたヨーロッパにおける自由と民主主義の防波堤であり、EUに加盟することがキエフの目標であると述べた。

99/2/4 RFE/RL
ウクライナのタラシューク外務大臣は3日ロンドンで、ウクライナは、ロシア・ベラルーシ同盟に興味をもっていないし、民族主義に基づいてスラブ同盟を結成しようという試みは、危険であるし失敗するであろうと述べた。チェルノブイリ原発に関しタラシュークは、2000年の原発閉鎖を支援する1995年の協定を守るようEUG7に要望した。

99/2/8 RFE/RL
ドイツのフィッシャー外務大臣は6日、ボンで開かれたドイツ・ウクライナフォーラムにおいて、チェルノブイリ原発を閉鎖するよう求め、ウクライナが西欧に統合されるようドイツは支援すると述べた。キエフでは前日、1基だけ残っているチェルノブイリ原発は、修理の遅れで少なくとも3月2日まで運転停止が続くと発表された。

99/2/9 RFE/RL
ウクライナの原子力関係者28人が8日、原子力産業の窮状と政府の財政支援を訴える手紙を発表した。手紙にサインしたのは、原発所長、科学者、エネルギー関係者で、電気代の不払いにより職員の給料支払いや設備の更新ができず、原発が危険な状況で運転されていると述べている。

99/2/10 RFE/RL
ウクライナ政府は9日、グリブナの対ドル変動幅を、3.44.6グリブナに変更すると発表した。これまでは、昨年9月から2.53.5グリブナであった。公式レートは1ドル=3.43グリブナであったが、ブラックマーケットでは4グリブナだった。

99/2/19 RFE/RL
キエフで18日、約700人の原発労働者が、未払い賃金の支払いと原発への財政支援を求めてデモを行った。労働組合によると、原発労働者への未払い賃金は5200万グリブナ(1500万ドル)に達している。組合は、2月22日から3月6日の間の支払いがなければ、ハンストや出力の30%低下といった抗議行動を計画している。

99/2/22 RFE/RL
オルブライト米国務長官は18日、米議会において、ウクライナの経済改革には著しいものがあり、本年度に1億9500万ドルの援助を実施するようにと演説した。

99/2/23 RFE/RL
ウクライナ民族派政党で議会第3の勢力であるルフにおいて先週、48人の議員のうち30人がチョルノビル党首の不信任に賛成し、党首の政治的決定権が剥奪された。3月6日に予定されているルフ大会はチョルノビル賛成派と反対派の争いとなり、ルフは分裂の際に置かれている。クチマ大統領は、ルフの分裂に遺憾を表明し、統一を維持するよう要望した。ルフは、大統領支持ではないが、直接に対立しているわけでもない。

99/2/25 RFE/RL
ギャロップなどの調査によると、クチマ大統領の支持率は1月の13%から2月は21%に上昇した。進歩社会党のビトレンコは15%から17%に上昇し、共産党のシモネンコは13%から10%に低下、社会党のモローズは10%のままであった。大統領の選挙に投票に行くと答えた市民は約70%。

99/2/26 RFE/RL
ウクライナの原発労働者約500人が、5カ所の原発周辺のテントで、賃金の支払いと原発への政府の財政援助を求めて抗議行動を行っている。労働組合によると、未払い賃金は1億5000万グリブナ(4200万ドル)。
 
 

1999年3月

99/3/3
ウクライナ原子力公社のパルホメンコ長官によると、ウクライナの原発は旧式であるため、幸いにして西側のようなコンピュータの2000年問題はない。一方、原発労働者は、原発周辺にテントを作り賃金未払いに対する抗議行動をエスカレートさせている。

99/3/9
ウクライナの原発労働者組合は5日、賃金の支払いを求めて3月22日より5カ所の原発でストライキを行なうと発表した。6日には1万2000人の労働者が集会に参加し、原発周辺では約2000人がテントピケを続けている。

99/3/10
ウクライナのヤロスラフツェフ副首相は、できるだけ早くチェルノブイリ原発を閉鎖するようにというEUの要請に対し肩をすくめて回答した。EU側が、ただひとつ残っている原子炉の運転再開を再考するよううながしたことに対して答えたもの。

99/3/11
マルチネンコ大統領報道官は10日、2000年までにチェルノブイリ原発を閉鎖するというウクライナの約束は、G-7による財政支援という条件のもとで守られる、と語った。ウクライナは、建設中原発2基の完成費用12億ドルを代替に求めている。

99/3/12
国家電力委員会は10日、4月1日より電気代とガス代をそれぞれ20%と25%値上げすると発表した。一方、労働組合連合によると、国民の70%は新料金での支払いが困難となるであろう。

99/3/17
ウクライナ議会は17日、クチマ大統領に対する弾劾手続きを開始する決議案を、賛成160票対反対57票で否決した。採択には総議席数450の過半数の226票が必要。弾劾の発議は共産党であるが、議会が通過させた法律に対する大統領の拒否権をめぐって対立がおきている。

99/3/18
国家統計委員会によると、1999年1-2月のウクライナの工業生産は、前年同期に比べ2.1%減少した。一方、GDPは4.2%の減。

99/3/22
ウクライナ最高会議は19日、米国との民用原子力協力協定を批准した。この協定により米国より原子力機材の輸入が可能となる。

99/3/25
ウクライナ議会は、賛成250、反対63、棄権5で、黒海艦隊分割に関するロシアとの協定を批准した。1997年5月にエリツィンとクチマの両大統領が調印していたもの。ロシア側が460隻でウクライナ側が162隻。さらに、ロシアはウクライナに5億2600万ドルを支払い、セバストポリ港を2017年まで使用する。

99/3/29
ウクライナ民族派政党ルフのチョルノビル党首が25日、自動車事故により死亡。

99/3/30
クチマ大統領やプストボイテンコ首相など1万5000人が、チョルノビル元ルフ党首の葬儀に参列。チョルノビル氏は、ウクライナ独立に向けたたかった闘士で、ソ連時代には15年間投獄されていた。