ウクライナ国内ニュース

1999年4月〜1999年6月


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1999年4月

99/4/12
プストボイテンコ首相は4月9日、徴税目標が達成されていないという報告を受けた後、徴税担当官の給料をカットする命令を出した。1〜3月の徴税額は34億グリブナ(8億6500万ドル)で目標の82%だった。政府の未収税額は139億グリブナに達している。

99/4/16
ウクライナ経済省の発表によると、今年第1四半期のウクライナのGDPは、前年同期に比べ4.2%減少した。1〜3月のインフレは3.5%であった。

99/4/20
ヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)は、チェルノブイリ原発閉鎖の代替補償として予定されている、2基の原発建設資金提供の決定を延期した。EBRDのフランク副頭取によると、安全性の問題、電力バーター貿易の縮小、エネルギー産業の市場化などの問題が残っている。

99/4/23
共産党の国会議員たちは4月22日、社会保障の増額を決めた法案に対する大統領の拒否権行使に抗議して最高会議から退場した。122議席の最大派閥である共産党委員長シモネンコは、他の政党が拒否権否決に賛成しなければ、今後一切の審議に参加しないと述べた。

99/4/26
ウクライナ議会は23日、NATOとの協力を制限する決議を採択した。NATOのユーゴ爆撃を非難するとともに、クチマ大統領に、NATOとの協力について議会の承認を得るよう要求している。また、戦略爆撃機と戦略核ミサイルサイロの解体を即時に中止するよう加えている。

99/4/27
クチマ大統領は4月26日、放射線医学センターの新ビルの開所式で、「あらゆる困難にかかわらず、国家はチェルノブイリ事故被災者の救済に全力を尽くすであろう」と述べた。キエフの追悼式では、約1000人が事故処理の犠牲者に花輪をささげた。保健省によると、1986年以来4365人の事故処理作業者が死亡した。事故による直接、間接の影響で16万7653人のウクライナ人がこれまでに死亡した。

99/4/29
国家統計局によると、第1四半期のウクライナのGDPは昨年同期に比べ4.8%減少した。工業生産は2%減少したが、私営農家からの農業生産は2.4%増加した。しかし、農業全体では0.5%増にとどまった。
 
 



1999年5月

99/5/3
ウクライナ全国で約20万人がメーデーのデモに参加した(ドネツク州で10万人)。キエフでは約4000人が、旧ソ連の旗やスターリンのポートレートをかかげて行進した。

99/5/11
独立民主イニシアティブとギャラップの4月の調査によると、ウクライナ大統領候補としてもっとも人気があるのは、進歩社会党の女性議長ビトレンコで19%の支持。ついで、クチマ現大統領(17%)、モロス社会党リーダー(10%)、シモネンコ共産党リーダー(8%)。大統領選挙は10月31日。

99/5/13
ウクライナ駐在のIMF代表は5月12日、ウクライナの外貨準備不足に関連して、外国債権者とクレジット返済延期の交渉をする必要があると発表。ウクライナの大蔵大臣によると、1999年に返済すべき債務は19億ドルで来年は24億ドルであるが、4月末の外貨準備は8.96億ドル。

99/5/17
10月31日に投票が行なわれる大統領選挙の主な候補者の顔ぶれは次の通りである。クチマ現大統領を指示しているのは、人民民主党、自由党、合同社会民主党である。モローズは社会党党首で、社会民主党の指示も得ている。共産党の候補はシモネンコ。進歩社会党はビトレンコ。マルチューク前首相は、社会民主連盟、農業民主党、共和党、キリスト人民党に、合同社会民主党の一部の支持を得ている。分裂したルフの2派は、それぞれウドベンコとコステンコを候補に押している。

99/5/18
ウクライナの1〜3月の輸出は24.3億ドルで前年同期に比べ11.4%の減少、輸入は28.9億ドルで18.9%の減少であった。

99/5/24
クチマ大統領は21日、外国の投資家たちに対し、10月の大統領選挙は予想とおりの結果となり、驚くような事態は起きない、と再選への自信を述べた。同日の新聞によると、クチマ大統領の1998年の所得は1万9218グリブナ(4888ドル)であった。また、ミチュコフ大蔵大臣によると、ウクライナの負債はこの4カ月で10億ドル増加し、合計124億ドルとなった。

99/5/25
ドネツク週のザシャコ炭坑で5月24日メタン爆発があり39人が死亡し、48人が病院に収容された。ウクライナの鉱山では1998年中に358人が死亡し、今年は24日の爆発前までに80人が犠牲になっている。

99/5/31
最高会議議長で農業党党首のトゥカチェンコ氏が29日、10月の大統領選挙に出馬すると発表した。トゥカチェンコ氏は、クチマ現大統領に対抗する左翼側からの最有力候補と見られている。中央選管によると、これまでに大統領候補の登録を行なったのは17人。
 
 

1999年6月

99/6/1
5月30日のキエフ市長選挙の予備的開票結果によると、オメルチェンコ現市長が76%の得票率で再選された。

99/6/3
6月2日に発表された国際政治研究センターのレポートによると、ウクライナのGDPは1999年に4%、2000年に1%の減少が予測される。最も大きな問題は、30億ドルの対外債務の支払いである。ウクライナ国民の実質収入は、1999年に2.5%、2000年に3%減少の見込み。

99/6/9
キエフの「ビジネス」紙によると、ウクライナの対外債務は、5月1日の時点で124億ドルに達している。うち、27.9億ドル(24.3%)はIMF、18.9億ドル(16.5%)はロシア、12.1億ドル(13.8%)は世界銀行への債務である。

99/6/11
ウクライナ政府は今週、オランダのING-Baring銀行への1億6300万ドルの債務支払いが不可能となり、繰り延べの交渉に入った。20%のみ支払って残りは国債とすることを提案する。

99/6/14
東ウクライナのクラスノドンから200人の鉱山労働者が、14ヶ月以上の賃金未払いに抗議してキエフへの行進をはじめた。独立鉱山労働者組合によると、鉱山労働者への賃金未払いは3億4600万ドルで、来月には大規模な抗議行動が計画されている。

99/6/17
Martynenko大統領報道官によると、クチマ大統領はG-8がウクライナのロブノとフメルニツキ原発の完成資金を供出することを期待している。チェルノブイリ原発閉鎖の代替に援助することを1995年にG-7は約束している。先週のケルンサミットに反応したもの。ドイツ議会の環境委員会は6月15日に、原発建設への資金援助に反対する決定をしている。一方ロブノ原発では、グリーンピースの活動家が"No Western Money for New Chernobyls"という横断幕で抗議行動。

99/6/21
ケルンのG-8サミットは6月18日、チェルノブイリ原発閉鎖の代償として2原発を完成させるためのウクライナに対する12億ドルの供与を決定することに失敗した。シュレッダー・ドイツ首相が、連立している緑の党からの強い反対を受けたもの。他のG-8リーダーは賛成した。

99/6/23
6月に実施された世論調査によると、10月31日の大統領選挙候補の支持率は、クチマ現大統領が25%で第1位。これまトップだったVitrenkoが19%で、SymonenkoとMorozが11%と7%で続いている。