ウクライナ国内ニュース

1999年7月〜1999年9月


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1999年7月

99/7/1
中央選管は、10月大統領選挙候補としてクチマ現大統領と共産党リーダーSymonenkoを承認した。クチマは164万の署名、120万の署名を提出した。残りの16人の候補も7月13日までに100万以上の署名を集める必要がある。

99/7/7
ウクライナ議会は7月6日、Pustovoytenko内閣に対する不信任案を否決した。不信任案は共産党の主導によるもので、226票が必要であったが182票しか賛成がなかった。

99/7/8
フラマトムを含むフランスの3社企業体が、チェルノブイリ原発の廃棄物処理場建設の契約を締結した。ヨーロッパ復興開発銀行が7200万ドル出資し、2003年までに3000トンの処理が可能な施設を建設する。チェルノブイリ原発閉鎖へ向けてのワンステップでもある。

99/7/9
ドイツのシュレッダー首相が8日にキエフに到着し、チェルノブイリ原発閉鎖の代替としてガス火力か石炭火力を建設するよう、ウクライナ側の説得を行なう。ウクライナは、建設中原発2基の完成に向けての援助を望んでいる。

99/7/12
チェルノブイリ原発閉鎖に関する9日のクチマ大統領とシュレッダー・ドイツ首相の会談は不成功に終わった。ウクライナ側は、あくまでも建設中原発2基が完成するまではチェルノブイリ原発を閉鎖しないと主張。

99/7/19
クチマ・ウクライナ大統領、Lucinschiモルドバ大統領、スミルノフ・沿ドニエステル分離派リーダー、ステパーシン・ロシア首相による沿ドニエステル紛争解決のためのキエフサミットは合意に至らなかった。モルドバは、沿ドニエステルに大幅な自治を認める用意があるが、沿ドニエステル側は、対等な連邦を望んでいる。

99/7/20
チェルノブイリ原発で7月17日、原子炉の安全点検中に2人の作業員が被曝した。ガンマ線源の容器から中身の一部が落ちたために被曝し、被曝量は9.8レムと8.3レムであった。

99/7/21
ヨーロッパ復興開発銀行はウクライナの原発運転公社エネルゴアトムと、チェルノブイリ「石棺」の改修のため1億1500万ドルを供与する契約を締結した。石棺の安全性モニター機器の購入など、2005年までの安全プログラムで費やされる。

99/7/23
キエフの地方裁判所が、5月30日に実施されたキエフ市長選挙の無効を決定した。選挙で敗れた、Surkis氏とHrabar氏の訴えを受けたもので、選挙費用の不正、マスコミ利用の不公平を認めたもの。選挙では、Omelchenko前市長が、76.5%という圧倒的な得票で買っている。

99/7/23
Luhansk州のKrasnodonで7月22日、約1000人の婦人と子ども達が夫の給料支払いを求めて、40km離れた州都への行進をはhじめた。一方、Krasnodon地区の数百人の鉱山労働者が今月はじめから、800km離れたキエフへの行進を続けている。鉱山労働者への未払い賃金は4億7800万ドル。

99/7/26
1991年の独立以来はじめて、ウクライナとロシアの合同による黒海艦隊記念式が、7月25日セバストポリで開かれ、ルシコフ・モスクワ市長が参列した。

99/7/26
「クチマ大統領のリーダーシップとこの5年間のウクライナにおける具体的な成果に対し、個人的な敬意をこの機会に表明したい」、EU議長国であるフィンランドのLipponen首相は7月23日キエフでこのように演説した。Lipponen率いるEU使節団は、石油輸送と原子力安全研究に関する協定に調印し、Lipponen氏はウクライナの建設中2原発の完成に賛成すると述べた。

99/7/27
ウクライナ最高裁判所は7月26日、5月のキエフ市長選挙が無効であるとする地方裁判所の決定を凍結すると決定した。

99/7/28
ウクライナ議会汚職摘発委員会のOmelchenko委員長は7月27日、クチマ大統領が彼の暗殺を命令しているとジャーナリストに語った。殺し屋はロシアの2つのグループで、50万ドルの契約とのこと。暗殺命令は、ウクライナ高官の外国銀行預金の調査と関連している。

99/7/29
中央選管は、10月大統領選挙の6番目の候補として、前外務大臣でルフ分派のリーダーであるUdovenko氏の賛同署名を承認した。これまでに、クチマ現大統領、Symonenko共産党リーダー、Marchuk前首相、Moroz氏、Tkachenko議会議長が承認されている。中央選管に署名を提出したのは15候補である。

99/7/30
中央選管は、大統領選挙候補として、進歩社会党のVitrenko議長と前環境大臣でルフ分派リーダーであるKostenkoを承認し、候補者の合計は8人となった。
 
 



1999年8月

99/8/2
中央選管は7月31日、チェルカッシ市長のOliynykを大統領候補として承認し、10月の選挙は9人の候補で争われることになった。他の事前候補は、100万人の支持署名を集められなかった。

99/8/3
6月の世論調査では58%の人々が、大統領選挙は不公平に行われると考えており、57%が選挙結果によって何も変化は起きないと考えている。一方、7月の世論調査では、クチマ支持24.3%、Vitrenko 17.4%、Symonenko 13.1%、Moroz 7.2%、Marchuk 4.3%、Udovenko 3.6%、Tkachenko 2.5%99/8/4

99/8/4
クチマ大統領は3日、最低年金額を月16.6グリブナ(4.15ドル)から24.9グリブナに引き上げる法律に署名した。議会は以前に55グリブナに引き上げる法案を通過させていたが、大統領の拒否権発動に会い、7月中旬に法案を修正したもの。46グリブナ以下の年金受給者は、21.1グリブナまでの手当を受けることができる。

99/8/5
ウクライナの為替マーケットは4日、国立銀行の公定最低レート1ドル=4.6グリブナを超える、1ドル=4.7グリブナ以上での取引を行なった。国立銀行総裁Yushchenkoは5日、燃料コストなどのため通貨が危機の状態にあると表明。民間銀行は利ざや稼ぎを狙っており、国立銀行には支える資金がない。

99/8/6
エネルゴアトム原子力公社の労働者組合は5日、原子力産業が危機的な状況にあるという声明を発表した。不公平な課税制度が原発産業を破産に陥れているており、ロシアの燃料供給に対し支払いできず、今年の秋・冬に原発が稼働できるかどうか分からないと述べている。
 

99/8/9
ウクライナ最高裁判所は8月6日、中央選管に対し、社会民主党リーダーのV.Onopenkoを大統領候補として登録するよう命令を出した。選管は先に、Onopenkoが提出していた144万の署名のうち84.5万だけが有効として、登録を拒否していたもの。

99/8/11
最高裁判所は8月10日、中央選管に対しO.Rzhavskyyを大統領候補として登録するよう命令を出した。Rzhavskyyは12番目の候補で、さらに3人の候補について審査中。

99/8/13
統計委員会によると、1月から6月のウクライナの貿易額は108億ドルで、昨年同期に比べ24.6%減少した。同じ期間の外国からの投資は2億6500万ドルで、昨年に比べ48.8%の減少。1999年7月1日の人口は4989万人であるが、1991年末は5204万人であった。

99/8/13
最高裁判所は8月12日、14番目の大統領候補として、緑の党リーダーのV.Kononovを登録するよう中央選管に対して命令を出した。

99/8/16
独立鉱山労働者組合は8月13日、政府が給料未払いを減らさなければ、大規模な抗議行動で石炭の供給を止めると声明した。ドネツク週では2000人以上の鉱山労働者がストライキ中。給料の未払いは、1999年になってからの1億4500万グリブナを含め、20億グリブナ(4億3500万ドル)以上である。

99/8/17
ウクライナ最高裁判所は中央選管に対し、祖国防衛党リーダーのY.Karmazinを大統領候補として登録するよう命令を出した。選管は、Karmazinが提出した170万の署名のうち84.9万のみが有効としていたもの。Karmazinは15番目で最後の候補となるであろう。

99/8/20
社会モニターセンターは8月19日、8つの州で実施した、国家に対する住民意識の世論調査結果を発表した。ウクライナの独立に賛成の住民は46%で、反対派が38%、どちらでもないが8%、決めていないが8%であった。ウクライナ国民であることを誇りに思う人は46%で、そうでない人は40%であった。

99/8/23
O.Haryacha労働省次官は8月20日、政府の未払い賃金は19億グリブナ(4億1300万ドル)で、未払い年金は10億グリブナであると発表した。クチマ大統領は10月までに未払いをなくすよう命令しているが、期日までに支払われるのは一部だけである。S.Tyhypko副首相は同日、未払い分の支払いのため世界銀行から1億ドルとローンを受けると発表した。

99/8/24
独立8周年記念日前日の8月23日クチマ大統領は、ソビエト時代に戻ることはできず、経済・農業の改革と外国負債問題の解消を実行しようと呼びかけた。大統領によると、ウクライナのGDPは2000年に2%の成長に転じ、以降4?6%の成長となる。また、改革を妨害しているものとして、旧ソビエト制度と議会を批判した。

99/8/25
4人の大統領候補;国会議長O.Tkachenko、前首相Y.Marchuk、前国会議長O.Moroz、チェルカッシ市長V.Oliynykは8月24日、大統領選挙で共同戦線を組むと発表した。「最終的な候補者名は後に発表するが、第1回投票で過半数を獲得することになろう」と声明。

99/8/26
8月25日の段階でのウクライナの穀物収穫は2110万トンで、昨年同日の2250万トンにほぼ同じであった。先週のPustovoytenko首相の予測によると、今年の収穫量は2700万トンを上回り、昨年より50万トン多い見込み。
 
 



1999年9月

99/9/1
S.Tyhypko副首相は8月31日、ウクライナが債務支払い不能になるというムーディの予測は尚早であると批判。2000年の予算案により、予定されている債務の支払い(33億ドル)は可能である。

99/9/1
ウクライナ原子力公社の話によると、冬の電力供給のため、チェルノブイリ原発は2000年までには閉鎖されそうにはない。ウクライナは1995年に、2期の建設中原発を完成するための西側援助と引き替えにチェルノブイリ原発を閉鎖すると約束しているが、援助にかかわらず、原発完成には2年以上が必要である。

99/9/3
ウクライナ内閣は、2000年の予算案を承認した。GDPの見込みは1508億グリブナ(343億ドル)で2%の延び。インフレ率は年12%で、今年見込みの19.1%から減少。グリブナのレートは、1ドル4.4グリブナから5グリブナへ下がる見込み。

99/9/7
8月末に実施されたソシス・ギャラップによる2400人を対象とした大統領選挙世論調査では、クチマ支持30.61%、Natalya Vitrenko23.03%、Petro Symonenko19.88%、Yevhen Marchuk6.52%、Oleksandr Moroz6.38%、Oleksandr Tkachenko2.78%、Hennnadiy Udovenko2.63%、Yuriy Kostenko1.20%、Vasyl Onopenko0.45%、Volodymyr Oliynyk0.23%であった。

99/9/8
秋の国会冒頭の9月7日、Tkachenko議長は、クチマ大統領が10月31の大統領選挙に向けて不正な手段を使っていると非難した。政府はクチマ再選本部となり、地方当局は再選のために働くよう命じられている。マスコミは、他の候補について「ウソの情報」を流している。

99/9/9
S.Tyhypko副首相は9月8日、新任日本大使との会談の後、日本から8000万ドルの融資を受けると発表した。

99/9/10
9月10?11日、黒海沿岸のヤルタにおいて、ウクライナ主催による「バルチック・黒海協力フォーラム:21世紀のヨーロッパ統合に向けて」という国際会議が開催され、22カ国の代表が参加し、大統領サミットや高官ミーティングが開かれる。

99/9/14
ウクライナ政府は2000年の予算案を作成した。歳入総額は374億グリブナ(約80億ドル)で、国有財産の売却により25億グリブナを予定し、売却リストを議会に提出する。

99/9/20
ウクライナ議会は9月19日、最低年金を、現行の月24.9グリブナ(5.4ドル)から55グリブナに引き上げる法案を、299対8で決定した。クチマ大統領は法案にたいし拒否権を使うものと見られる。年金基金委員長のB.Zaychukは、年金増加のための財源(97億グリブナ)がない、と発表した。

99/9/21
9人の大統領候補:Y.Marchuk、O.Moroz、O.Tkachenko、P.Symonenko、V.Olinyk、O.Rzhavskyy、M.Haber、Y.Karmazin、O.Bazylyukは、10月31日の投票の際に、合同で独立集計センターを設置することに合意した。

99/9/27
クチマ大統領は9月26日、ガス供給に伴うロシアへの負債を新造した船で支払う用意があると発表。ウクライナはガスの70%がロシアからの輸入で、負債額は18億ドルに達している。

99/9/29
クチマ大統領と地方当局連盟は共同で27日、憲法修正に関する国民投票を提案する宣言にサインした。クチマ大統領は2院制に賛成。