ウクライナ国内ニュース

1999年10月〜1999年12月


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1999年10月

99/10/1
9月のはじめに実施された1200人を対象とする世論調査では、10月31日の大統領選挙が公正に実施されると考えている人は5%だけだった。43.9%は大幅な不正を、26.7%は若干の不正を予測している。60.6%は、誰に投票するかまだ決めていなかった。

99/10/4
10月2日ドニプロペテロフスク州で、Natalya Vitrenko候補の集会に集まっていた人々に対し、2つの手榴弾が投げつけられ約30人が負傷し、18人が入院した。クチマ大統領は翌日、14人すべての候補の警備を強化するよう命令を出した。

99/10/4
ウクライナの炭坑の過半数におよぶ209の鉱山で、10月1日から1週間の抗議運動が始まった。労働者の要求は、炭坑への補助金の増額、未払い給料の支払い、炭坑の民営化反対などである。

99/10/6
9月17〜24日に実施された大統領選挙に関する世論調査によると、現大統領クチマ支持が24.8%、次いでVitrenkoが12.2%であった。さらに、Symonenkoの9.9%、Morozの8.6%、Marchukの4.9%、Tkachenkoの2.8%、Udovenkoの1.2%となった。選挙に行くとこたえたのが81.5%で、行く気はない14.4%だった。

99/10/12
Omelchenkoキエフ市長は、公営地の分譲を開始した。非農業の土地が対象で、1月の大統領令に基づくもの。価格は、キエフ市内で1ヘクタール当り20万〜50万グリブナ(44400〜111000$)となる。ウクライナの平均価格は、10万グリブナ。

99/10/15
国家統計委員会の10月14日の報告によると、1999年1〜9月のGNPは、昨年同期に比べ1.7%減少した。

99/10/18
ウクライナ政府委員会は10月15日、チェルノブイリ原発を2000年夏まで運転すると発表した。当局によると、その時点で核燃料がなくなってしまう。チェルノブイリ原発で運転可能なただひとつの原発は現在補修中で、12月に運転再開の予定。

99/10/20
「連帯」労働組合は10月19日、約750人のメンバーが、ウクライナ政府と議会の前で、クチマ政権反対と給料の支払いを求めピケットを行なった。

99/10/21
通貨管理当局によると、7月1日以来、流通中の貨幣量が12.3兆グリブナ(5億7000万$)ほど増加した。その理由は、10月31日の選挙に合わせて、未払い賃金や年金の支払いが実施されたことにある。グリブナの公式レートは、1$3.95グリブナから1$4.46グリブナに低下、ヤミでは1$=4.7〜4.8グリブナになっている。

99/10/29
クチマ大統領府は27日、「ウクライナは米国に屈している」というルカシェンコ・ベラルーシ大統領の言明に反論した。Martyenko報道官によると、「両国間は対等で、どちらかがプレッシャーをかけるような関係ではない」ルカシェンコによると、経済援助の見返りとして、クチマがベラルーシ反対派のリーダーSharetskiと会合をもっており、「ウクライナは西側を向いて、NATOに加盟を望んでいる。その路線は、我々とは袂を分かつことになる」と非難した。

99/10/29
クチマ大統領は28日、彼を追い上げている2人の候補、SymonenkoとVitrenkoの間に違いはほとんどない、どちらも国家にとって危険な人物である、と述べた。Symonenkoは共産党のリーダーであり、「現在のような盗人の独裁が、きたるべきプロレタリアートの独裁よりましだ、などと言えるはずがない」と述べた。一方、マルクス経済学の信奉者であるVitrenkoは、IMFとの関係を清算すべきと述べている。10月31日の投票で50%を越える得票者がない場合には、第2次投票に持ち越される。

1999年11月

99/11/1
10月31日の大統領選挙の投票率は70〜75%であった。96%開票の段階での各候補の得票率は、クチマ現大統領36.36%、Symonenko 22.32%、Moroz 11.29%、Vitrenko 11.05%、Marchuk 8.06%である。

99/11/5
中央選管の発表によると、10月31日の選挙の最終結果は次の通り:クチマ 36.49%、Symonenko 22.49%、Moroz 11.29%、Vitrenko 10.97%、Marchuk 8.13%。投票率は70.15%。MorozとVitrenkoは、決戦投票ではSymoneko支持を表明。Tkachenko、Oliynik、Haber、Bazylyuk、KarmazinもSymonenkoへの支持を表明している。

99/11/5
第1外務次官Bershedaは11月4日、ウクライナがEUのメンバーとなる資格を認めるようEU側に働きかけると明言した。12月10-11日にヘルシンキで開かれるEUサミットで、ウクライナに対するEUの姿勢が決められることに呼応したもの。Bershedaによると、経済的・政治的条件が整えば、ウクライナはEUの一員になることを望んでいる。大統領選の一次結果は、ロシアとの後戻りではなく、西を向くことを国民が望んでいることを示している。
 

99/11/10
クチマ大統領は11月10日、前首相であり、大統領選挙1次投票で8.13%を得て5番目であったMarchukを、ウクライナ国家安全保障会議の委員長に任命した。クチマとMarchukは第2次投票で共産党のSymonenkoを破るために協力することとなった。

99/11/11
10月31日の1次投票で10.97%を得て4番目であった、進歩社会党のNatalya Vitrenkoは、14日の第2次投票ではSymonenkoを応援すると発表。Symonenkoは他の6候補、Moroz, Tkachenko, Oliynyk, Haber, Bazylyuk, Karmazinの支持も受けている。

99/11/15
14日の投票結果に関する非公式情報によると、クチマ現大統領がSymonenkoを破って勝利した。クチマの得票率は56.31%、Symonenkoは37.76%で、投票率は74%であった。Symonenko陣営は敗北を認めながらも、「選挙中に起きたことはウクライナが警察国家になったことを示した」と批判した。

99/11/16
OSCEとヨーロッパ議会の選挙オブザーバーは11月14日、大統領選挙が公平に実施されたとは認めがたい、と批判した。1人が複数の投票をしたり、刑務所や病院での投票強制が認められ、国家メディアの利用でも公平でなかった。

99/11/16
クチマ大統領は15日、ウクライナの借金返済計画を再検討する必要があると述べた、ウクライナの借金総額は129億ドルで、2000年と2001年に30億ドルずつ返済する必要がある。

99/11/17
ウクライナ最高会議議長のTkachenkoは16日、共産党、社会党、農民党、進歩社会党といった、中道・左翼で議会多数派が形成されると語った。一方、クチマ大統領は、政府支持派で議会多数派を形成しなければ、議会を解散する姿勢を見せている。

99/11/23
ドニエプロプトロフスク市の副市長によると、パンの市場価格が30%上昇した。他の州では、パン製品、小麦粉、穀物の値段が10?20%上昇している。

99/11/29
チェルノブイリ原発でただ一つ稼働中の原子炉が、5カ月の修理の後11月28日運転を再開した。チェルノブイリ原発は1995年のG7との合意により2000年までに閉鎖されることになっている。しかし、ウクライナ政府によると、建設中の2基の原発のために資金提供するという約束が果たされてないかぎり、来年中もチェルノブイリ原発の運転は継続される。

99/11/30
クチマ大統領の2期目の就任式が11月30日、ウクライナ・コンサートホールで行なわれ、プーチン・ロシア首相やルカシェンコ・ベラルーシ大統領が参列した。ウクライナ議会の共産党など160人の議員は参加しなかった。



1999年12月

99/12/3
世界銀行のウクライナ・ベラルーシ所長のChu氏は12月2日、ウクライナの投資環境は世界でも最悪であると述べた。Chu氏によると、外国投資家にとって規制が多く課税システムが複雑である。一方、IMFのOdling-Smee氏は、ウクライナとIMFの関係は今後の改革にかかっていると述べた。

99/12/6
クチマ大統領は12月4日、農地の所有に関する改革令を発表した。その改革令によりと、コルホーズの土地と財産は2000年4月末までに労働者に配分され、労働者は自営農となる。

99/12/9
ウクライナ最高会議議長のTkachenko氏は12月8日、「ベラルーシ・ロシア連邦へのウクライナの加盟は時間の問題で3年以内に実現しよう」と述べた。一方、クチマ大統領はワシントンで、「ウクライナは独自の道を歩んでいる」と述べた。

99/12/10
Mrtynenko大統領報道官によると、モスクワ、ブリュッセル、パリ、ワシントン訪問によりクチマ大統領は世界の指導者から信頼を得ることができた。ウクライナが、ヨーロッパとの統合をめざし、ロシアや米国とパートナーシップを結ぶことについて理解が得られた。

99/12/13
EUのヘルシンキ・サミットは12月11日、ウクライナとの今後4年間の関係に関するstrategyを採択した。EUメンバー化には言及してないが、ウクライナのヨーロッパ指向を歓迎している。

99/12/15
最高会議は14日、Pustovoytenko首相の承認を否決した。出席281人で、賛成206反対44であった。首相の承認には226票の賛成が必要。クチマ大統領は、議会権力を分散し、憲法を改正するための国民投票が必要であると述べた。

99/12/22
最高会議は22日、296対12で、国立銀行総裁Viktor Yushchenkoの首相への就任を承認した。Yushchenkoは改革派の財政家で、経済への国家介入の減少、民営化の促進に取り組むと言明した。

99/12/28
11の議会党派が集まって政府支持多数派を結成することになった。多数派結成に調印したのは、社会民主党、地域復活、祖国、人民民主党、労働党、緑の党、ルフ両派、グロマダ党、改革、その他で、450議席のうちの約250である。共産党、農民党、進歩社会党は入っていない。

99/12/28
ウクライナ政府は、2000年9月1日までに150万トンの穀物輸入を計画している。パンの安定供給と価格上昇を防ぐため。

99/12/30
ウクライナ原子力公社は29日、国内5カ所14基の原発でY2K問題は生じない、と発表した。運転中の10基は止めずに新年を迎える。また、チェルノブイリ原発でただひとつ稼働中の原子炉は、保守・修理の費用がかさむため、2000年中に停止される見通し。