五月の白い花々
== 治水池に生きる ==

ヒツジグサ ユキノシタ

福岡市内の某所に位置する治水池(洪水調整池)。毎年5月になるとヒツジグサ(睡蓮)の白い花が開花します。







ヒツジグサ

スイレン科 多年生
英名: WaterLily
和名:未草 
漢名:睡蓮

国内全土にただ1種と、その変種が自生する。
花後は花柄が水中に沈み結実する。

和名のいわれ:未の刻(午後2時頃)に開花すると思われ
ていた事による。実際には開花時間は一定していない。

ヨーロッパ・インド・シベリア・中国には約50種類が分布
し、園芸種も多く作出されている。

              ◆◆◆

花屋の店頭に、黄色・橙・桃色系統の未草が1株2000円
前後で並んでいます。


 


この池では、養殖鯉・フナ・ブラックバス・亀

その他、
バン・アオサギ・コサギ・ゴイサギ・マガモ・カワセミ等の野鳥を観察する事ができます。

◆◆◆

自然が与えてくれるささやかな憩の場。しかし、手放しで喜んでよいものでしょうか?

近年、環境破壊
※1進み、行き場を狭められている数々の野生生物たち。

この池は、そんな彼等にとって貴重な自然のひとつにも関わらず、

餌場として、また、棲みかとしてベストとは言い切れません。

何故なら、周辺住居から家庭雑排水が流れ込んでいる可能性を否定できないからです。

※1この池ですら例外ではありません。池周辺を有効利用するにあたり、一部が埋め立てられました。
そこは、かつて数珠玉(水辺に生える熱帯アジア原産の多年草)の群生地でした。


◆◆◆

市の条例で定められた一般住居の下水道工事
※2は、既に数10年前から市内の各所で進められていますが、

様々な事情によって工事を見合せている所帯が残っています。(区役所公園維持・管理課の回答)

※2市が設置した下水道本管に繋ぐ工事。任意。助成あり。

バン

クイナ科
全長約32cm

日本には夏鳥として渡来する。
各地の湖沼・水田等の茂みに棲み、繁殖するものも多い。
冬期、大部分は台湾・中国大陸南部・インドシナ半島・
インド東部に渡る。少数は九州・薩南諸島で越冬する。

繁殖地:北海道・本州・四国・九州・対馬・奄美大島
卵期:5月中旬から8月
食性:小動物・草の種子

参考図書:「原色日本鳥類図鑑」(保育社)

              ◆◆◆

バンはヒツジグサの葉の上を軽やかに歩いたり、水面を泳
いで活動します。(水かきはありません)

食性は前述の通りですが、周辺住民の給餌する食パンも
好んで食べます。

毎年、葦の茂みで産卵し、数羽の雛鳥を育てます。



ヒツジグサの葉の上を歩くバン


撮影・編集:Y.FUJIKAWA

撮影日:5月12日 2002年

ヒツジグサ ユキノシタ

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