平成27年度を持ちまして、原子力安全基盤科学研究プロジェクトは、区切りを迎えさせていただきました。
このプロジェクトを通じて お会い出来ました皆さまに感謝申し上げますと共に、
経験させていただいた事や、活動を大切にして、より一層取り組んで参ります。


事務局へのお問合せ等ございましたら、引き続き承ります。



原子力安全基盤科学研究の拠点構築
福島第一原子力発電所の事故により、原子力安全に対する社会的信頼が失われると共に、放射線・放射能に対する忌避感情が高まり、原子力科学全体に対する社会的信頼が揺らいでいます。京都大学原子炉実験所では、研究炉(京都大学研究用原子炉:KUR、京都大学臨界集合体実験装置:KUCA)を用いた共同利用研究を軸として、原子核科学やその応用に関わる研究を行い、より安全な原子力技術の探求や放射線医療技術の高度化研究を介して社会への貢献に取組んできたところですが、この事態に際し、大学独自の科学的視点に基づいた取り組みとして、京都大学研究炉の特徴を活かして、原子力利用を支える安全基盤科学研究と教育を包括的に進めるための研究教育拠点を形成し、原子炉利用に対する社会的な理解の獲得に資する事業「原子力利用を支える新しい安全基盤科学の構築」を、平成24年から4年間実施致しました。

事業の概要

この事業は、福島第一原子力発電所での事故に関わる検証と分析を科学的視点から進め、原子力安全についての真の統合的科学研究を進める「原子力安全基盤科学研究」と、全国の大学院生を対象として、研究炉等の取扱いを介して原子力安全を包括的に理解し体得させる実験教育としての「包括的原子力安全基盤教育」の二つからなります。このうち、「原子力安全基盤科学研究」は、福島第一原子力発電所での事故に関わる検証・分析を主眼とした「事故関連データの検証と集約」と、原子力システム全体の最適化像を統合的な取組みによって探求する「統合原子力安全科学研究」の二つから構成されます。
「事故関連データの検証と集約」は、事故時の影響と対策を再評価する事を目的に実施するもので、福島第一原子力発電所の事故の影響等についての検証・分析研究を行うものです。事故の実態、放射性物質による汚染の状況、汚染による影響、住民避難等の防災対応等について、現地での事故影響調査等を通じて分析し、その結果を、現地での生活修復や今後の原子力利用の改善策に反映するものです。これらの検証分析は、大学独自の科学的な視点から行い、その結果については、シンポジウムの開催等により専門家や関係者の評価を取り入れたうえで、知識ベースとして集約します。
「統合原子力安全科学研究」は、原子力システムのリスクを再評価した上で、原子炉利用の安全性を高め、将来のより良い原子力像を提案することを目的に実施するものです。原子力システムの、リスク最小化、安全確保、事故対応改善、放射性廃棄物最適化等の視点から、原子力安全の基盤となるべき、@原子炉安全工学研究、A放射線安全及び環境影響の研究、B放射性物質や使用済燃料の安全取扱いの研究、C原子力リスクの研究(地震などの自然災害や原子力施設のリスクや防災に関わる研究)、D放射線の人への影響と医学利用の研究、の5つの分野の研究を、実験所の研究分野が連繋して進めます。実験所の特殊な実験装置や専門を活かして、原子力安全に関わる基盤的なデータの充足や、実験所独自の視点にたった研究を進めるものです。
「包括的原子力安全基盤教育」は、全国の大学院生を対象として行う実験教育コースで、@原子炉安全に関わる炉物理および原子炉応用実験教育、A放射線防護および原子炉事故に関わる放射線安全および環境影響に関わる実験教育、B放射性物質の取扱いと管理に関わる実験教育、C地震および津波に関わる原子力施設安全確保と原子力防災に関わる教育、D放射線の人への影響と医学利用に関わる実験教育を実施するものです。A〜Dは、新たに創設する実験コースです。原子力安全の在り方についての講義を行ったうえで、これら5つの実験コースを履修することによって、広い知識と総合的な技術判断力を持った大学院生を育成するものです。

包括的原子力安全基盤教育

原子力安全基盤科学研究プロジェクト
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KUR Research Program for Scientific Basis of Nuclear Safety