平成19年新潟県中越沖地震の震源のモデル化(暫定)


 
20077161013分に新潟県中越沖でMj6.8の地震が発生し、柏崎市やその周辺の地域では多くの被害が発生した。ここでは、防災科学技術研究所のK-NETの地震波形記録を用い、経験的グリーン関数法によるフォワードモデリングによって震源モデルの評価を行った。経験的グリーン関数として20077162108分に発生した余震(Mj4.4を用いた。記録は長周期側の精度を考え、0.210Hzのバンドパスフィルターをかけて用いた。


考察
 
 合成波形と観測波形の比較から、今回評価したモデルによって加速度波形のエンベロープや最大振幅はほぼ再現されている。特に、NIG016に見られる2つのアスペリテリィからの波群は良好に再現されている。ただし、観測点によっては速度、変位において合成結果が過小評価となったり、後続波形の再現が悪い。この原因としては用いた余震と本震との震源放射特性の違いや、余震が深いことによる表面波の励起の違いが想像される。今後より浅い余震の記録を用いた検討や震源放射特性の影響を定量的に調べる必要がある。
 NIG018における本震時の記録には非常に強い非線形(液状化)の影響が見て取れ、ここで行った線形を仮定した合成はその影響を示唆している。
 2つのアスペリティの応力降下量はこれまでの内陸地殻内地震の平均値に近く、この結果は既に防災科学技術研究所から公表されているように、K-NETを用いた距離減衰特性が既存の距離減衰式によっても説明可能であることと整合する。


平成19年新潟県中越沖地震

1 平成19年新潟県中越沖地震(Mj6.8)、経験的グリーン関数として用いた地震(Mj4.4)震央位置、
    K-NET観測点位置、及び平成19年新潟県中越沖地震の2つのアスペリティからなる震源モデル
    (アスペリティのみ)
の位置



表1 経験的グリーン関数として用いた地震の諸元

経験的グリーン関数として用いた地震の諸元



新潟県中越沖地震の2つのアスペリティからなる震源モデル

2 平成19年新潟県中越沖地震の2つのアスペリティからなる震源モデル(アスペリティのみ)


2 平成19年新潟県中越沖地震の震源パラメータ






NIG005

NIG013

NIG016

NIG017

NIG018

NIG020

NIG025


3 合成波形と観測波形の比較(0.2Hz10Hz





擬似速度応答スペクトルの比較減衰

図4 擬似速度応答スペクトルの比較減衰:5%


謝辞:独立行政法人防災科学技術研究所のK-NET強震記録及びF-netのメカニズム解を使用させて頂きました。関係者の皆様に感謝いたします。




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