8月22日にVer.3として提案した3つのアスペリティからなる震源モデルに基づき、東京電力株式会社から公開された余震記録を用いて本震記録の再現を行った(
図1)。当初掲載した1号機、5号機におけるベースマット上での比較に加え、その他(2号機、3号機、4号機、6号機、7号機)の原子炉建屋のベースマット上での比較も追加した(KKZ1R2〜KKZ7R2)。水平成分についてはいずれのサイトも両成分とも非常に良好に再現されていることがわかる。上下成分については、水平成分に比較し、本震波形の再現性が悪いが、これは本震時の建屋のロッキング振動の非線形性による影響なのか、余震の影響なのか今後の検討が必要である。
また、
図2には地盤系における波形合成として、サービスホールでの鉛直アレイ観測点(KSHSG1〜KSHSG4)及び1号機地震観測小屋(KKZ1G1)における波形合成結果を示す。詳細な考察は今後行う必要があるが、表層地盤の本震時における非線形性の影響が示唆される結果となっている。またすべての波形合成結果の擬似速度応答スペクトルにおける比較を
図3に示した。
このように、波形合成全体としては西落ちの断層面を支持する結果となっている。今後、東落ちの断層面におけるアスペリティの配置によってもこのような再現が可能か、本震記録も使った波形インバージョン結果なども参考に詳細な検討を行う。
最後に、観測点や地盤系の地盤構造等については東京電力株式会社から公表された資料(柏崎刈羽原子力発電所における平成19年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析に係る報告(第一報)について:平成19年7月30日)を参照してください。
謝辞
本震、余震記録は東京電力株式会社によって公開されたものである。ここに記して感謝するともに、本震、余震記録の迅速な公開に敬意を表します。