GPS連動型放射線自動計測システム KURAMA

KURAMA-II

KURAMAで得られた成果と経験を基にKURAMAを改良したKURAMA-IIの開発を行いました。KURAMA-IIは従来のKURAMAの基本構成を引き継いで作製された小型で堅牢なシステムで、完全に自動化され電源のオンオフのみで動作するものとなりました。
新たに開発したKURAMA-IIを用いて空間線量の変化を長期的に監視することにより、継続的な安心を得られるだけでなく、風雨による放射性物質の移動の状況を調べることにより放射性物質の流入減を特定し長期にわたって有効な除染の方法を検討するということも可能となります。また、除染作業前後の空間線量を比較し除染の有効性を検証することも可能となります。

KURAMAの改良

初代KRAMAを用いた放射線量の測定は一定の成果と評価を得ることができました。初代KURAMAは原発事故直後にできるだけ速やかに放射線量の地図を作製することを目的とし、容易に入手できる機器の集合体として製作されました。そのため、実際の運用に当たってはいくつかの問題点も見出され、今後の長期的な運用も見据えてKURAMAを改良を行いました。KURAMAの要点の一つであった携帯電話によるリアルタイムのデータ収集は初代KURAMAの運用時も有効に利用できたため、この部分は初代KURAMAをほぼそのまま引き継いでいます。

ツールボックスに入れたKURAMA-II

組み込み用コンピュータを使用

初代KURAMAはコンピューター本体や周辺機器の入手のし易さ、プログラムの作製のし易さを優先してノート型パソコンを利用したシステムとなりました。これを工場の機器制御などに利用されることが多い組み込み用コンピュータ(National Instruments社製 CompactRIO)に置き換えました。組み込み用コンピューターの利用は以下のような利点があります。

完全自動化
これまでのKURAMAはノートパソコンを利用していたため、起動時や測定開始時に人間が操作を行う必要がありました。組み込みコンピューターを使用することにより電源を入れるだけで測定を開始できるようになりました。

小型化
パソコンを使用したKURAMAに比べて、大幅な小型化と省電力化を実現しました。

堅牢性
組み込み用コンピュータはハードディスクなどの可動部分を排除できるため、振動や温度変化がある場所で長期間運用することができます。

CompactRIOを使用したKURAMA-II


検出器の変更

これまでのKURAMAでは、アロカ社製の可搬型のシンチレーションカウンターを検出器として利用しましたが、これを浜松ホトニクス社製C12137検出器に変更しました。この検出器を用いることにより検出した放射線(γ線)のエネルギーを記録し、放射性物質の種類を推定することが可能になります。

C12137検出器(左)とγ線のエネルギーの例(右)

路線バスでの走行サーベイ

継続的な空間線量の調査を行うために専門の担当者を多数配置することは費用や人材の面から適切とは言えません。そこで、バス会社の協力をいただき路線バスにKURAMA-IIを搭載して空間線量を測定する試みを始めました。バスの路線は人々の生活拠点を中心に設定されているため、生活圏の空間線量を定期的、継続的に測定するという目的に合致しています。

バスへの搭載試験の様子

KURAMA-IIの今後

初代KURAMAはノートパソコンを使用していたため振動に弱く、基本的には自家用車に搭載して運用されました。小型で容易に運用できるKURAMA-IIを開発したことにより、より幅広い運用が可能となります。それにより初代KURAMAでは網羅できなかった箇所まで空間線量測定を広げる計画です。

バイクによる走行サーベイ
小型堅牢なKURAMA-IIはバイクに搭載することが可能です。バイクは自家用車が入ることができない細い路地や田畑のあぜ道にも入ることができるため、これまで以上に細かい放射線量の分布を測定することが可能になります。

D-GPSを使った歩行サーベイ
これまでのKURAMAではごく一般的なGPSを使用しており、その位置精度は5~10m程度です。このGPSを高精度なもの(D-GPS)に置き換えることにより、精度0.5~2mの精度で放射線量を測定できます。これを用いれば、例えば公園の放射線量の高い箇所を探し出したり、耕作地内の放射線量を測定し、その流入源を調べるといったことが可能になります。

バイクへの搭載例