放射線生化学研究分野   

准教授高田 匠takumi*
講師木野内 忠稔kinouchi*
助教齊藤 毅ta-saito*

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白内障、加齢黄斑変性症、アルツハイマー病、パーキンソン病、動脈硬化、皮膚硬化症などは蛋白質ミスフォールディング病と呼ばれる。これらの疾患は、各組織中の蛋白質内部アミノ酸の化学修飾に基づく蛋白質の構造変化(ミスフォールディング:misfolding)と蛋白質の異常凝集(アグリゲーション:aggregation)を共通基盤とする疾患である。

当研究室では、複合原子力科学研究所が有する照射施設を最大限利用し、放射線被曝、紫外線被曝など外部ストレスに応じたアミノ酸の化学修飾(酸化など)に関する研究と、自発的に発生する化学修飾(脱アミド化および異性化など)に関する研究を展開している。研究の進め方としては、まず蛋白質を構成するアミノ酸1残基毎の化学変化(酸化、脱アミド化、異性化など)を質量分析ベースの実験で定量的に捉える。次に、見出した各種修飾アミノ酸を導入した加齢モデル蛋白質を作製する。最後に、作製した加齢モデル蛋白質を生化学的に解析して修飾の影響を調査する。このプロセスを経ることによって、加齢性疾患の分子マーカーを定め、新たな年齢指標や創薬のターゲットとする(具体的な研究内容に関しては研究室HPを参照)。

下記図において、当研究室が報告した世界初の蛋白質中アミノ酸分子のキラリティ変化(通常型のL-アミノ酸から異常型のD-アミノ酸への化学変化)を加齢分子マーカーとした研究例を提示する。このようなD-アミノ酸研究を発展させ、難治性の蛋白質ミスフォールデイング病の根絶に寄与することが我々の研究室の最終目標である。

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D-アミノ酸を分子指標とした老化の基礎研究とその応用: