粒子線腫瘍学研究分野

教授 鈴木 実 msuzuki*
助教 近藤 夏子 nkondo*
助教 玉利 勇樹 tamari*
助教 渡邉 翼 tsuwata*

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ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, 以下BNCT)は、腫瘍細胞選択重粒子線照射というユニークな特長を有している(図1、2参照)。この特長により、最先端の高精度放射線治療、粒子線治療では対応困難である腫瘍に対して、放射線治療としてBNCTを適応することが可能である(図3参照)。1990年から2014年までに、安定した中性子源である当研究所原子炉にて、医療機関と共同臨床研究として500件を超えるBNCTを実施してきた。

2008年に世界初となる加速器を中性子源としたBNCT照射システムが当研究所内に設置され、2012年10月から、再発悪性脳腫瘍を2014年4月から頭頸部腫瘍を対象疾患とした、加速器BNCT照射システムとホウ素薬剤の治験が開始されている。既存の医療施設に併設可能なコンパクトな加速器中性子源の開発により、加速器BNCTが原子炉でなく、一般の医療施設で実施可能となる大きな第1歩が踏み出された。

新規抗がん剤、最先端の手術技術、高精度の放射線治療照射技術の開発により、癌の治療成績は向上しているが、現実問題として癌患者の半分の方は治癒に至らず癌により死亡しているという現実がある。図3に示したようにBNCTが対応すべき癌患者は多数存在する。加速器BNCTの開発成功を受けて、難治性癌あるいは再発癌に苦しむ患者の方々が、有効かつ安全であることが実証された放射線治療の1モダリティとしてBNCTを選択できるように、本センターが実施する主たる研究・実務内容は以下の3つである。

  1. 加速器BNCTの治験を着実に実施していく。
  2. 医療施設との共同研究として、頻度の高い一般的腫瘍を含む開拓的臨床研究を原子炉BNCTで実施する。 (原子炉BNCTから加速器BNCTへの移行を加速させる)
  3. 対応疾患拡大のための正常組織(肺、肝臓、腸管等)に対するBNCTの感受性、耐容線量を解明する。

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