放射線機能生化学研究分野    研究室のサイト

講師 木野内 忠稔 kinouchi*
助教 齊藤 毅 ta-saito*

※メールアドレスは * を @rri.kyoto-u.ac.jp に置き換えてください

本研究分野では加齢や放射線、紫外線照射によってタンパク質中のアミノ酸上に変化・修飾を受けたタンパク質が、どのような過程を経て、高次構造に影響を及ぼし、病態へと至るかについての研究を行っている。 主な研究テーマは下記の通りである。

  1. 放射線、紫外線、老化などによって生じるタンパク質中の異常アミノ酸の増加とタンパク質の構造変化、異常凝集化、機能変化に関する研究
  2. タンパク質中のアミノ酸の反転(D-アミノ酸生成)とその生成機構
  3. 紫外線による皮膚のタンパク質損傷
  4. タンパク質中のD-アミノ酸の微量迅速定量法の開発
  5. D-Asp含有タンパク質特異的分解酵素の研究
  6. 放射線耐性細菌の生体防御機構の研究

当研究室では老人の眼の水晶体の主要成分であるα-クリスタリンというタンパク質中の特定部位に、本来生体には存在しないはずのD-β-アスパラギン酸(Asp)が多量に蓄積されていることを見いだし、その反応機構について解析を行ってきた。その結果、正常のL-α-Asp は、5員環イミドを経て反転し、加水分解してD-β-Aspへと異性化すること、同時にL-β-Asp, D-α-Asp異性体も生成することが明らかとなった。この反応は放射線や紫外線によっても促進され、他の翻訳後修飾(ペプチド結合の切断、アミノ酸の酸化、AGE化)とも関連している。このような反応が起こるとタンパク質の立体構造に影響を与え、不溶化、凝集を招き白内障の一因になると考えられる。当研究分野では、これらの反応とタンパク質の立体構造との関連、反転反応の制御を目指し白内障治療への手がかりを探っている。D-β-Aspは脳のβ-アミロイドタンパク、皮膚、網膜のブルッフ膜、動脈壁のエラスチンなどβシート構造に富んでいるタンパク質中でも生じており、白内障、アルツハイマー病、皮膚硬化、加齢性黄斑変性症、動脈硬化症などタンパク質の異常凝集病を引き起こしている。我々はタンパク質の異常凝集のきっかけがD-β-Aspの生成によるのではないかという考えの基に研究を展開している。そのために簡便で迅速な微量のアミノ酸異性体分析法を開発し、種々の加齢性疾患の原因タンパク質中のD-アミノ酸分析を行っている。また、不可逆的に変成したD-Asp含有タンパク質に対する修復機構として特異的な分解酵素:D-aspartyl endopeptidase(DAEP)を同定し、その性質や構造の解明を進めている。さらに放射線耐性細菌の防御機構に関する生化学的研究とその作出を行っている。

蛋白質の異常凝集とD-アミノ酸

蛋白質ダリの異常凝集とD-アミノ酸と疾患
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