チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1987)

 


87/01/10 神奈川 「放射能ナッツ水際阻止」
横浜・大黒埠頭などに陸揚げされていたトルコ産ナッツから基準を上回る放射性物質が検出され、厚生省は9日、輸入元に対しトルコに送り返すよう指示した。汚染されていたのはトルコ産ヘーゼルナッツ。同省は10サンプルを抜き取って国立衛生試験所で放射能検査を行ったところ、全サンプルから許容基準値1キロ当り370ベクレルを大幅に超える520?980ベクレルのセシウム134、137が検出された。

87/01/18 赤旗 「原発の30km地帯は帰還へ」
12日から訪ソ中のブリックスIAEA事務局長が16日に記者会見し、チェルノブイリ原発周辺30km地帯では2つの村の住民がすでに帰還、さらに放射能除去作業の終わった24の村で受け入れ準備ができており、今年中に帰還の見込みと語った。

87/01/21 北海道 「骨髄移植、効果なし」
来日中のソ連チェルノブイリ原発事故医療・治療研究調査団(団長・ボロビヨフ教授)が20日に記者会見し、事故直後被曝患者に施した骨髄移植などの手術はほとんど効果がなく、大半が死亡したことなどを明らかにした。重症患者13人に骨髄移植、また6人に胎児の肝細胞を移植したが、助かったのは骨髄移植の2人だけで、残り17人は死亡した。

87/01/29 原産 「トルコ産紅茶から放射能」
スイスのバーゼルで昨年末、トルコ産の紅茶から強い放射能が発見された。放射能はセシウムで、キロ当り800ナノキュリーと許容レベルをはるかに超えていたため、バーゼル州当局は、子供や妊婦はトルコ産の紅茶を飲まないようにとの注意を出した。

87/01/31 朝日 「キエフはもう安全 米調査団が発表」
米国務省は29日、米調査団がソ連のキエフ市で実施したチェルノブイリ原発の汚染影響について、調査結果を公表した。キエフの水道水や食物、土壌などを調べた結果、問題ないことが分かった。これにより、米国人に出されていたキエフへの立ち入り中止勧告は撤回される。

87/02/03 東京 「放射能汚染続く英国」
英国の漁業食糧省が2日発表したところによると、イングランド北部、ウェールズ両地方の羊から今なお、政府の安全基準の3?4倍の放射能が検出されている。汚染された羊は約30万匹。同省は汚染家畜の食肉処理を禁止する措置をとった。

87/02/05 読売 「放射能粉ミルクを輸出?」
西独・ミュンヘン南東のローゼンハイムに近い乳製品工場は、汚染粉ミルクを最近まで地元の駅で野ざらしにしていたが、突然、その粉ミルクを買い取り、輸出許可を求める業者が出てきた。貨車50両分はケルンに待機、100両分はブレーメンの港で出港を待つばかりとなっている。ブレーメン市当局は、その粉ミルクから1キロ当り5836ベクレルの放射能が検出されたことを知ってショックを受けた。ECの規定によれば、家畜飼料の許容量は1キロ当り1850ベクレルとなっている。ブレーメン市長は、バイエルン当局が輸出申請を却下するよう望んでいるが、粉ミルクを買った業者はなおも輸出したいと固執している。

87/02/07 朝日 「70年間で死者4000 欧州の後遺症深刻」
ソ連チェルノブイリ原発事故に関する米政府特別調査団(デントン団長)は6日開かれた原子力規制委員会に独自の事故報告書を提出した。それによると、今後70年間にソ連で1万人以上、ヨーロッパでも4000人のガン死者が出るほか、ソ連で知恵遅れのこどもが大勢誕生しているはず、と健康への深刻な影響を指摘している。

87/02/07 日本海 「輸入香辛料などまた放射能検出」
厚生省は6日、トルコから輸入した月桂樹の葉、セージ(サルビアの葉)とフィンランド産の冷凍の牛の胃から、基準値を上回るセシウム134、137を検出したと発表した。月桂樹の葉からは1キロ当り最低490ベクレルから最高670ベクレル、セージからは同1000ベクレルから3000ベクレル、牛の胃からは440ベクレルのセシウムが検出された。

87/02/13 読売 「放射能汚染 トナカイ肉も」
スウェーデンから成田空港に到着した輸入トナカイ肉が放射能で汚染されていることがわかり、厚生省は13日、積み戻しを指示した。今年1月に届いたトナカイ肉0.5トンのうち0.2トン分からセシウム134、137が1キロ当り389ベクレル検出されたもの。同省では、輸入食品の濃度限度を1キロ当り370ベクレルと定めている。放射能汚染の輸入食品がみつかったのは5件目。

87/02/14 産経 「ハチはすべてを知っていた!?」
昨年チェルノブイリ原発事故が起きた直後、ポーランドで巣箱に飼われていたハチが不思議な行動をみせていたことが分かった。ポーランド養蜂業会長オスタッチさんによると、国民が事故について何も知らない段階から、いつも花から花へ飛びまわっているハチたちが次々と巣箱に戻り、何日間にもわたって外に出ようとしなかったという。

87/02/28 北海道 「EC、輸入食品規制を延長」
欧州共同体(EC)は26日の大使級会議で、チェルノブイリ事故後に導入し、今月末で期限切れとなる含有放射能値による輸入食品規制を、今年10月末まで延長することで基本合意した。当初1年間の延長を提案していたが、たとえば牛乳とベビーフードの許容値リットル当り370ベクレルという現行規制値には科学的根拠が薄いと、フランス、英国などが長期延長に難色を示した。

87/03/14 朝日 「責任者を公開裁判に」
ペトロシャンツ・ソ連国家原子力利用委員会議長は13日の記者会見で、チェルノブイリ事故の責任者たちが近く裁判にかけられる、と発表した。裁判にかけられる関係者の数や名前は明らかにしなかったが、キエフで行われれるという。

87/03/16 毎日 「セシウム137、報告の4.5倍も」
京都大学原子炉実験所の瀬尾健助手らのグループは16日までに、チェルノブイリ事故で放出されたセシウム137の総量が、ソ連政府が報告した値の4.5倍の450万キュリーにのぼる、との試算を得た。欧州各地で採取された土壌サンプルやガンマ線の測定値を基に汚染状況を解析したもの。チェルノブイリ原発から半径30kmに沈着したセシウム137は31万キュリー、30-600kmに140万キュリー、600km以遠に280万キュリー。合計450万キュリーは原子炉に蓄積されていた量(770万キュリー)の半分を超す。

87/03/25 毎日 「輸入食品香辛料から放射能:基準の倍」
京都市内で市販されている輸入食品のうち、トルコ産の月桂樹の葉から食品衛生法で定めた放射能汚染限度の2倍以上に当たる1キロ当り2万900ピコキューのセシウムが検出されたのをはじめ、スパゲティ、マカロニなど計18点も汚染されていろことが、京大工学部の荻野晃也助手と河野益近技官の調査で分かった。

87/03/28 福井 「香辛料から放射能検出:フランス、トルコ産」
厚生省は27日、フランスから東京港に荷揚げされたフランス産タイムから1キロ当り1715ベクレル、神戸港に荷揚げされたトルコ産セージから1キロ当り1198ベクレルのセシウム134、137を検出した、と発表した。基準を超える輸入食品はこれで7件。

87/04/04 朝日 「モスクワ市内に放射能汚染食品」
ソ連駐在の西独大使館当局者は3日、モスクワ市内で売られている一部の食品がかなりの放射能汚染を受けていると言明した。西独大使館のスタッフが2月にモスクワで購入した食品をボンに送って検査した結果明らかになったもの。たとえば、アゼルバイジャン産の紅茶から1キロ当り2600ベクレルのセシウム134と同8300ベクレルのセシウム137、ウクライナ産のヘーゼルナッツから同1600ベクレルのセシウム134と同4500ベクレルのセシウム137が検出された。

87/04/06 朝日 「直後、被ばく恐れず記録映画」
去年4月のチェルノブイリ原発事故直後、ウクライナの映画製作グループが被ばくの危険を冒して撮影したドキュメンタリー映画が6カ月間も上映されないままになっていたことが分かった。映画は「チェルノブイリ:困難の日々の記録」。シェフチェンコ監督は、去年の秋に編集の仕事をしていたころ病に倒れ、その後なくなった。

87/04/12 毎日 「西独で異常児出産急増」
西独の西ベルリンなどで異常児の出産が急増しており、専門家の間ではチェルノブイリ事故の放射能汚染によるものではないかとの見方が出ている。西ベルリンの人類遺伝学研究所によると、同事故から9カ月後の今年1月、西ベルリンでは10件のダウン症候群の新生児出産が報告され、通常の1カ月当り2件を大きく上回った。

87/04/15 日経 「一部住民の帰還はじまる」
日本原産会議年次大会に参加のため来日したルコーニン・ソ連原子力発電相は15日記者会見し、チェルノブイリ事故周辺地域で一部の住民の帰還がはじまっていることを明らかにした。10?30km圏内の8ヵ村に数千人がもどった。このほか28ヵ村でも居住が可能で、春の雪解けが終わったあと帰還する、という。

87/04/23 朝日 「放射線で13人が身体障害」
ソ連医学アカデミーのイリイン副総裁は22日の記者会見で、チェルノブイリ事故による急性放射線障害患者は237人だったが、28人は死亡、209人が労働能力を快復したが、結局13人がさまざまな程度の身体障害者として残ったことを明らかにした。また、原発から30km圏にいた約10万人が定期検診の対象者として登録され、特に子どもや妊娠中に事故に遭った母親から生まれた乳児などは特別監視しているが、現在までに異常はみられないとしている。

87/04/26 朝日 「チェルノブイリ原発5、6号炉建設中止」
ソ連のペトロシャンツ原子力国家委員会議長は25日、チェルノブイリ原発の5号炉、6号炉の建設を中止すると発表した。しかし、その理由は説明しなかった。

87/04/27 読売 「モスクワでデモ 4人逮捕」
チェルノブイリ原発事故からちょうど1年たった26日午前、モスクワ中心部のレーニン図書館前で、原子力の安全を訴える小規模なデモが行われ、西側筋によると、デモに参加した者を含め4人が逮捕された。デモを行ったのは、「米ソ間の信頼回復を求めるグループ」のメンバーで、原発の安全強化と原子力の情報公開を訴えた。また、チェコスロバキアの首都プラハでも同日、反核を掲げたデモがあり、グリーンピースの活動家5人が逮捕された。

87/04/27 北海道 「チェルノブイリ事故 ソ連が記録映画放映」
チェルノブイリ事故から1年の26日、国営テレビが汚染除去の記録映画を放映した。25日に続く第2部。原発の屋上で無線操縦のブルドーザーを使ったり、軍隊が作業時間を1人90秒ほどに制限して、がれきを片づける模様が放映された。

87/05/07 朝日 「国際協力で追跡調査へ」
チェルノブイリ原発事故で被ばくした人たちの大規模な健康追跡調査を国際協力で進めようという「放射線影響の疫学的研究法についての専門家会議」が18日から5日間、国際原子力機関(IAEA)と世界保健機構(WHO)の共催でウィーンで開かれる。出席予定者は9カ国23人で、ソ連からの参加者は3人。

87/05/17 日経 「原発の改造必要 事故調査委安全委に報告」
チェルノブイリ原発事故の教訓などを調査、検討している原子力安全委員会・ソ連原子力事故調査特別委員会(都甲泰正委員長)は、日本の原発にも「炉心溶融などのシビアアクシデントに対する対策が必要」との報告書をまとめ、今月中に安全委員会に提出する。政府、電力業界はこれまで日本の原子炉ではシビアアクシデントは起きないと説明してきたが、報告書はこうした受け止め方に修正を求めており、今後、最悪の事故も考慮に入れた安全対策が必要となろう。

87/05/23 朝日 「21世紀半ばまで追跡調査が必要」
ウィーンのIAEA本部で開かれていた「放射線影響の疫学研究法についての専門家会議」は、人々への健康影響を来世紀半ばまで継続して調べる必要があることなどを確認して22日終わった。ソ連のサウロフ代表によると、事故炉から30km以内にいて避難した住民13万5000人全員の被ばく線量を推定し、それを登録する作業が行われている。

87/05/25 産経 「ソ連・ウクライナで住民に放射能恐怖症」
チェルノブイリ原発事故の結果に関する最近の記者会見で、ロマネンコ・ウクライナ共和国保健相は、「放射能恐怖症」に陥った一部の住民の間で牛乳、生野菜、果物などの摂取を控える動きがあり、栄養不良による体力低下が心配だと述べた。

87/05/29 朝日 「チェルノブイリ型の事故 日本では起こらぬ」
「ソ連原子力発電所事故調査特別委員会」は28日、原子力安全委員会に最終報告書を提出した。炉の型式の相違などからソ連のような大事故が日本で起こるとは考えられないとし、「早急に現行の安全規制、防災対策を変更する必要はない」と結論、安全設計面で緊急性のある「教訓」はないとの考えを示した。ソ連事故でクローズアップされた「想定外」のシビアアクシデント(過酷事故)に対する安全対策については、国際的な研究が進行中であることなどから「先送り」とした。

87/06/12 北海道 「来月7から原発事故裁判」
ソ連外務省のピャドイシェフ情報局第1次長は11日の記者会見で、チェルノブイリ原発事故の責任者の裁判が7月7日からはじまると述べた。裁判は、原発近くのチェルノブイリで開かれ、外国人記者も取材できるという。

87/06/13 東京 「汚染食品また積み戻し」
厚生省は12日、ユーゴスラビア、アルバニア、フランスから輸入されたハーブ茶などの食品のなかに、基準値を超す放射能が検出されたため、輸入元に積み戻しを指示した。今回検出された食品は、ユーゴスラビア産のハーブ茶とセージ葉、アルバニアからのセージ葉、フランスからの黒すぐりのピューレで、一番放射能がвたかかったのは、アルバニア産セージ葉で1キロ当り1895ベクレルが検出された。

87/06/15 朝日 「高官、わが子の避難早々と」
ソ連作家同盟機関誌「ユーノスチ」最新号は、昨年4月のチェルノブイリ事故のとき、「選ばれた」子どもたちだけをいち早く、クリミア半島の保養所へ避難させていたことを明らかにした。ウクライナのジャーナリスト、シチェルバク氏が、告発の手紙などを基に書いたドキュメンタリーの中で暴露したもの。

87/07/07 毎日 「チェルノブイリ事故裁判きょう初公判」
昨年4月26日に発生したチェルノブイリ原発事故の過失責任を問う裁判が7日、同原発から18km離れたチェルノブイリ町の「文化の家」で開始される。被告席に立つのは同原発の前所長ら現場の責任者3人だけで、中央レベルで解任された前政府高官ら4人は除外されているもようだ。初公判と判決公判だけ一部外人記者に公開される。

87/07/09 毎日 「最終報告書に多くの疑問点」
チェルノブイリ原発事故について、原子力安全委員会・事故調査特別委員会が5月にまとめた最終報告書は「極めて不十分で、多くの疑問点がある」として、科学者35人で結成した「原発災害を案じる科学者一同」(高木仁三郎世話人)が8日、安全委に対し96項目の質問書を提出した。質問は事故経過や日本の原子炉の設計基準、運転管理、防災対策など。

87/07/30 南日本 「原発前所長らに厳刑」
チェルノブイリ原発事故の責任を問われた当時の原発所長ら幹部6人に対する判決公判が29日、チェルノブイリに設けられたソ連最高裁特別法廷で開かれた。ブリュハーノフ前所長、フォミン技師長、ジャトロフ副技師長の3人に矯正労働10年の実刑、ロゴージン当直責任者は同5年、コワレンコ3、4号機責任者は同3年、ウシキン上級技師には同2年の判決だった。フォミン技師長とジャトロフ副技師長が事故は原子炉の建設ミスや技術的欠陥が原因と主張するなど、被告6人全員が起訴事実を一部または全面的に否認していた。

87/08/17 日経産業 「ヘーゼルナッツ一層の品薄感」
チェルノブイリ事故でトルコ産ヘーゼルナッツが放射能汚染された責任をとって、ソ連がトルコから大量に買い付けた。日本国内も需給が逼迫し、卸値も上昇している。ソ連が購入したのはセシウムの検出量が1キロ当り600ベクレル以下のもの。量は明らかでないが、1000トン前後ではないかと見られている。

87/08/24 朝日(三重) 「お茶数トンを廃棄」
三重県度会郡度会町で、チェルノブイリ原発事故後に採れた茶が放射能に汚染され、製茶グループが出荷停止処分にしていたことが、23日伊勢市で開かれたシンポジウムで報告された。同町の「生活クラブわたらい茶生産グループ」は、生活クラブ生協に茶を供給している。同生協は、食品の供給基準値を「国の基準の10分の1以下」とする自主基準を設定、セシウムがキロ当り37ベクレルを超えるものは供給しないことを決めた。昨年5?10月産の度会茶の汚染はいずれも自主基準を超え、5月に収穫した者は227ベクレル、最低でも39ベクレルだった。7?8トンの茶を供給停止にし、2000?2500万円の損害となった。

87/09/29 毎日 「チェルノブイリ事故後、米の乳児死亡率上昇」
チェルノブイリ事故による放射能が米国に降下した昨年6月?8月の3カ月間、雨量の多い米西海岸や一部東部の各地で、乳児を中心に死亡率が異常に上昇していたことが、スタングラス・ピッツバーグ大名誉教授らの分析調査で明らかとなった。チェルノブイリの放射能が米国に到着したのは昨年5、6月頃で、その直後の6月の乳児死亡率が前年同月比で約15%も上昇。7、8月も同7?4%高くなっていた。「チェルノブイリによる放射能汚染に起因しているとしか考えられない」と結論つけている。

87/10/09 朝日 「事故原発の埋葬完了」
ウィーンのIAEA本部で2日まで開かれていた原子力運転と安全に関する国際会議で、ソ連代表が、チェルノブイリ事故について昨年の報告書以降の調査結果と対策を発表した。IAEAの専門家は、人々の健康への影響は昨年の予測より小さく、ソ連の安全対策も大幅に前進したと評価する見解を発表した。

87/10/22 北海道 「ブラジル産の牛肉エキスから放射能」
厚生省は21日、横浜港に輸入されたブラジル産「ビーフ・エキストラクド」から基準値の370ベクレルを超える622ベクレルのセシウムを検出したと発表した。ブラジルが原料の牛肉をアイルランド、フランスから輸入していることから、チェルノブイリ事故の影響によるものと見ている。輸入食品から基準を超える放射能が検出されたのはこれで21件目。

87/11/03 北海道 「2500人が人口中絶」
10月31日に発売された英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」は、ギリシャで昨年、チェルノブイリ原発事故の影響を恐れた女性2500人あまりが妊娠中絶手術を受けていた、とするアテネ医科大学の産科医グループの報告を掲載した。出生数を統計的に分析した結果、ギリシャにおける1月の出生は予測の9100人から7032人に減少していた。2、3月もそれぞれ390人、103人予測より少なかった。研究グループは、昨年5月、妊娠直後の女性の23%が人工中絶を受けたと推定できるとしている。IAEAでは、原発事故の余波で、西欧では10?20万人の妊婦が中絶したとみている。

87/11/15 熊本 「成層圏まで汚染」
昨年4月のチェルノブイリ原発事故で放出された放射性物質が、地上10?15kmの成層圏にまで到達し、今年に入って徐々に降下し始めたことが気象研究所(筑波研究学園都市)の青山道夫研究官らの調査で分かった。セシウム137の降下量は、事故直後の昨年5月に1平方m当り131ベクレルと事故前の1350倍に急増。その後次第に減少して11月末には0.07ベクレルまで下がった。ところが今年になって再び増加し始め、4月には0.16ベクレルにまで増えた。この増加は、成層圏に達していたものが、対流圏との交換が盛んになる春先に降下し始めたため。

87/11/15 日経 「国産チョコから放射能検出」
弘前大学医学部の学生グループ「環境医学研究会」は14日、同大で開いた「食品の放射能汚染を考える懇談会」で、弘前市内で市販されているトルコ産ヘーゼルナッツ入り国産チョコレートから1キロ当り33ベクレルのセシウム137、134を検出したと発表した。

87/12/05 産経 「チェルノブイリ原発 今年の事故36件」
4日付けのソ連紙「社会主義工業」によると、チェルノブイリ原子力発電所で今年になって、「重大で人命にかかわる3件」を含め36件の事故があった。これは、チェルノブイリ原発スタッフが居住しているスラブティチ市のルキャネンコ党第1書記が、党への報告書の中で明らかにしたもの。ルキャネンコは、「原発の責任者、労働者とも安全を第1に考えていない」と述べている。

87/12/05 北海道 「3号炉は運転再開」
タス通信によると、チェルノブイリ3号炉が4日、100万kwの全出力運転を再開した。事故を起こした4号炉はコンクリート詰めにされたが、1、2号炉はすでに運転されている。

87/12/15 朝日 「食品中の放射能汚染 EC、許容値で合意」
欧州共同体(EC)理事会は食品中の放射能汚染許容基準問題で合意に達し、15日、欧州議会に報告した。合意は?現行暫定基準の乳児食品1キロ中セシウム370ベクレル、一般食品同600ベクレルを輸出入の品質規制として2年間延長する?EC委員会の修正提案のうち、乳製品と一般食品の基準値を採用し域内共通の規制値とする、というもの。修正提案は、乳製品のセシウムを1000ベクレル、一般食品を1250ベクレルと、暫定値より緩和しているが、新たにストロンチウムやヨウ素なども規制している。修正提案にあった飲料水の基準値は白紙に戻し、親切の乳幼児食品の基準値とともに6カ月以内にEC委員会が提案し直すことになった。