チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1991年)

 


 
91/1/8
朝日:ニューヨーク=NYタイムズ
米政府筋によると、米国はソ連から軍事衛星用原子炉を購入することになった。この原子炉は改良型「トパーズ2」で、重量約1トン、出力6〜10kW、価格は約1千万ドル。

91/1/12 朝日:モスクワ=島田記者
チェルノブイリ発電所で、発電機冷却水の質が基準を下回るまで悪化、1、2号炉の運転を止め、冷却水を交換している。

91/1/16 日経:ビリニュス=共同
リトアニアのイグナリーナ原発の労働者は15日、共和国最高会議の解散などを要求、受け入れられなければ共和国への送電を停止すると発表。

91/1/26 朝日
「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの活動が大きな反響を呼んでおり、カンパが1千万円を越えた。代表の綿貫礼子さんは反響の大きさに驚いている。

91/1/27 朝日
南ウラルのキシュチュム核工場で1949〜51年にかけて、放射性廃液を十分に処理しないまま、300万キュリーをテチャ川に放出、住民10万3千人が移住させられた。原子力安全研究協会がソ連の専門家を招いて24日から会合を開く。

91/1/27 日経
九州の市民団体「チェルノブイリ支援運動・九州」が現地へ専門医を含む調査団の派遣を計画、同行の医師2人を探している。

91/1/28 朝日:モスクワ=徳永記者
イズベスチャによると、ソ連政府は60の原子力発電所(1億6千万kW以上)の設計建設計画の中止を決めた。さらに、運転中のロストフ、クリミア、タタール、バキシール原発についても、運転停止、火力への転換を指令、スモレンスク、フメリニツク、ザボロージェ、カリーニンについても同様の決定が下された。

91/1/29 朝日
来日中のソ連生物物理研ブルダコフ副所長が、広島で記者会見。南ウラルでの1949〜51年の汚染事故と57年の廃棄物爆発事故により住民47万人がなんらかの影響を受けた。うち5万人は、注意を要する人たち。

91/2/4 朝日:RP=東京
2日のモスクワ放送によると、白ロシア最高会議はこのほど、チェルノブイリ事故の遺伝的影響に対する予防措置に関する共和国計画を採択。家族計画、胎児診断、新生児検診などの措置を含む。事故以降3年間に、発育不全の幼児が18%増加。

91/2/4 朝日
南ウラルのテチャ川で40年前におきた放射能汚染に関する日ソ専門家会合が東京で開かれた。ソ連生物物理研究所チェリャビンスク支所のコセンコ臨床部長にインタビュー。再処理施設からの廃液により240kmが汚染、53年から61年にかけて7,500人が疎開。住民20,800人を調査、平均線量は0.4Sv。白血病、ガンが増加したが、広島・長崎に比べ1/3から1/5。

91/2/9 朝日
チェルノブイリ事故の原因を、昨年4月から再調査していたソ連国家産業原子力安全監視委員会の調査結果がまとまり、近く公開される。事故原因は制御棒設計の欠陥で、原子炉を停止させようとしたことが、逆に暴走につながったとし、人為ミスを否定。

91/2/16 朝日
南ウラルのプルトニウム生産工場労働者に白血病やガンが多発していることが判明。東京で開かれた日ソ専門家会議でのコシュルニコワ生物物理研究所主席研究員の話などによると、48年から53年の間再処理工場で働いた男性1,800人のうち、197人がガン、25人が白血病で死亡。

91/2/20 毎日:モスクワ=河野記者
ソ連国家原子力産業技術安全委員会は19日、チェルノブイリ事故の主要な原因は設計ミスにあり、これに安全軽視の運転ミスが重なって事故が起こったとの調査結果を発表した。

91/2/27 毎日
外務省はチェルノブイリ事故に関する日ソ協力のあり方を探るため3月3日から8日まで、重松逸造放影研所長ら専門家十人をソ連に派遣すると発表。

91/4/1 朝日
タス通信によると、南ウクライナ原発(VVER、3基)で予備冷却装置から冷却水漏れ、28日未明運転停止。

91/4/3 読売:モスクワ=共同
タス通信によると、原発企業合同「スペツアトム」のサモイレンコ所長は、石棺の気密性が不十分で、また内部の一部が崩れる危険性があるため、新たな外壁を作るなどの対策が必要と指摘。

91/4/9 朝日
コノワロフ・ソ連原発工業相は、日本原子力産業会議の年次大会で講演し、原発燃料としてソ連産ウランを日本に輸出する希望をもっていることを明らかにした。

91/4/10 毎日
チェルノブイリ事故で被曝した子供6人が広島で治療を受けるため来日。24日まで滞在し原爆病院で検診、治療を受ける。

91/4/11 毎日:モスクワ=共同
ソ連最高会議は9日、チェルノブイリ被害者救済のための補償法案を採択した。被害者救済のための法律は初めて。法案は最高会議特別委員会、ロシア、白ロシア、ウクライナ3共和国で追加審議され、2週間以内に修正法案が採択される予定。

91/4/13 毎日:モスクワ=共同
ソ連保健省生物物理研イリイン所長(国家放射線防護委員会委員長)は11日、汚染地域住民の被曝量は想定の20%しかなく、移住の必要性も大幅に減少している、と語った。

91/4/13 朝日
16日からのゴルバチョフ来日に合わせ、日ソ原子力協定が結ばれる。チェルノブイリについても影響研究に重点を置いた覚書が交わされる。

91/4/15 読売:特別記事(木村記者)
3月に日本からのチェルノブイリ事故調査団(団長熊取敏之)が現地調査、汚染地域避難民と話し合い。ソ連事故被害処理委員会は57万6千人を登録、健康追跡調査などを始めている。住民の不安は深刻。しかし、専門家の多くは放射線の影響に関して懐疑的見解。

91/4/15 日経:ロンドン=時事
14日のインディペンデントオンサンデーによると、チェルノブイリ事故により7000〜1万人が被曝により死亡。事故処理にあたったソ連科学者チェルノセンコの話として伝えたもの。また、核燃料190トンのうち60〜80%が放出されたという。

91/4/15 日経
「チェルノブイリ救援募金」(代表吉沢弘志)は今月下旬、白ロシア・モギリョフ州に小児科医ら二人の医師を派遣する。

91/4/17 読売:パリ=共同
ソ連科学アカデミー副総裁で生物物理研究所所長のイリインは、パリで開かれているチェルノブイリ事故の会議で、事故後2ヶ月間の死者は28人と述べ、7000〜1万という英紙の報道を否定。また事故処理にあたった11万人のなかでガンなどの増加は確認していない、と述べた。

91/4/20 毎日:ロンドン=共同
英原子力公社は、チェルノブイリ事故に関する報告書を発表。今後全世界で4万人がガン死、うち1万人がソ連国民。

91/4/21 朝日:モスクワ=時事
ソ連軍アフロメーエフ元帥(前参謀総長)は19日、ソ連軍中央本部で開かれたチェルノブイリ事故5周年の集会で演説、事故発生時クレムリン指導部は重大さを認識せず、影響を過小評価していたと述べた。事故後1ヶ月半は、おおげさでなく戦争のようだった、と振り返った。

91/4/22 朝日:キエフ=渥美記者
ウクライナ共和国のスピジェンコ保健相によると、チェルノブイリ事故の後遺症でこの5年間にウクライナだけで約600人が死亡。大量の放射線を浴びたため免疫機能が衰え、主に心臓欠陥系の病気にかかり死亡。

91/4/23 朝日:キエフ=渥美記者
キエフ市で22日から、「チェルノブイリウィーク」が始まり、国内外から約10万人が参加する予定。

91/5/2 朝日:ブダペスト=三国記者
ブルガリアの首都ソフィアで、チェルノブイリ事故による放射能汚染を国民に知らせなかった当時の政府高官に対する裁判が始まった。被告は当時の副首相ストイチコブ氏ら二人。

91/5/4 ?:ペルミ=AFP
ソ連ペルミ市議会の環境問題委のメンバーによると、1976年ウラルの運河工事で核爆発が使われ、付近の村住民が避難したほか、汚染した湖ができた、とのこと。3つの核爆発合わせて15キロトンが、地下200mで使用された。ウラル地方では60年から76年の間に13回の核爆発があったという。

91/5/8 毎日:モスクワ=共同
ソ連最高会議は6日、チェルノブイリ被害者救済のための社会保障法を最終採択した。最高会議改選以来初の満場一致。汚染地域住民、事故処理作業員ら480万人を対象。91年度は国家予算の4%弱にあたる103億ルーブルを投入。1平方km当り15Ci以上の地域住民28万人は移住対象(7万人は既に移住)で、補償金と新しい住宅が提供される。5〜15Ciの地域では、移住希望者に補償金を支給するが住宅の提供はなし。事故処理作業従事者へも補償金と優先的医療サービス。

91/5/13 朝日:タス
ソ連の核実験に参加した元軍人で組織している核部隊退職者委員会が10日、レニングラードで集会を開いた。委員会はさまざまな地域に住む700人以上が集まって1年前に結成、社会保障のための法令を要求している。

91/5/18 読売
チェルノブイリの事故影響に関するIAEA国際諮問委員会の報告。住民の健康被害認めず。

91/5/21 北海道:モスクワ=共同
ソ連保健省によると、チェルノブイリ事故による死者は、当初の31人のほかに、多量に被曝した145人の重症患者のうち30人が死亡。タス通信によると、復旧作業員約60万のうち、276,614人を調べた結果、1990年末までに1,065人が死亡。この死亡率は同年代の死亡率とほぼ同じ。

91/5/22 朝日:ウィーン=竹内記者
チェルノブイリ報告に関するIAEAの会議で、白ロシア、ウクライナ共和国の代表が反発。白ロシア放射線生物学研究所のコノプルヤ所長、ウクライナ科学アカデミーのバリャクター副総裁などから多くの不満。

91/5/24 朝日:ウィーン=竹内記者
ウクライナと白ロシアの代表が、IAEA報告に強い不満を示す見解を発表、報告書の一部削除などを要求。

91/6/1 朝日:花井記者
セミパラチンスク核実験場を訪問。これまで320回を越す実験が行われてきた。最初の核実験を見たという老婆の話では、赤い光と黒いキノコ雲が不気味だった、少し経ってイヌとネコの毛がなくなった、4人の孫も次々と病気になった、と言う。

91/6/3 朝日:モスクワ=ロイター
モスクワ放送が伝えた国家原子力産業労働安全委員会の話では、モスクワ近郊のカリーニン原発で火災が発生したが、すぐに消し止められ放射能漏れはなかった。モスクワでは3日前から南西80kmのオブニンスク原発で放射能漏れがあったとのうわさがあった。

91/6/4 朝日
ノーボスチ通信によると、有害廃棄物処分場を作るため、これまで核爆発が2度使われた。場所や時期については触れていない。

91/6/9 朝日:モスクワ=共同
8日のプラウダによると、ソ連政府は原発工業省に対し、ウクライナ政府とともに9月1日までに、チェルノブイリ原発全体の運転停止に関する計画を策定するよう指示した。

91/6/10 朝日
コノワロフ原発工業相はプラウダ紙上で、原発建設促進、世界市場へのウラン販売強化の方針であることを明らかにした。今後10年間で2千万kWの原発を増設。

91/6/12 朝日
チェルノブイリ被曝者の治療にあたってきたソ連人医師ら一行が、広大原医研での短期研修を終え、東京で会見、IAEA報告を厳しく批判。キエフの放射能医学全ソ科学センターのクリメンコ血液学部長らによると、ウクライナ共和国では年平均1人か2人だった子供の甲状腺ガンが、昨年は21人に急増した。

91/6/29 日経
チェルノブイリ事故IAEA報告の報告会が28日東京で開かれた。住民の健康障害では、英国のリー博士が、不安やストレスによるものが目立つ、と強調。原子力資料情報室の高木代表は、IAEA報告は政治的なもの、との抗議声明を発表。

91/7/1 朝日:時事
1989年ノルウェー沖で沈没したソ連原潜コムソモーレツから、来年はじめにも放射能漏れが起こる可能性がある、とソ連科学アカデミー会員スパスキー氏が警告。今年8月に引き揚げられる計画だったが、2億ドルの資金を調達できないため、93年まで延期になった。

91/7/1 朝日:キエフ=友清記者
「チェルノブイリに光を」第3次現地調査団は29日、キエフの赤十字本部で、4月に来日した子供や医師と再会。アファナエフ医師によると、治療方法を比較の結果、ウクライナの患者には日本の方法が最適、とのこと。

91/7/4 福井
チェルノブイリ周辺から、きれいな空気を吸って健康を回復したい、と北方領土へ移り住む人が少しずつ増えている。

91/7/6 朝日
ソ連軍がセミパラチンスクでの核実験再開の意向をもっていることに対し、カザフ住民の反対運動が盛り上がっている。アルマアタには実験再開阻止民衆本部が設置され、8月29日を期して、実験場永久閉鎖をめざし3ヶ月にわたる全人民行進を予定。

91/7/10 日経:ウィーン=小林記者
IAEAの会議で、ブルガリアはコズドロイ原発4基のうち2基の運転を近く停止することに合意。運転停止と援助をセットにした交渉がまとまれば、今後のモデルケースとなろう。

1991/7/24 毎日
ソ連テレビラジオ国家委員会のエゴロワさんと、父親でベラルーシ平和基金副総裁のエゴロフ氏が来日。日本チェルノブイリ連帯基金の招きで、信州大学で甲状腺の検査を受けた。

91/8/4 朝日:ウィーン=萩谷記者
国連のチェルノブイリ事故調査委員会は1日、ソ連、ウクライナ、ベラルーシの協力のもとに作成した総合救済計画を発表、計画実施には6億5千万ドル必要、9月20日に資金調達の会議をニューヨークで開催。

91/8/17 朝日:モスクワ=タス
ソ連原子力産業省によると、10日午前2時27分運転を停止していたチェルノブイリ原発2号炉で、パイプの覆いがはずれ、数立方ほど冷却水がもれた。1、3号炉は平常運転中。

91/8/18 朝日:モスクワ=時事
ソ連極東のマガダン州ビリビノ原発付近で7月に、放射性廃棄物を処理施設に輸送中に交通事故が起き、一帯が汚染された。汚染道路がコンクリートで密閉された。責任者は当初事故を隠そうとした。

91/8/30 朝日:
ナザルバエフ・カザフスタン大統領は29日、セミパラチンスク核実験場の閉鎖を命ずる大統領令を出した。

91/8/31 朝日:泊記者
セミパラチンスク特別記事。連邦政府は地元に50億ルーブルの補償金を提示するなど、反対運動の鎮静化に努めてきたが、実験場は閉鎖される。

91/8/31 朝日:ノーボスチ
クルチャトフ研のパフシュク博士らは、有人火星旅行のための原子力ロケットエンジンを開発している。炭化ウラン、ニオブ、ジルコニウムを溶かして固めた燃料を用いる熱出力120万kWの原子炉により、液体水素を加熱して20トンの推力を得る。

1991/9/7 毎日
リトアニア共和国から、原発幹部6名が9日来日し、東京電力福島第1原発で研修する。

1991/9/9 朝日:モスクワ=大野記者
エリツィン大統領は7日、ソ連の核兵器をすべてロシアが管理するとの考えを各国テレビとの会見で示した。

1991/9/9 朝日
ソ連の原子力船団の入港拒否が極東で続出しピンチに。ソ連は現在、6隻の原子力砕氷船と原子力ラッシュ船「セブモルプーチ」を保有。

1991/9/10 朝日
リトアニアのイグナリナ原発は共和国に移管されるもよう、と東京電力が発表。技術交流で来日予定のクロムチェンコ所長から来日取りやめの連絡で分かったもの。ソ連には現在、23ヶ所の原子力発電所がある。ロシア15、ウクライナ5、リトアニア、アルメニア、カザフ各1ヶ所。

1991/9/10 朝日:泊記者
特別記事。ソ連では「国民経済爆発」と称する「平和目的」の核爆発が百回以上行われている。カザフの他、76年にウラルの建設工事、カスピ海沿岸のアストラハンで80〜84年にガス貯蔵庫建設など。いずれもうまく行かなかったが、66年の油田火災消火では役にたった。

91/9/11 日経:モスクワ=小林記者
ソ連原子力発電工業省は、1983年に立案した、2000年に約150基の原発という目標が達成不能であることを明らかにした。現在稼働中は46基で、86年以降は1基も着工していない。

91/9/13 毎日:モスクワ=石郷岡記者
ソ連中央テレビは12日、チェリャビンスクで50年代から60年代にかけて、57年の事故を含む3回の事故で、少なくとも40万人が汚染した、という事故調査委のツィブ委員長の1年前のインタビューを放映。テレビ局指導部が放映を禁止していたもの。汚染区域は長さ100km幅9kmで、汚染量は12億キュリー。

91/9/15 北海道:モスクワ=時事
ウクライナ共和国最高会議のチェルノブイリ事故調査委員会は、5月にIAEAが公表した事故報告書の見直しを正式に要求することになった。ヤボリフスキ委員長がウィーンに出発した。

1991/9/16 毎日:ネバダ=UPI
ネバダ核実験場で14日、20〜150キロトンの核実験。実験準備にはソ連科学者も参加した。

1991/9/25 北海道:モスクワ=共同
グリンピース主催で23日、ソ連原潜による放射能汚染などのセミナーがモスクワで開かれた。1963年から86年まで北極圏の数十mの海底に、炉心を含む放射性廃棄物を投棄していたことを示す文書を入手したとの報告。

1991/9/30 毎日
ベラルーシ・チェチェルスク市の汚染が、「チェルノブイリに放射能測定器を送る会」の現地調査で分かった。セシウム137の体内量は大人で、1.5〜1.6万ベクレル。

1991/10/2 日経:モスクワ=時事
ソ連最高会議チェルノブイリ原発事故原因調査委員会のペンコフ議員は、事故炉は、第二の石棺で覆うか、すべての汚染物を地中に埋めてしまう必要があると指摘。

1991/10/5 毎日
ソ連原子力発電産業省が、シベリアなどに建設する原発設計の国際コンペを実施する。原産会議を通じ、三菱などのメーカーに参加要請があったもの。出力1〜10万の低出力原発。

1991/10/8 読売:旧東ドイツ=記者
特別記事。ドイツの環境相は9月10日、ソ連製グライフスワルト原発の閉鎖を発表。

1991/10/9 日経
「チェルノブイリ支援運動・九州」は、このほど現地医療調査団の報告集を出版。

1991/10/12 日経
「放射能被曝者医療国際協力推進協議会」(会長重松逸造)は11日、広島でチェルノブイリに関する報告会を開催し、医師ら13人が報告。佐藤広大原医研教授は、白血病や甲状腺ガンが増加していると報告。

1991/10/13 朝日:モスクワ=タス
チェルノブイリ2号炉で11日午後8時、火災が発生。第4タービンを修理のため止めていたとき、突然自動スイッチが入って、発電機が電力供給システムとつながり再起動、大電流が流れダクトで出火。タービン室にもれた水素で屋根が燃え一部壊れた。11時半消火。けが人なし。

1991/10/14 朝日:モスクワ=AP
チェルノブイリ2号炉は13日運転を再開した。

1991/10/16 朝日:クルチャトフ=中村記者
ネバダ・セミパラチンスク運動が、核実験場を閉鎖したことを確認する記者会見。実験場長のイリエンコ中将も同席。これまでに467回の実験。

1991/10/18 毎日:セミパラチンスク=大木記者
「ソ連核実験被害者同盟」の第一回大会が17日セミパラチンスク市で開幕。日本原水禁を含む140人の外国代表も入れて700人が参加。

1991/10/25 毎日:モスクワ=石郷岡記者
ウクライナ共和国最高会議は24日、非核化地帯宣言を採択。

1991/10/25 毎日
ベラルーシの住民の肺にホット・パーティクルのあることが判明。ベラルーシ大学のペトリャーエフ教授の研究。

1991/10/26 毎日:モスクワ=石郷岡記者
「トルード」紙は25日、1985年8月10日ウラジオストク近くのシコトバ22村で原潜原子炉の取り替え作業中に爆発炎上事故があり、10人が死亡していたと発表。犠牲者の指輪の分析より爆発当時の放射線量は9万レントゲン/時。約1000人の労働者兵士が除染に従事した。

1991/10/26 朝日:モスクワ=尾立記者
ソ連国家放射能防護委員長のイリインは、24日朝日新聞記者と会見、チェルノブイリ事故で被曝した子供たちに甲状腺異常が増えていることを初めて認め、「継続的な調査が必要だ」と語った。

1991/10/29 朝日:ロンドン=竹内記者
スウェーデン紙「ダーゲンス・ニュヘルテル」は28日、1974年と84年の2回、ソ連がコラ半島の鉱山で核爆発を行ったと伝えた。1ヶ月前鉱山はコンクリートで閉鎖された。ソ連では鉱物と石油採掘のためこれまで115回の核爆発が行われた。

1991/10/30 毎日:モスクワ=石郷岡記者
エリツィン・ロシア大統領が、同共和国内での核実験の1年停止を布告。各地の自治体や住民の要請に答えたもの。

1991/10/30 北海道:モスクワ=門田記者
ウクライナ共和国最高会議は29日、チェルノブイリ発電所を93年に閉鎖することを正式決定した。24日には、共和国政府と最高会議チェルノブイリ問題委が閉鎖を決めていた。

1991/11/2 朝日:モスクワ=時事
チェルノブイリ1号炉で1日発電室のケーブルから出火、原発消防隊により鎮火。放射能状況に異常はなかった。1号炉は10月18日以降点検修理のため停止中。

1991/11/2 朝日:モスクワ=共同
ソ連バルト海沿岸セベロドビンスクにある世界有数の原潜建造基地で1日夜放射能漏れ事故。除染作業にあたった一人が入院。規模などは不明だが放射能レベルが8時間にわたり許容限度を越えた。

1991/11/16 日経
ベラルーシの市民代表3人が東京で記者会見し、チェルノブイリの子供たちの保養を日本も受け入れてほしいと訴えた。ミンスク大学のグルシェボイ教授ら。今年の夏だけで9千人の子供を送り出している。

1991/11/23 朝日:ロンドン=共同
ノルウェー原子力安全監督局は22日、ノルウェー沖で沈没したソ連原潜コムソモレツから放射能が漏れていると発表。現在のところ量は多くない。

1991/11/27 読売:ロンドン=時事
「デイリー・エクスプレス」紙は26日、ソ連がノバゼムリャ島付近でこれまでにドラム缶1万1000本を投棄したと報じた。レーニン号の損傷原子炉も含まれている。

1991/12/3 毎日:キエフ=大木記者
ウクライナ共和国最高会議チェルノブイリ問題委のヤブロフスキー委員長は2日記者会見し、チェルノブイリ原発と30kmの管理権について、連邦から共和国に移管されると述べた。また、事故直後に情報を的確に公表しなかった党幹部ら10人について、最高会議で審議の上、ウクライナ最高裁に訴追すると述べた。

1991/12/4 日経
ソ連の安値売り込みにより、ウラン価格が史上最安値を付けている。西側年間需要は5万5千トンに対し、在庫は1.3倍。ソ連の輸出は年間1.5〜3千トン程度。日本の需要は1990年で7600トン。米国のウラン業者は11月にダンピングの提訴。

1991/12/9 毎日:ロイター
ブルガリア最高裁は12日、チェルノブイリ事故の際、国民を守るための対策を十分に講じなかったとし、当時のストイチコフ副首相に懲役3年、シンダロフ第一保健次官に2年の有罪判決を言い渡した。

1991/12/10 毎日
カザフ共和国腫瘍学放射線研究所のバルムカノフ所長が9日京都で講演。セミパラチンスクの実験は1949〜91年の間に約800回、約350万人が被曝。実験場で働いていた軍人ら1万人を64年に登録。89年に追跡調査したところ7千人が死亡して折り、一般人の約3倍であった。実験場300km以内の人たちの、ガン発生率は他地域の2〜3倍、白内障は4〜5倍、その他平均寿命も下がった。実験場には「医学放射線ならびに生態学研究所」が設立された。

1991/12/11 朝日
東欧の原発から出る使用済み燃料の引き取りをソ連が拒否し、高額の外貨を要求している。これまでは無料だった。

1991/12/15 北海道:ワシントン=共同
グリンピースは13日、ソ連経済の崩壊で原潜機材や乗員訓練の不足により、事故の恐れがあるとし、ソ連原潜の航行停止を提言した。ソ連原潜は1970、86、89年と3回沈没、原子炉5基と核弾頭約38個が未回収。

1991/12/21 朝日:タス
ロシア共和国中央シベリアのクラスノヤルスク近郊にあるプルトニウム生産地下工場に、タス記者が足を踏み入れた。深さ250mに3基の原子炉。うち2基は近く運転停止。もう1基は発電暖房にも使われているため日程不明。

1991/12/23 朝日:ワシントン=定森記者
米国防総省筋によると、旧ソ連の核弾頭の数は、これまで推定されていた2万7千発を大幅に上回る。すでに実戦配備から外された弾頭が、未廃棄のまま放置されているためで、その数は数千にのぼる。