チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1996年)


 

1996/1/6 毎日:モスクワ共同
ウクライナ国家原子力委員会は5日、南ウクライナ原発で3日に放射能漏れが発生したと発表。同原発3号炉の配管に小さな穴がみつかり運転を停止した。

1996/2/2 毎日:モスクワ共同
ロシア中部ウリヤノフスク州のディミトロフグラド原発で1月31日に放射能漏れ事故が発生、運転を停止した。原子炉のタービンが止まったため圧力が上昇し安全弁が作動、放射性ガスと蒸気の混合気が幅3m長さ60mにわたって吹き出した。

1996/3/11 REF/RL
ウクライナ環境大臣は、1995年11月17日に発生したチェルノブイリ1号炉事故の詳細について発表した。燃料交換中に燃料棒が破損し、原子炉中央ホールが汚染された。事故の規模はレベル3。

1996/4/1 毎日:ロンドン共同
31日の日曜紙インディペンダント・オン・サンデーは、スコットランドの島で過去1年半の間にガンが他の一般地域の3倍を上回る率で発生、1986年4月のチェルノブイリ事故と関連がありそうだ、と報じた。

1996/4/3 毎日:ウィーン共同
チェルノブイリ原発4号炉を覆っている「石棺」は13年に1回という高い確率で倒壊する恐れのあることが2日、欧州委員会が実施した危険度評価で分かった。倒壊に結びつくもっとも大きな外部要因は地震で、チェルノブイリ地区では177ガルに達する地震が25年に1度の割合で起きると予想されるが、石棺と共用建物は約88ガルで倒壊することが判明。

1996/4/8 毎日:モスクワ時事
ウクライナ放射線医学研究所のポヤルコフ所長は5日、チェルノブイリ事故の影響でウクライナでこれまでに2500人が死亡したと述べた。

1996/4/10 毎日:ウィーン・町田記者
チェルノブイリ事故の放射能による健康・環境影響について検証する国際会議「チェルノブイリから10年」が9日、ウィーンで開幕した。IAEA、WHO、EUの共催で、各国の専門家約700人が参加。

1996/4/14 毎日
大阪で13日、消費者団体などの主催で「もんじゅも原発も今すぐ止めよう!チェルノブイリを忘れない!」集会が開かれ約150人が参加。フォーク歌手の小室等さんがオリジナル曲を披露。

1996/4/19 毎日:モスクワ・大木記者
ノルウェーの環境保護団体「ベローナ」は18日、ロシア北方艦隊の原潜から生じた大量の放射性廃棄物が危険な状態で保管されていると警告する報告書をモスクワで発表した。19日からモスクワで開かれる原子力サミットをにらみ、ロシアの核管理の杜撰さを警告するのがねらい。

1996/4/21 毎日:モスクワ・西、大木記者
G7とロシア首脳による原子力サミットは20日、公式協議を行い、サミット宣言、CTBTに関する声明、ウクライナに関する声明の主要3文書を採択した。1995年12月のG7対ウクライナの覚書にしたがい、チェルノブイリ原発は2000年までに閉鎖する方針が確認された。

1996/4/10 RFE/RL
ベラルーシのルカシェンコ大統領がウィーンの国際会議で演説、ベラルーシはチェルノブイリ事故対策に毎年国家予算の20-25%を要しており、1250億ドルの国際支援を訴えた。

1996/4/21 毎日:シカゴ時事
ザ・ブレチン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ誌最新号は、チェルノブイリ事故10周年に合わせて特集を組み「事故から人類は何も学んでいない」とIAEAなどを批判した。カナダのマープルズ教授は、事故の直接の死者は少なくとも6000人にのぼると報告している。

1996/4/21 毎日:モスクワ・三瓶記者
原子力サミットで発表され声明は、1995年12月の覚書確認にとどまった。95年覚書では、2000年までにチェルノブイリ原発を閉鎖するのに対し、西側は23億ドルの支援を行うというもので、その後30億ドルに増額された。

1996/4/22 毎日
チェルノブイリ事故からもうじき10年を迎えるが、旧ソ連政府の事故対策グループが、事故直後に子供60人以上を含む市民900人以上が急性放射線障害になった事実を機密議事録に残していたことが明らかになった。

1996/4/22 毎日:モスクワ共同
タス通信は20日、ウクライナのクチマ大統領が、チェルノブイリで稼働中の原子炉2基のうち1基を今年中に閉鎖すると確認したと報じた。

1996/4/26 毎日:モスクワ・高橋記者
ベラルーシのルカシェンコ大統領は25日、テレビ演説し、チェルノブイリ事故の経済的損失は少なくとも2350億ドル、国家予算の32年分に相当するとの試算を公表した。

1996/4/26 毎日:モスクワ・大木記者
26日のチェルノブイリ事故10周年を迎え、各地でさまざまな行事が行われる。ウクライナでは、環境団体のメンバーら約300人が原発の運転停止を求めてチェルノブイリへデモ行進中で26日朝に現地入りする。キエフでは、犠牲者追悼の集会が開かれクチマ大統領も参加する。ベラルーシのミンスクでは、政府が犠牲者の追悼集会を行う一方で、反政府団体「ベラルーシ人民戦線」が当局の禁止を振り切ってデモを強行する予定。

1996/4/27 毎日:モスクワ・大木記者
チェルノブイリ10周年の26日、モスクワのミチンスコエ墓地で犠牲者の追悼集会が開かれ、遺族や元同僚、政府高官など約700人が参加した。一方、エリツィン大統領はラジオ放送を通じて「今日はロシアだけでなく、全人類の歴史にとっても悲しい日である」と述べた。

1996/7/26 毎日:モスクワ・大木記者
ウクライナ国家原子力委員会は25日、フメリニツク原発で24日、蒸気管が破裂する事故が起き、職員1人が死亡、施設の一部に放射能が漏れたと発表。事故の規模はレベル1。

1996/9/26 毎日:モスクワ・高橋記者
ウクライナのコスチェンコ環境相は25日、チェルノブイリ4号機が爆発する可能性があると語った。今月16日、「石棺」の中におかれた測定器の値が上昇、中性子が一時的に10倍になったことをうけたもの。

1996/10/12 毎日:モスクワ時事
ロシア政府の安全保障会議がまとめた、原潜など旧ソ連で発生した原子力艦船事故の状況が明らかにされた。1960年10月〜89年6月の約30年間に23件の事故があり、少なくとも40人の死者が出た。

1996/10/20 毎日:ニューヨーク時事
18日発売のビジネスウィークによると、スターリンは自国の技術を信用せず、米国製原爆をまねるよう強制したことが当時の科学者らの証言で明らかになった。今年5月、当時の科学者ら約300人がドゥブナで会合を開き公表。会合の記録は近く「今日の物理学」に掲載される。

1996/11/15 RFE/RL
ウクライナ当局は、1991年の火事以来運転を停止している、チェルノブイリ原発2号炉の運転再開を検討中。いずれにせよ、G7との協定によると、31億ドルの援助と引き替えに、チェルノブイリ原発は2000年までに閉鎖される予定。

1996/11/19 毎日
阪大医学部の杉山教授や野村教授のグループは、チェルノブイリ周辺汚染地域に住み、血液検査で「異常なし」とされていた住民の血液から、白血病の目印遺伝子WT-1の増殖を確認し、通常の検査で異常がない住民も白血病に対する高いリスクを負っていることを、遺伝子レベルで裏付けた。

1996/12/1 毎日:キエフAP/DJ共同
チェルノブイリ原発で30日、1号炉の閉鎖作業が始まった。同原発で稼働中の原子炉は3号機のみとなる。