チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1997年)


 

1997/2/27 原産新聞
チェルノブイリ原発の2000年閉鎖にともなう代替電源確保のため、欧州復興開発銀行(EBRD)のウクライナへの融資について調査していた専門家委員会はこのほど、「建設途中の原発2基を完成させることは、閉鎖によるロスを補うもっとも経済的なオプションとはならない」とする報告書を提出した。同委員会は「ピーク時の電力需要が2700万kW程度にすぎないにもかかわらず、ウクライナには3500万kWの石炭火力、1400万kWの原発を含め計5500万kWの設備が存在する。問題は、既存発電所用の燃料や部品の購入費、改修・更新費の不足」と指摘している。

1997/3/20 原産新聞
ベラルーシのゲラシモフ燃料電力相はこのほど、同国初の原発建設作業を今世紀末までに開始することを念頭に置き、同国議会が5月からヒアリングの実施を検討していることを明らかにした。ベラルーシ政府は現時点では原発導入の決定はしていないが、昨年5月に関係3省庁と科学アカデミーに対し、導入可能性調査の実施を政令で指示、すでに3地点を立地に最適な地点として選定したほか、8カ所を予備地点としてリストアップ。

1997/4/3 原産
ウクライナ議会は3月18日、チェルノブイリ原発の閉鎖にともないEBRDが1億1800万ECU(168億円)の資金をウクライナに援助するとした協定を正式に批准した。

1997/4/20 毎日
市民団体「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」などは、チェルノブイリ原発事故で「子どもの甲状腺がん以外は顕著な被害がみられない」とのIAEAなどの見解は過小評価として、世界の反核・平和団体に、見解の撤回を求める抗議文への署名呼びかけをはじめた。

1997/4/28 RFE/RL
チェルノブイリ事故11周年の4月26日、ウクライナではキエフとチェルノブイリ原発で追悼式典があった。ミンスクでは、ルカシェンコ大統領に抗議するデモがあり2万人が参加した一方、公式追悼式の参加者は500人だった。

1997/5/15 原産
ウクライナ政府とG7はこのほど、チェルノブイリ4号炉「石棺」の改修計画の大筋で合意した。石棺の短期的な崩壊防止、石棺内部の炉心溶融物の除去およびその安全管理を主要な目的としている。総費用は約8億ドル。G7側は当初、新たな石棺の建設を提案していたが、ウクライナ側の強い要望により内部の炉心溶融物の取り出しを最優先することになった。

1997/5/15 原産
ウクライナで稼働する15基の原発は、昨年1年間に796億kWHを発電、シェアは44%。事故故障件数は、95年の85件から、96年は82件に減少、うちレベル2が1件。

1997/5/23 RFE/RL
チェルノブイリ原発の広報官によると、ただ1つ稼働中の3号炉は、原因不明の変圧器故障で4日前から停止していたが、5月22日運転復帰中である。

1997/5/24 毎日:モスクワ・高橋記者
ロシアのエリツィン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領は23日、連邦条約規約に署名した。

1997/6/5 原産
ウクライナの緊急事態省はこのほど、チェルノブイリ事故による汚染立入禁止区域の廃棄物の除染、輸送、処理および貯蔵を行う複合産業施設「ベクトル」を建設するための第1期入札を開始した。「ベクトル」は30km圏内に暫定的に埋設貯蔵された放射性廃棄物を回収し、より安全な状態に処理処分するもので、計画全体の予算は350億円。

1997/10/15 RFE/RL
キエフのテレビによると、ウクライナ政府当局は、チェルノブイリ原発周辺汚染ゾーンに放置されている数1000トンの金属材料の売却に関心を持っている。除染の方法や費用の出処については述べられていない。

1997/11/6 原産
ウクライナのエネルギー省によると、チェルノブイリ原発3号炉の運転再開は、冷却パイプ溶接不良部の修理のため、今年末頃に延期されることになった。同3号炉は、7月21日に定期検査のため運転を停止。冷却パイプの450カ所を検査したところ50カ所で溶接不良が認められた。

1997/11/10 RFE/RL
ウクライナのクチマ大統領は11月7日、チェルノブイリ原発閉鎖にともなう代替電源への支援が得られなければ、チェルノブイリ原発は閉鎖しないであろう、と述べた。

1997/12/18 原産
ウクライナ政府は11月末の閣議で、建設中原発の完工資金を調達するため電気料金を値上げすることを決定した。来年1月1日より。ロブノ4号炉とフメルニツキ2号炉完工のための費用は15億ドルと巨額で、EBRDの融資を渋られている状況。4〜4.5%の料金値上げで見込まれる約2億ドルを完工プロジェクトにあて、EBRDからの信用融資を引き出そうとしているもの。