チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1999年)


 


 
99/1/21 原産新聞
昨年12月15日より定期検査中のチェルノブイリ3号炉で再びクラックが発見され、運転再開が当初の見込みより2週間以上遅れる見通し。クラックがみつかったのは、炉心冷却配管の溶接部。今回定検に入ってから検査した200カ所の溶接部のうち46カ所でクラックが発見された。

99/2/4 原産新聞
ベラルーシでの原発建設に関するフィージビリティを調査していた政府委員会はこのほど、「今後10年間は原発計画に着手するのは不適当だが、将来のオプションとしては温存すべき」とする報告書をまとめた。

99/2/9 RFE/RL
ウクライナの原子力関係者28人が8日、原子力産業の窮状と政府の財政支援を訴える手紙を発表した。手紙にサインしたのは、原発所長、科学者、エネルギー関係者で、電気代の不払いにより職員の給料支払いや設備の更新ができず、原発が危険な状況で運転されていると述べている。

99/2/25 原産新聞
国際チェルノブイリセンターによると、国際シェルター修復計画(SIP)の責任者はこのほど、「石棺」修復作業で、今年はさらに数千万ドルの資金が必要と、ウクライナ政府に訴えた。SIPでは総計7億5800万ドルが必要と見積もられており、諸外国からはこれまでに4億ドルの資金援助が約束されている。しかし、原子力発電での発電量に対し10%しか料金が払われていない現状から、すべての安全対策が実行されているとは言い難い状況にある。  ウクライナの原発は、昨年752億4000万kWHを発電し、送電力の43.5%を賄った。設備利用率は67%。

99/3/3  RFERL
ウクライナ原子力公社のパルホメンコ長官によると、ウクライナの原発は旧式であるため、幸いにして西側のようなコンピュータの2000年問題はない。一方、原発労働者は、原発周辺 にテントを作り賃金未払いに対する抗議行動をエスカレートさせている。

 99/3/9  RFERL
ウクライナの原発労働者組合は5日、賃金の支払いを求めて3月22日より5カ所の原発でストライキを行なうと発表した。6日には1万2000人の労働者が集会に参加し、原発周辺では約2000人がテントピケを続けている。

99/3/11 原産新聞
ウクライナの原発で、賃金未払いに対する労働者の抗議行動が広がっている。2月24日、5つの原発立地都市で、2万4000人が集会とデモを実施。その後、数百名がキエフの政府ビルでピケを張ったり、原発を囲む抗議キャンプを行なった。ウクライナの原発は原子力発電公社(ENERGOATOM)が運転しているが、電気料金未払いなどのため、労働者への未払い給与は約5カ月分、4300万ドルに達したと言われている。

99/4/15 原産新聞
ウクライナ原子力学会の理事会はこのほど、原子力部門の財政上の危機的状況が原発の安全性を脅かしているとして、政府や原子力産業界の責任者を批判する声明を発表した。シュタインバーグ理事によると「ウクライナはチェルノブイリ事故の教訓から何ひとつ学んでいない。」

99/4/16 毎日
15日のロシア紙「新イズベスチア」は、1986年のチェルノブイリ原発事故について、ロシアの地震専門家が新たな証拠に基づき、直前に起きた数回の局地地震が原因だったとの調査結果をまとめたと報じた。

99/4/26 RFERL
 チェルノブイリ事故13周年にちなんで4月25日、約7000人の政府反対派がデモ行進し、 ルカシェンコ大統領の政策に抗議した。デモ参加者は、ロシア、ユーゴとの連邦に反対するとともに、反対派大統領選挙候補者であるチーヒル氏を釈放するよう要求した。

99/4/27 RFERL
クチマ大統領は4月26日、放射線医学センターの新ビルの開所式で、「あらゆる困難にかかわらず、国家はチェルノブイリ事故被災者の救済に全力を尽くすであろう」と述べた。キエフの追悼式では、約1000人が事故処理の犠牲者に花輪をささげた。保健省によると、1986年以来4365人の事故処理作業者が死亡した。事故による直接、間接の影響で16万7653人のウクライナ人がこれまでに死亡した。

99/5/24 毎日
チェルノブイリ原発事故の影響で、甲状腺ガンが大人も増加していることが、ベラルーシ科学アカデミーのマリコ博士の調査で明らかにされた。増加率は予想された自然増よりも2?3倍大きかった。ベラルーシ共和国の事故による甲状腺ガン発生数は、従来の推定より

99/6/17 RFERL
Martynenko大統領報道官によると、クチマ大統領はG-8がウクライナのロブノとフメルニツキ原発の完成資金を供出することを期待している。チェルノブイリ原発閉鎖の代替に援助することを1995年にG-7は約束している。先週のケルンサミットに反応したもの。ドイツ議会の環境委員会は6月15日に、原発建設への資金援助に反対する決定をしている。一方ロブノ原発では、グリーンピースの活動家が"No Western Money for New Chernobyls"という横断幕で抗議行動。

99/6/21 RFERL
ケルンのG-8サミットは6月18日、チェルノブイリ原発閉鎖の代償として2原発を完成させるためのウクライナに対する12億ドルの供与を決定することに失敗した。シュレッダー・ドイツ首相が、連立している緑の党からの強い反対を受けたもの。他のG-8リーダーは賛成した。

99/7/1 原産新聞
ドイツのケルンで開かれていたG7の最終声明で、チェルノブイリ原発閉鎖にともなう代替電源として、ウクライナで建設中の原発を完成させる計画への支援継続が盛り込まれる一方、原子力以外の電源で代替する道についても検討の余地が残されることになった。原発建設支援に反対を表明しているのはドイツのシュレーダー首相で、代替電源としてガス火力の建設を主張。これに対しフランスのシラク大統領は非現実的と応酬した。

99/7/8 原産新聞
ウエスチングハウス社はこのほど、ウクライナの南ウクライナ3号炉(100万kW、VVER)の取り替え用燃料の受注に成功した。WH社はこれまで、チェコのテメリン原発1号炉(100万kW、VVER)の初装荷燃料を供給した実績はあるが、VVERの取り替え用燃料の受注ははじめて。

99/7/20 RFERL
チェルノブイリ原発で7月17日、原子炉の安全点検中に2人の作業員が被曝した。ガンマ線源の容器から中身の一部が落ちたために被曝し、被曝量は9.8レムと8.3レムであった。

99/7/21 RFERL
ヨーロッパ復興開発銀行はウクライナの原発運転公社エネルゴアトムと、チェルノブイリ「石棺」の改修のため1億1500万ドルを供与する契約を締結した。石棺の安全性モニター機器の購入など、2005年までの安全プログラムで費やされる。

99/7/22 原産新聞
フラマトムなどフランス系企業連合は7日、国際入札の結果、チェルノブイリ原発の廃炉・廃棄物管理統合計画における主要設備の設計・建設事業を正式に受注した。契約額は約77億円で、欧州復興開発銀行の原子力安全基金から拠出される。企業連合は、2万5000本の使用済み燃料をパッケージする設備や256基の貯蔵キャニスターを乾式収納する施設を建設する。

99/8/5 原産新聞
ウクライナのクチマ大統領は7月9日にキエフでドイツのシュレーダー首相と会談後、「チェルノブイリ原発を火力で代替するというドイツの提案は経済的でないため断った」と発表していたことが明らかになった。シュレーダー首相は、160万kWの石炭火力と40万kWの天然ガス火力で代替するよう働きかけていたもの。

99/9/30 原産新聞
ベルギーのベルガトム社などの企業連合がこのほど、チェルノブイリ原発の放射性廃液処理・貯蔵施設の設計・建設をウクライナ原子力公社から受注した。契約額は約20億円で、2002年までに、2500立方m/年の廃液処理・貯蔵が可能な施設を建設する。

99/10/28 原産新聞
ウクライナ政府のチェルノブイリ原発担当委員会は、同原発でただひとつ運転中の3号炉の運転を来年夏まで継続させることで政府に勧告する方針を決めた。この起源は、燃料チャンネルの寿命に因っている。

99/12/9 原産新聞
7月から修理のため運転を停止していたチェルノブイリ原発3号炉が11月26日運転を再開した。国家原子力規制局(SNRA)は、「同炉は来年後半にも最終閉鎖せざるを得ない状況」との見方を示している。

99/12/30
ウクライナ原子力公社は29日、国内5カ所14基の原発でY2K問題は生じない、と発表した。運転中の10基は止めずに新年を迎える。また、チェルノブイリ原発でただひとつ稼働中の原子炉は、保守・修理の費用がかさむため、2000年中に停止される見通し。