第74回 原子力安全問題ゼミ
1999年4月19日 今中哲二
チェルノブイリ事故から13年
−共同研究のまとめとこれから−<今日の話題>
- はじめに
- その1:ロシア・ウクライナ・ベラルーシ
- その2:トヨタ共同研究の経緯と著者・論文の紹介
- その3:体験的ロシア人論
- おわりに
<はじめに>
IAEAによるチェルノブイリ3大国際会議
- その1 事故検討専門家会議(1986年8月)
事故処理は終わった.発電所もじきに運転再開する.
- その2 国際チェルノブイリプロジェクト報告会(1991年5月)
周辺住民への被曝影響は認められない.もっとも悪いのは放射能を怖がる精神的ストレス.
- その3 事故10周年総括会議(1996年4月)
チェルノブイリ事故は史上最悪であったが、周辺住民への影響は甲状腺ガンの増加以外認められない.
国際的な企み
ベラ・ベルベオーク (「エコロジー」誌371号、1986年5月1日)「この大災害の被害者数の評価を最大限に減らすために、後日専門家たちの国際的企みが行われるであろう…国際諸機関は、実際には大国の支配のままになっており、見かけの客観性と中立性を装いながら、大国介入の先兵となろう。この事故はたいしたものではなかったと彼らは結論するであろうが、そうなれば、一体今までの大騒ぎは何だったということになる…ソ連の責任者は、キチュトム災害の時と同じように、完全沈黙を行ない、すべての情報の凍結を謀ることもできた筈であるとして、西側の専門家がソ連 の専門家を責めることも後に起こるかも知れない」
チェルノブイリ事故によるセシウム137汚染
被災3ヶ国のセシウム137汚染面積(単位:km2)
国名
セシウム137の汚染レベル(Ci/km2)
1 〜 5
5 〜 15
15 〜 40
40以上
1以上合計
ロシア
48,800
5,720
2,100
300
56,920
ベラルーシ
29,900
10,200
4,200
2,200
46,500
ウクライナ
37,200
3,200
900
600
41,900
合計
115,900
19,120
7,200
3,100
145,320
- 40Ci/km2以上:強制避難ゾーン.
- 15〜40Ci/km2:強制(義務的)移住ゾーン.
- 5〜15Ci/km2:希望すれば移住が認められるゾーン.
- 1〜5Ci/km2:放射能管理が必要なゾーン.
汚染地域の住民数(単位:万人)
国名(データ集計時)
セシウム137の汚染レベル(Ci/km2)
1 〜 5
5 〜 15
15 〜 40
40以上
1以上合計
ロシア(1991.1.1)
188.3
34.7
9.3
-
232.3
ベラルーシ (1995)
148.5
31.4
4.1
0.0283
184.0
ウクライナ(1995.1.1)
173.2
65.3
1.9
-
240.4
合計
510.0
131.4
15.3
0.0283
656.7
- 1990年の報告によると、40Ci/km2以上の汚染地域の住民数は3.38万人、15〜40Ci/km2の住民数は23.4万人で、15Ci/km2以上の住民数は合計26.8万人であった.
- 表の数字と比較すると,それ以降に少なくとも11.5万人が15キュリー以上の汚染地域から移住したことになる.5〜15Ci/km2の地域を含めると移住者は数10万人におよぶであろう.
<その1:ロシア・ウクライナ・ベラルーシ>
その歴史
- ロシア、ウクライナ、ベラルーシのルーツはともにキエフ・ルーシ(9世紀〜).
- モンゴルの侵攻(13世紀)でキエフ・ルーシは壊滅.モンゴル支配(〜15世紀)後にモスクワ・ロシアが台頭.
- キエフやミンスクがモスクワの支配下に入るのは18〜19世紀になってから.
- 20世紀の“ロシア”は、第1次大戦、革命・内戦、大飢饉、大粛正、第2次大戦と、とんでもない悲劇の連続であった.
- 現在のウクライナは、ロシアから離れNATOやEUへの加入をめざしている.一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアと共同体条約を結び、ソ連の復活をめざしている.
<その2:トヨタ共同研究の経緯>
トヨタ財団研究助成
- その1(1993〜1994):
「チェルノブイリ原子力発電所4号炉事故による放射能放出量と事故直後の被曝線量評価に関する研究」 代表・瀬尾 320万円
- その2(1995〜1996):
「ソ連崩壊後のロシア,ベラルーシ,ウクライナにおけるチェルノブイリ原発事故影響研究体制と 研究の実状に関する調査研究」 代表・今中 200万円
- その3(1996〜1997):
「ロシア,ベラルーシ,ウクライナにおけるチェルノブイリ原発事故影響研究と被災者救援活動の現状に関する調査研究」 代表・今中 380万円
- 出版助成(1998):210万円
共同研究をうまくすすめるための3大方針
<1回目は、経験不足などであまり成果が上がらなかった。その反省をふまえて>
- 研究チームどうしの関係ではなく、個人のネットワークを基本にし、今中が全体のコーディネーターとして、すべてにわたってとり仕切る.
- 会計をふくめ、共同研究に関するすべての情報をメンバーに伝える.
- 契約書のようなものは一切つくらず、たとえ、向こうは守らなくとも、こちらの約束はすべからく行う.
共同研究のサブテーマ
- 各国でのチェルノブイリ事故影響研究体制とその現状のまとめ
- 各国での被災者追跡疫学研究の現状のまとめ
- 事故直後の周辺住民放射線急性障害に関する事実の収集と被曝線量評価
- 各国での被災者救援の制度と現状のまとめ
- 事故影響に関する興味深い研究の紹介
共同研究の成果
- 1998年3月 共同研究英文報告書(KUR-KR-21)
- 1998年10月 共同研究和文報告書(チェルノブイリ事故による放射能災害:技術と人間)
体験的ロシア人論3題
- そのA:ロシア人のハッタリは挨拶がわり?
- そのB:ロシア人は、何かにつけてバラツキが大きい.
- そのC:「あしたは明日の風が吹く」
- 番外:ロシア経済危機のしくみ
ロシア語・ベラルーシ語・ウクライナ語
チェルノブイリ
英語
ロシア語
ベラルーシ語
ウクライナ語
Chernobyl
Чернобыль
Чарнобыль
Чорнобiль
その他
英語
ロシア語
ベラルーシ語
ウクライナ語
曜日: Sunday
воскресенье
нядзеля
недiля
Monday
понедельник
панядзелак
понедiлок
Tuesday
вторник
а?торак
вiвторок
Wednesday
среда
серада
середа
Thursday
четверг
чацьвер
четвер
Friday
пятница
пятнiца
пятниця
Saturday
суббота
субота
субота
月: January
январь
студзень
сiчень
February
февраль
люты
лютий
March
марта
сакавiк
березень
April
апрель
красавiк
квiтень
May
май
травень
травень
June
июнь
чэрвень
червень
July
июль
лiпень
лирень
August
август
жнiвень
серпень
September
сентябрь
верасень
верессень
October
октябрь
кастрычнiк
жовтень
November
ноябрь
лiстапад
листопад
December
декабрь
сьнежань
грудень
時間: year
год
год
рiк
month
месяц
месяц
мiсяць
day
день
дзень
день
hour
час
гадз?на
година
minute
минута
мiнюта
хвилина
second
секунда
секунда
секунда