放射性物質に汚染された農地のセシウム濃度の可視化

東電福島第一原子力発電所事故で大量に放出された放射性物質による汚染を受けた農地の回復は、農業県である福島県の復興にとって重要な課題です。営農再開に先立ち国の事業として農地の表層のセシウムで汚染された土壌を剥ぎ取る剥土とともに、剥土して減少した表層の土壌の補填と残留セシウムの濃度低減のための客土が行われていますが、除染のし残しや肥沃な表土の剥ぎ取りによる地力の低下が大きな問題になっています。
そこで、関連技術を持つ大学や研究機関、企業が連携して「見える化技術開発グループ」を結成し、KURAMAの放射線マッピング技術と東大で研究の進められている分光的手法による土壌肥沃度の推定技術を高精度ガイダンスシステムを搭載したトラクタに装備したロボットを開発しました。この測定データをクラウド上へ送信し、リアルタイムにセシウム分布や土壌の肥沃度を可視化することができるようになりました。従来の一点一点土壌を採取して評価する、あるいは実際に作付けした結果から判断する手法に比べ、大幅な作業効率の改善と除染し残しや肥沃度の低下への迅速かつ効果的な対処が可能となりました。

この技術の詳細はパンフレットをご覧ください。また今回の開発のための研究費の交付では研究成果の社会実装が求められていることから、グループ内の企業よりこのロボットの販売等も行っています。詳細はお問い合わせください。

本研究開発は農林水産省 福島イノベーション・コースト構想に基づく 先端農林業ロボット研究開発事業による助成を受けています。
見える化技術開発グループは京都大学、東京大学、高知工科大学、福島県農業総合センター、日立造船、国際航業、松浦電弘社、S2ファクトリーによって構成されています。